竜鱗のハハキは、組織最強の戦闘者だ。
ただ因子を注入されただけの者の多くは『因子注入前の自分の記憶』がない。
しかし一部の者には記憶がある。
それは、ハハキのような『教団のための役割を持つ家系の者』だ。
ハハキは教団がまだこの世界になかったころから、聖女をそばで守る騎士の家系だった。
その役割を受け継ぎ、その役割のために先祖代々己を鍛え上げてきた。
そういった血筋の者は、『因子』に適合してスキルツリーを観測できるようになる確率が高く、ハハキもまた期待されて、そして期待通りにスキルツリーを観測できるようになった存在だ。
……とはいえ最近は、そういった血筋の者でも、スキルツリーに目覚めないことが増えたが……
ともあれハハキは『聖女』、すなわち『聖なるマリアンヌ』を守る役目を負った家で、長らく出ていなかった『因子の適合者』である。期待の天才、というわけだ。
適合した以上に、剣士としての腕前も、幼いころから凄まじかった。
だから彼女は家からの期待を背負い、憧れの『聖女』に直接侍る立場を得た時、強い喜びを抱いた。
……彼女の価値観はその当時から変わらない。
聖女のそばに侍る剣士の家系として、彼女は幼いころから『強さ』のみを価値基準に置くように教育されてきた。
彼女の家もその価値基準の上にあり、彼女が父母より強くなった時、父母は迷いなくハハキにかしずき、臣従した。親であるとか、子であるとか、そういったものよりも、『強さ』が基準として強いのだ。
その価値基準になんの疑問も抱かず育ったハハキは、組織の幹部になっても、同じ価値基準で行動する。
その結果として、まず『強くなければ生きている意味がない』ので、部下どもを鍛える。
やりすぎなぐらい鍛える。弱い者は死んでもいいので、ふるいにかけるように鍛える。
そして『強くなることは尊いことであり、これ以外はすべて雑事である』という考え方なので、『強くなるためのこと以外』という『雑事』は、『弱いやつの仕事』だという認識がある。
だからハハキ本人は一日中『強くなるために必要なこと』ばかりをする。
もっとも、戦闘員の指導……戦闘員視点では『ただのパワハラ、いじめ』は、強者の負うべき責務、一種のノブレス・オブリージュだという考えでもあるので、これは積極的に行う。
そういうのがハハキという少女の価値基準であり、行動の原理である。
では、そのハハキのもとに、『同列の幹部の、協力者』が現れた。
こういう価値観で生きて来たハハキなので、『自分と同列であり、協力者であるとするならば、まずは自分に比肩する強さを示せ』となるのは、当然の流れなのであった。
ある意味で狂信的な家系に生まれ、その家系の思想をそのままにやっているハハキであるから……
新参幹部の『影のセント』に対する気持ちは、こうなる。
(雑魚め)
ハハキが唯一信奉する価値観において、セントは評価に値しない者だった。
(戦闘員よりは確かに動ける。だが、幹部が『戦闘員程度に動ける』ことに、なんの意味がある? ……あのムカつくチビ──『灼熱のエリザ』の方が、こと強さという意味ではまだマシだぞ)
エリザと戦えば、ハハキにも敗北の可能性がある。
だが、セントとの戦いで、エリザは敗北する可能性がまったく見いだせなかった。
(『影の』というから、何か影を操る能力でもあるのかと思いきや、そういったものを使わない……温存している? ……なるほど、そういう可能性もあるか。では、明日は温存などできないように徹底的に叩きのめしてやろう)
これは『実力をすべて出し切っていないから負けていない』などという小癪な言い訳を防止するためだった。
ハハキは──
個人用の風呂場で、『明日のこと』を考える。
この風呂はハハキ以外には使用を許されていないもので、一人用のサイズだが、ヒノキを使った上等な湯船の中に、温泉から汲んで来たお湯を入れるというものだった。
幹部にはノルマこそあるが、独自の判断でテレポート機能を使用する権限もある。
総大主教『聖なるマリアンヌ』は部下の自主性に任せている──と言えば聞こえはいいが、あまり部下の行動を細かく管理する気がないようだった。
その権限を利用して汲ませてきた湯船の中で、ハハキはなおも思考に沈む。
彼女の思考は、『明日、どうやってセントをいたぶろうか』というものだった──とはいえ、彼女の表現では『いたぶる』ではなく、『実力を見てやろう』という言葉になるのだけれど。
ハハキにはこのように夢中になると周囲が見えなくなるところがある。
だから、この風呂場のように、幾多のセキュリティに守られた場所以外ではそうそう油断しないが……
たとえば、『ハハキの真後ろにぴったりくっついて浴室に入り、そのまま気付かれずに居座る』ということができる者がいると、セキュリティも無意味になる。
「淫行スキル──」
そんなことをつぶやきながら、ハハキに認識されない者が、ハハキの真後ろに座っている。
姿も、声も、触られていることさえ、ハハキは認識できていない。
「──なるほど、これは、やったことに応じて、アンロックされていく感じか」
たった一日でどこまで仕込めるか、その存在は試すようにスキルを駆使して、ハハキの肉体を開発していく。
目的は『朝の集会の乱取りで、ハハキを無様に叩きのめすこと』。
今ここでハハキに気付かれないように傷を負わせることも可能かもしれないが、そいつは、そんなことには興味がなかった。
その存在は、負けず嫌いで……
そして、支配欲が強い。
欲望にまみれた存在が、スキルを駆使して、ハハキの見事な肉体を仕上げていく。
ハハキは運動をよくするので、腹部はほどよくくびれ、うっすらと腹筋の筋が浮いていた。
脚は巫女装束のような袴で普段は隠されているものの、こうして全裸でいると、長さが際立つ。引き締まった、細く見えるが、か弱くはない脚だ。
肌も白い。風呂に入っているせいでうっすらと赤みがかった肌。そこを乳白色の湯が滑り落ちていく様子は、なんとも淫靡なものだった。
全身どこも引き締まり、研ぎ澄まされた剣のような少女……
ただし、胸だけが大きい。
これはハハキにとっては悩みの種だった。『傷のない体』を強者の条件であると思っているから成長するままに任せているけれど、本人は『邪魔だな』という程度にしか思っていない。
本人はもっと露出を抑えた衣装で、がっちりと胸を押さえこみたいと思っている。
だが、できない。……『因子』に適合した者は、発現した特徴に合わせて弱点が出来てしまう。
ハハキの場合は、『鱗のない場所をある程度以上、人目につくところにさらさねばならない』という弱点があった。
上腕と、脚のふくらはぎから先。
こうして入浴する時には隠しているが、竜鱗を浮かべることができる以外の箇所を露出せねばならない。
その露出は上半身ほぼ全部に及ぶ。
脚をもっと出せば上半身をもっと隠せるのだが、ハハキは長いスカートのような袴で、『膝』の動きを読まれないような服装にすることを好んだ。武術において、膝の動きというのは重要で、それを隠すことが可能な衣装が袴なのだ。
また、羞恥心はあるものの、自分が『女』として見られる事実を軽視しているところがある。
だから大きな胸をサラシで押さえただけの上半身で、平気でうろうろしている──という事情があった。
──じっくり、じっくり。
──時間はないが、焦ってはならない。
──気付かれないことが最優先。気付いたら終わっていることが最優先。
ハハキに気付かれないままの存在は、最初、ゆっくりと、ハハキの全身を撫でさすった。
肩、背中、腰、脚……
だんだん、敏感な部分へ。
ふとももを撫で、性器を避け、ヘソへ。
「ん……」
ハハキがピクリと反応する。
だが、気付かれてはいない。
ヘソを指先でなぞり、まずは、上──乳房へ。
大きな乳を下から掬うように持ち上げる。
「ん」
先ほどより強い反応。
だが、気付かない。ハハキは自分の喉から声が漏れたことにも気付かないように、湯船につかって、どこか遠くを見ている。
乳房を撫でながら、乳首へ手を近付ける。
ハハキの乳首は巨乳に見合ったサイズだった。指の腹でちょっと持ち上げてやると、ハハキがまたわずかに声を出す。
最初は弱く、次第に強く、乳首を刺激してやる。
と、ハハキがピクピクとかすかに痙攣を始めた。
頃合いを見計らって乳首を強めにつまんでやれば、ビクンと体を揺らして、イッた。
それでも、気付かない。
『陰姦』──
エリザを調教する時、ずっと、能力を使って、睡眠中や、休憩中を狙った。
その行動がスキルとなってツリーの上に現れている。このスキルは、相手に性的刺激を与えても気付かれなくなり、相手を絶頂させるほど、より気付かれにくくなっていくというものだった。
乳首を弄び、もう一度絶頂させる。
『感度保持』──
徹底的に開発しまくり、少し触れただけでイッてしまうような体にエリザを調教した。
その行為がスキルとなっている。一度気持ちよくしても、大抵はしばらく触らなければ感度が落ちてしまうのが人体だ。その感度を、『戻さない』。一度気持ちよくしたら、どんどん気持ちよくなりやすくなる。そういうスキル。
もう一度乳首でイかせたあと、股間に手を伸ばす。
わずかな陰毛の感触を弄んだあと、膣に指を入れても、ハハキは気付かない。三回の絶頂が、彼女により深く『存在希薄化』の効果をもたらしている。
ハハキの膣に指を入れて優しくナカを撫でてやりながら、もう片方の手は下腹部を撫でる。
すると、ハハキの下腹部に、じんわりと紋様らしきものが浮かび上がり始める……
『隷属深化』──
隷属紋を刻むには、相手に承諾され、その承諾を自分が認めるという儀式が必要になる。
実力差がありすぎる相手にはなかなか入らないものの、心が屈服していればその限りではない。
屈服の手段を『凌辱』としたその存在は、肉体開発度と絶頂回数に応じて、隷属を入りやすくするスキルを得ていた。
とはいえ、『相手に承諾され、こちらがその承諾を認める』という儀式は必要だ。
……では、『隷属が入りやすくなる』とは、どういうことか。
その効果は、だんだん、ハハキの内心に現れ始めていた。
(……あの男、まあ、雑魚ではあるが、見込みがないわけではない。だいたい……総大主教様がお認めになったのだから、才能はあるのだろう)
今の今まで、『ただの雑魚』だった男への印象が、ハハキの中で変わり始める。
(私と協力関係になったのも、何かの縁……いや、神の思し召しということか。であれば、私があいつを、幹部にふさわしい実力者に鍛え上げるべきなのだろう。強くなれば……まあ、悪くない男ではあるし……)
……エリザの歪んだ育ちと思い込みが、自分を隷属させた男に恋をさせた。
『隷属深化』は、その経験から生まれたスキル。
屈服するとは、恋をすること。
このスキルが入ると、イかされるたび、気持ちよくされるたび、このスキルの持ち主に対して、好感度が上がっていく。
「んっ……♡」
膣をほじられ、子宮をぐりぐりとヘソの下から押され、イく。
ハハキはしかし、自分が調教を受けていることに気付かない。
それは存在希薄化が絶頂回数に合わせてどんどん入りやすくなっているということもあるが……
好きな相手のことを考えている乙女は、周囲が見えなくなるものだ。
(考えてみればみるほど、エリザのような生意気なガキのそばに置いておくにはもったいない。私のもとで、鍛えて、一人前の男にしてやろう。総大主教様もそのようなお考えで、私のもとによこしたに違いない……そして、もしも、もしも、私より強く……いや、まぐれでも、私に勝ったならば……その時は、み、認めてやってもいい、か……)
「んあっ♡ あ、ふ……♡」
びくん、びくん、びくん。
膣の中をいじられて、子宮を押し込まれて、ハハキは絶頂する。
「こりゃあ、だいぶ楽になったな。時短できるのはいいことだ」
その存在は、エリザに施した調教の過程が、すごい速度でハハキの体に現れているのを感じ取った。
それはスキルの力だった。
加えて、ハハキ側の問題でもある。
竜は鱗のない場所、つまり弱点をさらす制約を負っている。
すなわち、鱗のついていない場所こそ、エリザにとっての角や尻尾──弱点となっている。
さらに竜の鱗は触れるものすべてを弾き返し、傷を負わせる、鋭く頑強なものだが……
愛する相手には効果を発揮しない。
好感度があがるたび、ハハキはどんどん脆くなっていく。
そのことに、ハハキはまだ気付けない。
ハハキが入浴している間に、膣をいじり、子宮をマッサージし、巨乳をもてあそんだ。
最後の方になると、ハハキは湯船の縁に突っ伏すようになり、いじられるたびに甘い声を漏らしてイくようになっていた。
だが、気付かない。
彼が何をしているかは気付かれないが、彼がしたことの結果は認識できる──それが、エリザを犯した時の彼の能力だった。
だが今は、触れている最中には、気付かれない。
そばにいる限り、気付かれない。
「んひっ、ひっ、はひいいい……♡」
人前でさらしたことがないほどだらけきった顔で、与えられる快楽に抵抗もできず、ただただ体を弄ばれ、イき続ける。
巨乳の先端の乳首が勃起したままぷるぷる震え続け、子宮がうずいてどんどん愛液が排出される……
いつまでもこのまま開発が進められそうではあったが……
「これ以上は俺がのぼせるな……」
ということで、いい具合を──朝の集会の時に『仕上がる』頃合いを認めたその存在は、湯船から上がった。
まだビクビク痙攣しているハハキの頭に、冷水をかける。
ハハキがぴくんと跳ねて、
「……ハッ! ……いけない、長湯をしてしまった……」
慌てたように立ち上がり、ふらつく足取りで浴場を出て行く。
その真後ろについて、形のいい尻を追いながら、その存在も風呂から出た。
あとは、仕上げを残すのみだ。