※この作品はR-18です。

銀翼の勇妃 シルバーガール 〜TS追加戦士 フタナリ魔族の手に堕ちる〜   作:蠱惑奈 毒蜜

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一応言っておきますが…この作品は◯ー◯ー戦◯シリーズとは何の関係もありませんし、他意はございません。なのでそれに関わる批判だけはしないでください。お願いします。


プロローグ 煌めく雷氷の翼 シルバーガール!

突然ではあるが…とある世界では人間が「デモニス」と呼ばれる悪魔たちに襲われていた。

かつてデモニスたちは魔王ルシフェルに率いられ、人間界を支配しようとしとしたのだ。

突如現れた悪魔たちに、人間たちはなす術なく、人間界はデモニスたちのものになろうとしていた…だがそこに奇跡が起きる。

別の世界から「精霊」と呼ばれる存在が現れたのだ。人間界がデモニスの手に堕ちれば、それを足がかりに自分たちの世界を含む様々な世界に魔の手が及ぶことを危惧した精霊たちは人間と手を組み、人間と精霊たちは数多くの犠牲を払いながらもデモニスを彼らの世界である虚無界と呼ばれる世界に閉じ込め、新たな結界を張ることで、デモニスの侵入を阻んだはずであった。

だがその結界は完全なものではなかった。人間たちが発する憎しみや苦しみ、悲しみなどの悪感情は精霊たちの施した結界にわずかながらも確かな亀裂を生じさせ、それを好機と見たデモニスの悪魔たちはその歪みをこじ開けて侵入し、人間たちの世界を苦しめて結界を壊すことで無数の同胞とともに人間界に進行しようと画策していた。

しかし精霊たちはこの事態を見逃さない。デモニスに対抗するため、数多の精霊の中から選ばれた4人の精霊は正義感に溢れた4人の若者と契約し、人間の研究者は精霊たちの力の源となる「マナ」を感知、吸収して力に変換するブレスレット型装置、スピリットコネクターを精霊たちの協力を得て開発に成功、若者たちは精霊の力を身に纏って戦う「精霊勇士スピリットフォース」となり、デモニスの悪魔たちと今日も戦いを繰り広げていた。

       ‥‥‥

「見つけたぜ!ダゴン!アルプーラ!」

とある街中に熱い声が響く。

「あなたたちの悪行三昧、これ以上は許さないわ!」

そう言い放つ中指程の大きさの赤い少女の精霊スカーレットと3人の男女の前にはタコのような姿の六本腕の悪魔と一見パンクロッカーの女性のような姿に背中にコウモリの翼を生やした悪魔がいた。

「チッ、ダゴン!連れてくるやつは選べって'あの方,に言われたじゃない!」

「お前が数を増やせって言ったから俺は増やしただけダ、ゴォン!」

この悪魔たちは結界の穴を広げるために誘拐した人間たちを洗脳して、苦しませていたが、拠点にしていたライブ会場を精霊たちに割り出されたうえ、悪魔たちが逃げられない結界を辺りに張ったため、馬鹿正直に表口から逃げた時には熱い声の主を含む四人の男女と彼らの精霊たちに見つかってしまっていた。

「辺りは既に精霊たちの結界の中よ!もう逃すつもりはないわ!」

熱い声の主の隣にいる女性が叫ぶ。だが、悪魔たち二人はこの状況に笑みを溢していた。

「……逃がさない?ふふ、あはは」

「ふっふっふっふ」

「何がおかしいの!」

「逃げられなくて結構よ!私たちの目的の殆どは既に達成されているわ!インプども!今日のあなた達は一味違うってところを見せなさい!」

「イプー!」「イプー!」「イプー!」「イプー!」

アルプーラの一声にデモニスの戦闘兵、インプが地下のライブ会場の表口から大量に現れた。

「後はお前らという手土産を持って帰るだけでいいのダ、ゴォォォン!!」

ダゴンの一声…特に語尾の咆哮に四人は思わず耳を塞ぐが、全員の目は二体の悪魔を見据えていた。

「くっ、こんなのもうビビるほどじゃないわ、みんな!今回の悪魔は二体よ、油断しないで!」

「勿論だ!行くぜみんな!」

「ああ!烈火!」

「了解!」

烈火と呼ばれた男の声に残る二人の男も答え、四人が左腕につけたブレスレット、スピリットコネクターにそれぞれ、赤、青、緑、桃色のクリスタルをはめ、ボタンを押して叫ぶ。

「「「「マナフュージョン!!」」」」

その声とともにスピリットコネクターにはめられたクリスタルから発される光が、彼らと契約した精霊たちのマナを変質させ、それぞれのクリスタルの色の鎧となり、彼等の全身を纏う。

「赤き勇者、レッドブレイブ!」

「青き魔道士、ブルーウィザード!」

「緑の戦士、グリーンウォリアー!」

「桃色の癒術士、ピンクソーサラー!」

「精霊達の絆!生命の息吹と共に!」

「「「「精霊勇士!スピリットフォース!!!!」」」」

彼等の名乗りと同時にその後ろで精霊達の放つマナが4色の光を輝かせていた。

「あら?今回は4人だけ?最近噂の『銀翼の勇妃』はいないのかしら?」

「ほぉ、なら早く終わりそうだな、てめぇらを地獄へ叩き落とす仕事はな!」

「うるさい、お前等の相手など4人で十分だ!」

アルプーラたちの卑劣な煽りにウィザードが怒りの言葉を返す。

「ふん、しかし非情な奴だな。『銀翼の勇妃』とやらは、だがそんな奴がいようとも貴様らに勝ち目は無えんダ、ゴォン!」

「やれインプども!奴らを蹴散らしな!!」

「「「「「イプーー!!!」」」」」

ダゴンに率いられ、大量のインプが鋭利な爪を伸ばして彼等に襲い掛かかった。

「甘いな、グレンベルジュ!」

ブレイブの声に反応して現れた燃える不死鳥の羽を模した剣、グレンベルジュを呼び出し、炎を刃に纏わせる。

「フレイムウィング!」

「「「イプアーー!!」」」

ブレイブが剣を振るい、放たれた炎の翼が数多のインプ達を焼き払い、さらに二人の悪魔を炎が狙うが……

「ダゴン、やっちゃって」

「無論だ!ふんぬっ!」

ダゴンが声を上げながらタコ脚のような腕を振るい、炎は彼等の届く寸前に消されてしまった。

「何だと!?」

「今度はこっちから行くんダ、ゴーン!」

「インプたち!ダゴンに続いて!」

「「「イプー!!!」」」

アルプーラの指揮のもと、スピリットフォース達に向かって駆け出したインプ達が続いていく。

「下がれブレイブ!スプラッシュバブラスト!」

「ダゴッ!」

唖然とするブレイブの前に立ったウィザードが水飛沫の弾丸を飛ばすが……

「そんな木端で俺が止められるかぁ!」

「馬鹿な!普通の悪魔なら吹っ飛ぶ筈だぞ!」

「普通の悪魔じゃないってことダゴォン!」

ソーサラーが言う間にもダゴンが腕を伸ばしながら彼らに近づいてくる。

「変われウィザード、こいつの相手は俺がする!」

「ふっ、面白い、殴殺してやる!」

ウィザードと入れ替わりにブレイブがダゴンと相対し、ダゴンが腕の一本をハンマーのようにブレイブに叩きつける。

「グウッ!」

ブレイブは剣で受け止めたが、ダゴンの力を物語るかのように、ブレイブの足元の周りまで凹ませていた。

「みんな、インプを頼む!」

「わかった!」

「ダゴンは頼みますよ先輩!」

「私は後ろから援護するわ!」

ブレイブが腕を受け止めてる間に三人は散開し、ウィザードは詠唱を開始する。

「「イプー!!」」

「させるか!」

「イプッ!」

「バレットモード、シードショット!」

「「イプアッ!!」」

詠唱を止めようとウィザードに襲い掛かるインプをウォリアーが両腕の風の刃で切り裂き、ソーサラーはバレットモードにしたコネクターから散弾銃のように種の弾丸を放ち、インプたちを倒していく。

「……そろそろ私の出番ね」

その光景を見ていたアルプーラはそう呟くと、新たなインプ達が会場からマイクとスタンドの用意をしていた。

「っ!アルプーラが何か準備しているわ!二人とも早くインプ達を!」

「チッ、余計なことを言うな!」

ダゴンがアルプーラの動きに気づいたソーサラーに向かって残りの腕を伸ばすが……

「させるか!」

ブレイブが剣先から炎を放ち、ダゴンも腕を引かせる。

「……インプ達、ダゴン…私の歌に耳を澄ませて…」

「詠唱は完了した!撃てるぞ!!」

「了解だ!頼むぜウィザード!」

「吼えろリバイアサン!奴らを吹き飛ばせ!」

ウィザードの声に呼応して、現れた精海竜リバイアサンの口元に集まった水が渦を巻くがアルプーラの前にインプ達が集まり、壁を形成する。

「急いで!」

「ああ、いくら束になろうが無駄だ!」

「La~~~~」

「吼えろ!ブレスオブストリーム!」

ウィザードの詠唱によりリバイアサンが口元の渦をインプ達に放つ。この技は彼の放つ魔法の中で最強クラスの威力を誇る。

その威力は並の悪魔なら耐えられない程であり、壁になったインプ達もまとめて吹き飛ばす程である。

「ハァ、ハァ、ハァ……な!?」

「嘘…だろ!」

それが……

「そんな……あれを…受けて」

「インプ達が…無傷……だと…」

普通のインプ達ならば、だが…

「「「「イプーーーー!!!!」」」」

ウィザードの魔法を受けながらも無傷で鳴き続けるインプ達の壁の向こうには……

「みんなありがとう!君達のおかげで私のライブ、もっともっと盛り上がれるわよー!」

マイクスタンドを手に盛り上がるアルプーラがいた。

「嘘だろ…歌で…インプ達が」

「これが嘘に見える?まだまだ私のゲリラライブは始まったばかりよ!ahhh~~!」

「「「「イプアーーーー!!!!」」」」

アルプーラの歌声に呼応してインプ達の叫びも強くなっていく。

「そんな…こんなことが…あるんスか…」

「ライブを止めて!これ以上歌われたら…」

「強くなるのがインプだけだとでも?」

「…え?」

「オラァ!」

「キャアアアア!」

「ソーサラー!」

一足早く声を上げたソーサラーの声も間に合わずにダゴンの腕が彼女の首に巻きつく。

「アルプーラの歌はな、どんな悪魔の力をも何十倍にも引き上げちまう。つまりインプすら倒せないお前らがこの俺を止めれるわけねえんダ、ゴォン!」

「グッ、アッ、ウッ、ウウ」

ダゴンが首に巻いた腕に力を入れ、ソーサラーが苦しみの声を上げる

「ソーサラーを離せ!フレイム…」

「ふんっ!!」

「グッ!」

ブレイブが剣を振るおうとするもダゴンが伸ばした腕に腹を殴られ、うめきの声をあげ、吹き飛ぶ。

「ブ…ブレイ…ブ…」

「ブレイブ、ソーサラー!」

二人のピンチにウィザードが焦りの声を出す。

「お仲間の心配してる場合なの?私のライブは終わらないわよ!」

「グッ、スプラッシュバレット!」

「イプー!……イプー?」

「イプーww」

ウィザードの魔法も大袈裟に吹っ飛ばされたふりをし始めるインプも現れる。

「クソ!」

「早く二人を助けないと!」

「わかってる!だが先にこいつらを片付けないとどうにも……」

いまだに倒れぬインプ達の後ろでアルプーラが叫ぶ。

「蹂躙しなさい!インプ共!」

「「「「「イプーーーーー!!!!!」」」」」

「まずい…いっぱい来た!」

「わかってる!クソっ!」

勢いのままに襲いかかるインプ達の波を止めようとするが、並の魔法では止められない。

「フンッ!」

「なっ!?」

「しまった!」

インプ達に気を取られている隙にダゴンの腕が2人の首を締め付け、武器から手を離してしまった。

「ウィザード!ウォリアー!」

「あらあら、これじゃインプ達を止めるすべがないわ!残念だったねぇ!」

「これで奴らもおしまいダ、ゴォン!」

「「「イプゥゥゥ!」」」

ダゴンに捕らえられたのをチャンスと見たインプ達が3人に襲いかかる。

「やめろぉぉぉ!」

「潰れろスピリットフォースゥゥ!」

インプ達の爪が無防備の仲間たちに届きかけた瞬間……

「………させない」

一つの声とともに天空から一条の槍が結界を破りながら振り下ろされた。

「「「「「イプアァァァァァァ!!!!!」」」」」

「キャアアア!」

「ドワァァァァ!!」

その地点を中心に衝撃波が発生し、インプ達は悲鳴を上げ、アルプーラは顔を背け、ダゴンは3人をあらぬ方向へと投げ飛ばしていた。

「グウッ!」

「カハッ!」

ウィザードとウォリアーは二人揃って建物の壁に叩きつけられながら気を失い…

「キャアッ!」

「ガフッ!」

ソーサラーは何とか立ちあがろうとしていたブレイブとぶつかり、コンクリートの地面を転がった。

「このぉ、誰だ!私のライブに物なんか投げつけ…」

顔を背けていたアルプーラが怒りの顔で向き直すと、そこには自身の歌で強くなっていたはずのインプ達の物言わぬ氷像となっている光景と地面に突き刺さるハルバードを地面から抜く女性が目に映る。

「ダゴォン!よくもやってくれたな!」

「う、嘘でしょ…なんでこのタイミングであいつが来るのよ!?」

「カハッ、ソ、ソーサラー…まさか…」

「ええ、来てくれたのね…」

ダゴンが怒り、アルプーラが驚愕する中、彼女の姿を横目で見ていたブレイブとソーサラーも反応する。

顔の上部を覆う兜に腰まで伸びた銀色の長髪、首には羽を広げた鳥のようなペンダントを下げ、背中には一対の銀翼を軽く羽ばたかせ、身体全体に白銀の鎧を身に纏い、その下には全身にピッタリと密着したスーツ、その中でも特に目立つのは鎧の付いてない胸部の真ん中の部分、普通の人間の両手では包みきれぬほどの爆乳を見せつけるかのように大きく開けているというかなり扇状的な姿をした女戦士は悪魔たち二人に交互に目をやることわずか数秒、目にも止まらぬ速度でダゴンの腹をハルバードで突き刺した。

「ゴハァ!貴様、よくも…」

「……後ろを見ながら戦う余裕はない、吹っ飛べ!」

「ナッ!ドワッ!」

「え?嘘!?キャア!」

「「「イプァ!?」」」

銀色の女戦士は突き刺したハルバードを力のまま振るい、ダゴンをアルプーラの元まで投げ飛ばし、当のアルプーラは自身より倍は重いダゴンを止めきれず生き残っていたインプを巻き込んで潰されてしまっていた。

「成程…聞いたとおりの……す、すごい力ダ、ゴォン………」

「賞賛してる場合かダゴン!てめぇよくもやってくれたなぁ!!『銀翼の勇妃』ィィィ!!!」

形勢を逆転され、その強さに感嘆したダゴンをどかしながら放たれたアルプーラの怒号に当の女戦士はそんな言葉など意に介さずといった感じでハルバードを悪魔たちに向ける。

「私には時間がない。だけどあなたたちぐらいなら容易く倒せる」

「あ?なめたこと抜かしてんじゃねぇぞこの野郎!インプ共!他の奴らの屍を越えてでも、奴を潰せぇぇ!!」

「「「「「イプァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」」」」」

その一声と共に先程の倍の数のインプたちがライブ会場の表口から現れ、アルプーラの声に従い、本能のままにその頭数のみを頼りに銀翼の勇妃に向けて襲いかかる。

「嘘…あのインプたちがまだこんなに…」

「アルプーラめ!まだこんなにインプたちを!」

「ダメだ。逃げろ!銀翼の勇妃ィ!」

「ッ!……………」

あまりのインプの大群にソーサラーにブレイブのコネクター内のフェニックス、そしてブレイブが後ろで叫ぶ中、女戦士は少し肩を振るわせながらもそれ以外は一向に動く気配を見せずにいた…が、

「おいおいおい!?シルバー!何ボーっとしてんだ!早く'あれ,をするんだよ!」

「…ッ!」

「シルバード!」

「あっ、ヤベぇ!」

その声と共に彼女の中から一羽の鳥のような精霊が姿を現し、彼女に喝を入れたと同時にスカーレットに気づかれ、慌てて彼女の中へと戻っていくと銀翼の勇妃はマナを鎧全体に巡らせ、唱える。

「アーマーブレイク!!」

その瞬間、身体全体を覆っていた鎧がまるで弾丸のように吹き飛び…

「「「「「イプアーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」」」」」

「イプゥ!?」「イプ、イプゥ!」「イプゥ…」「イプ…」

前へと吹き飛んだ元は鎧であった無数の破片はインプ達に勢いよく飛ばされ、当たった先からインプ達は倒れていき、残りのインプ達はその威力に驚き、萎縮してその勢いをなくしていった。

「クッ、大丈夫かソーサラー?」

「ええ。あの鎧の破片は私たちの所には飛んでいないみたい。それよりも彼女…」

「…ああ。まさか鎧を弾き飛ばすとはな。だけど鎧を纏っている時以上の力を感じる。あれが…本気を出した姿か…」

「そんな…バカな……」

その光景を見ていたアルプーラは愕然とその光景を眺めていた。

「何だその姿は…何なんだお前はァァァ!!!」

「………私は『シルバーガール』」

纏っていた鎧を脱ぎ捨て、そこに翼のような銀のティアラをつけた顔を晒し、放たなかれなかった鎧の一部を纏い、ピッタリと密着したスーツに覆われた肢体を見せつけるような姿となった女戦士は凛とした目を悪魔たちに向け、告げる。

「銀翼の勇妃!シルバーガール!!」

彼女が名乗ると同時に両翼が羽ばたき、銀色の光の粒子が羽のように舞う。

(ヤバい!この力は'リリエス様,にも迫るもの!)「ダゴン!」

「無論!こいつはここで仕留めるんダ、ゴォォォン!」

「インプ共!今度こそ奴を潰せぇぇぇぇ!」

「イプッ!……イプゥ。イープゥ!」「イープゥ!」「イププゥッ!」

「邪魔だインプ共!」

「「イプゥ!?」」

「ちょっと!?何やってるのダゴン!」

「今度は俺から行かせてもらうぞ!銀翼の勇妃ィィ!!」

「ッ!」

アルプーラの一声で再び本能のままに動き始めたインプ達を押しのけ、ダゴンがシルバーに腕の一本を叩きつける。だが彼女は後ろに下がりその一撃をかわす。

「そこダァ!」

「!しまった!?」

しかし、ダゴンが残りの腕をシルバーの首や身体に巻き付け、彼女の身動きを取れなくする。

「グフフフフ。絞め殺してやる」

「カハッ、グゥゥゥ」

ダゴンが腕の力を強め、呻きの声を上げながらも、シルバーは右翼を天に伸ばすように動かすのをアルプーラは見逃さなかった。

「何してるダゴン!早く翼を…」

「フォールンサンダー!」

「!?ギャアアアアア!!」

瞬間、シルバーが右翼を振り下ろすと翼から銀色の雷が放たれ、ダゴンに直撃した。

「ったくあいつは!インプ共!」

「「「イプーーー!!!」」」

「ッ!また次から次へと!ハァァァ!」

「「イプァァ!!!」」

先程の雷撃で緩んだ拘束を解いたシルバーに向かいインプ達が襲いかかったが彼女はハルバードを軽々と振るい、インプ達を薙ぎ払う。

「「イプーー!!」」

しかしインプ達はその勢いを止めぬままシルバーへと向かっていく。

「それなら!」

シルバーは左翼を大きく広げ、唱える。

「フリージングブリザード!」

「イプッ!?イp…」

そして左翼を羽ばたかせるとそこから極低音の冷気がインプ達に放たれ、残っていたインプ達はその全てが冷気にあてられ、瞬く間に綺麗な氷像と化していた。

「嘘…そんな、インプ達が…全滅……」

「これで残りはあなただけ…」

「させぬわァ!」

「ッ!?」

頼みの戦闘兵たちを無くし、茫然とするアルプーラに向かうシルバーに、まだ息があったダゴンが後ろから腕を叩きつけて、シルバーはギリギリでハルバードを盾がわりにして防いでいた。

「しぶとい悪魔ね!」

「まだ終わらぬ。終わらないのダ、ゴォォン!!」

「La~~」

「…歌?まさか!?」

シルバーがアルプーラの方を見ると彼女は隠し持っていたであろうマイクでインプ達を強くしていたあの歌を歌っており、ダゴンもそれにあてられ、破壊力の増した6本の腕を何度も振るい、シルバーも避けるだけで精一杯になっていた。

「シルバード!マナを全開にして!」

「OKシルバー!その姿の底力、見せてやれ!」

「何をごちゃごちゃと!殴殺される準備はできてるかぁ!」

「そっちこそ!氷漬けになれ!フリージングブリザード!」

「なんの!」

再び放たれた極低温の冷気に、ダゴンはインプ達のようにはならんと言わんばかりに4本の腕を盾にして防ぎ、全身の凍結は免れたが、腕はカチコチに凍ってしまっていた。

(かかった!)「これで!」

瞬間、シルバーはハルバードを凍ったダゴンの腕に叩きつけると、ハルバードの当たった先から凍ったダゴンの腕は砕け散り、粉々となった破片はガシャガシャと音を立て、地面に落ちていった。

「なっ!?グオオオっ!!俺の、俺の腕がァァァァァ!」

「どうしたの?今ので戦えなくなった?」

「ほざけぇぇぇ!!!」

シルバーの挑発を受け、ダゴンは怒りのままに残った2本の腕を力のままに振るうが、当の彼女はその全てを軽々避けながら翼を広げ、ダゴンの両腕の振り下ろしを避けるように後ろへと跳ねると翼を羽ばたかせ、そのまま低空飛行でダゴンから逃げるように飛んで行った。

「え?ちょっとシルバー!?」

「嘘だろアイツ!?どこに行くんだ!」

「ハァァ!?あの野郎!私たちを倒すって吐いてこのザマか!」

「こ…このやろう!絶対に逃がさないんダ、ゴーン!!」

自分たちの真上をシルバーに驚いたソーサラーとブレイブ、それとアルプーラをよそに敵の逃走にブチギレたダゴンが怒りのままに追いかけ始めた瞬間、

「逃げるわけ、ないでしょ!」

シルバーは急に旋回し、右脚にマナを巡らせながらダゴンの方へと向かってきていた。

「なぬっ!?」

「ハァァァァ!」

驚きのあまり、防御ができなかったダゴンの身体にマナのこもった蹴りが炸裂した。

「ガフアッ!」

「え!?あっ!嘘!ちょっ…」

その一撃は避けきれなかったアルプーラを巻き込み、二人を吹き飛ばしていた。

「今だシルバー!」

「ええ!これで決める!」

そう告げるとシルバーは一度身体を翼で包み、そこから風を起こすように身体を回転させながら空へと飛ぶと、ハルバードに雷と氷のマナを流し込み、悪魔たち2人にその穂先を向ける。

「銀翼の氷雷纏いし槍が、悪を滅する光となる!」

その言葉と同時に、銀色のマナを流したハルバードの穂先は雷を内包した鋭利な氷柱となり、シルバーはその槍を逆手に持ちながら振り上げる。

「くうっ!痛〜い!この野郎!よくも私に槍やらダゴンやら迷惑なもん送りつけてきやがっ………て?」

何度も彼女に翻弄され、怒りのままに起き上がったアルプーラが見たのは互いに互いの力を呑み込まんとするほどの氷と雷を纏い、必殺の聖槍と化したハルバードを今まさに2人に向けて投げようとする銀翼の勇妃の姿であった。

「え?嘘!?嫌!待って!やめて!!」

「貫け!『相剋せし銀氷雷(シルバリングデュアル)』!!!」

アルプーラが声を荒げるも時既に遅く、シルバーの放った聖槍は敵を貫かんとその勢いのままに2人へと向かっていく。

「ヒィッ!こ、こんなの受けてたまるものですか!」

「ダ…ゴ……身体が……」

死にたくない、その本能のままに聖槍の落ちてくるであろう場所から全速力で離れていくアルプーラとは逆に先程の蹴りが響き、身動きがうまく取れずにやっとの思いで立ち上がったダゴンの視線の先には今まさにシルバーの放った聖槍の穂先が映っていた。

「シマッ!?ドゥア!!ゴォォォォォン!!」

「なっ!?キャアアア!」

「グッ!」

「キャア!」

回避もできず身体を貫かれたダゴンは体内に膨大な雷と氷のマナを流し込まれて爆散し、アルプーラはその爆風に巻き込まれながらコンクリートの地面を転がり、ブレイブはソーサラーを抱き抱えながらグレンベルジュを地面に刺し、吹き飛ばされぬよう堪えていた。

「ガハッ!嘘、ダゴンが倒されたの…こんな化け物、私だけで勝てるわけないじゃない!」

地面を転がりながらも体勢を立て直したアルプーラはシルバーとのあまりの実力差を嘆きながら翼を広げ、シルバーの壊した結界の穴から飛んで逃げだした。

「アチャー、やっぱり逃走防止用の結界は壊すもんじゃないな」

「……ふぅ」

シルバードが精霊たちの貼った結界を壊したことに一応の後悔の言葉を発し、シルバーも大量のマナを使ったためか疲れたように息を吐きながら翼を羽ばたかせ、地面へと足をついていた。

「シルバード?ぼ…じゃなかった、私が変身してどのくらい経った?」

「6分30秒、そんな焦る時間でもないな。だから少しだけ…奴と話しをさせてくれ」

シルバードがそう言いながら睨んだ先にはブレイブのコネクターからは人間大のサイズになったスカーレットが出てきており、シルバードを親の仇のように睨み返していた。

「シルバード!…今日こそ聞かせてもらうわよ!何であなたが人間と手を組んでこんなことを!」

「おいおい、こいつは正義のために力を欲してた、だからアタシがこいつに力を貸している!それの何が悪い!」

「力を貸すですって?あの戦いで……私の兄を死なせたあなたが正義の味方にでもなったつもりなの?!」

「あ?一介の悪魔にすら勝てなかった雑魚どもに力を貸してるアタシらによくもんなことがほざけるもんだな、スカーレット!」

「シ…シルバード、喧嘩は…」

「ちょっと!スカーレット落ち着いて!」

2人の止まらぬ罵倒の応酬にシルバーは自身の精霊を、そしてソーサラーのコネクターからは彼女の精霊であるシルフィーが現れ、スカーレットを落ち着かせようとする。

「止めないでシルフィー!こんな奴とともに戦う気なんてない!」

「あ?んだとこの野郎!?こいつの頼みがなけりゃテメェらを見殺しにでも…」

「シルバード!!!」

「「ッ!?」」

スカーレットとの言い争いを激化させようとしたシルバードの耳元でシルバーが叫び、精霊たちの言い争いを止める。

「わ、悪いシルバー…アタシがこいつと話しをしようとしたばかりに…」

「……いいよ。こうなることはわかってたのに止めなかったのが悪いんだから…」

「………悪いな。話しはここまでだ」

「な!?待ちなさい!まだ話しは…」

シルバーに悲しそうな顔をさせてしまったことに、シルバードは後悔の表情を滲ませながら翼を羽ばたかせるとシルバーたちはブレイブたちの前から姿を消していた。

「あいつら…」

スカーレットは屈辱の表情でシルバードたちのいた場所を睨みつけていた。なぜならマナの扱いが慣れていないのか、荒い使い方をしているシルバーガールとは対照的にシルバードはマナの扱いに長けており、逃げる際にはマナの放出を限りなく抑えてしまうため、1度逃してしまえば悪魔たちとの戦いに介入する時まで、彼女たちは姿を現わさなくなるからである。

「スカーレット……」

彼女たちのいた場所を未だ睨みつけているスカーレットをシルフィーが心配そうな声で話しかける中、ダゴンから受けた傷を押さえながらもなんとかソーサラーと共に立ち上がったブレイブがコネクターからクリスタルを取り出し、変身を解いて灼堂烈火の姿に戻るとスカーレットの肩に手を置く。

「落ち着けスカーレット、あいつらは敵じゃないんだ」

「ッ!烈火に何がわかるの!」

「そんなのわかるわけないだろ!君があの鳥に怒りを持ってること以外はな」

「なっ!?」

あまりにもストレートに知らないと言われ、動揺を隠せなかったフェニックスの顔を見たシルフィーとソーサラーは互いに軽い笑みをこぼしていた。

「まぁ、スカーレットも私たちもこのことはあなたたちに話したことないからね」

「それにしてももうちょっと方便とか言えなかったの?」

「いや、こんなとこで嘘ついたって後に響くだけだぞ、ソーサラー?」

「それでもストレートに言い過ぎよ。それにもうソーサラーじゃなくて遥でいいわ。戦いも終わったからね」

そういうとソーサラーはクリスタルを取り出し、変身前の姿、咲森遥へと戻った。

「それでもさぁ。シルバーの契約している精霊がわかったんだし、後わかんないのは変身してるやつの正体だよなぁ」

「それは俺も気になっていたところだ」

「オレたち、ですよ。澄真さん」

「!澄真、颯!」

どうやらウィザードとウォリアーも目を覚ましたらしく、2人とも変身前の姿である群城澄真と紗夜切颯に戻っており、烈火たちに声をかけてきていた。

「ふーん…このタイミングでその話に移れるってことは起きたのはついさっきじゃないんでしょ?」

「ウッ!そ、それは…」

「……気づいてたか…」

しかし遥には気絶したふりをしていたことを見抜かれており、それを指摘された2人は互いに口篭ってしまった。

「なんだ2人とも?大分前に起きてたのか?」

「そ、そうッスね。スカーレットとあの銀色の鳥?が言い争ってる時に2人揃って…」

「それで余計な口は挟まないようにって2人とも狸寝入りしてましたぁ」

「わうわうっ!」

ウィザードとウォリアーの契約精霊であるマーメイドとフェンリルもコネクターから現れていた。

「でもますます不思議ですよねぇ。犬猿の仲のあなたに力を貸すような真似をするなんてぇ」

「た、確かに…」

マーメイドがスカーレットに疑問を投げ掛け、当の彼女は納得の一言のみを口にする。

「えぇ、それは私も気になるわ…もしかしたら変身者は私たちの知り合いかも…」

その疑問に遥が自信がないながらも1つの答えを出す。

「シルバード自身も契約者のために戦うみたいなことを言ってたわよね?」

「だとしてもその結論は早くないか?俺たちのファンみたいな奴が変身したって可能性もあるだろ」

「…いえ、それに関しては否定するわ。いくらあいつでもそんな理由で人を死地には送らないと思うわ。そんなことをするぐらいなら自分が動く、って奴だったから…」

颯の出した可能性をスカーレットが否定する。

「そうか、どうやら余計なことを言ったみたいだな」

「いえ、そう判断するのは仕方ないわ。あなたたちにシルバードとのことを話すのは初めてだから」

「となるとだ、彼女の正体は俺たちの知り合いの女性の誰かになるわけだが、それも…デカい奴か」

そう澄真が呟くと彼を含む男性陣は全員顔を赤らめながらそっぽを向き、それに気づいて彼女には到底敵わない胸部を見た遥とフェンリル以外の精霊たちは怒りと呆れが半々の顔を3人にむけていた。

「おい、あいつの第一印象は胸だけか?」

「「いや俺たち顔見てない」」

「……それもそうだった」

「…………」

遥が2人の言い分に納得する中、烈火のみは何かを思い出したかのように顔に手を当てていた。

「ってあんたら2人はともかく!…?どうしたの烈火?」

「…いや、初めてあいつの顔を見たときな、子供の頃を思い出したんだよ」

「子供の頃?」

「あぁ、そん時に亡くなった母の面影、っていうのがあいつに見えちまってな」

「烈火、あなた眼科行ってきなさい」

「私も遥に同意するわ。烈火、あなたに妹はいない。いるのは息吹っていう名の弟でしょ」

「遥!?それにシルフィーも!いや、俺は本当にそう見えたんだ!なぁスカーレット?お前も見てただろ」

「え、私?私だってあなたのお母さんには会えたことないから…」

「そんな~」

「それに彼なら今ごろ大人しく家で授業を受けているわ、だって彼は……」

「……あぁ、あいつは…子供の時から外に出れない身体だからな…」

 

住宅街から少し離れた所に灼堂の二文字の彫られた表札のつけられた一軒家が建っていた。

この家には2人の兄弟が義母とともに暮らしていることともう一つ、一定の力を持たない精霊、そしてマナを通さず、そしてその精霊たちのマナを極限まで弱める結界が貼られているという特徴がある。

その理由はたった1つ、人間界に常駐し始めた精霊たちが発することで空気中に漂うようになった人の目には見えない力、マナに触れるだけでアレルギーに近い症状を引き起こし、場合によっては命を落としかけた'彼,のために作られた家だからである。

その家に近づく影が1つあった、先ほど彼らの前から姿を消したシルバーガールである。

人目につかぬ場所をマナを極力抑えながら飛んだためか人にも精霊にも見つからずに、開いている窓から家の中に入り込んだシルバーはペンダントの羽部分を閉じると彼女の精霊であるシルバードは先ほどの姿とはかけ離れた手鞠のように小さなフクロウのような姿で分離した。

「ふぅ…お疲れさん、授業は間に合うか、息吹?」

「…うん、まだ休み時間の途中だよ、シルバード」

シルバードの問いに彼女は…いや、彼は淡々と答える。

彼の名は灼堂息吹、レッドブレイブこと灼堂烈火の弟であり、幼少期からマナの満ちた外には出ることのできないはずの青年はフクロウの姿のシルバードを肩に乗せ、次の授業が始まる前に授業道具と通信用のPCのある自室へと向かっていった。

 

「……へぇ、あの子がシルバーガール…」

その様子を外から覗く影が1つ、

「ほんと、アルプーラとダゴンには感謝しかないわ。彼らの残ったマナを辿ってみればまさか彼がシルバーガールだったなんてね」

狙いを定めた獲物を観察する捕食者のような鋭さと愛玩動物を見る少女のような愛おしさを合わせたような視線を向け、服の上から形を主張するほどの巨乳を携えた女性は一見人間の姿格好をしながらも頭にはヤギのように捻じ曲がった角が生え、臀部からは先端が鏃のような尻尾が生えた女悪魔であった。そんな彼女が舌なめずりをしながら自身の下腹部に眼を向けるとそこには女性にはついているはずのない男の'ソレ,が彼女のズボンを盛り上げるほどに怒張し、彼女の今の欲望をこれでもかと主張していた。

「ふふ、あの銀翼の勇妃を犯すと思っただけで勃っちゃった❤️でもまだその時じゃない、もう少し…手を打たないと…」

そう言うと彼女のポケットの中の端末がブルブルと震動する。

「電話ってやつね、えーと、ここを押すんだったかしら?」

取り出した端末を使い慣れてないのか彼女は操作を少し迷いながら相手と連絡を取り始める。

『ハアッハアッ、も、申し訳ありません、'リリエス様,。あなた様以外の者を人間界に入れることができずにダゴンという貴重な戦力を失いました』

「あら?私が人間界に入れたと言うだけでいい成果じゃない?それにあなた達のおかげでシルバーガールの正体が分かったわ」

『ほ、本当ですか!?』

「えぇ、詳しい話は私の隠れ家で」

『わ、わかりました!』

その言葉を最後に連絡が切れた携帯をしまったリリエスが指を軽くならし、自身の後ろに黒い穴を開ける。

「シルバーガール…次に会う時は立派な性奴隷にしてあげるから」

「ッ!?」

「ウオッ!どうした息吹!?」

「い、いや…何でもないよ……大丈夫」

この時、別れの言葉を言いながら穴へと入ったリリエスの怪しげな気配に反応できたのは息吹だけであった。




ここまではプロローグ、ヒロインのかっこよさを見せるところです。
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