※この作品はR-18です。

カルデアサーヴァントの秘密の異種姦   作:神魂

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第2話

バイコーンの5人に対する評価(まとめ)

 

バイコーンが5人それぞれに対して下した評価は以下の通りだ。

これは彼の歪んだ価値観によるものだが、                                

彼なりにそれぞれの個性を理解し、楽しんでいる証拠でもある。                                                

 

【フローレンス・ナイチンゲール】(評価: 4/5)

初期からの存在としての思い入れが強い。特にスタイルの良い体型とIカップの巨乳はバイコーンの好物。

元看護師としての知識を活かした「検診プレイ」は初期からのお気に入り。異空間に専用の「検診室」を作ることも検討中。

彼女の献身的な性格を利用して、医療行為のような羞恥プレイを楽しむことが多い。

 

【マタ・ハリ】(評価: 5/5)

全員の中でトップクラスの評価。Jカップのグラマラスな肢体と愛らしい顔立ちが魅力。

元娼婦の経験から性的な事に関する順応性が高く、バイコーンの要求を察するのが得意。5人の中で最も多く呼び出される。

ロマンチックなデート擬似プレイも好む。異空間での庭園散歩では「まるでデートね♡」と甘える一面も。

 

【源頼光】(評価: 4.5/5)

Lカップの爆乳がバイコーンのお気に入りポイント。5人中で最も感度が良い体質。

豊満な胸に顔を埋めるのが最近の楽しみ。紫式部との3Pではコンビを組むことが多い。

過去の関係性や責任感から常識的な面を持つが、バイコーンの支配下では素直に従う。

 

【フランシス・ドレイク】(評価: 4.8/5)

海賊らしい豪胆さとKカップの巨大な胸が特徴。バイコーンにとって最高レベルの性交相手。

高い締め付け力により大量射精が可能。射精後の残滓を胸に擦り付けるのが習慣化。

下品な喘ぎ声をバイコーンは独特の魅力と捉えている。

                                                                             【紫式部】(評価: 3.8/5 ※将来性含む)

控えめな性格とMカップという驚異的な爆乳のギャップが魅力。頼光同様に高身長のダイナマイトボディ。

膣内が狭く最初は苦労させられた為スローセックスが必要だが、熟すことで激しいプレイが期待できる。

 

 

【バイコーンとマタ・ハリの異空間デート】

 

 

「あら?」

 

マタ・ハリは予想外の展開に戸惑った。

いつもなら即座に性行為が始まるはずが、

バイコーンは彼女を背中に乗せ、ゆったりと歩き始めたのだ。

 

「ねぇバイコーン君♡今日はどういう気分なの?」

 

バイコーンは短く嘶いただけで答えず、代わりに庭園へと続く小道を進んだ。

周囲には色とりどりの花々が咲き乱れ、甘い香りが漂っていた。

 

「まぁ素敵!こんな場所が……」

 

マタ・ハリは思わず声を上げた。

バイコーンは時折振り返り、彼女の反応を確かめるように瞳を向ける。

その紫色の瞳には好奇心と優しさが宿っていた。

 

小川のほとりに差し掛かると、バイコーンは足を止めた。

澄んだ水が陽光を反射し、まるで宝石のように輝いている。

 

「まるで宝石箱みたいね♡」

 

マタ・ハリは嬉しそうに水面を覗き込んだ。

バイコーンはその様子を眺めながら、珍しく穏やかな表情を浮かべていた。

 

「ふふ、バイコーン君ったら私のためにこんな素敵な場所を用意してくれたのね」

 

マタ・ハリはバイコーンの首筋に手を回し、優しく撫でた。

 

「でも、何だか妙な気分だわ。まるで本当にデートしてるみたい」

 

彼女の頬がほんのり赤く染まる。

それは娼婦として数多の男を魅了してきたマタ・ハリにとって初めての感情だった。

 

バイコーンは突然方向を変え、林の中へと進んだ。

やがて目の前に美しい湖が現れる。

波一つない水面には空の青と雲の白が映り込んでいた。

 

「すごい……なんて美しい景色なの……」

 

マタ・ハリは息を呑んだ。

バイコーンは彼女を地面に降ろし、そっと背中を押した。

 

「あら?ここで降りてって言うの?」

 

バイコーンは頷くと湖畔へと促す。

二人は並んで湖畔の岩に腰掛けた。

バイコーンの巨体とマタ・ハリの豊満な体が触れ合う距離だ。

 

「ねぇバイコーン君……もしかして私を口説こうとしてるの?」

 

マタ・ハリの問いにバイコーンは答えなかった。

代わりに彼女の髪を鼻先で梳きながら、優しく頬に触れた。

 

「ふふ……あなたは本当に面白い子ね」

 

マタ・ハリの胸に温かい感情が芽生えた。

バイコーンの意外な一面を知るたび、彼女の中で何かが変わりつつあった。

 

夕暮れ時、バイコーンは再びマタ・ハリを背中に乗せた。

向かう先は異空間内に佇む古風な洋館だ。

 

「ここは……」

 

マタ・ハリは息を呑んだ。

館内は豪華でありながらも落ち着いた雰囲気で、壁には精緻な彫刻が施されている。

 

バイコーンは二階の一番大きな部屋へと向かった。

そこには天蓋付きのベッドと、柔らかな灯りに照らされたアンティーク家具が並んでいた。

 

「わぁ……まるでお城のお姫様になったみたい」

 

マタ・ハリは興奮気味に部屋を見回した。

バイコーンは彼女をベッドへと導き、そっと寝かせた。

 

「バイコーン君……」

 

マタ・ハリは期待と緊張が入り混じった表情でバイコーンを見上げた。

バイコーンはゆっくりと彼女の上に覆いかぶさる。

 

「ふふ……今日のデートでちょっとだけあなたのこと好きになっちゃったかも♡」

 

マタ・ハリは照れくさそうに言いながらも、バイコーンの首に腕を回した。

 

バイコーンの大きな前足がマタ・ハリの体を優しく撫でる。

乳房を包み込むように掴むと、柔らかな感触を堪能するかのように揉みほぐしていく。

 

「あぁん♡そこ気持ちいいわ……」

 

マタ・ハリの声が甘く溶けていく。

バイコーンは彼女の反応を注意深く観察しながら、次の手を打とうとしていた。

 

バイコーンの口がマタ・ハリの首筋に迫る。

ゆっくりと舌を這わせ、その滑らかな肌の感触を味わう。

 

「やん♡くすぐったい」

 

マタ・ハリは身をよじるが、バイコーンは構わず続けた。

今度は彼女の乳房に顔を埋め、その柔らかさを存分に楽しんでいる。

 

「もう……せっかちな王子様ね」

 

マタ・ハリは呆れたように笑いながらも、バイコーンの首筋を優しく撫でた。

バイコーンの行動は徐々に大胆になっていく。

彼の太い尾がマタ・ハリの脚の間に滑り込み、秘所をそっと撫でる。

 

「あぁ……ダメよそんなところ……」

 

マタ・ハリは抗議の声を上げるが、それは本心ではない。

彼女の中にも確かな欲望が渦巻いていた。

 

バイコーンはようやく彼女の唇を奪った。

長い舌を器用に使い、マタ・ハリの口腔内を蹂躙していく。

 

「んんっ……!」

 

マタ・ハリは目を閉じてそれを受け入れた。

バイコーンの野性的な求め方が彼女を夢中にさせていく。

 

バイコーンの巨大なペニスがマタ・ハリの股間に押し当てられた。

 

「あぁ……来るのね」

 

マタ・ハリは期待に満ちた目でバイコーンを見つめた。

バイコーンは彼女の返事を待たずにゆっくりと侵入を開始する。

 

「あぁん♡」

 

マタ・ハリの体が弓なりに反る。

バイコーンの巨根が彼女の奥深くまで到達すると、マタ・ハリは恍惚の表情を浮かべた。

 

バイコーンはマタ・ハリの反応を見ながら緩やかに腰を動かし始めた。

彼女の最も感じるポイントを探るように角度を変えながら抽送を繰り返す。

 

「あぁ……そこ……もっとぉ……」

 

マタ・ハリの声が切羽詰まっていく。

バイコーンは彼女のリクエストに応えるように動きを加速させていく。

 

バイコーンの前足がマタ・ハリの乳房を包み込む。

柔らかな膨らみを揉みしだきながら、激しい抽送を続ける。

 

「あぁん!もうダメぇ!」

 

マタ・ハリの絶頂が近づいてきた。

バイコーンもそれに合わせるようにピストン運動を早めていく。

 

「ああぁっ!」

 

マタ・ハリが背中を反らせて達した瞬間、バイコーンも彼女の最奥に熱い飛沫を放った。

二人の結合部から白濁液が溢れ出す。

 

「はぁ……はぁ……」

 

マタ・ハリは放心状態でベッドに沈み込んだ。

バイコーンはそんな彼女にそっと覆いかぶさり、頬に優しく舌を這わせた。

 

「もう……あなたったら本当に意地悪なんだから♡」

 

マタ・ハリはバイコーンの首筋に顔を埋めながら囁いた。

バイコーンは満足げな表情を浮かべながら彼女を抱きしめる。

窓から差し込む月明かりが二人の影を部屋中に投げかけていた。

バイコーンとマタ・ハリの特別な夜はまだ終わらない……。

 

------

 

バイコーンとの異空間デートから翌日、マタ・ハリは上機嫌で他のメンバーに報告していた。

バイコーンの創った異空間内にある屋敷の中央テーブルに集まった4人の女性たちは、彼女の話を食い入るように聞いていた。

 

「──でね?あのバイコーン君たら、私を馬車に乗せるみたいに背中に乗せて、花畑や湖畔まで連れて行ってくれたのよ♡」

 

マタ・ハリは紅茶を優雅に啜りながら微笑む。

その表情は普段の娼婦然とした挑発的なものとは違い、どこか少女のような無邪気ささえ感じさせた。

 

「ほう……馬車ね」

ドレイクが感心したように腕を組む。

「アイツ、意外とロマンチストな面もあるじゃないか」

 

「ロマンチストというよりは……」

ナイチンゲールが冷静に口を開いた。

「一種の優位性の演出かもしれません。非日常的な環境で相手を魅了することで、自分との関係性を特別なものだと印象付ける心理的な策略とも考えられます」

 

「まあまあ。ナイチンゲールさん」

頼光が苦笑いしながら宥める。

「マタ・ハリさんが楽しそうならそれでいいじゃないですか」

 

「でも……」

紫式部がメモ帳を取り出しながら興味深そうに尋ねる。

「そんなお伽噺のような場所で過ごしたのですね。具体的にはどんな光景だったのでしょう?」

 

マタ・ハリの瞳が輝く。

「それはもう!見たこともない虹色の花が咲いていてね……夕焼けが水面に映って……まるで絵画の中を旅しているようだったわ」

 

彼女は目を閉じ、昨日の光景を反芻するように回想する。

その横顔に一瞬浮かんだ幸福そうな表情を、4人は見逃さなかった。

 

「そこでね……」

マタ・ハリの声が僅かにトーンダウンする。

「普段の彼からは想像できないくらい丁寧に扱ってくれたの。私を壊れ物みたいに大事にして……」

 

「おやおや」

ドレイクがニヤリと笑う。

「アイツのことだから最後はやっぱりアレだろう?」

 

「ええ。もちろん♡」

マタ・ハリは艶やかに笑みを深める。

「でもその時は全然違う感じだったの。いつもの乱暴さは全くなくて……本当に愛されてるみたいな……」

 

頼光が思わず顔を赤らめる。

「そ、それは……」

 

「恥ずかしがることないわよ頼光ちゃん」

マタ・ハリは優しく諭すように言った。

「私も最初は驚いたけど……あんなバイコーン君は初めて見たわ」

 

ナイチンゲールが手元のタブレットを操作しながら発言する。

「興味深いデータですね。同一人物(?)であっても状況によって行動パターンが劇的に変化する……これは将来的な犯罪者の矯正プログラムにも応用できるかもしれません」

 

「相変わらず難しいこと考えてるな〜」

ドレイクが呆れたように肩を竦める。

「要するにアイツ、マタ・ハリにメロメロってわけだろ?」

 

「ふふ……どうかしら?」

マタ・ハリは曖昧に微笑む。

「少なくとも昨日の彼は……すごく紳士的だったわ」

 

紫式部がペンを走らせながら呟く。

「まるで騎士と姫の物語のようです……バイコーンさんにもそういう一面があるんですね」

 

頼光が恐る恐る口を開く。

「でも……それってつまり……彼は他の私達にはしていないことをマタ・ハリさんにはしてるってことですよね?」

 

マタ・ハリは少し困ったように首を傾げる。

「そうなるわね。どうしよう……妬けちゃう?」

 

「え!?いや……別に……!」

頼光は慌てて否定するが、その頬は微かに紅潮していた。

 

「冗談よ♪」

マタ・ハリは笑う。

「でも確かに……少しだけ特別扱いされてるかもしれないわね」

 

その言葉に場の空気が僅かに張り詰める。

バイコーンが5人の中で特にマタ・ハリを重視しているという事実が明らかになったからだ。

 

「ま、仕方ないさ」

ドレイクが豪快に笑う。

「元娼婦って肩書きの割に意外と純情そうなとこがあるからな。アイツもそこに惹かれたんじゃないのか?」

 

「そういう単純な話でしょうか……」

ナイチンゲールが普段と同じ様に冷静に言う。

「あるいは単に彼女の順応性と適応能力の高さを評価しているのかもしれません。我々の中でも最もバイコーンさんとのコミュニケーション能力が高いのは間違いありません」

 

「そうですね」

紫式部が同意する。

「バイコーンさんの要求を一番理解して動けるのはマタ・ハリさんですから……」

 

マタ・ハリは少し寂しげに微笑む。

「そうね……私にはそれを仕事にしてきた過去があるから。でも……昨日の彼は違ったの」

 

「え?」

4人が同時に聞き返す。

 

「普通の男の人と恋人同士みたいな……」

マタ・ハリは恥ずかしそうに視線を落とす。

「そんな錯覚を覚えるほど……大切に扱われたわ」

 

部屋にしばしの沈黙が流れる。

バイコーンという支配者であり怪物である存在が、一人の女性に対して示した異例の接し方に皆が衝撃を受けていた。

 

「……凄いことですね」

頼光が静かに呟く。

「私たちのような立場の人間を相手に、そんな配慮ができるなんて」

「さあ……」

マタ・ハリは立ち上がりながら言った。

「それが本当の彼なのかは分からないけど……少なくとも私にとっては宝物のような時間だったわ……」

 

「じゃあみんな、今日も楽しませてもらいましょう♡」

そう言ってマタ・ハリは再び妖艶な笑みを浮かべた。

それはいつも通りの娼婦の顔だったが、その裏に昨夜の思い出が隠されていることを皆が感じ取っていた。

 

バイコーンの不在時に交わされたこの会話は、彼女たちの中に複雑な感情を芽生えさせた。

特に頼光の胸に一抹の嫉妬心が生まれたことが、今後の展開に微かな影響を与えることになる。

 

---

後日、カルデアの任務でマスターと他のサーヴァント達と共に任務にあたるマタ・ハリ。

しかし、任務先で敵エネミーと戦闘になる。

マタ・ハリはサポート型のサーヴァントな為、後ろに下がっていたが、倒し損ねた敵エネミーの攻撃がマタ・ハリに向かう。

マタ・ハリは咄嗟に応戦するが相性の関係で不利。

敵エネミーにやられそうになったその時、突如サーヴァントの召喚の様な魔法陣が現れ、そこからバイコーンが現れる。

バイコーンはマタ・ハリに危害を加えようとした敵エネミーに激怒し、瞬殺する。

その光景にマスターと他サーヴァント達は唖然とする。

---

 

マタ・ハリは咄嗟に後退しようとしたが、すでに遅かった。

鋭い爪が彼女の豊満な体へと迫る。

 

「危ない!」

マシュが盾を構えて駆け寄ろうとするが距離がありすぎる。

「くっ……!」

マタ・ハリは諦めの表情で目を閉じた――その瞬間だった。

 

轟音と共に、彼女の前方で爆発が起こった。

 

「……え?」

 

煙が晴れると、そこには信じられない光景が広がっていた。

 

漆黒の魔法陣から突如出現した巨大な幻獣――バイコーンが、爪を立てたまま凍りついたような姿勢で立っていた。

そしてその蹄の下には……完全に粉砕された敵エネミーの残骸。

 

「グゥゥゥ……」

バイコーンの喉から低く唸るような声が漏れる。紫の瞳は怒りに燃え、全身の毛が逆立っている。

 

「な……なんなのよあれ……!」

清姫が怯えた声を上げる。

「バイコーン……?いや、ユニコーンのような角が二本……?見たこともない形状だ」

ジキルも困惑の表情を浮かべていた。

マスターは目を見開いたまま震えていた。

「まさか……あれが噂の……」

バイコーンは周囲に目もくれず、マタ・ハリに向かってゆっくりと近づいていく。

その動きは優雅でありながら、どこか不気味な威圧感を放っていた。

 

「バイコーン君……?」

マタ・ハリは呆然と呟く。

バイコーンは彼女の前で膝をつき、まるで騎士が主に忠誠を誓うように頭を垂れた。

その紫色の瞳には、先ほどまでの凶暴さとは異なる深い感情が宿っている。

 

「グオッ!」

バイコーンは短く嘶くと、その巨体を翻して他の敵エネミーへと突進していった。

蹄が大地を叩くたびに衝撃波が走り、触れるものは全て粉砕されていく。

 

「すごい……一体何者なの?」

ジャンヌ・オルタも思わず声を漏らす。

「あの力……並みの英霊どころじゃないぞ」

ヴォルフガングも警戒を露わにする。

「まさか……!」

マシュが何かに気づいたように叫ぶ。

「バーサーカーのクラスに匹敵する戦闘力……!」

 

バイコーンはあっという間に残りの敵を殲滅すると、再びマタ・ハリの元へと戻ってきた。

その雄々しい姿と強烈な力強さに、他のサーヴァントたちも呆然とするしかない。

 

「マスター」

アルトリア・ペンドラゴンが真剣な眼差しで告げる。

「あの存在は我々にとって脅威となる可能性があります。即時の排除を提案します」

 

「ちょ、ちょっと待って」

マスターが慌てて制止する。

「でもマタ・ハリを助けたんだし……」

 

その時、バイコーンは低く唸りながらマタ・ハリの身体に鼻を押し付けた。

その仕草はまるで愛しい人を探す獣のようだった。

 

「バイコーン君……」

マタ・ハリは頬を赤らめながらも、どこか困惑した表情でバイコーンを見つめる。

 

「……何よあれは?」

清姫が眉をひそめる。

「あの獣、まるでマタ・ハリを恋人みたいに扱ってるじゃない!」

 

「信じられない……」

ジャンヌ・オルタも戸惑いを隠せない。

「マタ・ハリ……あなた一体……?」

 

マタ・ハリは恥ずかしそうに目を伏せる。

バイコーンの存在と彼の異常な愛情は、これまで秘密にしていた事実を暴露してしまうかもしれない恐怖と安堵が入り混じっていた。

 

バイコーンはふと頭を上げると、その紫の瞳で他のサーヴァントたちを睨みつけた。

その眼光には明らかな敵意と独占欲が滲んでいる。

 

「グォォ!」

低く威嚇するような鳴き声に、場の空気が一層張り詰める。

 

「やはり危険だ」

アルトリアが剣を抜きかける。

「待って!」マタ・ハリが必死に制す。

「彼は私が制御できます……今は!」

 

「制御?どういう意味です?」

アルトリアの声に疑念が混じる。

 

バイコーンはマタ・ハリの腰に前足を置き、まるで守るように密着している。

その仕草は主人への忠誠と言うよりも、寵愛する女性を守る獣の本能のようだった。

 

「とにかく……」

マスターが決断する。

「この件は一旦保留にしよう。でもマタ・ハリ、あの獣について後で詳しく教えてほしい」

 

マタ・ハリは苦い表情で頷くしかなかった。

バイコーンの登場は、彼女たちの秘密を白日の下に晒すきっかけとなってしまったのだ。

 

周囲のサーヴァントたちの視線が痛い。

清姫は明らかに憎悪の炎を燃やしており、ジャンヌ・オルタは軽蔑するような目で見ていた。

アルトリアは冷静な分析眼でバイコーンを観察し続けており、ジキルはただ茫然自失としている。

 

マタ・ハリはバイコーンの首筋に手を置きながら、小声で囁く。

「バイコーン君……こんな場所に来てはダメよ」

 

バイコーンは短く唸るだけで返答しない。

その代わりに、マタ・ハリの匂いを嗅ぐように鼻を擦り寄せた。

 

その親密な光景に、さらに場の空気が冷たくなる。

 

「何てこと……」

マシュの声がかすれる。

「サーヴァントと幻獣が……そんな関係に……?」

 

「信じられません」

アルトリアが真面目な顔で言う。

「英霊と異形の生物が……」

 

マタ・ハリは頬を赤らめながらも毅然とした態度を崩さない。

「彼は私の……大切なパートナーなの」

 

その言葉にバイコーンは満足げに嘶き、マタ・ハリの身体にさらに密着する。

他のサーヴァントたちの視線はますます厳しいものとなっていった。

 

「これは大問題だ」

マスターが頭を抱える。

「このままだとカルデア全体に報告しなければならない」

 

マタ・ハリは焦りを隠せない。

「お願い……今回は許して」

 

バイコーンは突如身を乗り出し、マタ・ハリの唇にそっと鼻先を触れた。

それはまるで恋人同士のキスのようだった。

 

「……っ!」

清姫が嫌悪感を露わにする。

「恥知らずな……」

ジャンヌ・オルタの声に軽蔑の色が濃くなる。

 

マタ・ハリはすぐに身を引こうとしたが、バイコーンの前脚が優しく彼女の体を支える。

「だめ……みんな見てるわ……」

しかしバイコーンは構わず、その巨体でマタ・ハリを包み込もうとする。

 

「何なんだこれは……」

ジキルが呆然と呟く。

「まるで痴話喧嘩を見ているようだ」

 

マスターは混乱した表情で一同を見回す。

「とりあえず……バイコーンについてはカルデアに戻ってから正式に対応を考えよう。今は現場の復旧が先決だ」

 

「了解しました」

アルトリアが礼儀正しく応じるが、その瞳には未だ警戒の色が残っている。

 

バイコーンはマタ・ハリから離れようとせず、常に彼女の傍に控えている。

その姿はまるで主人を守る忠実な番犬のようでもあり、愛しい者を離さない獣のようでもあった。

 

周囲のサーヴァントたちの視線は冷ややかだが、バイコーンは全く意に介さない。

むしろ堂々とマタ・ハリに寄り添い続けている。

 

「お願い……今はやめて」

マタ・ハリは懇願するような目でバイコーンを見上げる。

バイコーンは理解しているのかいないのか、ただ低く唸って彼女の肩に額を擦りつけた。

 

その光景を見ていた清姫が忌々しげに吐き捨てる。

「ふんっ……獣と仲良くしてる暇があるなら、サーヴァントとしての役目を果たしたらどうですか」

 

ジャンヌ・オルタも冷笑を浮かべる。

「まったく……堕落したものね。そんな汚らわしい生き物と……」

 

マタ・ハリは悔しそうに唇を噛む。

バイコーンとの関係が公然となった今、彼女に向けられる視線は厳しいものとなった。

 

「すまない」

ジキルが申し訳なさそうに言う。

「マタ・ハリ……僕としては……君を理解したいけれど……」

 

マタ・ハリは俯いたまま小さく首を振る。

「いいの……気にしないで」

 

バイコーンはそんな周囲の空気など関係ないとばかりに、マタ・ハリの身体に何度も鼻を擦り付ける。

その仕草は甘えているようにも見える。

 

「まるで……」

マシュが小声で呟く。

「恋に落ちた少女のように見えます」

 

その言葉に清姫が皮肉っぽく笑う。

「そうよ。あの女、獣に恋をしてるんだわ」

 

バイコーンは突然身を起こし、清姫の方へ向き直ると低い唸り声をあげた。

その目には怒りと警告の色が浮かんでいる。

 

「なによ!」

清姫が強気に睨み返す。

「お前こそ何様のつもりよ」

 

場の緊張感が高まる。

 

バイコーンは清姫の挑発的な言葉に反応し、低く唸り声を上げながら数歩踏み出した。

その紫の瞳は怒りで燃えているようだった。

 

「止めなさい!」

アルトリアが剣の柄に手をかけながら厳しく命じる。

 

「ハッ!」

清姫は嘲笑うように首を傾げる。

「サーヴァントでもない獣ごときが私に牙を剥くの?」

 

バイコーンの蹄が大地を叩く。その一撃で周囲の地面が揺れ、小さな亀裂が走った。

 

「清姫!挑発するのは止めて!」

マスターが懸命に仲裁に入る。

 

しかし清姫は聞く耳を持たない。

むしろバイコーンを煽るように手招きする。

「来なさいよ獣。その力、試してあげましょうか?」

 

バイコーンの体毛が逆立ち、口元から白い息が漏れる。

明らかに臨戦態勢に入っていた。

 

「二人とも……やめて」

マタ・ハリが震える声で訴える。

 

バイコーンはマタ・ハリの言葉に僅かに躊躇を見せたが、それでも清姫への敵意は消えない。

 

『オレのコトはイイ……ダガ、カノジョをブジョクするコトはユルサン』

 

この場にいる者全員の頭の中に言葉が聞こえてきた。

バイコーンの思考が直接伝わってきたのだ。

 

「何!?」

「テレパシーか!?」

「そんな能力まで持っているのか!」

 

場にいる全員が驚愕の表情を浮かべる。

 

「……!?バイコーン君、貴方……言葉を……」

 

清姫は怯まずに言い返す。

「侮辱?本当の事でしょ!マタ・ハリをあんな淫らな女に変えたのも貴方のせいよ!」

 

バイコーンは一瞬動きを止めた。

マタ・ハリが以前とは違うことは認めざるを得ない事実だった。

 

マタ・ハリは顔を両手で覆う。

「お願い……もうやめて……」

 

しかし事態は収束する気配がない。

バイコーンは清姫への怒りを募らせていき、ついに咆哮とともに跳躍しようとしたその時――

 

「止まれ!!」

マスターの命令が響き渡る。

 

バイコーンの動きが停止した。

サーヴァントに対する絶対命令権が、半ばサーヴァントであるバイコーンにも適用されたのだ。

 

「清姫もだ!武器を収めろ!」

清姫は歯ぎしりしながらも命令に従った。

 

「マタ・ハリ……」

マスターが疲れた声で言う。

「君とその……バイコーン?に関しては後で話を聞かせてもらうよ」

バイコーンは不服そうに唸るが、マスターの命令には逆らえないようだった。

その姿を見て清姫は勝ち誇ったように笑う。

 

「マスターよりもわたくしの方が強いのにね。まあいいわ。今日はこの辺にしておいてあげる」

 

バイコーンは悔しそうに首を振りながらもマタ・ハリの傍に戻った。

そして優しく彼女の頬に鼻を押し当てる。

 

「スマナイ……オレガ来タセイデ……」

バイコーンの謝罪の言葉が再び皆の頭に響く。

 

マタ・ハリは涙ぐみながら首を振る。

「いいの……ありがとう」

 

場の空気は依然として重い。

サーヴァントたちの多くは不信感と嫌悪感を隠そうともせず、バイコーンとマタ・ハリを見つめている。

 

「今回の件はマスター・藤丸を通して正式に報告されます」

アルトリアが冷静に告げる。

「承知しています」

マタ・ハリは俯いたまま答える。

 

バイコーンはマタ・ハリを守るように前に出て、他のサーヴァントたちを威嚇するように鼻息を荒くする。

 

「本当に……君は何者なんだ」

ジキルが困惑した表情で問いかける。

 

バイコーンは答えず、ただ低く唸るだけだった。

その目には謎めいた光が宿っている。

 

「では撤収しましょう」

アルトリアが促す。

「今回の戦闘記録とバイコーンに関する情報は全てカルデアに提出されます」

 

バイコーンはマタ・ハリの身体に寄り添いながら、サーヴァントたちを一瞥して再び低く唸った。

その声には不満と警戒が入り混じっている。

 

一行は重苦しい空気の中、撤収準備を始める。

バイコーンは常にマタ・ハリの傍に寄り添い続け、その姿はまるで飼い主を守る忠実な番犬のようだった。

 

マタ・ハリは顔を伏せたまま歩いている。

周囲からの非難の視線を一身に受けながら、彼女の心中は複雑な思いで渦巻いていた。

 

バイコーンはそんな彼女の心情を察したのか、優しく鼻先で彼女の顔を上向かせると、慰めるように頬を舐めた。

 

「……ありがとう」

マタ・ハリは弱々しく微笑む。

 

この一件以来、カルデアにおけるマタ・ハリの立場はかなり低いものとなってしまった。

 

 

バイコーンの事件から翌日、マタ・ハリは緊急の呼び出しを受けた。

医務室の一角にある聴取室に入ると、ダ・ヴィンチちゃんが厳しい表情で待っていた。

 

「マタ・ハリ、事の次第を説明してもらおうか」

 

「はい……」

 

マタ・ハリは事実のみを語った。

バイコーンとは偶然出会い、助け合う関係になったこと。カルデアには敵意がないこと。

しかし彼女たちの関係については「保護者のような存在」と抽象的に説明した。

 

「嘘じゃないよな?」

マスターが確認する。

 

「本当よ」

マタ・ハリは平静を装ったが、手が小刻みに震えていた。

 

「マタ・ハリ」

ダ・ヴィンチちゃんの声が冷たくなる。

「実は既に調べはついている。君がバイコーンと肉体関係を持っていること。そして……君以外にも4人いることも」

 

マタ・ハリは絶句した。バレていたのか……

 

「謹慎処分だ」

ダ・ヴィンチちゃんが宣言する。

「暫定措置として一週間の活動制限を科す」

 

マタ・ハリは俯いたまま何も言わない。

予想していたとはいえ、この決定に打ちひしがれていた。

 

---

 

翌日、食堂でナイチンゲールが朝食を摂りながら眉をひそめる。

 

「バイコーンさんとの関係がバレてしまったようですね」

 

ドレイクが酒瓶片手に苦笑する。

「まあいずれそうなると思ったが……」

 

紫式部が悲しげに呟く。

「マタ・ハリさん……辛いでしょうね」

 

頼光が立ち上がった。

「私がマスターに直訴してきます!」

 

「待って頼光さん!」

紫式部が慌てて引き留める。

 

「そうだよ」

ドレイクが頷く。

「下手に騒げば私たちの関係まで知られてしまう」

 

ナイチンゲールが冷静に分析する。

「しかし現状維持ではマタ・ハリは孤立したままでしょう。何らかのアクションは必要です」

 

「私は行くわ」

頼光が決意を固める。

「友人を見捨てては武士の名折れ」

 

「待ちなさい頼光さん」

紫式部が袖を掴む。

「方法を考えましょう」

 

4人は密談を始めた。

マタ・ハリを救うための最善策を模索する中で、自分たちの関係もいつか露呈することを覚悟していた。

 

---

 

同じ頃、マタ・ハリは自室で塞ぎ込んでいた。

窓辺に座り、外の景色を眺めながら溜息をつく。

 

「マタ・ハリ……」

 

部屋の隅から低く野太い声が響く。

バイコーンが魔法陣を通じて現れたのだ。

 

「バイコーン君……来てはダメよ」

マタ・ハリは辛そうに言う。

 

「オレハ、平気ダ」

バイコーンは彼女の側に寄り添う。

「キミヲ、守ル為ニイル」

 

「でも……あなたの存在がバレれば更に騒ぎが大きくなるわ」

 

バイコーンは理解したように頷き、優しく鼻先で彼女の頬を撫でた。

 

「必要なら必ず助けを呼ぶから」

マタ・ハリは弱々しく微笑む。

 

「ワカッタ」

バイコーンは姿を消した。

 

---

 

一方、マスターは事態の深刻さを認識していた。

「バイコーンの能力は規格外すぎる。特に思考伝達能力は問題だ」

 

「しかも複数のサーヴァントと肉体関係を持つなんて」

マシュが赤面しながら言う。

 

「そうだね。倫理的にも問題だ」

マスターは難しい表情で考える。

「でも彼らが協力的なら……」

 

その時、頼光がやってきた。

「マスター!マタ・ハリの謹慎を解いてください!」

 

「頼光さん……どうしたの?」

 

「友の窮地を見過ごすことはできません!」

 

「しかし理由を説明してくれないと」

マシュが困惑する。

 

「確かに倫理的には問題ですが」

頼光は一瞬躊躇したが、

「でも彼女は罪は犯していません!」

 

「でも複数のサーヴァントと関係を持つことは……」

 

「それについてですが」

頼光は覚悟を決めたように言った。

「私もその一人なのです」

 

室内が凍りつく。

「え?」「まさか……」「頼光さんが……?」

 

頼光の顔が真っ赤になる。

「言ってしまいました……」

 

「他にも……」

頼光が続ける。

「ナイチンゲール殿も紫式部殿もドレイク殿も……皆同じです」

 

室内の空気が変わる。

「つまり……」「5人全員が……?」「なんてことだ……」

 

「だからこそ」

頼光は決然と宣言する。

「彼女一人に責任を負わせるのは不当です!」

 

マスターは頭を抱える。

「これは……公式報告が必要だね」

 

「しかし!」

頼光が慌てる。

 

「もう遅いよ、頼光」

ドレイクが酒瓶を持って入ってくる。

「バレたもんは仕方ないさ」

 

続いてナイチンゲールと紫式部も現れた。

「統計的には確率論的に……」

「詩歌にすれば浪漫が……」

 

マスターは苦笑する。

「みんな揃って来たね。完全に自白したも同然だよ」

 

4人のサーヴァントが恥ずかしそうに頷く。

 

「つまり……カルデアでは異種族との性的関係が容認されているのですか?」

マシュが疑問を投げかける。

 

「違います!」

全員が同時に否定する。

 

「でも現実は……」

マスターがため息をつく。

 

ナイチンゲールが冷静に分析する。

「生物学的適合性による心理的充足と……」

 

「要するに」

ドレイクが端的に言う。

「気持ちよかったってことだろ?」

 

全員が真っ赤になる。

 

「まあ……」

マスターは結論を出す。

「バイコーンの能力は利用価値がある。意思疎通も出来る。倫理観を無視すれば、彼を危険視するのは早計だね」

 

「しかし……」

マシュが難色を示す。

 

「でも」

マスターは笑う。

「君たちが幸せならそれでいいじゃないか」

 

「マスター!」

頼光が感激のあまり抱きつく。

 

「おっと!」

マスターは倒れそうになりながらも、

「でも条件付きだよ。彼の存在は極秘。そして……」

 

「そして?」全員が不安そうに見つめる。

 

「もっとバイコーンの力を引き出せたら面白いよね!」

マスターが少年のような笑顔を見せる。

 

4人のサーヴァントは複雑な表情を浮かべながらも、新しい可能性を感じ始めていた。

 

こうして「人馬一体作戦」が始動したのである。

 

「ちなみに」

マスターが突然思い出すように言う。

「君たちの関係をどう表現するか決めてないね」

全員が考え込む。

 

「ハーレム?」

ドレイクが茶化す。

 

「そんな陳腐な表現では……」

ナイチンゲールが否定する。

 

「理想郷……」

紫式部がポエティックに言う。

 

「契約者?」

頼光が提案する。

 

「結局のところ」

マスターがまとめる。

「彼に愛情があるんだよね?」

全員が赤面する。

 

「バイコーン」

マスターが虚空に向かって呼ぶ。

「聞こえてるんでしょ?」

 

沈黙の後、野太い声が響く。

「ハイ……」

 

「君の意見を聞きたい」

マスターが尋ねる。

「この関係をどう思ってる?」

 

「ワカラナイ……」

バイコーンは悩むように言う。

「ダケド……嬉シイ……ズット一緒にイタイ」

 

4人のサーヴァントが嬉しそうに微笑む。

 

「よし!」

マスターが手を叩く。

「正式名称は『六獣連携大作戦』としよう!」

 

「ええ……?」

 

「だって6人で一つのチームだし」

マスターが自信満々に言った。

 

「……ア~、マスター殿?ソノ名前ハ……チョット……」

バイコーンが戸惑ったように難色を示した。

 

彼なりのプライドがあったらしい。

 

「良い名前だと思うんだけどなぁ」

マスターは不満そうな顔をする。

マシュが何とも言えない表情をする。

 

「マスター」

頼光が優しく諭す。

「異文化の表現には敬意を払ってください」

 

「そうですね」

ナイチンゲールも賛同する。「文化人類学的には……」

 

「わかった、わかった」

マスターは諦めたように手を振る。

「じゃあ新しい名称を考えよう」

 

「『六星繋ぎ』はどうでしょう?」

紫式部が提案する。

 

「何か漢字臭いね」

ドレイクが笑う。

 

「『空の境界』は?」

マスターがまた言う。

 

「それ違う作品です……」

マシュが小声で指摘する。

 

「ダ・ヴィンチちゃんに相談するか」

マスターが言う。

 

「あの天才美少女なら良いネーミングができるだろうね」

ドレイクが酒を飲む。

 

「そうだね」

マスターは頷く。

「でもその前に……」

 

「その前に?」

 

「バイコーンの力を確認しないとね」

マスターはニヤリと笑う。

 

「マジか……」

ドレイクが顔を青くする。

 

「冗談だよ」

マスターが笑う。

「今は休息が先だね」

全員が安堵した表情を浮かべた。

 

 

バイコーンと五人のサーヴァントの関係は、「マスター管理下特別規定第40号」という名目で正式に黙認されることとなった。

ただし条件付きで。

 

「マスターの許可なしに空間移動を使用しない」

「異空間使用時は事前申請」

「他サーヴァントとの新たな関係の禁止」

 

そして最大の課題は「周囲の理解を得ること」であった。

 

しかし実際は……

 

廊下を歩くマタ・ハリ。

すれ違うサーヴァントたちが好奇の目を向ける。

「ねえ……あれが例の……」

「あの怪物と……」

「マスターもよく許したわね」

 

彼女は背筋を伸ばし、毅然とした態度を崩さない。

 

同じく頼光。

厨房で夕食の準備をしていると、近くにいたサーヴァントたちが急に席を立つ。

「あら、何かあったのかしら?」

 

別の場所ではナイチンゲール。

医療部門での評判は変わらないものの、患者の中には遠慮がちな態度を見せる者もいた。

 

ドレイクは相変わらず船長室で酒を飲んでいたが、訪問者は減った気がする。

「寂しいもんだな……」

 

紫式部は図書館の奥で一人読書。

以前は集まっていた文芸サークルのメンバーも殆ど姿を見せなくなった。

 

そして最も緊張感のある場面は清姫との遭遇だった。

 

廊下の角で清姫とバイコーンが鉢合わせする。瞬時に空気が凍る。

 

「あら?獣が廊下を歩いてていいんですの?」

清姫が毒を含んだ声で言う。

 

バイコーンは目を細め、低く唸る。

「オマエ……イツモ、ソウイウ事ヲ、言ウナ……」

 

「事実ですから」

清姫は扇子で口元を隠す。

「それにしても……あの誇り高いサーヴァントたちが……貴方のような下等生物と……」

 

「何故ソンナニ怒ル?」

バイコーンの声に怒りが混じる。

「オレハ、彼女達ノ、家族ダ」

 

「家族?」

清姫の目が冷たく光る。

「獣が人間を家族呼ばわりなんて……滑稽きわまりないわ」

清姫は馬鹿にした様な表情を向けた。

バイコーンは自分の境遇を嘆いた。

最初はただの本能から始まった関係が、いつの間にか大切な存在になっていた。

だが周囲の目は厳しい。特に清姫のような存在にとっては異質すぎる。

 

『家族……そんな風に思った事が間違いだったのか』

 

だが胸の内にある感情は本物だ。

マタ・ハリの柔らかい肌の感触、頼光の温かい体温、ナイチンゲールの知的な眼差し、ドレイクの豪快な笑い声、紫式部の優しい筆跡……全てが偽りではない。

 

「オレハ……彼女達ガ……好きだ」

バイコーンは静かにそう呟いた。

 

その時、マタ・ハリが駆け寄ってきた。

「バイコーン君!」

彼女は恥ずかしそうに頬を染めながらも決意を秘めた瞳で言う。

「私たちが選んだ道よ。どんな目で見られても後悔はないわ」

 

バイコーンは彼女の瞳を見つめる。そこには偽りのない確かな愛情があった。

「マタ・ハリ……アリガトウ。オレニモ 後悔ハ 無い」

バイコーンはマタ・ハリを見つめながら、ハッキリと言った。

そして他の4人もその場に居合わせ、バイコーンの言葉に頷いた。

「バイコーン君!」

マタ・ハリは嬉しさの余りにバイコーンに抱きついた。

「一緒ニ……イヨウ」

バイコーンもまた彼女を強く抱きしめる。そして4人も一緒になってバイコーンを抱きしめた。

 

その光景を離れた所から清姫が睨んでいた。

「なんなのこの光景……気持ち悪い。獣に媚びを売るなんて……」

清姫の顔に憎悪の炎が宿る。

 

その瞬間、バイコーンは鋭く息を呑むと前脚を蹴り上げた。

雷のような速さで清姫の喉元に狙いを定める。

周囲の時間が止まったように感じられた。

 

だが寸前で止まる。

マタ・ハリの手がバイコーンの前脚を掴んでいた。

 

「止めて!清姫……彼を侮辱しないで」

マタ・ハリの声は震えていたが強い意志があった。

 

清姫は蒼白な顔で後退りする。

「な……何するのよ!」

彼女の膝が床につく。

 

バイコーンは荒い息遣いで落ち着きを取り戻す。

バイコーンは清姫の目を見て気付いた。

彼女の眼には【憎悪】だけで無く【嫉妬】も混じっていると。

 

「……ソウカ、オマエは……」

バイコーンは言った。

「……ムスバレ 無カッタノカ、愛スル存在 ト」

 

バイコーンは清姫に若干の哀れみを込めて言った。

その瞬間、清姫の眼に【涙】が溢れた。

バイコーンはその涙に気づいてしまった。

バイコーンの鋭敏な鼻腔が感じ取ったのは、清姫の微かな恐怖と絶望の香り。

獣の本能が悟る—この娘もまた孤独なのだ。

 

「なっ…!?何をっ…!薄汚い獣風情が……っ!!」

 

清姫は一瞬何を言われたか理解できない表情をした後、激怒した。

しかし、その表情は誰にも知られたくなかった事実を知られてしまった事に対しての羞恥だった。

バイコーンはその感情と清姫の記憶の一部を読み取ってしまう。

その感情を察したバイコーンは言った。

 

「ソレヲ 感ジラセタノハ オマエノ 喪ッタ アノ存在……安珍」

 

バイコーンは清姫を見つめながら呟く。

その言葉は清姫の胸に深く突き刺さる。

 

「お前に……わたくしの気持ちを……わかるわけがない……っ!!」

 

清姫は悲痛な表情で叫ぶ。

バイコーンは言葉に詰まった。

彼女の感情は痛いほど伝わってくる。

 

「ワカルサ」

バイコーンは低く唸る。

「オレモ一度失ッタ。大切ナモノ。ダケド……」

バイコーンはマタ・ハリたちを見る。

「彼女ラハ戻ッテキタ。オレヲ……受ケ入レテクレタ」

清姫は唇を噛み締める。頬を伝う涙は止まらない。

 

「ダカラ……」

バイコーンは静かに続ける。

「オマエモ本当ノ気持ちニ素直ニナレ。恨みより愛を選べ」

 

「うるさい……っ!!」

清姫は声を震わせながら後退る。

「獣が偉そうに……っ!」

 

だが彼女の足は動かなかった。

バイコーンの眼差しから逃れられない。

その眼差しからは【同情】と【哀れみ】を感じ、彼女は怒りと嫉妬と哀しみでどうにかなってしまいそうだった。

そして心の奥底で【憧れ】すら芽生えつつあった。

 

「清姫さん……」

マタ・ハリが優しく声をかける。

「辛かったのね……」

清姫は顔を背ける。

「うるさい……余計なお世話……っ!」

彼女の声は泣き声に近かった。

 

「何をしてるんだ!」

後ろからマスターが慌ててやってきた。

隣にはマシュとダ・ヴィンチちゃんもいる。

バイコーンと清姫の間の緊迫した空気に全員が息を呑む。

 

「これは……」

マスターが状況を把握しようと周囲を見回す。

「なにも……ありませんでしたわ……」

清姫は顔を拭いながら立ち上がる。

「さようなら……」

彼女はそう言って去っていった。

 

「何があったんだ?」

マスターが問いかける。

バイコーンはしばらく沈黙した後、答えた。

「彼女ノ 心ヲ 読ミトリ 正シイ 言葉ヲ 響カセタダケダ」

 

マタ・ハリが補足する。

「清姫さんの過去の悲しみを……バイコーン君が見抜いたの」

 

マスターは深く息をつく。

「そうか……」

彼はバイコーンの頭を撫でる。

「君の優しさが伝わったみたいだね」

 

バイコーンは少し照れたように鼻を鳴らす。

「ワカラナイ……ダケド……気ヅイタラ……言葉ニシテイタ」

「それが大事だよ」

マスターは微笑む。

「清姫はきっと心を開くと思う」

 

その夜—

カルデアの地下室の一室に設置されたマットの上でバイコーンは横たわり、物思いに耽っていた。

そこにマタ・ハリが近づいてきた。

 

「今日の事……清姫さんに言って良かったの?」

彼女は隣に腰を下ろす。

「アノ娘ノ心ニハ、憎悪ト嫉妬……ソシエ哀しみガアッタ。放ッテオケナカッタ」

バイコーンは少し申し訳なさそうに言う。

「スマナイ、マタ・ハリ達の信用ガ……」

 

「いいのよ」

マタ・ハリはバイコーンの首筋を撫でる。

「優しいのが貴方の素敵なところだもの」

バイコーンは気持ち良さそうに目を閉じる。

「彼女ハ……オレニ近イモノヲ感ジタノカモ……」

バイコーンは独り言のように呟く。

「そうかもしれないわね」

マタ・ハリは月明かりに照らされたバイコーンの体毛を優しく梳かす。

「でも今は休んで。明日も早いわ」

バイコーンは穏やかな寝息を立て始める。

マタ・ハリは微笑みながら彼の眠りを見守った。

 

「……私、貴方の事を本当に愛してるわ」

マタ・ハリは静かに呟いた。

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