※この作品はR-18です。

悪の組織の戦闘員、スキルに目覚めて成り上がる   作:稲荷竜

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第37話 煌々原ヒナタ 1

 さて『蟲毒のカミラ』が裏切ったわけだ。

 

 総大主教様は『反抗期』とかいう『子供が成長によって人格を形成し親の不条理・間違いに気付き、親を一人の人間として信頼するかどうかを決める段階に至った時、その上で親を信頼できない相手とみなした場合の不信感の発露』を語る、子供を一人の人間と思っていない、思考停止者がよく使う偉そうなアホワードをカミラ叛逆の理由として挙げたわけだが……

 

 残念ながら、そんなアホでもなさそうなんだよな。

 

 たぶんいつもの『あなたにはなんの説明もしたくない』のバリエーションの一つだと思う。

 なんで俺にだけ幹部業務のマニュアルさえ渡すのを渋ったのかはなんも理由がわからんのだが、まあ教えてくれないんだからしょうがない。粛清していいって言われてるから、前向きに性奴隷にする方向で考えようと思っている。

 

 んでカミラが魔法少女を糾合できている方法はぶっちゃけ不明だが、魔法少女は現実的にカミラのもとに集まっているようで、総力戦の時は近そうだった。

 リミットはだいたい二月開始時ぐらいかなー。つまり一か月もねえってこと。わはは。ヤバすぎ。

 

 その間にこちら側がすることは、まず、魔法少女どもがこっちのアジト襲撃の足掛かりにしそうな、カミラの区画の掃除。

 どうにも総大主教マリアンヌ様のところに行くには、どこからでもいったん、誰か幹部の区画を経由しなければならんらしい。

 そういうわけで、カミラなんで、まあ、カミラの区画を使うだろうという、当たり前の推理だ。

 

 パスコード的なもん変えて戻れないようにしちまえばいいのにと思うんだが、そういうことはできないらしい。

 正しくは、マリアンヌ、カミラ、オリガを相手には、できないらしい。

 この三人の共通点は『異世界人の二親等以内』ということだ。うちのテレポーターは『基本的に異世界人は通す。そのほかに許可された現地人も通す』の仕様らしく、カミラとかはそもそもデフォルトで通るもんであり、俺らみたいなこの世界の人間だけが許可制なんだとか。

 

 そういう理由があるんでカミラの区画以外の警備もせにゃならんのだが、『蟲毒』のカミラの区画とか、戦闘場所になったら何仕掛けられてるかわからんので、事前の掃除は必須。

 

 そして悪の組織にも人材不足の波は確実に来ており、『すべての区画の警戒』と『カミラの区画の掃除』を並行して行おうと思うと、人手が全然足らん。

 こういうイベントは年末に起こせよ。どう考えても大掃除系だろ。

 

 まあしかしそういう地味作業で頑張るために戦闘員がいるわけで。

 

 俺がやることは、また違う。

 

 戦力増強だ。

 

 というわけで……

 

 ヒナタちゃんを、奴隷(なかま)にしておこうか。

 覚醒できる魔法少女とか、他にいなさそうだからね。

 

◆

 

 ヒナタちゃん関連なので、お友達に相談することにした。

 

「今、ヒナタちゃんがどこにいるかはわかりません。おうちも、あんな様子ですから」

 

 そういや初詣の時、めちゃくちゃ派手に潰されてたな、煌々原神社。

 

 ネットニュース辿ったらめちゃくちゃ俺らのせいにされててウケたよな。『大樹教団、初詣の神社を狙う』じゃねーんだよ。お前らが応援してる龍だよやったのは。

 第一、常識人の俺はむやみな破壊を嫌うんだ。もちろん、殺人や一般人に迷惑かけるのもな。

 だから面倒くせえ手順を踏んで初詣客が神社に近付かないように、近付いてても逃げるように騒ぎを起こしたっていうのに、クソ龍のせいで被害が出ちゃったんだよ。

 それを俺らのせいみたいにさあ……許せんよな、龍とマスコミ。

 

「ネットニュースだとご両親は神社の倒壊に巻き込まれなかったみたいだし、親戚のところでお世話になってたりすんのかなー」

 

「おじさんとおばさんも、行方がわかってないって言ってたぞ」

 

 ホノカちゃんがあっけらかんと言うので、『へえ、そうなんだ』ってスルーしかけた。

 けど待って待って。

 

「え、連絡とったの?」

「うん? とったぞ」

「普通に?」

「そ、それは普通にだけど……なんか変だったか? あ、よく遊びに行ってるから、連絡先とか知ってるんだけど……」

 

 連絡先を知ってる理由はどうでもいいんだが……

 

 ホノカが困っている。俺がおかしなことを言ったみたいな感じだ。

 でもまあ、おかしくはねえのか。別にホノカもトマリも就職先変えただけだしな。しかも二人の視点では『ヒナタが騙されてるから助けてあげたい』であって、悪いことしてねえし、俺が『生活は別に変えなくてもいい』って言ってるし、ホノカは普通に家に帰ってるしで、まあ、連絡ぐらい普通にとるか。

 

「……まあ、変じゃないな。しかし、行方不明か。『龍』に拉致されてそのまんまってことだよな。どうしよ」

 

「ヒナタちゃんに会いたいんですか?」

 

「うん。だっていつまでも一人はかわいそうだろ? トマリだって、お友達を助けたいって言ってたじゃないか」

「……そうですね」

 

 なんだろう、何か心変わりがあったのかな。

 乗り気度がかなり減ってる。

 

 まあしかし、ヒナタを助けたい──性奴隷にしたいのは、純粋に戦力強化のためだ。

 あとコンプ欲。三人組を二人まで堕としたんだから、最後の一人も堕としたいじゃん。半端に埋まってないと気持ち悪いっていうかさ。

 

「スマホもないんだろうなー。そういえば君らの変身アイテムってスマホっぽいけど、連絡はとれたりする?」

「とれるけど、トマリには通じなかったんだよなー」

 

 ホノカはちょっと言葉が少ないが、まあ言いたいことはわかる。

 悪堕ち後のトマリちゃんに何度も連絡したが、通じなかったのだろう。

 つまり『樹』が反転すると連絡不通になる可能性が高い──

 

「そっちの方法での連絡はまだやってないんだ?」

「もしつながってアジトの位置とかバレると迷惑かかるかなって……」

「あー、そうか、逆探知……不思議アイテムなら大丈夫って道理はねえな。じゃあそのへんは外でやってもらうとして……」

「尾行とかされないかな?」

「大丈夫だろ。明らかに人手が足りてねえから。龍とヒナタちゃんしかいないでしょ。まあ、今、集まってるらしい魔法少女組織にすでに合流してたらわからんけど。……あー、そうか。そんな危険な橋渡る必要もないな。普通に呼び出そう」

「どうやってだ?」

 

 ホノカはよくわかってない顔だった。

 

 トマリは……わからないな。俺を見る時はいつも幸せそうに笑ってるし、俺が発言しそうならそれを奪うこともないから、わかってるのか、わかってないのか。

 

「電波ジャックする」

「でんぱじゃっく?」

「言い方が古いのかな? ローカルでいいけど、テレビ局を攻めて、トマリとホノカがヒナタちゃんに伝えたいことがあるっていうことで呼び出す」

「ええー、悪いことだ」

「まあそうだな。なので無理強いはしないけど……」

「んー……でもセントさんがやるんなら、たぶん必要なことなんだよな。あたし、やるよ!」

「そうかありがとう。トマリは──」

 

「もちろん、セントさんのためでしたら、なんだってします」

 

「──ありがとう」

 

 超食い気味。

 やっぱ圧がすごいんだよな、この子。

 

 というわけで、やってみよう。

 

 なおこの作戦の懸念点は、魔法少女たちに俺らのテレビ局ジャックが伝わって、俺の行動が魔法少女連合vs悪の組織の最終決戦を開始してしまうことだが……

 一応準備だけして、あとはカミラが魔法少女たちを押さえ込めてることに期待しよう。

 

 ぶっちゃけテレポート使ってアジトに来られるよりそっちのがやりやすいのもあるしな。

 

 というわけで、ヒナタちゃんの説得を始めていくか。

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