アジト襲撃前の時系列。
まず、マリアンヌをどうにかするにあたって、俺のおちんちんが立たないというのが問題として立ちふさがった。
美人だしスタイルもいい。だが、立たない。俺の性なる部分が、マリアンヌを性の対象と認識しないのだ。
なんていうか、機械みたいな感じに思ってしまっていたのだろう。強さではなく、そもそもその思考方法とか、あるいは価値観とか、そういう人間性の面で、俺はマリアンヌに魅力を感じていなかった。
なのでマリアンヌを犯すにあたり、オリガからマリアンヌの話を根掘り葉掘り聞くところから始めた結果……
「ようやくわかりましたよ。これは、心を失ってしまったマリアンヌに、心を取り戻させる物語だったんですね」
「どうした???」
俺が綺麗な心で語ってやると、オリガが『マジで何言ってんだコイツ』みたいな顔をした。
今の結構良いコメントだったように思うんだけどな。
「いや、マリアンヌってさ、かつてはこう、なんだ、どう言えばいいんだろう……イケイケだったわけじゃん」
「いけいけ……」
「話を聞いたところ、今と昔じゃもう、キャラから違うじゃん」
「まあそうだね」
昔のマリアンヌはかなりステゴロ聖職者だったらしい。
気が強かったというのか。物腰の柔らかさは今とそう大差ない様子だが、根っこの部分が全然違ったようだった。
だが彼女は、『人間代表』だか『人類代表』だかを倒すために、自分の記憶の大部分を燃やしてしまった。
結果として彼女は今の状態になった──つまり、心を失ってしまった、というわけだ。
「正直に言えばさ、記憶を失ってもたぶん、性格って変わらないと思うんだ」
「きみを見ているとそう思うね」
俺たち戦闘員は記憶を失っているわけだが、じゃあ、戦闘員全部がマリアンヌみたいに、超然としていて機械的かと言われれば、全然そんなことはない。
俺の配下だけじゃなくて、戦闘員は記憶がなくても個性がある。たぶん、脳味噌というキャンパスに塗ったくられていた記憶という名の色を消されても、うっすらと色が残っているんだろう。
消し切れないぐらいこびりついたものは人間の頭の中に存在する。
それを完全に消してしまえるのが、マリアンヌの『記憶を燃やす』という魔法──なのだとしたらまあ、お手上げなんだが。
たぶん、そういう話じゃないと思う。
「人間の人格を変えるには、三つの手段がある」
「それを『手段』と表現するあたりが、実にきみだ」
「前提として人間は変わらない。ゆるやかな変化はあるが、根っこにあるところは変わらないから、その『根っこの位置』が個性って呼ばれるものになる。だから、人間全員から記憶を消したとしても、全員が同じ性格にはならない──この分析は恐らく正しい」
そもそもの話、生まれついての性格みたいなものが、人間には絶対にある。
そしてその『性格』はスピリチュアルなものではなくなんならメンタルなものでもない。人間を構成する様々な物質のバランスが生み出す、人間が完全に均一な規格で製造されないがゆえに揺らぎ。そいつを俺たちは『個性』と呼んでありがたがって生きているわけだ。
「人格というのが『生まれついての物質構成から成る外部刺激からの反応の差異』だとするなら、まず人格を変える手段は『外部刺激の調整』になる。つまり、どんな天真爛漫な子も、ブラック会社で社畜をやってると心が死んでいく、みたいな話だ」
「世知辛いたとえだな!」
「だからまあ遊園地とかに連れ出してたっぷりの休養を与えればマリアンヌも笑顔の素敵な女の子に戻る可能性はある。だが、そうする時間がない」
この方法は時間がかかるというのが難点だ。
というより、外部刺激による変化というのは『環境への適応』なので、一瞬でできるかどうかというのは個体差がかなり出る。通常は『だんだん慣れていき、いつの間にか適応が完了しているもの』と思うべきだろう。
「で、逆を言えば、マリアンヌが現在の性格になったのは、この『外部刺激への適応』だと、俺は思ってる」
「んんん?」
「そっちの世界が滅びて、五百年だか、復讐のために戦ってきたわけだろ?」
「まあそうだね」
「復讐心ってのには賞味期限があるんだ。いずれなくなるって意味じゃないぞ。復讐した時に一番気持ちいいタイミングってのが一瞬だって意味だ。何年も何年も……っていうのは、気持ちよくない。復讐は、復讐するようなことをされてすぐにするのが、最高に気持ちいい。取り置くとただの『こなさなきゃならないノルマ』に成り下がる」
「ぼくはどうにも、人間の心の機微はさっぱりなようだ」
「それはわかってるから、お前は壁打ちのための壁だ。俺はしゃべりながら自分の頭の中を整理してる。暇ならしゃぶってていいぞ」
「口淫ってあんまりぼくが気持ちよくないからなあ」
とか言いつつやりだすオリガ。
俺は椅子に座ってテーブルを挟んでオリガと対面していたわけだが、机の下に潜り込んでズボンのジッパーを降ろされて咥えられた。……このサイズの女の子に机の下でしゃぶられるの、かなり背徳感があるな。
「……まあようするに、復讐心を長持ちさせるために、マリアンヌは『復讐を完遂する機械』になろうと己を適応させたわけだ。それ以外にやることがないから、生きる目標を失わないために、その性質に特化したって感じかな。だから目的を完遂するまで、機械的なまんまだ」
「じゅぶっ」
「おい唾液を溜めながらしゃぶるの誰に習った?」
「どうが~」
「勉強熱心だな……」
オリガは基本的に勉強熱心なので、俺が知らない技術をいつの間にか覚えていることがある。
こないだオナホにしてたら子宮口を締めるとかいうテクを使われて、出す気のないタイミングだったのにうっかり出しちゃったからな。研究者気質はエロに目覚めるといろいろ楽しい。
「なので俺が採用するマリアンヌちゃんに心を取り戻させよう計画の肝はうおおおお!? おい、フェラ初心者がなんでいきなり喉で締めるとかいう技術を使えるんだ!? 思わず出ちゃっただろ!」
やべえな、今、俺、結構複雑なこと考えてるはずなのに、しゃぶられながらだとアホになってうまくまとまらないぞ……
机の下のおしゃぶり博士が、ちんぽから口を離してこっちを見上げてくる。
「ぼくねえ、人心には関心がないみたい」
「だろうな!」
「つまりなんだい、結論を言ってくれよ」
「その結論への道筋をしゃべりながら探してたんだろ! ……まあようするに、アレだ。えーっと……マリアンヌの体は間違いなくいいので、エロ本を読むように、あいつでコキつつ調教していくことにする」
「立つんだ」
「あいつの性格を勘案すると立たないけど、見た目はいいからな。他の女のこと考えながらならまあ、抱けるし……そもそも性感開発のためなら、ちんぽ立たせる必要もない」
「じゃあ『立たないんだ……どうしよう……』って悩む必要自体がないじゃないか」
「俺がしたいのは『〆』の話なんだよ。あいつを隷属させるためには、犯す必要があるからな。その時のために何を積み上げるかだ」
「何を積み上げるんだい?」
マジで関心がないみたいで、『何を積み上げるんだい?』とか聞いておいてまたしゃぶり始めたぞこいつ。
ええ……? お前の友人だろ……? しかも故郷の世界の唯一の生き残り? じゃないっけ?
その友人を抱く計画なんだからもっとこうさ……
いやまあ、悪の組織の人員にまともな対応求めるのは間違いか。
マジでいねぇな、まともな人。この組織には俺だけしかまともな性格のやつがいないんじゃないかっていうの、日に日に『疑い』から『確信』に変わってくんだよな。
「どうしよう、割といいこと言いたかったのに、なんかお前が興味なさそうすぎて言う気がなくなってきちゃったよ」
「ぼくは道筋に興味はないけど、そのぶん、さっさと結論を聞きたいよ」
「わかったわかった。ようするに……なるべくラブラブなエッチをして、俺たちの間に愛と思い出を積み上げようってことだよ」
「え、『抱かせろ』って正面から行くのかい?」
「いやそんな怖いことしないよ。こっそり隠れて優しく犯して、認識させたタイミングで愛しさを爆発させていこうかと思ってる」
俺にイかされると俺への信頼? 好意? が上がる。
そして俺は存在希薄化によって俺の行為を認識させないこともできるが、この『認識させない』は解ける。トマリちゃんに突っ込んでおいたバイブの存在を思い出させたように。
ただまあ、『今現在入れてる道具に存在希薄化をかけておいて、それを認識させる』というのと、『犯された事実を認識させる』というのだと、ちょっと勝手が違うが……
今の俺なら、かなり自由に自分の力を扱える。
「わかんないのはさ、きみの目的だよね」
「いや、隷属化に中出しまでの積み上げが大事だから、それを積み上げて隷属化させようって目的だけど」
「だからさ、組織が欲しければマリアンヌは断らないんだってば。そこまでする意味はない。『立たない。抱くのやめた』でいいじゃないか」
「……」
「そこをわざわざ『なんとしても抱くぞ』っていうモチベーションでいるわけでしょ。ぼくからすれば、まあ、マリアンヌはきっといい体してるんだろうけど、君がそこまで執念を燃やすほどかって言われると、わかんないんだよ」
「……俺さあ、俺の使命に気付いたんだよ」
「しめい?」
「ああ。俺は……目に付いた女の子を幸せにしたいんだ」
「頭の薬は専門外なんだけどな」
「なんで俺がおかしなこと言ってるみたいな感じなんだよ。人の幸福を願うことは人として当たり前だろ?」
「きみが『人として当たり前なこと』をするのは違和感まみれなんだって」
「この組織で一番の常識人なのに……」
「きみは『どうでもいい相手』と『そうではない相手』への態度の差が激しいよね」
なんだか俺にとって痛くもない腹を探られる話が始まりそうな感じだ。
理詰めで不利にされる前にさっさとゲロっちまうか。
「わかった、白状する。俺の欲望の一つに『蒐集欲』があるのを最近発見したんだよ」
「ふぅん?」
「目に付く女の子を幸せにしたいっていう気持ちも、実際のところ、本当にある。でもそれより強い気持ちは──やっぱさ、オリガ、ハハキ、エリザって、この組織の幹部級を犯して隷属させてきたろ」
「ぼくは隷属紋はないけど」
「実質奴隷じゃん」
「まあそうだね」
「だったら──残り二人だ。俺のコレクションに加えたいよな」
「なるほど! その方がきみらしくてわかりやすい!」
「だからカミラも救う。マリアンヌも救う。そして俺の奴隷にする。そこに加えること、俺は俺の物を大事にする。だから、目に付いた、俺の物には、幸せでいて欲しい──非常に人間らしい常識的な考えだ。わかるだろ」
「ああ、そう言ってくれたらわかるよ。つまり君は……強欲なんだ」
「欲しいものを我慢できない。因子の影響が強くなってる……のかな。樹が育つにつれて、この『我慢できない』が強くなってきてる。でも、そもそもの欲求がなければ、『我慢』なんかする必要はない」
戦闘員になってから、俺は自分でもわかるぐらい、欲望を耐えられなくなっている。
そのために命を危険にさらしても、やりたいことを堪えられない。ハハキの時なんか、それで無意味に自分の身を危険にさらしたりもした……まあ、無意味ってほどじゃあ、ないか。
「フランにちょっとだけ『子供のころの自分』のことを聞いて、改めてわかったんだよ。俺は──昔から、こうだった。記憶がなくなっても、性格は変わらない。俺はたぶん、昔から、目に付く全部を『綺麗にそろえて』おきたかったんだ。潔癖症かな。だからこそ、人心を読んで、幸福に導けるように努力した。記憶はなくなっても、人の心理に興味があるのは、そういう過去があるからだと思う」
「ふーん」
「マジでお前、『人の気持ち』に興味ねえな……」
「どうにもそうらしい。というか──ぼくがもしも、人の気持ちに関心があったら、マリアンヌがああなる前に、気付いて手を打てただろうね」
「……」
「最近、きみと話すようになって、改めてマリアンヌの様子を見たよ。……いやあ、『ああ』じゃなかった。彼女は確かに、『ああ』じゃなかった。口調も表情もああいう感じだったけど、『ああ』じゃなかった。『ああ』じゃなくて……気持ち悪いと、気付かされた」
「気持ち悪いってお前な……」
「だから、昔のマリアンヌに戻してもらえるなら、そうしてほしい」
「……」
「マリアンヌの顔をした『違う何か』だよ、あれは。……戻せるなら、そうしてほしいんだ。本当に、そう思った」
「つまり、お前も案外、友達が好きだってことだな」
「綺麗な表現だね。それでいこう」
実際は違和感に基づく嫌悪感をなくしてほしいという話だが、こういうのはいくらでも綺麗っぽく言い換えができる。
言い換えができるんなら綺麗っぽい方がいいだろう。
というわけでマリアンヌを元に戻し、彼女に心を取り戻させるために……
聖女の体をえっちにしていこうと思う。
対戦よろしくお願いします。