かくして『龍』が倒れ、魔法少女たちは戦う理由を失った。
そもそもが『遺伝子の励起能力の付与』で魔法少女になってたらしく、魔法少女としての力は失われなかったが、それでも、オリガを襲ってた最精鋭、それより強いヒナタ、ホノカ、トマリも含めて、すべての魔法少女は、俺の元に統一されることとなった。
こうして世界に争いはなくなり、龍脈溜まりはすべてが大樹教団の手に落ち、この世界は魔法世界へと変わっていく──
──はず、だった。
だが、そうはならなかった。
ならなかったんだよ。
「まさか俺を巡っての戦いが勃発するとは思わないじゃん」
この状況を作った理由はたった一つだ。
俺の体が一つで、俺のちんぽが一本だった──それが、理由。
あと状況的に仕方ないとはいえ、魔法少女連合を一人残らず堕としたのは普通に管理できねえよ。
いや本当にああするしかなかったんだけど。
まず、魔法少女連合を倒したあと……
アジトの片づけをし終えたころ、トマリちゃんから、こんな提言があった。
『セントさんは、私の恋人ですよね。私をお嫁さんにしてくれましたよね』
確かにしたので『うん、そうだね』と答えた。
するとマリアンヌからこんな発言があった。
『そうですね。まあ、女を増やすことにはとやかく言いませんけれど。娘もいることですし、そろそろ落ち着いてくださった方が良いかなとも思っていますよ』
これはカスの嘘の結末なのだが、そのカスの嘘を作り込んで流し込んだのが俺なので、『まあ、そうかもな』と答えた。
すると圧の強い笑顔の二人はしばらく見つめ合って、何かを視線で話し合って、あと丁寧語でのなんらかの応酬があって(ストレスが高いので聞きたくなかったから聞かなかった)、こうなった。
『では、戦争だ』
なんでそうなるのかわからない。
ごめん、わかる。話し合いでケリつかねーもんな。
マリアンヌの記憶がカスの嘘だって言っても、マリアンヌは信じない。
俺が言えば信じるかもしれないが、俺は言う気がない。
トマリちゃんに『実はあれ、魔法少女三人組を切り崩すためのカスの嘘だったんだよ』ということも言えない。
なので女二人が争う流れになるのを、俺は黙って見送った。
だって怖いじゃん、間に挟まるの。
でも一言だけ言った。
『ケンカするなら外でやれ。あと、死なない程度にやれ』
そういうわけでトマリちゃんは魔法少女たちを糾合し一つの組織を形成した。
……そもそも、マリアンヌからトマリちゃんに与えられていた密命というのが、『魔法少女適性のありそうな子を探し出して、組織に連れてこい』というようなものだった。
その結果、連合を組んでアジトに攻め入ってきた魔法少女だけではなく、大樹教団が新しい怪人候補としてリストアップしていた魔法少女候補たちまで、トマリちゃんの組織に入った。
当然、魔法少女三人組なので、ヒナタとホノカもトマリちゃんについた。
そして意外なことに……
『アタシもあっちつく!』
エリザが、魔法少女になった。
いや魔法少女組織に入ったっていう程度の話だが。
この意外な所属変更には驚いたが、主張を聞いてみると、『最初に堕としたのに全然大事にしてくれないし、なんか組織のボスがNTRしてくるし、もうこっちの味方してらんない!』ということだった。
もっとエリザを大事にしてやればよかったとこの時思った。
そしてこちらの組織にはマリアンヌ、カミラの『正妻と娘』、それにもともと大樹教団に忠誠があついハハキ、それから流れで怪人にされちゃったのでウルフガールがいる。
オリガとフランは中立、やや大樹教団寄り、というところか。
かくして世間では相変わらず大樹教団と魔法少女とが争う様子が日々見られるままになった。
ただしこの戦いは競技みたいなもんだ。優勝賞品は俺で、殺すのはご法度。
あと別に優勝者が決まるまで誰も抱かないわけじゃないので、普通に気が向いた子のところ行ってセックスとかしてる。魔法少女連合のみんなは……まあ、かなり後回しだけど、求めたら一回ぐらいは抱いてやるようにはしてる。
義務にするとセックスって楽しくなくなるからな。気が向いたらやるぐらいでちょうどいい。
「あなたは昔からそうですよね」
俺の昔の何を知ってるんだよって感じの相手が、すげー知ってそうに言う。
マリアンヌだ。
今日は気が向いたので、マリアンヌとカミラで親子丼をしている。
なお俺とマリアンヌが夫婦という事実はなく、よってカミラが俺の娘という事実もないのだが、すべては俺のカスの嘘のせいで幻想の家族関係が生まれてしまった。
世に複雑な事情を持つ家族は数あれど、俺んとこほど複雑な事情で形成された家族もそうはないだろう。全部砂上の楼閣、全部蜃気楼だ。カスの嘘でできた偽りの親子関係。
「お母さま~、こう?」
カミラの無邪気で油断しきった声が、なんとなく違和感。
俺にとってカミラっていうのは、やっぱり幹部会の最初に会った『すげー偉そうなお色気おばさん』なんだよな。
それがなんだろう……やっぱ油断しきってる時の声と、他人に向ける声って、声帯が同じでも全然違うんだよね。今のカミラの、家族に向けるような声。……かつてのカミラでは絶対に出なかったタイプの声だと思う。
その我が娘(カスの嘘)のカミラは今何をしているかと言えばパイズリなので、教育に成功したと思えばいいのか、失敗したと嘆くべきなのか……
「ええ、そうですね。きちんとお父様が気持ちいいようにね」
「はーい」
間延びしたカミラの声を聴いてると、幸せってやっぱり脳味噌の中で勝手に生み出すもんだよなあって気持ちでいっぱいになる。
カミラはアホになった。
だが幸せにもなったんだろう。
少なくとも、柔らかいおっぱいに挟まれて、先っぽ吸われて、俺のちんちんは幸せだ。
マリアンヌが顔をのぞきこんできている。
美しい顔だ。本当に、美しい。シミはなく、当然、シワもない。くすみもない。輝かんばかりの肌。造形もいい。美人だ。本当に。
でも、かつての、超然としていたころのような美術品の感じはない。
人間だ。……これが俺のモノだと思うと嬉しくなる。俺は絵画を家に飾る趣味はないが、美人をコレクションする趣味はあるらしい。まあ、誰かに自慢はしないが。
「女を増やすのはいいですけど、わたくしも、二人目が欲しいです」
実は俺たちの子供、まだゼロなんだよね。
しかしそんな真実はマリアンヌの中にはない。彼女の人格を形成しているのは、五百年前に俺とともに冒険をしたというカスの嘘なのだ。
「わかってるよ。まあでも、できるかな子供」
「できるでしょう。かつては、できたのですから」
俺の精子、マリアンヌの因子を注入されたせいで子なしっぽいんだけどね。
まあいい。なんか、出来ると思えば、出来るのかもしれない。
マリアンヌが唇を寄せてくる。
抵抗せず吸い付きながら、カミラのパイズリに合わせて、射精する。
なんて気持ちいい家族関係だろう。
結局のところ、家族っていうのはやっぱ、最高なんだよな……
◆
「セント、記憶はいいの?」
お姉ちゃんが馬乗りになって俺のモノを咥えこみながら聞いてくる。
マジで肉体のサイズ差がヤバくて、俺のモノが入った下腹部がちょっとぼこっとしてるんだよね。
あとそこで一心不乱に俺の乳首を舐めてるオリガ。
会話とか情緒的なことをするつもりが全然ないらしい。参るね。
なのでお姉ちゃん──フランとの会話に集中するか。
「記憶ねえ。記憶。まあ、風呂入ってる時とか、ふっと『昔の俺って、どういうやつだったのかなあ』と思う時はあるよ」
「うん」
「でも寝て起きると、忘れてる。興味がない。あと、興味がない以上に、今はあんま、昔の記憶を入れたくねえんだよな」
カスの嘘で記憶を植え付けられて俺のこと夫とか父親と思い込みながらちんぽしゃぶってる女たちがいるからな。
怖いよ、一度外部に抜かれた記憶を戻すの。何仕込まれてるかわかんねーし。
「フランとの思い出はいいの?」
「思い出ってあとからでも作れるじゃん。というかさ、フランこそだよ」
「?」
「俺がお前のこと『お姉ちゃん』確定させて、お前で立たなくなったらどうすんだ」
「………………」
「俺とセックスするのやめられる? 今さら」
「じゃあ、記憶はいい」
やれやれ。姉が性欲に負けて悲しいよ。
俺は射精した。
「そこのマッドも聞いてるか?」
「え? 何? 乳首気持ちよくない?」
「いや気持ちいいよ。男の乳首も性感帯なんだなって……いや待て待て。先に本題を話させろ。お前も余計なことして、俺に記憶戻そうとかしなくていいからな。むしろ、戻すな。いいな?」
「まあ、セフィロト反転の鍵は記憶にはなさそうだしねえ。ぼくは変わらず、樹のない者でも樹のある者に抵抗できるような研究を続けるよ」
「心配ないとは思うけど一応な。この組織で俺に記憶戻せそうなの、マリアンヌ以外だとお前だけだから」
「さすがにそこに干渉は──まあ、可能性もないとは言わないけどね」
「そうだろうな」
「……あーあと」
「うん?」
「マリアンヌを『聖女』に戻してくれてありがとうね」
「………………『戻した』………………?」
「まあやったことは『戻した』とは程遠いかもしれないけどさ。あれが、ぼくの好きだった、からかいがいのあるマリアンヌだよ。かわいい、スレて、ひねくれた、お嬢さんさ」
「もしかしてだけど、オリガの恋愛対象ってマリアンヌだったりした?」
「まあ大事ではあるけど、恋愛ではないねえ。娘みたいな?」
「じゃあ今度マリアンヌとカミラとのセックスに混ざって祖母娘孫丼やるか」
「そこで『祖母』として加えられるのは遺憾だねえ!」
「そうか。じゃあ抱いてやる。……フラン、ちんぽ代われ」
「やだ」
「嫌ですって」
「なんかさあ! 最近、フランがずっと『ああ』なんだけど!? あんな扱いにくい子だったかなあ!?」
まあ猫被ってたんだろう。
うちのお姉ちゃん、ああ見えてかなり独占欲強いからな。
中立の第三勢力ぶってるけど、別に俺を巡る戦いに『中立』とかねえしな。なんで中立みたいな顔で加わってなんとなく中立っぽく扱われてるのか全然わからん。うまくやったなって感じ。
まあ、俺の軸はなんだかんだここにある気もする。
魔法少女たちもマリアンヌたちも、もう『俺の手駒』っていう扱いしにくい雰囲気だし。
俺が個人で動かせるこいつらがいるのはありがたいよ。
やっぱ、最初に出会った女っていうのは強いのかもな。
マリアンヌみたいにカスの嘘じゃなくて、本当に……まあ、本当かどうかは確定させないようにしてるけど。子供のころの俺を知ってたっぽいフランがそばにいるのは、ありがたいことだよ。
◆
「おかえりなさい、セントさん」
トマリの家はいろいろあってご家族の方々が引っ越したわけだが、トマリはその家を買い取って俺との愛の巣にした。
ヒナタちゃんとホノカちゃんもお友達としてよく来るらしい。
あと魔法少女たちも『トマリリーダー』に相談に来るとか。
頼れる最古参魔法少女だ。
で、お手伝いとして世話になっているのがエリザってわけ。
「エリザ、ベッドの用意をして下がっていなさい」
「…………ねぇ! なんでアタシがメイド待遇なの!? おかしくない!?」
「住む場所もない、食事も満足にとれない、そういうあなたを拾っているのですから、何か働きで返してください」
トマリちゃんの視線が極寒なので、エリザが黙ってしまった。
まあなんていうか……普通にパワー・戦闘能力でも、今はトマリちゃんのが上だしな。
エリザは金はまああるんだけど、マリアンヌと対立してるので収入はないし。かといって金遣いを改める発想もないし。もう破滅一直線の地雷女って感じだった。
そこをトマリちゃんが拾って世話してくれてるんだから、経済・戦闘・精神的ヒエラルキーの三点でまったくトマリちゃんに逆らえなくなっている。
見ててかわいそうになってくるんだよな……
俺が最初に見たエリザは、圧倒的なドSの女幹部だった。
それが今や元魔法少女の下働きメイドだ。
かわいそうで興奮する。
「まあいいや。おいエリザ、パンツ脱いでこっち来い。トマリと食事をしてる間オナホにしてやる」
「え♡」
もう嬉しそうでかわいいな。
俺、なんだかんだ、エリザのことかなり気に入ってるんだろうな。
トマリはまあ、セックスするんだけど、俺との関係に求めるものが『夫婦』なせいで、お風呂入ったり、食事したり、雑談したりみたいな前戯が長い。
ところが最近の俺は女のところに自分から行くとセックスするもんだと頭が覚えてしまってるので、トマリをたずねた時点でかなりチンポ立ってる。
そこを夫婦らしいロールプレイという前戯で焦らされるのはなかなかたまらんので、トマリとの前戯の間、とりあえずちょうどいいオナホのエリザで抜いておくというルーチンが確立されているわけだ。
なお、エリザを使ったあと、トマリがかなり不機嫌なので、そんな状態の家に残されるエリザはかわいそうだが、かわいいのでよしとする。
エリザが下着脱いで近寄ってきたので、両脇を抱えて持ち上げて、ハメる。
ズボンとかパンツ、ないよ。最近は面倒で下はすっぽんぽんのまま移動してます。どうせ誰も俺に気付かねえし。
「っああああぁぁぁぁぁぁ♡」
「入れる前にびしょびしょじゃねーか」
「だってぇ♡」
「しかも一回突っ込んだだけで何回イッてんだよ。元幹部のエリザさん、こんなに感じやすくて恥ずかしくないんですか?」
「あ、アタシのぉ……せい、じゃ、なあああい……♡」
「じゃ俺のせいか? それはごめんな。責任持って犯すね」
「ひ、ぐぅ♡」
ほら見ろ、トマリの圧が強い。
トマリちゃんは機嫌がいいとラブラブえっちをしようとするんだけど、不機嫌だと激しく求めて来るので、抱く前に多少不機嫌にさせておくのが気持ちいいセックスのコツなんだよね。
人付き合いのライフファックです。
「トマリ、最近は魔法少女たちはどう? 新顔増えた?」
「……増えました、けど」
「いや、さすがにこれ以上、女は増やさねえよ。それに、家で食事してさ、ゆっくり話して、お風呂入って、そんで……っていうのしてる相手、トマリだけだから。そこは、心配しないでいい」
「……はい」
これは事実。
マリアンヌとカミラは自認家族だけど、カスの嘘でほとんどセックスしか流し込んでないから、一般家庭としては破綻した家族関係になってる。
っていうか娘自認のカミラを抱いてるっていうのですでに家庭としては破綻してる。それはそう。
さて、魔法少女──
──増えるんだよね。龍がいないのに。
これが龍の残滓みたいなもののせいなのか、あるいは龍じゃないやつが増やしてるのか、わからない。
増えた魔法少女たちは自然発生的にある日目覚めるようで、何かに干渉されて魔法少女として目覚めさせられた……というようなものではなく、目覚めさせない方法も、魔法少女をやめさせる方法も不明だ。
そのへんはオリガが研究してるが……
ともあれ、せっかく魔法少女に目覚めたのに、得た力を持て余させるのもかわいそうだ。
なのでトマリちゃんとマリアンヌと俺で談合して、事情を知らない魔法少女が気持ちよく大樹教団と戦えるような環境を作ってあげている。
戦闘員も怪人も増員してる。魔法少女を目覚めさせる『何か』がいたとしたら、マリアンヌが小出しにできる一般人の記憶もあった方がいいからな。
龍は滅びたようだが、俺はこんなふうに相変わらず悪人をやっている。
どうにも悪人が最初から性に合ってたらしく、最近は毎日楽しい。
誰かが被害に遭っている現状は申し訳なく思うが、まあ別に俺の知らない人がどうなろうと知らんので、俺たちの平和なセックスライフを守るために犠牲になってくれ。ただしそこまで深刻な迷惑はかけないよ、という気持ちでいる。
というか怪しい治験バイトに応募してきたり、孤児になって受け入れ先が教団救護院しかないっていう状況の社会が悪いのは普通にあると割と本気で思ってるからな。
でも社会を変えるのも面倒くさいので、いいところだけつまみ喰いしていこう。適当にそれっぽい説法で、偽物の救いとか示しながら。
……戦闘員だった俺が、思えば偉くなったもんだ。
組織どころか、魔法少女たちも含めた集団のトップで、この世の闇で暗躍する教団の実質最高の権力者みたいになっている。
成り上がった。
まあ、しかし、それで何が変わったかと言われれば……
何も変わらない。
好き放題に生きて、適当なところで滅ぶだろう。
何せこの世の中、悪はいつか必ず滅びるものなんだから。
俺に鉄槌を降してくれる正義のみなさん、いつまでも、お待ちしております。
これにて完結です。
ありがとうございました。