時刻を前話より半日前にさかのぼります
十二月三十一日。
朝の七時。
「というわけで、今回はホノカちゃんを犯します」
作戦のおおまかなところはすでに資料で提供しているんだが、実行直前にはこういうブリーフィングがやっぱり必要だと思う。
共有されている情報が最新かを確認するっていう意味でも。あとわからないところを質問できる最後の機会はあった方がいいよ。そういうところに時間をかける上司でありたいね、俺は。
「すいません先輩、いいッスか」
「なんでしょう、イチさん」
「その人、外せないッスか? さすがに気が散るっていうか……」
ちなみに俺は今、白衣チビのオリガを装備している。
エリザみたいなことされたいというからしてやっているというわけだ。
時間がなかったので一日オナホハメ潰しの刑がこんなところまでずれ込んでしまったのは申し訳ないが、俺は約束を守る男でありたいので、こうして犯しているというわけだ。
「そういえばみんなに紹介をしてなかったな。この人は、この組織の技術面担当、総大主教様とも旧知の仲の、錬金術師『知悉のオリガ』様だ。くれぐれも失礼のないように」
「オナホ扱いは失礼じゃないんスか!?」
「普通に『オナホ』っていう言葉が飛び交う職場、ここが悪の組織じゃなかったらセクハラで訴えられてるぞ。イチさん、発言には気を付けてくれよ」
「先輩のせいッスよ!」
「でもまあ軽いから俺は気にならんよ」
「こっちが気にするって話をしてんスけど!?」
「なんだよイチ、うるせえやつだな。話が進まないから後でいい?」
「………………誰か……常識っていうのを……」
なんでお前が常識担当みたいに振る舞ってんだよ。
自覚しろって。エリザが公開レイプされた場所にいて、普段からこの状態でうろついてる俺がいる区画で過ごしてんだぞお前。しかもすれ違ってもスルーするじゃん。完全に異常者側だからな、お前。
「だいたいイチは心が狭いんだって。見ろ、新顔の二人を。俺が背丈が俺の半分もないオリガ様をオナホにしててもノーリアクションだろ。どういう気持ちか聞いてもいい?」
新顔──
一人は『深海のトマリ』だ。
彼女は俺の恋人であり、俺が不承不承悪の組織で使われている──という設定で接している。
だが、うっかりエリザをオナホにしているところを目撃されてしまった。
あの時は人生が終わったかと思ったが、そうはならなかった。
どうにも……
「別に、セントさんは素敵な方ですから。いろんな女性に言い寄られるのは、仕方ないと思います。……でも、恋人は私だけ、ですもんね」
「それはまあ、そうね」
恋人という名前で契約して肉奴隷にしてるのはトマリだけだ。
まあヤッてることは他の連中とそう変わらない。暇な時は犯してる。
ただのプレイ方針だろと言われればその通りなのだが、トマリにとって重要なのは、『真実の恋人かどうか』ではなく、『恋人扱いしてもらえるか』のようだった。
なのでそこのラインを守ってれば、比較的大人しい──ただ、圧は本当に強いので、ちょっと金玉縮むが。
そしてもう一人の新顔は、ウルフガールだ。
俺の直属の怪人なのでまあ会議に出す必要があるかなと思って呼んでるんだが、こいつには『俺は魔法少女解放を夢見てるんだ……』みたいな感じの設定で接してるので、そんなこと言う人が普通にメスガキをオナホにしている現状に何かコメントはありますか、みたいな感じで振ってみた。
ウルフガールは顔を赤くして、決してこちらを見ないようにしているが……
「……まあ、合意ならいいんじゃねーの。で、でも、目の前でやるなよ……」
というように、本当に普通の照れを見せてくれる。
その内心はやっぱりわからない。俺は人の心がわからない。というかトマリはまだわかるんだが、エリザとウルフガールがなんで俺のこの淫行を普通にスルーできているのかわからないし、エリザに至ってはそこでめちゃくちゃ嫉妬した顔でこっちを睨んでる理由がわからない。
オナホが増えるとお前の負担が減るんだぞ。そもそもなんで俺のこと超好きっぽくなってんだよ。俺、お前に好かれるようなこと何もしてねえって。怖いわ。
ともあれ。
トマリはともかく、ウルフガールへの説得材料と、俺の方針転換の理由は資料にまとめてある。
こういう内容だ。
「聞き出した情報によれば、魔法少女は『龍』になんらかの洗脳を受けて、給料もなく、若い時代の貴重な時間を『龍を守る』ということに費やさせられているかわいそうな被害者たちだ。俺はこれを救いたい」
これは本当に本心だ。
なぜって、俺が『魔法少女を救う』っていうことはつまり、『龍の洗脳を解いて俺のオナホにする』という意味だからだ。
したいよな、魔法少女を、オナホにさ。
なので本心。嘘偽りのない、美しい気持ちです。
これはトマリとウルフガールに、かなり感銘を与える方針だったらしい。
「……やっぱり、ヒナタちゃんもホノカちゃんも、おかしくされてたんですよね。……そうだと思った。だって……あんなに話が通じないの、おかしいですから」
トマリ的には何かが腑に落ちたらしかった。
そして、嬉しそうだった。
やっぱり友達は大事なんだろう。
一方でウルフガールの方は……
「体をこんなんにされたことは全然許してねーんだけど、でも……確かに、頭が晴れたような気がするんだ。その……せ、せ、セントさんに、さ、されて、から……だ、だからさ! 魔法少女たちを解放する方針には賛成する! セントさんのことなら、信じられるし……」
クソちょろ犬だ。
なお樹の認識はできるので幹部にもなれるようだが、俺直属の怪人でいい、とあの総大主教様を相手に言ったらしい。
総大主教様への感情は『うさんくさいとは思うけど、まあ、優しそうだし、この教団も魔法少女を解放してくれるんなら、少しは様子を見るか』ぐらいの感じのようだ。
ちょろ犬。
「そういうわけで、ホノカちゃんを解放していこう。ただ、解放にはやっぱり、『そういう行為』が必要になる」
「セックスだね!」
イき失神から目覚めたオリガがクソうるさいので、壁に背中を押し付けるようにして犯してイかせてまた失神させた。
ちんぽに刺さってるぶんにはいいけど騒がれると話が進まない。黙ってればかわいいオナホなんだから黙って使われてろ。
「失礼、俺のオナホが鳴ってしまった。……そういうわけで、セックスをします。ただ……無理矢理犯せばいいってもんでもなさそうなんで、いくらかの手順を踏む。そこで事前に渡した資料の通りの役割分担をして、ホノカぶち犯しチャートを辿る必要があるというわけだ」
ホノカぶち犯しチャートのところ、笑っていいんですよ。
なんで戦闘員もトマリもウルフもみんな真剣な目でこっちを見てんだよ。っていうか友達を犯す計画書とかいうおぞましいもんをどうして真剣に見られるんだ? もしかして魔法少女にも倫理観のない子しかいない?
人が増えても常識人がまったく増えねえな……
まあ悪の組織だししょうがねえか。
「魔法少女を救いたい。この基本方針で俺たちは行動をしていく。……そのために今回、トマリには重要な働きをしてもらおうと思ってる」
「頑張ります。……あの二人を、正気に戻してあげなきゃ」
友達想いな発言なんだけど、表情がヤバイんだよね。
目をカッ開きながら言うんじゃありません。怖いよ。
一応俺さあ、『昔の友達を陥れるような真似は、辛いかもしれないけれど……』みたいな説得も用意してたんだよ。
でもノリノリだから使う機会ねえんだよな。話の早い女は好きだけど、ちょっと寂しいよ。
「この作戦は大晦日に始まって、一日には終わる計画でいます。各員、役割を分担し、全力で当たりましょう。終わったら初詣で甘酒とか飲む計画です。希望者は二次会で、成人はささやかですが飲み会を企画しております。年初めに景気よくやって、一年のますますの繁栄を祈願しましょう。……ところで教団の初詣って神社にお参り行ってもいいんかな」
「総大主教様は気にしないと思うッス。前にエリザ様がクリスマスやってたんで」
「そうか。ならよし。というわけでみんな、頑張ろう! 掛け声するぞ! 魔法少女ー、犯そう!」
「…………」
「そこは『犯そう』ってみんなで言ってくれよ。それか笑ってくれ。いたたまれないだろ、小粋な冗談で緊張を和らげようとしてるのに」
「先輩、いいッスか」
「なんだよ」
「ついてける人がいないッス。フリがキレすぎてて」
「なんだと……」
でも今、魔法少女を犯す流れだったじゃん……
難しいな、部下との打ち解け。
変に上司っぽくしようと思わなくてもよかったかもしんない。
トマリちゃんの前で『ちゃんと上役として仕事してますよ』っていうの見せて安心させたかったんだけどなー。だから飲み会の手配とか頑張ったんだよな。まあいいか。
「じゃまあそういうわけで始めます。決着はできたら除夜の鐘が鳴るぐらいで。んでは各々作戦行動を開始してください。はい行った行った」