うわー激戦!
カミラの区画が龍化魔法少女まみれで戦闘員とか怪人に任せてられる場合じゃねえもんだから、幹部全員がいきなり来た。
戦力の逐次投入は愚策という有名な言葉(有名か?)があるが、実際の戦いだと『防衛戦力と攻撃戦力のバランス』『軍を動かすことのコスト』などを加味した上で、さらに政治までやって、理想としては『最低限の戦力で相手に勝つ』というあたりを目指すことになる。
そういう状況で『最低限』を見誤ると逐次投入という愚策になるんだが、それはあくまでも結果論であり、きちんと成功してれば『最低限の戦力で勝利し、コストを無駄に消費しなかった』という上策になる。失敗するから叩かれるというわけだ。
しかしうちの本陣、別に守るもんもないし、最強の総大主教様が控えているので全然問題なく全戦力が投入されている。
そこらで龍化魔法少女と幹部がばっちばちに殴り合ってるの、すごい光景だよ。
そして思うよね。『このパワーインフレ、ついていけない』って。
戦場──
カミラの区画は事前に『掃除』をしたわけだが、案の定そこらじゅう罠まみれだった。
スキルによる『毒』は化学だの生物学だのの知識があっても対応しきれないところがある。それでもやったがまあ、こちらの備えとしては万全ではないだろうな、ぐらいの覚悟はあった。
だが相手がカミラを『土壌』にしてくれたおかげで、カミラの仕込みがあっても役立ってる様子がない。
薄く紫がかったライトに照らされたドーム状の空間で、超乱戦になってるあたり、ここから毒撒かれることもないだろう。
さて龍化魔法少女二十人vs悪の組織の幹部集団。
一番こっちが優勢なのは魔法少女信号機トリオのあたりだろう。
ヒナタ、ホノカ、トマリの三人はもともと三人で戦っていただけあって、コンビネーションもできてる。
龍化魔法少女の半分以上が三人に引きつけられてるわけだが、『蹴散らしてる』と言ってもいい戦況なんじゃないだろうか。
まあ頑丈っぽくて『倒す』まではなかなかいかない。
というか、魔法少女たち、基本的に不屈なんだよな……
根性があるというか。倒れても傷ついても立ち上がって、戦いをやめない。
世界のために。平和のために。中には知り合いでもいるのか『目を覚まして!』なんていう声も聞こえる。
なんだろう、引いて見てると完璧に魔法少女側が狂信者集団なんですよね。
こっちが攻めてる側ならまあ『街とか守るために必死になるよな』って感じなんだけど、あっちが攻めてる側のせいで狂信者感が際立ってる。
魔法少女の最大の特徴は攻撃力より『倒れにくさ』にあると、最近は思う。
どれほどの目に遭っても倒れず立ち向かってくる『幹部よりちょっとだけ弱い少女』、普通に脅威度がおかしい。
まあ、それ十人、しかもヒナタほどの圧は感じないとはいえ龍化して強化されてる連中を三人で相手にできてるこっちの魔法少女もおかしいが。
次に有利な戦場っていうか、有効な働きをしているのは、フランだ。
なんだかめちゃくちゃ速い動きで魔法少女の背後に回って一体一体を確実に意識を奪って仕留めてる。
なんだろうあの人、『戦い』じゃなくて『狩り』なんだよな、やってることが。
一人だけステージが違う。あと『消滅』のスキルは相変わらず俺には観測できない。もしかしたら使ってない可能性もあるんじゃないか?
そうして意識を奪われた魔法少女を拾って集めてるのが俺。
こんな激戦区で何してんのって感じだが、俺の戦場はやっぱりこういうセコくて卑怯な場所にある。
倒れて意識がないのをいいことに、一人一人感じさせて隷属紋の準備を整えていく。ただ、説得するための情報がねー連中が多いもんで、隷属紋入りやすくはするけど、実際に目覚めた時に隷属させられるかはわからない感じだ。
この魔法少女回収して一か所に集める作業を手伝ってくれてるのが直属の戦闘員たち。
もちろん戦いに巻き込まれたら死ぬので命懸けだ。命懸けで意識を失った子にえっちなことをしている。
フランと俺との共同作業で相手の戦力をこっち側にできればいいなーと思いつつ活動している横で、魔法少女とだいたいイーブンな戦いをしてるのが『大樹教団』幹部組のエリザとハハキになる。
あの二人もパワーインフレにちょっと置いて行かれてるんだよな。
しかも協調性がないのでコンビネーションもない。だから一人で魔法少女一人を止めるのがせいぜいだ。
まあその相手の魔法少女が龍化覚醒してるので、二人とも実力はつけてるんだろうけれど……
やっぱり元魔法少女組が強すぎる。何か違いとかあるんだろうか。
ウルフガールはエリザとかハハキとかの間で戦いながら、適宜二人をサポートしてる感じだ。
ここまでの戦いで意識を失わせて戦闘不能にできた魔法少女が三人。
ハハキ・エリザ・ウルフガールで二人止めてる。
ヒナタ・ホノカ・トマリの三人で十人は止めてる。
……五人、戦場にいねえな。
事前情報では二十人だった。
カミラの区画に仕掛けておいた監視カメラでも、二十人を確認してる。
でも、五人消えてる。
それに、『龍』もいない。
……まあ、普通に考えて、さっさとこっちの本陣に行ったんだろうな。
俺も俺でただ女の子にえっちなことをしてるだけだが、やっぱり死ぬほど忙しい。
できれば龍の入ったカミラを犯して隷属させて、うまく龍だけ叩きだしたりできねーかなあと思ってたんだけども、そううまくは推移しないか。
戦力を全部投入したツケで、総大主教様を守る兵隊みたいなものはいない。
まあつまり……
こっちは激戦をしているが。
……あっちでは、決戦が始まってるんだろう、たぶん。