「魔法少女どもへの襲撃だが、計画としては、明日、行う予定だ」
ようやく『協力関係』が築けたので、情報を共有してもらえることになった。
しかし……
「『魔法少女どもへの襲撃』か」
「……何かおかしいか?」
「いや」
俺たちは悪の組織で、人様のお住いの場所でテキトーに破壊活動を行い、そういう迷惑がたたって魔法少女という正義の味方に阻まれている──と思っていたが。
ハハキの口ぶりもそうだし、思い返せば、『消滅のフラン』の時も、そうだった気がするが……
どうにもメインの目的は『街の破壊』ではなく、『魔法少女への襲撃』にあるように思える。
というか……
「……いや、そうだな、いくつか質問させてもらおう。俺は新米幹部だからな。先輩からご教示賜りたい」
「な、なんだ改まって……うむ、だが、いいだろう。後進の指導は先達の務めだ。なんでも聞くといい」
「残念ながら俺は、総大主教様……でいいのか? ボスって呼んでも構わないのか?」
「総大主教様と呼ぶのが望ましいだろうな」
「……総大主教様から、幹部としての『いろは』をさっぱり教わってなくてね。まず、俺たちがなぜ人様にご迷惑をおかけして街を襲撃するのか、そこから知らない」
説明がなかった。
というか、俺は総大主教『聖なるマリアンヌ』に『お前だけ残れ』をされたあと、いくつかのお願いをするために、もう一度彼女に接触している。
幹部に任命された時、連絡先を教えてもらったわけだ。もちろん、幹部としての仕事に必要だからだろうが……
そのへんも含めて、何も聞いていない。
つまり幹部は何をすりゃいいんスか、マニュアルとかあるんスか、という問いかけには『やっているうちにわかるでしょう』をいろんな言い換えで言われただけで、『指導をうっかり忘れていた』というより、『何がなんでも指導はしない』みたいな、そういう対応をされたわけだ。
どうにも総大主教は、俺の行動に指針を与えないようにしている気配がある。
宗教的思惑からっぽい雰囲気だが、しかし最低限の仕事ぐらいは教えて欲しいのも、会社の幹部としては当たり前のことだ。
という感じで仕事内容についてたずねたのだが、ここでハハキが奇妙なものを見る目を俺に向ける。
「……まさか貴様、我ら教団の教義を知らんのか?」
「聞いて驚くなよ。知らない」
「…………」
「なんだその目は」
「戦闘員でも、教義や祈りの言葉を述べる機会はあったはずだと思ってな」
「俺さあ、自分に関することはまったく覚えてないんだけど」
「戦闘員はそのようだな」
「それでも、なんていうのかな。『校歌』とか、わかる? 学校ごとに決まってる学校のイメージソング。ああいうのとか、校則とか、スローガンとか、そういうの、まったく覚える気力がわかないタイプだった気がするんだよな」
「……ようするに、ひねくれ者だった、と」
「褒めるなよ」
「……教団の教義について、解説しよう」
この普通の同僚みたいな対応がたまらない。
もう心も体もかなり完全に堕ちているのは、『見ればわかる』のだけれど、それでも俺の言いつけに従って、『いつも通り』にしてくれている。
エリザとか二人きりになると完全に俺に怯えてるし、媚びてるから、普段の偉そうなメスガキっぷりが全然ないんだよな。あれはあれで、寂しいものがある。
まあ、二人きりの時にサドのメスガキモードで来られたら、ムカついて、口が利けなくなるまで犯してしまうような気もするんだが。
「第一に、我らの教団は、『世界に根差す』ことを教義としている」
「……なんだそりゃ。新興宗教の教義の分際で信者の幸せを嘘でも謳ったりしないの?」
「新興宗教ではない。千年を超える歴史がある」
「比較的新興だとは思う」
「……そして、『世界に根差す』一つの大樹たる我ら……ああ、教団のシンボルマークが大樹であることは、知っているか?」
「そういやそういうの、戦闘服に刺繍してあった気がするな」
「私の袴にも縫ってある」
「見てなかった……」
「……まあ、今はトレーニングウェアだからな」
俺たちがこうして幹部会のような、会社の同僚かつ恋人関係の男女が休み時間の給湯室でいちゃつき一歩手前のだらだら会話をしているような、そういう時間を過ごしているのは、トレーニングジムである。
ハハキは俺に負けてからも相変わらず『強くなるためのこと』以外には全然積極的ではない。
というか働き者の無能に事務系のこと口出されても困るんで、『お前はそのままでいい』と言っている。
なので俺は、トレーニングをするハハキを目の前に、腹筋用のベンチ? に寝そべりながら、会話をしているというわけだ。
ちなみにハハキがしているのはバーベルスクワットで、アホみたいな量の重りがバーベルにはつけられている。落としただけで床が砕けそうなほどの、重りだ。
そんな状態でよくやるわ、と思いつつ──
存在希薄化の拡張能力について確認している。
「……ハハキ先輩、体の調子とか、どう?」
「? 別に悪くはないが……この程度、有酸素運動の一種だ」
「いや、そうか」
「それで……んっ♡」
ハハキがスクワットをしているマットの上には、バイブが立ててある。
ハハキのアカウントで通販したものだ。
スクワットをしているので、ハハキが腰を下ろすたび、丸出しのおまんこにバイブが突き刺さる。
すでに十回以上はそうして出し入れされているおまんこからは、バイブが突き刺さるたびに愛液の飛沫が舞っていた。
だが、ハハキは気付いていない。
存在希薄化の付与。
物体に俺のスキルを付与することで、その物体を認識できなくするスキル──
ハハキを倒すために、殺し合いの中で存在希薄化を実用した経験が、さらに俺の独自スキルのツリーを進化させた。
その実験をしつつ、『後進への指導』をしていただいている、というわけだ。
今のところ、ハハキはバイブにも、下半身が全裸なことにも、気付いていないらしい。
「……どこまで話したか」
「この教団の教義が『世界に根差す』ってことと、シンボルマークが『大樹』ってこと。俺の質問は『幹部としての基本的なことを教えてほしいってモンで、今しているのは『なんで、俺たちは街を襲撃するのか』っての」
「そうだったか。……『この世界に根差す』という目的のために、我々は、いくつかの地点を押さえねばならない。街を襲撃しているというか、その地点の確保を目指した結果、そこに街があるので、片付けようとしている、というのが正しい」
「その『地点』ってのは、どういう基準で選ばれてる?」
「基準としてはいわゆる『龍脈』の『溜まり』の部分かどうかだな。この世界も一種の巨大な生物なので、その生物の重要な……ツボを押さえて、この世界を総大主教様の故郷のように作り変えようというのが、我らのやっていること、すなわち『世界に根差す』ための活動だ」
「…………待って待って。何、つまり、総大主教様は異世界からの侵略者ってこと?」
「まあ、この世界の者の価値観で言えばそうなるか」
「え、ハハキは?」
「総大主教様がこちらに来たのは五百年ほど前だからな。その時にそばに侍っていたうち一人が、私の先祖にあたる」
「は? 何歳だようちのボス」
「詳しくは知らないが、こちらの世界で過ごした年数は五百年らしい」
ものすごいおばあさんじゃないか。
……『普通に考えて』、人間は五百年も生きないので、まあ姿を見せずに代替わりをしてるんだろう、という考え方になるんだが。
そもそも『スキルツリー』っていうのがすでに普通じゃないので、五百年、下手するともっと生きてるのは、ありうるかもな。
「……あー、それで、俺らの目的は、『龍脈溜まりを押さえて、この世界を異世界ぽくテラフォーミングすること』なのか」
「……そういう言い方もできるか。そうだな。そしてもう一つが、魔法少女という害虫の排除だ」
「害虫て」
「我らという大樹の成長を阻む、葉を喰う虫だから、害虫だ。魔法少女が存在する限り、我らがこの世界に根差すことはできない」
「つまり俺たち幹部の行動指針は『龍脈溜まりを押さえる』『魔法少女を倒す』か……魔法少女は、その、殺さないといけない感じ?」
「倒すということは殺すということではないのか?」
そのへんのことに疑問を抱いたことのない人の発言だった。
これはボスに要確認だな。俺はまあ、魔法少女も犯して手元に置いておきたいわけで。
「っ、ふ……♡ なんだ、脚に力が……?」
「……」
「い、いや、違うぞ。普段はもっと、余裕、で……♡」
「いいよ別に。スクワットの回数とか、俺の女を評価する基準の中にないし……」
バイブ快楽が認識阻害を超えてきているっぽい。
今まで平気そうだったけど、五回もイッたころになると、さすがに『認識できてないから平気だもん』という様子でもなくなっている。
脚がガクガクして、力を込めるたびにまんこから汁噴いてるからな。それでそのバカみたいな重りのついたバーベル担いでるんだから、ようここまでできたわって感じだ。
さて、魔法少女の扱いにはやや困る。
……が、やっぱり俺は、自覚できるぐらいに、『我慢』ができない精神になってきている。
魔法少女を生かしておくことが、ボスの利益と対立することになって、結果、俺が敵認定されるとして……
やっぱ、犯して奴隷にしたい。
ツリーが育つにつれて、どんどん俺の中で欲望が大きくなって、利害や保身というものを軽視しても欲望を満たしたくてたまらなくなっているような感じだ。
なるほど幹部に人格破綻者が多いのはこういうことなのかもしれない。
……となると、かなりツリーが育ってそうな『消滅のフラン』が、幹部の中では一番大人しくて、道徳的な振る舞いをしているのが、割と気になる……
というか、ボスから俺への特別扱いの理由はわかるんだよ。
『この世界でようやくツリー認識能力に目覚めた、初めての男だから』。
歴史の転換点、とも言ってたし、なんらかの宗教的意義もある存在なんだろう、俺は。だから、わかる。
フランの俺への肩入れがわからない。
……何かあるのか? たとえば、俺の失われた記憶の中、とかに?
まあ、おいおいでいいか。
今は……
魔法少女だ。
「幹部二人が協力して魔法少女にあたるのはこれが初めてだな。全体の指揮と作戦は俺が立てる。お前は俺の手駒として動け。いいな?」
「わかっ、て……♡」
「ああ、それとな」
「なん、だ……♡」
「『認識していい』ぞ」
「……は?」
瞬間、ハハキが下を見た。
まあ、デカチチのせいで見えてなさそうだが……
おまんこに異物が刺さっていること。
そして、認識できなかった快楽。
これを、認識したんだろう。
「は、……………………へっ♡」
ガクン、と腰が落ちた。
バーベルを担いだまま──
──ハハキのおまんこに、バイブが深く突き刺さる。
「へええええええええええええええええええええ♡♡♡♡♡♡」
派手に上体をガクガク揺らしながら潮を吹きまくる。
下腹部、隷属紋の下がボコッと浮き出ている。ああ、こりゃ、バイブが子宮まで入ったな。
「ありがとうな先輩。いい指導だった。またわからないことがあったらよろしくな」
「待ってえええええ♡ 抜い、てっ♡ これっ♡ 立てな……♡」
「いや、そのバカみたいなバーベル、俺には持てないよ。がんばって自分で抜けてくれ。んじゃ明日の襲撃、よろしく。遅れんなよ」
「そんにゃ♡ たしゅけっ♡」
「じゃな」
力の全然入らない脚をプルプルさせながら、どうにか腰を上げてバイブから逃れようとがんばっているハハキ。尊いね。人の努力する姿は美しい。見ろよ、お前の噴いてる潮に照明が反射して、おまんこから虹が出てる。縁起よさそう。
「ああ、作戦開始時間に遅刻したらまた戦闘員たちの前で犯すからな。開始時間いつ?」
「し、ち、じいいいいい♡」
「律儀に答えてくれてありがとう。じゃあ明日の朝七時に」
それまでに作戦を仕上げなきゃならん──
──まあ、陣形とか、連携とか、そういう難しいことができる集団とも思えないので、なるべく、アホでもわかる簡単なやつがいいだろう。
……幹部になってから、初めての魔法少女戦だ。
個人的に恨みがある相手というわけでもないが、あの強さは、フランについていた時代に目の当たりにした。
その時の魔法少女は結果的に『消滅のフラン』に倒されたわけだが……強かった。俺からすれば、幹部と魔法少女との戦いは、超越者同士の戦闘で、俺は余波ですりつぶされる雑魚のモブでしかなかった。
その超越者同士という位階に、なんの間違いか、俺は足を踏み入れている。
……上等じゃねえか。まともに戦ってなんかやんない。
弱みを握って、事前に仕込みをして。
魔法少女も、犯して服従させる。
いいね、戦いが楽しみだ。
世の中って実は、結構、楽しいことまみれなんじゃないか?
明るいね、未来。