異能幸運レアドロップでイキ抜く♡ピネスと校長の不気味なダンジョン冒険記Re: 作:山下敬雄
天秤の左の石皿へと白きキューブは載せられた。
運動後の体を涼もうと校舎外を徘徊中、ふと知り合いの背姿を見かけたピネスは、正門広場にある小高い緑のエリアにおそるおそる入った。
そして女神石像の前で祈るその知り合いの背をピネスは見つめた。漂い始めたいつもとは違う厳かなる雰囲気に黙しながら────。
「学校生活の方はどうかね? 最近はダンジョンもお休みだからな。調査パーティーの編成とローテーションが整うまで、何かまた校内クエストが必要といったところか?」
目を瞑り祈りつつも、プラチナ髪と黒スーツの背中から彼女の声が聞こえる。気づかれないように忍び寄ったつもりだったが、男子生徒の気配は校長先生にはお見通しだったようだ。
背中を向けたまま静かに語りかける彼女の姿に、いつも以上のとても格好いいスペシャル感をピネスは不本意ながらも感じてしまった。
「えぇ? あぁー、別に今日も廊下歩く度に普通に色々あって、まぁ校内クエストってほどの大事じゃないっすけど……ってか、ソレって一体? その四角いのって……まさか?」
「やはり良い肉は、先にお上に奉納しないといけないだろ。緒方から、キューブモンスターずから肉がドロップしたとPINEで報告が来てな。ちょっくらブク校の女神への供物にしてみた次第だ。もっとも楽しい楽しいホットプレートなパーティーに私がお呼ばれされなかったのは、ちょっぴり寂しい減点ものだが、まぁいいだろう。フッフ、校長があまり出しゃばるのもな」
と思えば、いつものようにニヤリ顔。正座していた膝を上げ、振り返った姿は、いつもの見慣れた不黒文校長先生のようであった。
「アレは、なんつぅか……言い訳するならパーティーというより事前試食会ってやつで……はは。あの、そのキューブモンスターの肉って、ひょっとしてドツジのこと? またぽろっと、撫でてる最中にドロップしたのかな。(食後のシタンがまた熱心に撫でてたな)えーっと、それでほーのーって?」
「あぁ、女神の持つ皿の二枚ついたこれは天秤だ。いつぞやの理科の実験でも分銅をピンセットで摘み、このような受け皿の上に乗せてみたことだろう? その天秤を大きくしたようなものだ。うむ、そして天秤の上に乗っかっているのはキミの言う世話をしたドツジのお肉だ。奉納とは、神にプレゼントをささげ喜んでもらう行為のことだな」
「なるほど……」
「いいか? ちなみに女神ガイアは世の善悪のほとんどを取り仕切る、安直にもこのように【天秤の女神】と呼ばれているらしいが……ふむ、どうやら私がいつも祈っていたのは別人だったようだ。こちらはあまり、私の目にはメラメラしていないからな」
「別人? 女神が? めらめら……?」
「女神も色々他人には言えないヒミツ♡があるということだ。ん、──そうだキミも一つ、そんなミステリアスな、ブク校と世の象徴に祈ってみてはどうかな」
「え!? あぁー……俺は別に今更というか、なんというか……はは、特に今すぐ祈ることもないですし、はは」
「ふっ、偶像に祈ることは恥ずかしいようか? そうだな……実はなここだけの話、この天秤は物を置くだけでは傾かない、深い愛と信仰心で傾くものだ。そして神を愛し信仰するとなんと、こちらの魔力が上がるおまけつきだ」
「え、まじ?? 魔力が!?」
「信仰をガイアにしてクラスチェンジをした光の魔法剣士は、魔力がぐーんと上がる! ──という仕様のゲームがあってだな、ふっふ」
「ってゲームの話かよっ! ……紛らわしいな……あ」
「ん、どうした?」
「あぁー、────────そうだっ! ……なんだっけ……痛てっ!?」
「キミは私を舐めているな? 校長だぞっ! さっきほどの虚無な数秒は、この世にないというものだ。まったくそんなぼけーっとしている暇があるなら祈りの一つでもささげろ。よし、とすれば校内クエスト発令だ! ふっふ」
「校長ならゲンコツしないでくれたら………はいっ」
ゲームと聞き、ピネスは何かを一瞬思い出したつもりが、また次の刹那に忘れてしまった。
そんなぼーっとしながらふざけた生徒へと、天から下ったゲンコツ。女神に代わり校長の仕置きがピネスを戒めた。ついでに今発令した校内クエストという体で、ピネスは校長の隣に並ばされた。
ピネスは天秤の女神ガイアへと、隣にいるお方に倣い見よう見まねで祈りをささげた。
(最強スペシャル不黒のふぅーちゃんこと校長せんせーの目論見どおりに達成した《キューブモンスターず量産計画》の次は、《Dplus計画》が着々と上手くいきますようにっ!! ふっふーー!!! あとは、あの生徒の復活に、開催予定の運動会の種目に灼熱のSPモンスターレースをぶっこむ計画も忘れずにな、さらにブク校裏魔術生徒会の結成に……そうそうこれも欠かせないぞっ! 今までは生徒たちの成長を第一に世話をし奔走していたが……そろそろ、ふぅーちゃん本体の大幅アップグレ──)
(クリティカルが出るように……とでも一応やっとくか……って、あれ? これももしかして〝ゲン担ぎ〟か? 心の中の登別さんが言うには……そうっぽいな。んー、じゃあお言葉に甘えさせてくれるかは知らないが、あの時のあの技を──)
捧げて祈る、目を瞑り2人、とても熱心に。
次第、集う愛と信仰心と願いに、白きキューブをのせた石の天秤は────傾いた。
ウッドキューブにきのこを共生させて、間引き手入れをする。一度生えたきのこを間引くことで、次により大きなきのこが生えることがあるのだ。
榎田椎名は近頃流行りのキューブモンスターたちと仲良くなり、さっそく自分の活動における有効活用をしている。
モンスターであるウッドキューブに愛をもって世話をするそのかわりに、きのこの原木となってもらう。人とモンスターそしてきのこの素晴らしい共生関係が築かれつつあった。
榎田椎名は、るんるんと鼻歌混じりに脚立に足を掛けのぼり、手持ちの如雨露で宙に浮かぶ四角い原木たちへと水をあげていく。
魔力と愛を込めて────光を反射しながら校舎裏庭の空に虹を描いた。
鮮やかに煌めく虹のアーチの間をゴロゴロと、丸い岩獣が競うように転がり抜けてゆく。
「待つのでーす!! 校舎裏を転がってはいけないのー!! シュブンキンもランタンに戻るのです!!!」
追いかけ逃げる、白熱するアルマジロと金魚とピンク髪の人間のレースは──
「あん? アルマジロが生意気だと〝クリティカル〟する、よっ?」
丸まっていた3つの岩は、突然大の字に体を開いて止まった。そしてゴロンとその場に倒れては、岩獣たちはその腹を見せた。
転がり競う本能とのめり込むレースの楽しさを、思わず忘れて3匹同時に降参してしまう。
モンスターイワマジロは、その水色の服と鬼のような赤色の瞳を持つ人間による〝クリティカル攻撃〟なるものの脅威を、遺伝子に刻まれ知っているようだ。その身が粉々に砕ける前に、目の前に立つ格上の雌鬼に降参したことをアピールする。
亀のように可愛く裏返るアルマジロに似た生物の姿を見て、用務員の池原叉鬼は笑った。
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▽
PINEでメッセージを送ったのは彼女との約束を、再び見つけて思い出したからだ。
時刻は午後8時過ぎ、秘密の夜遊びは、白箱からとりだした黒いジグソーパズルで。
「今回も、同じね」
「あぁー、だな……?」
「なんなんだろなこれ?」
「きっとなんの意味もないことね」
「そうだな、はは」
「次は浦木くんが箱を開けてくれたほうがよさそうね。前に言っていた古い戦いの模様のつづきが見られるかもしれないわ」
「俺が? いいのか? そっちも解いてけば次は違うかもしれないぞ? あぁー……なんか、案外笑ってたり?」
「たとえ次に出てくる表情が違っていて何かを意味していても、面白くなさそう、そんな気がするわ。でも……この人が笑っているそんな結末は、そうね? ────案外いいと思うわ、ふふ」
登別海と浦木幸、2人の手と魔力を用いて、ツギハギ繋げられたジグソーパズルは完成した。しかし、パズルは解けない。どうやらこの物語にはまだまだつづきがあったようだ。
登別海は、今集ったピースの形作る物語に興味はない。されど今彼がつぶやいた結末は、何故かとても素敵なものだと思ってしまった。
四角く切り取られたジグソーの世界に茶髪の女子生徒が映り止まっている。その凍りついた時の中で、彼女の見せる不安気な表情は────やがて、ぼやけるように静寂の図書館の中に消えていった。
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▽
深夜に校長室に訪れたのは、PINEに送りつけられたメッセージに「至急──」と書かれていたからだ。
何事かと思いつつも、今日はあちこちと校内をうろつき忙しかったピネスが、呼び出された部屋の中へと来てみれば、聞かされた用件は以下の通り。
『愛用していた不黒文魂の武器【ふぅーちゃん棒SP改(刺股魔法杖)】なる装備が、新加入メンバーを優先し外されてしまった今、私にはお下がりではない次なる魂の武器が必要だ。〝だから〟ピネスくん、キミにも校長先生のその大事な武器の選定を手伝ってほしいのだよ』ということであった。
〝だから〟の意味はいまいち飲み込めずにいたピネスであったが、確かに愛用していた武器がなくなったその気持ちは理解できる。彼自身、直近の記憶でも修理したばかりの武器が粉々になったばかりだ。結果的には運良くまた剣は直してもらえたものの、だからと言ってまったくの他人事とは思えなかった。
ふぅーちゃん棒あらため刺股ダブル改は、自分の元相棒でもある。目の前にいるのはそれを自分から取り上げお下がりなど宣う張本人であるものの、少しは共感できる部分もあったので、頷いたピネスは校長の武器選びに協力することにした。
信頼を置く男子生徒からの協力を得た不黒文校長はさっそく、剣、斧、ハルバードと基本的なものを順々に構えて武器に魔力を流し試したが──
攻撃魔法と召喚術を主に扱う魔法師かつネクロマンサーであるという自負があるため、校長はいかにも前衛がするような装備には、手に取ってみてもあまりしっくりこないご様子だ。
その後も校長はダンジョンでこれまで拾った様々な種類の武器を試遊し厳選を重ねていった。
小一時間──オシャレ好きの女子の服選びに付き合うほどの待ち時間が過ぎてゆき……不黒文校長の魂の武器、その最終候補として挙がったのは、
【杖】武器に刻み込まれた魔法師らしい魔法の習得が可能、魔法の微細なコントロール、発動位置を指定したりの要素を補助しやすい。さらに近距離戦での鈍器としても非常に使いやすい。木浪も使い込んでいるスタンダードタイプ。迷ったらこれ!
【弓】味方を召喚して戦う不黒文のスタイルには合っている。しかし身体的な技量と集中力に影響されやすい武器のため、魔法と併用するのにはこなすべきタスクが多い。今までとはまったく違った練度が必要な武器である。だが、不黒文の異能との噛み合わせは悪くない。使いこなせればますますスペシャルな女性になれることだろう。ブク高のマドンナのVenus生徒も、影ながら弓の鍛錬を積んでいるのだとか……。
【サイス(鎌)】体内のどこかにある漆黒の血が騒ぐほどお好きらしい。眼帯にも似合うからとても良いらしい。校長様のお通りである。
以上の三種に加えて、もうひとつ。
「その傘をさしていてくれ」
校長にそう言われたピネスは、もらった傘をパッと天へと広げ咲かせてみたものの。
ここは室内、とくに雨など降らない。
だが、これも何か深い意味があるのだろう。そう思ったピネスは、この校長室をダンジョンの一室と見立て、頭の中でモンスターを配置しシミュレートしてみる。しかし、どうこう考えてみるも、モンスターを倒せるイメージは湧かない。ピネスにはこれを立派な武器としては、どうにも使いこなせそうもないようだ。剣のようにごっこ遊びをし扱うのが関の山だろう。
(そもそも傘は武器なのか? あぁー確かに、開いたら効果やら強度しだいでは盾にはなるかんじか? ぅーー……でもなんか俺としてはなぁ……傘だと気合いが入らないっつぅか。イメージ湧かないな)
傘をさし、数分シミュレートしてみたものの、やはりイメージは湧かない。その時何故かふと、『強くなる』そんな幼い時に言ったか、言ってないか記憶にあやふやな言葉を彼は思い出した。
「校長せんせー、あのぉー……そろそろいいでっ────」
何か妙な握り心地だ。その曲がった傘の柄から、やはりあまりいい感覚を得られないと思ったピネスは、そろそろこうして立ったまま傘をさす行為をやめていいかと、校長に尋ねた。
だが、意味のない影に覆われていたピネスは言葉途中で────ばたり。その場に突如、力なく倒れた。
「フッフ、なるほど……。そろそろ効いてきたといったところか。フッフッフ……」
「なっにっ……を……────────」
『コツ……コツ……』と音を鳴らしゆっくりと近づくヒールの音。やがて屈み伸ばされた手が、床に無造作に転がっていた傘を拾い上げた。
女は真っ黒な傘をさす……。
疼く眼を覆う眼帯をはずし、プラチナ髪がわずかに部屋に吹いた妖しげな風に流され、ユラユラと靡いている。
さした傘から落とした薄い影が、徐々に濃く染まる。妖しげに蠢きながら、まるで彼女の元へと帰るように影は重なり集っていく。
舌をなめずり微笑う黒い瞳と灰色の眼、その悪魔的な表情を最後に……。
2-D男子生徒浦木幸は、校長室の絨毯の上でへばりついたように動けず、気絶した────。
▼
▽
いつかもわからず少年は目覚める。どこかもわからず天井を見上げる。見上げた先になにもない白くシンプルな天井が見える、まるで使った様子のない不自然な白さだ。教室や物置部屋ではないようだ。
気付けば体はふかふかの何かの感触の上にある。目覚めは少し悪い。頭が少し不思議と酔ったような気分だ、まだぐらぐらする。ピネスは目覚めたばかりの己の頭を痛そうに抑えた。
しかし何やら体の方は温かくずっと気持ちがいい。矛盾する感覚が巡り押し寄せる変な気分だった。
そのまま上体をゆるりと起こそうとした時、ピネスは気付いた。自分のものが咥えられている、そんなあり得ない鮮明な光景を──。
プラチナ髪の誰かと目が合った。目が合ったとおもえば彼女はそれを咥えたまま黙し、────つづけた。
目覚めたら訳も分からぬまま大ピンチに陥っていた。すでに硬く尖らせていた肉棒に、やわらかく激しい肉が滑りぬめり纏わりつく。寝ぼけ頭にも下腹部から来るえもいわれぬ刺激がダイレクトに伝わる。体の感覚がおかしい、そんなすぐにここまで追い詰められているのはあり得ない。ミエナイ口内でしゃぶり舐められいじめられ続ける亀頭が、喘ぎ声が漏れ出てしまうほどにすごく敏感になっている。目覚めたばかりというのにその硬直し怒張する肉棒はすでに決壊寸前、これ以上……耐えられない──。
「あっ♡がっ♡ちょぁぐっっ!?♡♡」
ピネスはまさに訳も分からぬまま、目覚めたてのザーメンを放った。
耐え切れずびくびくと跳ね暴れるピネスの腰は、太ももに手を置きしっかりと抑えられる。そしてプラチナ髪の彼女は肉棒を咥えたまま、唇をさらに窄めた。
『じゅずずず』と、吸い上げる卑猥な水音が鳴る。鈴口にしていた我慢の栓が一瞬で溶かされ壊れ、知らないうちに積もり積もった快感を一気に放出する。口内にぶち撒けられた精はスベテ────口外に一滴たりとも吐き出されることなく、無くなっていた。
やがて、天を仰いだ彼女の喉元がゆっくりと動き、粘っこい固形物を飲み込んだ音を立てる。
ニヤリと微笑う女の顔が、舌をべーっと垂らす。今見せたその表情とさっき及んだ行為はお茶目を通り越して、男子生徒にとって笑えやしない。
目覚めたてのザーメンミルクを全て平らげられた、そんな証をまざまざと見せつけられる。
彼女の吐息が白く染まる。はしたなく垂らした舌から白い熱気の余韻が立ち上るほどの、熱い熱いザーメンをすべて……。
戸惑い目覚めたピネスへと、不黒文校長は刺激的なご挨拶をした。
「はぁー……いきなりお漏らし♡とはな? ふっふっふ、やっと目覚めたか? こっちは一足先に始めてやっていたのだぞ? ふふふ、こんなふぅー♡にな」
ピネスの腰がまたびくりと跳ねる。亀頭に吹いた吐息、そして亀頭にキスをした校長の唇が触れる。柔らかい柔らかい肉が亀頭に裏筋に引っ付く刺激に、陰茎がまたみるみると硬直していく。
まさか、自分が寝ている間中ずっとそんなことをしていたのか。精を盛大に吐き出し、目覚めたばかりのピネスにはもう何がなんだか分からない。
きっと夢にちがいない。目の前で次々と起こる淫靡な光景に、首をぶんぶんと横に振る。そして思考することを完全に放棄したピネスは、荒げた呼吸を一度落ち着けながら……もう一度、疲れ切った両方の瞼を閉じてみた──。
目の前に見えた淫靡な幻想に、硬く目を閉じたピネスであったが、不意に一瞬の鋭い刺激が肉棒へと走る。
校長が二度寝しようとした男子生徒へと、デコピンをした。狙ったのはデコではない。デコの代わりに、寝ながらものうのうと直立する敏感な肉棒に向けて、指を弾いたのであった。
「ひやっ♡!? っ、ひっ、ひとあし…………ってなにやってんすか……!??」
やはり寝ても覚めてもさっきと同じプラチナ髪のお方が、自分の下半身の方にいる。目覚めてすぐに射精してしまった〝アレ〟が夢ではないことをピネスはようやく気づき、驚き声を今になって張り上げた。
「分かるだろう? 近頃このスペシャルな目の調子が悪くてな。疼いてしまうと、たまにこうなる♡」
「分かるだろうって全然わかんねぇしっ、ちゃんと説明してくださいよっ、いきなりこうなるわけがっぁー♡!?」
「うるさいっ♡」
とにかく説明を求める。何故見知らぬ白い部屋の見知らぬベッドの上に自分がいて、校長に勝手にあれこれ弄り使われているのかを。
しかしそんなつらつらと語る彼の訴えも、意に介さず。不黒文校長は、うるさい男子生徒を一言で黙らせた。
事情も経緯と何一つはっきりと分からない。そんな頭の整理が追いつかないままに、校長の不意打ちにピネスは突然挟まれ悶えさせられた。
圧倒的な乳肉の暴力が、さきほどまで口で咥えられていた彼の肉棒をみっちりと捕まえた。
始まってしまったパイズリ行為。いつもの黒いスーツを脱ぎ、白シャツのボタンを外し露わになった生の乳で、ピネスの肉棒をこれでもかとサンドウィッチする。自分の武器を存分にアピールするように、大胆にも挟み込んだ。
その柔らかさの内にしっかりと抱き込んでいる。
「それにキミも悪いというものだ。このところ下手にかわしては、受け取りそびれた褒美の方がたんまりと溜まっているからな。ここはモテヤバ流の使い手、こうちょーせんせーがこうして♡一肌脱がざるをえない! といったところだろ♡」
「おれはべつにっそんなのっ!?♡」
「うるさいこうちょー拳っ♡!!」
「なにがケンッ!? っあっぁーーーーーーっっ♡♡♡」
生徒へと与える褒美は激しくなる、溜まっていた分を全部ぶつけるように。
目の前で、もみくちゃの動作で動かされた校長先生の巨乳の迫力に、一介の男子生徒がどれだけ踏ん張り堪えようがなす術はない。
やはりこのおっぱいには逆らえない。どれだけ足掻いても抜け出せない。びくびくと震えれば震えるほどに埋もれる。ひと挟みで男子校生を満足させる圧倒的な乳肉のボリュームに、ピネスの肉棒は囚われつづけ溺れつづける。
どこをどうこねれば喜ぶか分かっている。そうとも言わんばかりの校長の乳の動きに、擦られて、ズられて、ぬめったちんぽの根本から震え熱くなりまた込み上げてくる。
「そんなに可愛く我慢するなよピネスくぅん♡何やらこそこそ訓練を積んでいたようだが、大好きなふぅーちゃんのおっぱいに捕まってキミがコレに勝てるわけないだろう、3・2・1──それっ♡」
「あっ♡ちょっ待♡ッぁっ!!♡♡」
不黒文校長の手加減なしに速めたパイズリ行為に、ピネスはまたも早々に射精せざるをえなかった。
とろける生の乳内へと放つ、とろけるような射精感に、もはや出てくるのはザーメンと荒げた息遣いだけ。
びくびくと情けなく震える若い雄の肉棒を、柔らかな乳肉が圧迫しながら最後までなだめる。
左右に動かされる乳肉が、射精の勢いとリズムに合わせて最後の一滴まで甘やかし搾り出した────。
開いた左右の乳肉の間に、まだまだ粘っこくて熱い白がこびりつく。眼帯にまでかかった白い精をゆっくりと拭う。押さえていた谷間を越えて、口元へと勢いよく飛んだ雄汁を、校長は伸ばした舌で舐めとり味わう。
すっかりと放出感に溺れ、恍惚とした男子生徒の表情を見下ろしながら、不黒文校長はまた、その笑みを深めた。
いつもより激しい立て続けの校長の攻めに、ピネスが惚けている間に。
さらに。
「え────?」
それは見間違いなのか。快感の暴力で仰け反り仰いでいた天から、視界を下方に戻すと。
ずしんと乗りかかるやわらかな重しに、ひどく繋がっている────。そんな事は今までなかった。あり得ないクリティカルな事態が、彼の身に起こってしまっている。校長と生徒、その越えてはいけないラインが悠々と犯された。
「わざと褒美を溜めてまでお望みのぉ……♡ふぅーちゃんスペシャルだ!」
「ぁぐぁ!!!♡♡」
ずっぽりと先っちょから根本まで、校長の体の中に浸るだけでは終わらなかった。蠢き締め付けだした膣壁の動きに、みるみるうちに肉棒の硬度を戻され、追い込まれていく。
校長は腰をひとたりとも動かしていない、ただ挿入しただけなのに人間ではありえないような収縮運動がつづく。
膣内で撫で上げ擦り上げる甘い甘い快楽の連続がピネスの肉棒をぴったりと捕まえて、逃さない。
どうしようもない、亀頭から根本まで全て余さずに収められ、蠢きつづける膣壁に揉みくちゃにされていく。
熱く温かく気持ちいいぬめりが、肉棒をナカで執拗に洗い、虐め続ける。
校長にのしかかられて悶えつづけるピネスは反撃も何もできない。押し潰され押し寄せる甘い射精感をもう一時も堪えることができない。
ついに射精し果てる。根本からせり上がり噴き出る熱い熱い快楽の柱。どぴゅどぴゅ放出するザーメンが、膣内を瞬く間に満たしていく。そして満たしたそばからさらにさらに吸い上げるように、収縮運動を繰り返す校長の膣壁が、若い雄の射精を促す。
必死に伸ばした両手も弱々しくては無意味。上からがっちりと両手で校長に押さえ込まれる始末で、逃げ場はない。
「」
ただただ、放出する。味わったことのない単純な射精以上の快感が最後の一滴を出し切るまでつづいた。
何もかも吸い上げられるような、ピネスはそんなとても気持ちのいい射精をしてしまった。
「なん……だっ……これ……♡」
「ふっふ、何を隠そうこれが、【ふぅーちゃんスペシャル♡】だ。このスペシャルアイの影響を受けた私のナカはどうだ、すごいだろう? なんとなんとエッチな褒美のついでに、こうしてキミの射精とともに魔力を少し拝借し気持ちよくチャージ♡することができるのだ。どうだ、とても気持ち──何をへばっているピネスくん」
「っはぁはぁ……へ……?」
「当然、魔力がからになるまでだ。キミはぁ、このところぉー、私のことを蔑ろにし舐めているようだからな? つけ上がった生徒はこうやって地道に、校長先生のすごさを教え込むしかあるまいっ♡」
「ちょっとみゃっ!?」
「うるさいっ!♡♡」
「ぬあぁーーーーーー♡♡♡」
【異能カリスマ】×【スペシャルアイ】×【巧みな魔力コントロール】
校長はこの三つの自分の持つステータスを余すことなく組み合わせ、駆使しながら、放出されたザーメンと共に彼の魔力の流れまでを自分の中へと惹き寄せる。
ピネスはもはや、つながる校長の肉体とその魅力に抵抗心すら……一目睨まれるだけで溶けてゆく。待ってほしいと必死に伸ばす手すら、がっしりと彼女の手指に嚙み合わさるように掴まれた。
悶え続ける男子生徒を見下ろす、眼帯から解放された灰色の片眼が妖しげに光る。
溜まった褒美はまだまだある。疼く眼がまだまだ濃厚な精と芳醇な魔力を求めた。眼帯を外した不黒文校長のスペシャルタイムは終わらない──────。
▼
▽
茶人として茶を点てる練習と、ダンジョンで手に入れた新たな茶器の厳選や鑑賞、それと茶室を常に綺麗にしておくこと。
これらも勿論大事であるが、もうひとつ、異国の血をひく水野サーガが日課にしていることがある。
それは侘びでも寂びでもない、【
【波綿岩死】の心とは、甲賀流忍術における真の心の構え方であり秘術である。心の庭を集中想像し創造する、己と向き合い己を高める。そんな精神面に重点を置いた術であり、これを会得し高めれば、たとえ岩を投げ込まれようと、荒波が立とうと、動じることのない〝真の心〟を得ることができるという。
ただ受動的に忍ぶだけではない、広い心を創ることこそが波綿岩死の肝であり極意である。
畳の上に正座する水野サーガ。目を瞑りひとり集中する彼女の心の庭は────ゼラニウム。言わずと知れたスウェーデン人の愛する花だ。
一面に広がる赤ピンクのグラデーションを成すゼラニウムが、サーガのまわりに生き生きと咲いている。
毎日一輪、何も無かった殺風景なその庭にゼラニウムを咲かせること。それがサーガが日々繰り返してきた想像の賜物であり、今では赤くキレイな花畑となった安らげる心の庭だ。
そんな赤い赤い顔ぶれを眺めていると、いけないとは思いつつも、つい彼女は自慢げになってしまう。
波綿岩死の精神修行を彼と共にしていたことを思い出してしまう。素直に褒めてくれたあの時の感情が蘇るのは、いけないことだろうか。
本来は誰にも見せることのない精神の庭、一人で続けて来た鍛錬の成果を褒められるのはやはり嬉しいものだ。
彼はまだこの修行法に慣れずおぼつかないながらも、筋は良い。きっと、このゼラニウムの花畑に勝るものを、彼も己の精神の庭に築き上げてしまうことだろう。
ならば追いつかれないように自分も一層頑張る、それもまた良いのでは?
ふと、そんなことを意地悪にも思ってしまった。
サーガが、長々と甘い物思いに耽ていると──
そのとき、突然、一陣の風が吹いた。
「黒い……花?」
ゼラニウムではない。赤いあかい……アカにまぎれた……黒い真珠のような花が一輪。
静かに驚いたサーガは、ついつい見知らぬ〝その花〟を手に取ってしまった。
「
思わず花弁に鼻先を寄せた、その黒い花はとてもとてもいい香りがした。そして同時に「たった一輪で良い」──そんな当たり前のことにも気づけないのかと、その黒い花に言われた気がしてしまった。
まだ鼻をくすぐり漂う黒い花の香りに、思いもよらぬ教えを学び、その鮮烈な衝撃にサーガはハッとした。
その瞬間──。庭に咲き誇っていた一面の赤が、黒い風に飛ばされ一斉に散り散りになった。
ようやく心の庭から醒めたサーガは、手に摘んだ虚空の一輪を嗅ぐ。名残惜しそうにするも、もうその黒い花は一片たりともそこにはなかった。
やがて、正座する畳の上から立ち上がり、後ろを振り返るも、茶室には誰もいなかった。静けさの中で独り、サーガは溜めていた息を吐いた────。
▼▼
▽▽
心地よさと精根が尽きた脱力感が、半々────
目覚めたら四角い白い枕が、自分の腹の上で脚を折りたたみ寝ていた。こんな奇想天外で連続性のない現実などやはり、夢なのかもしれない。
四角くても柔らかくて温かい不思議な感触だ。腹の上で静かな寝息を立てる角張ったモンスターの鼓動に、もう一度目を閉じる。
目を閉じても、うるさい。物置部屋のスピーカーから流れる元気な声を聞きながら────
ピネスの新たな朝が、また始まった。
早朝、グラウンドでするラジオ体操はダンジョン挑戦前のストレッチを兼ねている。朝は苦手ながらも、後輩のサンチュと共にする、もうすっかりお馴染みのピネスの習慣になっていた。
「どうしたんですかせんぱい? 調子わるそーですねっ??」
「いやちょっと、腰の辺りにひびがな……」
「ええ!?」
「いや、あれは夢な気もする」
「なんですかそれぇ??」
寝ぼけた冗談を言いつつ、サンチュの手を背中に借りる。地べたに脚と腕を伸ばしたピネスが、グラウンドで入念にストレッチしていると──
背中に置かれたその後輩の手が、押したままぴたりと止まった。
「って、いててて! サンチュもうそれ以上はいてててじゃなくていいって、俺の関節には未だそのレベルははやっ!」
「お兄……ちゃん……?」
「痛てててて……へ?」
前屈した無理な体勢で、地べたすれすれに沈んだ視界。ピネスは今見下げている地面から顔を正面に上げ、サンチュの見ている方向に視点を合わせた。
だだっ広い朝のグラウンド、そんな変哲のない地の途中に見知らぬ〝黒いヤツ〟が立っているのが見えた。
「サンチュ、久しぶりだな」
そこに佇む、襟立てた黒シャツを着込む男はそう言った。すると、いつの間にかピネスの背中から触れていた手が離れ、サンチュは目の先にいるその男に向かい慌てた様子で駆け寄っていった。
寝ぼけ頭に、何やら釈然としない。朝が弱いピネスの感覚が狂ったのか、今忽然と現れた黒いソイツは、一定間隔で何かうっすら不気味な音を放っているようにも思えた。
そうこうピネスはモヤモヤと考えるが確信は持てない。後輩のサンチュがお兄ちゃんと呼び、駆け寄り話し合うその人との間に、今は水を差せるタイミングでも姿勢でもない。兄妹が仲睦まじく話し合っているだけならば、ただの学校の先輩の自分の出る幕はなかった。
ピネスはただただ、ストレッチをする振りをしながら、邪魔をせずに兄妹らしき2人のことを盗み見た。
だが、次の瞬間には膝からべたりと力なく座り込むサンチュの姿が、時折気になり盗み見ていたピネスの視界にいた。
それは絶対におかしい。あの元気な後輩が、急に、無気力な糸の切れた人形のようになった。そのシーンから見て取れる雰囲気は、ただの芝居のようには見えない。それとピネスが確認できた異常なことがもう一つある。さっきの瞬間あの男から発せられた魔力。その魔力はやはりおかしい、そうとしか言いようがない感覚がピネスの肌にまで伝い届いていた。
遠目に映る異常なシーンに驚いたピネスは、潜めていた声を張り上げた。
「え、何してんだ??」
「はっ、何をしてんだろうなぁ? 久々の人間の顔を見ても──さっぱりだ。そして同時に安心した、俺はもうすっかりコッチに慣れちまったとな。はははは、コイツは相当に足りねぇ」
黒服の男は大人しくなった妹の顎をくいと上げ、しかとその顔を近くで覗き見るも──手を広げてさっぱり、平然とそんなジェスチャーをしてみせた。
そしてさらに、視線の先にあるピネスの顔を見て突然に笑いだした。
お兄ちゃんはお兄ちゃんでも、急に現れた得体の知れないお兄ちゃんだ。眉間に皺を寄せながら、ピネスはその笑う不気味な男のことを疑いだした。
「なんだお前……」
風にうねり揺れる後ろに縛った黒い尾髪、どこからかぬらりと抜き出した黒い剣。何故剣をその手に取っているのか。
そして発せられたあの不気味な音は、自分の耳が悪いからではなかった。それは、はっきりと重ねに重ねられたヤツの合図であるとピネスは分かってしまった。
「噛みついてきた!?」
「噛まれたと思ったのか? この程度でぇ!」
ピネスは急ぎ、ラジオ体操の後で使う予定であった地に置いていた自分の剣を手に取った。
そして、あの離れた距離からいきなり素速く噛みついてきた黒剣の太刀筋に、タイミングよく自分の剣を間に合わせた。
謎の男の笑い顔が近い。一太刀至近で鉢合わせた時、更なる太刀筋がピネスに向けて襲いきた。
「ちょっ速っ!?」
ランダムに乱れ打つような黒い連続剣に、なんとか己の寝ぼけた刃を噛み合わせたピネスは、その黒剣の勢いと速さに驚き、たまらず大きく後ろへと仰け反りさがった。
初めましての挨拶にしては速すぎる敵の剣捌きに、尻餅をついたピネス。そして、そんな情けない男の纏うブレザーから銀のボタンを切先に引っ掛け、器用にも奪い取った、謎のお兄ちゃん。
「とろそうな女ばかりの中、やっとマシそうな野郎を見つけたと思えば、こんなもんか? 相当に足りてねぇぞ、おまっ」
垂れ流す男の挑発途中に、垂れ流されたのは雷撃のマジック。いきなり翠の剣の切先から放出された雷と、巻き上げる砂塵に見舞われた謎の男にさらに──追い撃ちをかけるように、赤く輝く予感がぶつけられた。
寝ぼけた頭と体、指先に、戦いのスイッチが入る。ピネスは手に取ったそのもう一つの緋色の刃で見知らぬ相手を襲う。かち合い起動した緋色の火のマジックが、受けに回った黒い刃を包んだ。
「足りたかよっ! 朝飯もおはようもなしに!」
「フッ、一人で花火か、相当につまんねぇ技だな」
「技ってのはァァ、これかよ! 【サクイチゲキ】!」
緋色の火にも、青い雷にも動じない。そんな挑発を絶やさずに笑う男の面へと放たれたのは、スイッチが入り止まらないピネスの勢いと技。
相手を切り刻まん形を成し、翠の刃から放たれた青い三日月は、男の黒い刃ごと砂塵を巻き上げ運んでいった。
「おっしゃーー!! ──って、しまったつい!? ラジオ体操じゃ…………済まねぇよな……?」
つい、熱くなり技を放ってしまった。迂闊だったピネスは心配そうな顔で、煙る前方を覗き込む。
巻き上げた砂塵に──、浮かぶシルエットは────
『フーん。これはちゃんとした技だな。まさかそんな綺麗な技が、クズどもからでてくるとは舐めてたよ』
ゆっくりと立ち上がる黒いシルエット。
「じゃあコイツは俺からの朝メシがわりのお礼だ」
男の影が手を翳したそこから放たれたのは、黒い────弾丸。
「なんだっ!? デカい!? いや、遅い!?」
煙る景色を押しのけて現れた、そこそこの大きさの丸粒。ピネスに迫り来たその黒い丸粒は、決して避けれない軌道と速度ではなかった。
予想通りに真っ直ぐに来た。遠距離まで飛び進んだ謎の黒いマジックを、注視していたピネスは普通に避けた。
「しっかり見極めたのを褒めてほしいか? ──避けれる速度でオマエを操ったんだよガキ、こんな風に、ナッ!!」
「ぅぐっ!??」
それは至極単純な戦略、一人で作り出した緩急とギャップであった。当てるつもりは
そしてピネスの至近へと一気に強襲した黒服の男は、後ろ向きに両手を着きながら、その剣も振れないひどく窮屈な姿勢から蹴りを放った。
「【黒
その技は、自身の足元へとあたかも最初から戻ってくるように、魔力を込め願をかけられていた。
黒服の男は、今タイミングよく戻ってきた黒い弾を地上から赤空へと向かい豪快に蹴り上げた。
そして、高々と宙を舞っていたピネスのおデコと、少し歪に出っ張った黒い弾のデコがぶつかる。
ぶつかり触れた黒いデコポン状の出っ張り、球体の黒から隆起したそれがスイッチであったのか。
ピネスの眼前を支配する黒い爆弾は、膨らみ、胎動し────やがて弾けた。
「幕開けの花火にしちゃあ、────悪魔的だ」
早朝のグラウンドに忽然と現れたのは悪魔的存在、悪魔的お兄ちゃん。
異境の赤空に、黒く濁る華が咲く。ちっぽけな校舎の上に盛大に浮かべた悪の塊は、よく映える。
焦げついたグラウンドに吹いて来た序章のそよ風に髪を靡かせ、男は天を潰すように掴み、笑っている────。