途中から三人称
怖ええええええええ……
なんか急に覚醒したと思ったら〝圧〟がヤバすぎて平伏しそうになったよ。
魔法少女、超怖い。
トマリはかくして俺のお嫁さんになったわけだが、何か良くない爆弾を抱え込んだ気がしてならない。
多感な年齢の少女の家庭環境をズタズタにするの、本当にやめた方がいい。許される行為じゃねえよ。
「で、これからどうするッスか」
「……まあ、総大主教様に報告するか」
当初の予定では、しばらく魔法少女を溜め込んで隠して育てて、最悪『殺せ』と言われても抵抗できるぐらいの戦力を整えてから総大主教に見せる予定だったんだが……
闇墜ちトマリ、俺の手に負えない。
ので、総大主教に見せてみよう。
ちょうど……
幹部になって初めての任務も、一応、これで終了だしな。
◆
「素晴らしいことです」
総大主教は薄布の向こうでたぶん超ニコニコしてんだろうなーという声で応じた。
俺と、お付きのイチ、それから今回の合同任務の協力者であるハハキと、そのお付き。
それから元魔法少女のトマリを連れて、報告だ。
魔法少女を倒すことを目的にしてる組織っぽいので苦い反応されるかなと思いきや、まったくそんなことない。
むしろ大喜びしてる。怖い。怖いものだらけか? 悪の組織は。
「
トマリがぴくりと反応したので、聞き覚えのある単語だったんだろう。
俺もなんか聞いたような感触はあるんだが、よく覚えていない。たぶん神話系の有名な単語とかかな。一般教養じゃなくて、俺の個人的な記憶に紐づけされるぐらいの雑学っていうのか。
「魔法少女の
宗教家かポエマーか。
……あるいは神話でもメタファーでもなく、事実をそのまま、口にしているのか。
「新たなる幹部を歓迎します。あなたの名は、いかがいたしましょう?」
そこでトマリが俺を見たが、俺は『俺にネーミングを求めるのはやめとけ』という顔であごをしゃくった。自分で決めなさい。
「……魔法少女になる時に、言われた単語が、二つある。一つは『アイスサファイア』。もう一つは……」
トマリは記憶を探るように目を閉じてから、
「
「深海。……ああ、なるほど。ふふ」
「?」
「……いえ。いかにもあの龍らしい表現だと思いまして。いいでしょう。では、深海という二つ名を名乗りなさい。魔女よ、あなたのこれからの活躍に期待します」
「勝手に期待しないで。私は、期待に応えるのは嫌い」
「では、期待はやめておきましょう。ただ、あなたの前途に幸の多からんことを願います」
「大丈夫」
トマリが俺を見て、にっこりと、笑う。
「私は今、幸せ」
俺は今、怖い。
◆
「エリザー! 今帰ったぞー!」
とりあえずトマリが『お前だけ残れ』をされたので、すごく晴れ晴れとした気持ちでエリザの地区に帰還した。
エリザ。えーっと、そうそう、俺が最初に堕としたサドのメスガキだ。名前呼んだはいいけど久々すぎてどういうヤツだか一瞬思い出せなかったよ。乗馬用鞭持った甘ロリの悪魔ガキだよな。髪とか赤いやつ。
「よく戻ったわね。アタシを待たせるなんていい度胸じゃない。たっぷりおしおきしてあげるわ」
「あ?」
「え? え? 人前では『いつも通り』って……」
「あ、そうだった。ごめんなエリザ様。お詫びになんかこうすげープレイしてやるからさっそく執務室行くか」
「ほんと!?」
だいぶ不本意で屈辱的な下剋上を喰らってるはずなんだけど、めちゃくちゃ嬉しそうだな。
すっかりマゾになっちゃってる。
とりあえずマゾのメスガキをその場で全裸にして、片足を持って逆さに持ち上げて、トマリのまんこに入ってたバイブでゴスゴス犯しながら部屋に行くことにした。
「ちょ♡ 待っ♡ いきなり、激しっ♡ い、ひいいいいいいい♡♡♡」
いきなり犯されて噴水みたいにイくんだから激しくても大丈夫でしょ。
しばらく抱き枕にしよう。どうせこいつ実務とかしねーし。俺が帰ってきたらオナホ以外に用途がないもんな。
「……なんか、懐かしくて平和な光景ッスね」
俺の戦闘員たちが逆さづり噴水イキの刑に処されているエリザを見てうなずいてる。
こいつらやべえな。これが平和な光景なわけねえだろ。体格差とか見てみろよ。完全に事件だぞ。
やっぱ戦闘員ども、頭のネジがどっか外れてて怖い。
俺、こんな怖い頭のおかしい連中ばっかの悪の組織でやってけるのかなあ。
なんだか自信なくなってきちゃったよ。
◆三人称◆
「また一人、魔法少女が悪に染まりました」
その部屋──
総大主教が幹部たちを集めるその部屋には、今、総大主教その人と、もう一人だけが、いた。
真っ白い、細く小さな体をした少女。
『消滅のフラン』。
フランは無表情のまま、白い瞳を総大主教のいる薄衣の奥へと向けていた。
無言のまま、じっと、見つめるだけだ。
総大主教『聖なるマリアンヌ』は、慈愛を感じさせる声で、続けた。
「いつ以来になるでしょう。歴史的な快挙と言えます。……『始まりの男』が、一人の樹を反転させた。やはり、かつてあった『魔法少女反転事例』は、彼の才覚の表れだったのかもしれませんね」
「…………」
「たまには何か、答えてくれませんか? ──あなたの弟の話をしているのですよ、フラン」
フランは……
眠そうでもあった白い瞳に、鋭さを帯びさせる。
「フランの弟は、『影のセント』なんていう名前じゃない」
「名の返却は彼自身が拒んだものです。望めば、いつでも返しましょう。記憶も、名も。しかし──あなたが、果たして、彼に記憶が戻ることを、望むのですか?」
「…………」
「ねぇ、かつて、彼に反転させられた最初の魔法少女・フラン」
「……」
真っ白い少女は答えない。
薄暗い部屋の中には、耳に響くほどの静けさだけが、広がっていた。
第一部終了
第二部1月1日19時再開