「恐らくあなたにとって、望ましいことが起こります」
新年会が終わった翌日にボスに呼び出されたので、またあの重苦しい沈黙の茶飲み話が始まるのかと思って、内心ビクビクしながら集会所に来た。
っていうかこの部屋の正式名称がわかんねえんだよな。『謁見の間』とかになるのか? ボスが薄い布の向こうにいて、円卓がある、幹部会をやったこの部屋。誰も部屋の名前とか気にしてねえし、俺も呼ぶたびに部屋名変えてる気がするんだよね。
というわけで名称不明部屋に来たわけだが、ボスは今回は誰かを待つこともなく、お茶もなく、いきなり本題に入ってくれた。
「望ましいこと──ですか。……想像がつきませんね」
「魔法少女たちが、一か所に集まってきています」
「………………なんでまた」
「『蟲毒のカミラ』が裏切ったようです」
……アリなんだ、裏切り。
因子注入の時に裏切ったら爆発する仕掛けとかされてるかと思ってたんだけど、アリなのか……
自爆装置仕込んでたらまあ、爆発させてるもんな。
でも一応聞いた方がいいかな……
「裏切りに際して発動する『罰』などはないのですか?」
「あの子には効きません」
あるんスね……
でも効かないっていうのは……
「……ああ、『蟲毒』だからですか。毒物が効かない……とか?」
「いえ。……そうですね、『因子』について、情報を与えてしまいましょうか。『因子』というのは、わたくしの血液です」
「……」
「この世界にとって、異世界のもの。この世界の人間の中の『その素養』を目覚めさせる劇物。それによる拒絶反応で、この世界の人間の中に眠ったままの魔法の力を叩き起こす──というのが、因子注入というわけです。そして、この因子は、通常、体に残留します。そして、わたくしの力を伝えるのです」
予想よりヤバいもんぶち込まれてて草。
いや草生やしてる場合じゃねーんだよ。……因子が記憶を奪うみたいな説明を白衣チビがしてたけど、それってつまり、ボスの一部が記憶を奪ってるってわけで、やっぱりボスには記憶を奪う力があるってことじゃねーの?
しかも遠隔爆破装置(取り外せない)の役割も兼ねてるのかよ。笑うしかねーな。
……だからこそ、
「それが、蟲毒のカミラには効かない? ……なぜ……」
「あの子は、わたくしの娘なのです」
「……」
「わたくしの血は、あの子の中では残留しません。相性が良いので、溶けてなくなり、循環するのでしょう」
「ちなみに旦那さんはどちらに?」
んなこと聞いてる場合じゃねーだろと自分でも思うんだが、気になってつい口をついて出てしまった。
いや、気になるだろ。あの年増いじりでキレてたカミラの父親で、ベールの向こうにいて姿もわからん人の夫だぞ。気にならん方がどうかしてる。
これでいきなり『無礼! 死!』とか言われる可能性もまあまああるんだが、この興味を抱えたままエリザの区画には戻れねえって。
「旦那というものはおりません」
「……えーっと……」
「強いて言えば、オリガとわたくしの子になります」
百合えっちで子供ができる世界の人?
……ああいや、そうじゃねえな。たぶんだけど。
『そういうもの』についての知識が、なんとなくある。
「……ホムンクルス?」
「ええ。……わたくしの血で作成されたホムンクルス。……人造の精霊。それが、カミラの正体です」
それはたぶんファンタジー単語だと思うんだが、一般常識と言えるぐらいに有名な単語でもあるんだろう。
『俺個人の記憶』のない俺にも、思い出すことができた。
概要は──さすがに思い出せねえな。オリガが錬金術師を名乗っていたから、それ関連で閃いたんで、錬金術関係の単語だとは思う。何か人を人造で創り出すような。でもまあ、その程度のざっくりした理解だ。
「えーっと……それがどうして、裏切りを働いたのでしょうか?」
「反抗期でしょう」
「………………」
「最初の予定とは異なりますが、あなたには、この裏切り者の粛清と、カミラが集めた魔法少女たちの相手を任せます。エリザとハハキも、あなたにつけましょう」
「……総力戦ですね。……粛清、ですか。それは……」
「好きになさってください」
血を分けた相手への愛情がない──というような断言はできないが、まあ、組織としての存続を優先したんだろう。
区画間移動は移動先区画の権限者の承諾がないとできないとはいえ、カミラが裏切って、カミラの区画に魔法少女たちを集められるのはヤバい。
あと区画間移動には抜け道があるっぽいんだよな。それこそ白衣チビオリガが許可なく俺の区画に来てたりするし。普通に考えてマスターキーみたいなもんがあるんだろう。
そのマスターキーの性質次第では、カミラにも同じことができる可能性がある。
そうなると『集められた魔法少女たちによって、アジトがしらみつぶしにされる』ということが起きてしまう。魔法少女は『幹部よりちょっと弱いだけの女の子たち』だし、苦戦ていうかまあ、普通に、死って感じ。
これに対抗するには幹部や魔法少女級の戦士を束ねて組織的に動くしかなく、我の強い幹部どもをまとめられて、魔法少女級の実力者を肉奴隷にしてる俺が適任というわけだ。
ただ……
「……総大主教様は、どうなさるおつもりですか?」
さすがにこれだけの危機だ。そこで見てるってわけにもいかんだろうよ。
俺が感じた威圧感が正しければ、総大主教『聖なるマリアンヌ』は、俺が束になっても敵わない強者だ。
まあ俺は別に強いわけでもないが、あのクソ生意気なサドガキのエリザが普通に従ってたことからも、強いと思って間違いないだろう。
この危機には出て欲しいもんだが。
「わたくしは、あなたたちを見守っております」
「……出撃はなさらないので?」
「すべて、あなたの糧に」
「……」
「わたくしは──『最悪の事態』に備えております」
「それは、いったい……?」
「集合は、エリザの基地で」
教えてくれねえんだもんな。
このマリアンヌの『君には何も教えません』の態度はなんなんだよ。
でもまあ、この人が『言わない』と決めたんなら、聞き出す手段もないし……
オリガにでも聞きに行くか。
あのチビマッド、口が軽いからな……
◆
「いや知らないよ。どうして総大主教様がきみにあんなにも知識を与えないのか、ぼくにはわからないね」
「使えないオナホだな……」
「オナホとしてはめちゃくちゃ使えるだろう!?」
こないだはまんこにハメたので、今日はアナル開発のお時間です。
フルネルソンスタイルでケツの穴を犯しながら情報収集をしてみれば、マリアンヌが俺に何も教えない理由は、マリアンヌの古い馴染みであるうちの組織の技術担当『知悉のオリガ』でもわからんらしい。困るね。
「ただ『最悪の事態』についてはわか、お、おほおおおお♡ ちょちょちょ、話してる時に引き抜かないでもらっていいか──おほおおおおお♡」
「あえぐな、うるせえな」
「きみのせいだろ!」
「相変わらずの水鉄砲ぶりだなあ……」
知悉のオリガ、かなり潮吹く。
あとこないだまで処女だし、体格はご覧の通り『一桁?』みたいな感じなのだが、かなり感じやすい。
人体の神秘っていうのか、穴も柔らかい。かなり伸びる。最初は『この穴、無理でしょ』みたいなサイズ感だったが、慣らしてやると結構広がって、俺のモノを呑み込むのに支障はなかった。
しかもちゃんと閉じる。普通ここまで広げたらガバガバになりそうな気がするんだが、丈夫なのか、なんらかの手段で原状回復をしてるのか。
まあ気持ちいいから手段は問わない。
プレイルームと化した第八実験室でケツの穴を犯し始めてまだ十分ぐらいのはずなんだが、何日か調教したあとみたいな見事な性器としてのアナルに完成している。
俺の淫行スキルが極まってきているのもあるとは思うけど、絶対にこいつの体質もある。
「で、なんだよ。『最悪の事態』って」
「『龍』が出て来ることだよ」
「出て来れるなら最初から来いよ。いたいけな少女騙してねーでさあ」
「普通は出てこれないんだけど、相性のいい……依り代っていうのかな? そういうのがいると、出て来れるんだよ。ぼくらの故郷の世界でも、『人類代表』がかなり相性良かったみたいでね。最終的には降りて来た」
「降りて来るとどうなるの?」
「超強い。あと、依り代の自我は乗っ取られる」
「最悪オブ最悪。世界の危機に対処するための人材を洗脳して尖兵にした挙句、追い詰められたらそいつの自我消して肉体乗っ取るとかなんなんだ? 存在が害悪すぎだろ」
「それはまったく同意なんだよねえ。……結局、操られた『人類代表』はマリアンヌが倒したんだけど」
「クソ強いなうちのボス……」
「……あれは、見てられなかった。うん、見てられない戦いだったな。二人はさ、友人関係でね。友達以上恋人未満な感じ?」
「そういえば確定してなかったけど、そっちの世界の『人類代表』って男?」
「そうだよ。聖女っていうのは人類代表を支える戦力であり、伴侶であることを望まれるんだ」
「どうしよう、知れば知るほど『龍』の外道さが深まっていく。……いや待って? その人類代表に勝ったんだ?」
「人類代表にっていうか、『龍』にだね。自我を乗っ取られて力は龍のものだから、本当に『肉体だけ』しか残らないんだよ。人類代表に聖女は勝てない。でも、外敵の『龍』には勝てる。そういう力だからね」
「ボスの力ってなんなの? 俺、記憶ぶっこ抜いてるのが力だと思ってるんだけど」
「間違ってないよ。というかたぶん、隠してもないよ。語ってないだけで」
「そうなんだ……まあ因子の正体がボスの献血だっていう話はさっきされた」
「マリアンヌはね、思い出を力に変えるんだ。人のも、自分のも。記憶を奪えるのはその副次的な効果さ」
「……」
「思い出、あるいは、想いかな。大事な人と過ごした記憶とか、そういうののほうが、より力になるみたい。まあ、力として使うと、その記憶は消えてしまうんだけど……この力は、『大事な記憶の相手』には使えないんだ。だから、人類代表には勝てない。その大事な記憶を全部燃やして、龍には勝った。そういう話だよ」
「…………俺の周りには、不幸な子しかいねえのかよ」
「君自身もだいぶ不幸寄りだよ」
「俺のこと知ってんの? それとも『記憶がない』のあたりを指して言ってる?」
「君は記憶と名前の返却を拒んだって聞いてるから、ぼくはその意思を尊重しよう」
「ケツ穴オナホとシリアスな話をしてることを思い出したわ」
とりあえずケツに中出しした。
滅菌してるらしいのでコンドームなしでも安全なケツだ。今度どっかの辻にでも置いておいてやろう。
「き、きみはさあ……!」
「イきながらしゃべれるぐらい順応してんのな……」
「きみ、常識的だよねえ、案外?」
「はぁ? 案外ってなんだ? 俺はこの組織で一番の常識人だぞ、残念ながら」
「倫理観がある。大人としての矜持もある。だから、子供が不幸な目に遭ってるのが許せないし、大事なものを失いながら戦う人には同情する。でもそれはそれとして踏みにじるし、こうやって好き放題に犯す」
「そりゃ必要ならそうするしかねーだろ。罪の意識は感じてるし、かわいそうだなあとも思ってるよ。でも若い穴が気持ちいいのも事実だし、俺はやっぱり色々欲しいから、我慢する気もない」
「だから不幸だよねえって」
「意味がわからん」
「ぼくの体で癒してあげよう」
「調子に乗るな。隷属紋刻むぞ」
「別にいいよ」
別にいいよと来たか。
……やっぱりこういうふうにされると、やる気が萎えるんだよな。
「嫌がるやつを追い詰めて隷属させる方が好みだからなあ。隷属したくなくなったら言ってくれ。隷属させてやるから」
「そして、ひねくれ者だ」
「部下にも言われたけどな。違うんだよ。ひねくれてるのはこの世界なんだ。俺は真っ直ぐだよ。ただ、ひねくれてる世界でひねくれてる状態を『真っ直ぐだ』って言われて育ったせいで、本当に真っ直ぐな俺みたいなのがひねくれてるように感じられるだけだ」
「っていうのを、部下にひねくれてるって言われた日から、いつか言ってやろうと思って考えてた?」
「挑発しても隷属紋は刻んでやんねーぞ。意図が透けてんだよ」
「観察力があるのも不幸だよねえ。まあしかし、考えておいておくれよ」
「なんでそこまで俺の奴隷になりてーんだよ」
「ぼくも『樹』が欲しいから」
「……あ?」
「ぼくはあっちの世界で魔法が使えない……まあ、障害を持っていたうち一人でね。樹があるかどうかがわかる感覚はあるんだけど、ぼく自身には、樹がないんだ」
「……」
「だから生き残ったわけだけど。『龍』の毒が効かないからね」
「錬金術は科学の原型だって話があったな、そういえば」
なーんか、みんな色々バックボーンというか、物語があるんだなーって感じ。
そういうのやめろよな。組織に愛着湧いちゃうだろ。
まあ、魔法少女入れ食いらしいし、守るように動いていくか。
あくまでも俺のためだ。まだマリアンヌもオリガも、俺の物じゃねーから、大事にしてやる筋合いないしな。