本編
荒い息だけが、破壊された回廊に響いていた。
ゼノンの秘密基地の中枢区画。ここまで来るのに、何百という強化兵を薙ぎ払ってきた私の体力は、もう限界に近い。
自慢の青い長髪は汗で頬に張り付き、身体のラインを浮き彫りにする青地のボディスーツは所々煤け、発光する黒いパーツもその光は弱々しく明滅している。
「はぁ……はぁ……! 観念なさい、ドクター・ゼノン……!」
最深部の重い扉をこじ開けると、そこには瓦礫の山となった司令室と、瓦礫の向こう側にある隠し通路へ向かおうとする白衣の男――ドクター・ゼノンだけがいた。
彼は私に気づくと、焦る様子もなく、むしろ憐れむように肩をすくめた。
「やあ、レイ君。素晴らしい、実に素晴らしいよ。私の可愛い兵隊たちを全滅させるとはね。だが、残念ながら時間切れだ」
「なっ……!?」
「私はこれにて失礼させてもらうよ。君の相手をするには、少々荷物が重いのでね」
ドクターは踵を返し、悠然と奥の通路へと歩き出した。
「待ちなさい! 逃がすもんですかッ!」
私は震える足に力を込め、彼を捕まえようと床を蹴った。
彼との距離はあと数メートル。手が届く――そう思った、その瞬間だった。
ガシュッ。
「――っ!?」
足元の床が音もなく消失した。
踏み込んだ足が空を切り、浮遊感が私を襲う。
「きゃあああああっ!?」
落下。
受け身を取る間もなく、私は透明な円筒状の狭い空間へと滑り落ちた。
即座に飛び上がろうとしたが、ガラスの壁は高く、滑りやすくて手が掛からない。その上、四方から伸びた金属アームが私の手足を瞬時に捕らえ、大の字に空中に固定してしまった。
遥か頭上、落とし穴の縁から、ドクターが冷ややかな視線で見下ろしているのが見えた。
「くっ、卑怯よ! ここから出しなさい!」
「ハハハ! そこで大人しく頭を冷やすといい。……いや、身体を『火照らせる』ことになるかな?」
ドクターは楽しげにスイッチを押した。
「このトラップは私の自信作でね。君がそこで遊んでいる今のうちに、私は逃がしてもらうよ。さようなら、レイ君」
「ま、待って! ゼノン!!」
私の叫びも虚しく、天井のハッチが無情にも閉じられた。
後に残されたのは、私と――不気味に駆動音を上げ始めた機械だけ。
『侵入者検知。洗浄シークエンス、起動』
「うそ……なにするのっ!?」
孤独な空間に、無機質な電子音声が響く。
『抵抗を確認。高濃度催淫ガス、及び粘膜溶解ローション噴射』
「え――?」
天井のノズルから、ピンク色の霧と、糸を引く粘液が同時に噴き出した。
息を吸い込んだ瞬間、甘ったるい香りが鼻腔を焼き、脳髄を痺れさせる。
「が、はっ……!? ち、からが……」
筋肉から力が抜けていく。
あんなに漲っていた闘気が、霧散するように消えていくと共に、スーツの光沢も鈍く濁っていく。
「はぁ、はぁ……っ! なに、これ……体が、熱い……」
ただの脱力感じゃない。身体の芯、お臍の下あたりにある子宮が、カッカと火がついたように熱を発し始めたのだ。
ドクン、ドクンと心臓よりも激しい脈動が下腹部で暴れまわり、空っぽの子宮が「何かが欲しい」と疼き始める。
「うぅ……っ。乳首が、痛い……」
スーツの下で、自分の身体が勝手に変化していくのがわかる。
普段は柔らかなはずの乳首が、小石のように硬くコリコリに尖り、裏地を内側から突き上げている。
股間もそうだ。誰にも触れられていないのに、クリトリスが充血してパンパンに膨れ上がり、敏感すぎてジンジンと痺れている。
そして何より、太ももの付け根がヌルヌルと湿っていく感覚。媚薬の効果か、それともこの熱さのせいか、私の秘部から溢れ出した愛液が、スーツの中で蜜溜まりを作っている。
『洗浄(ラブ・ウォッシュ)、開始』
ウィィン……!
壁面から無数の回転ブラシと、柔らかくも弾力のあるシリコンの触手が出現した。
「や、やめ……来ないでっ!」
ギュルルルルッ!
「あぁあっ!?」
回転するブラシが、私の身体に押し当てられた。
最初は、胸と股間。
スーツ越しだ。まだスーツは破れていない。
けれど、薄手の生地一枚を隔てて伝わる振動と摩擦が、逆に神経を逆撫でする。
「ひっ、あぐっ! こす、擦れるっ! 生地が、乳首にっ……!」
高速で回転するブラシが、勃ち上がった乳首をスーツの上から容赦なく弾く。
布地が皮膚に擦れるザラザラとした感触と、圧迫される鈍い快感。
守られているはずのスーツが、今は逆に性感帯を責める道具になっている。
熱い。生地の摩擦熱と、身体の内側からの発情の熱で、思考が溶けそうになる。
(だめ、感じちゃだめ……! 私が屈したら、スーツの守りが……!)
必死に唇を噛んで耐えようとするけれど、股間のクリトリスを重点的に攻めるローターのような触手の振動に、膝がガクガクと笑ってしまう。
「あ、んっ……! んぁあっ! 気持ち、いい……かも……いや、違うっ! 私はっ!」
一瞬でも「気持ちいい」と思ってしまった。その心の隙間を、このスーツは見逃さない。
精神力の低下は、そのままスーツの耐久度の低下に直結する。
ビリッ……!!
不吉な音が響いた。
胸元の、一番張り詰めていた生地が裂けたのだ。
「あ……?」
ビリビリビリッ!!
連鎖するように、股間の生地も、お尻の生地も、音を立てて弾け飛ぶ。
私の精神力が弱まったせいで、鉄壁の防御力はゼロになり、ただの薄い布切れへと成り下がった。
そして――
「きゃああああっ!!?」
冷たい空気が、熱り立った肌に直接触れる。
大きな胸も、膨れ上がったクリトリスも、蜜を垂れ流す秘部も、全てがガラスケースの中で露わになった。
恥ずかしい。ヒーローとしての誇りだったスーツが無残なボロ布になり、一番見られたくない場所を丸出しにされている。
けれど、機械はそんな私の羞恥心などお構いなしだ。
『露出確認。直接洗浄へ移行』
「や、まって、直(ジカ)はだめっ! あひぃいいいっ!!?」
遮るものがなくなった敏感な乳首に、硬いブラシの毛先が直接突き刺さるように回転した。
スーツ越しの「鈍い快感」とは次元が違う。
神経を直接ヤスリで削られるような、鋭く、強烈すぎる電流のような刺激。
「い、痛いっ! いや、気持ちいいっ! 強すぎ、強すぎるぅううッ!!」
硬く勃ちきった乳首が、ブラシに巻き込まれて千切れるんじゃないかと思うほど激しく振り回される。
露出したクリトリスには、吸盤状のノズルが吸い付き、直接バイブレーションを叩き込んでくる。
「あぎっ、ひぃっ! クリちゃんっ、そこ弱いっ、剥き出しなのにぃいいッ!!」
守ってくれる布がないせいで、私の恥部は完全に無防備なまま、機械のおもちゃとして蹂躙される。
子宮がキュウキュウと収縮し、欲しくて欲しくてたまらないと悲鳴を上げる。
膣口がパクパクと開閉し、透明な愛液を噴水のように撒き散らして、自身の太ももを汚していく。
「あはっ、あぁっ! 脳が、溶けるっ! ヒーローなのに、機械にイかされてるぅううッ!!」
もう抵抗する力なんて残っていない。
私はボロボロに破れたスーツを情けなく肌に張り付かせたまま、全身をピンク色に上気させ、白目を剥いてただ快楽の波に翻弄され続けた。
天井のスピーカーから、あの憎々しいほど冷静なドクターの声が降り注いできた。
『さて、外側の汚れは落ちたようだね。次は内部洗浄(インナー・クレンジング)だ。ヒーローたるもの、お腹の中まで清廉潔白でなくては』
「な、何を……ひっ!?」
足元の床が再び開き、今度は先ほどよりも太く、血管のように脈打つ二本の巨大なペニス型洗浄棒がせり上がってきた。
同時に、天井のアームが下がってきて、先端についたボールギャグのような突起物が、私の唇に押し当てられる。
「や、やだ、口も……!? 塞がないでっ……!」
『抵抗しても無駄だよ。全ての穴を開きなさい』
ズチュッ……!!
「――っ!?!? ~~~~~~ッ!!!」
悲鳴は、口にねじ込まれたディルドによって押し殺された。
下からは、膣とアナル、二つの穴に同時に極太の異物が貫通する。
(あぐっ、おごぉっ!? おおきい、大きすぎるっ! お腹の中、めちゃくちゃにされちゃうッ!)
私の体は串刺しにされ、ガラスケースの中で完全に自由を奪われた。
太すぎる異物が、狭い膣内と未開発の腸壁を無理やり押し広げる。
苦しい。内臓が圧迫されて、息ができない。
『さあ、たっぷりと味わいたまえ。使用する洗浄液は、私の特製高濃度媚薬だ。粘膜から直接吸収され、君の理性(ロジック)を獣の本能(インスティンクト)へと書き換える』
ドクターの解説と共に、突き刺さった三本の棒が、同時に振動とピストン運動を開始した。
先端の孔から、熱を持ったピンク色の液体が勢いよく噴射される。
「んぐっ、んおぉっ! (熱いっ、中が、焼けるように熱いっ!)」
こすれる。広げられる。犯される。
媚薬でドロドロに溶かされた内壁を、イボ付きの表面が容赦なく抉るように掻き回す。
『いい反応だ、レイ君。君の子宮が喜んでいるのが数値に出ているよ』
(違うっ、喜んでなんてないっ! こんな機械にっ!)
否定しようとする思考とは裏腹に、私の腰は勝手に跳ねていた。
敏感になりすぎたクリトリスが、太ももに垂れた媚薬に反応してビクビクと痙攣し、口からは大量の涎と愛液が糸を引いて流れ落ちる。
頭の中が真っ白になる。
戦わなきゃいけないのに。逃げなきゃいけないのに。
「気持ちいい」という感覚だけが、脳髄を塗り潰していく。
『仕上げだ。君のような優秀な素体には、私の遺伝子(DNA)をプレゼントしよう』
ドクターの声が、一段と愉悦に歪んだ。
『これは私の遺伝子データを元に合成された、超・受胎促進用擬似精液だ。私の子供を孕むシミュレーション……楽しんでくれたまえ』
「う、うぐっ!? (嘘、やめてっ! ドクターの……赤ちゃん……!?)」
恐怖で目を見開いた私の胎内に、地獄のチャイムが鳴り響いた。
ドピュッ! ドピュルルルルルッ!!!
「~~~~~~~~ッッ!!??」
喉奥、子宮、直腸。
三箇所同時に、爆発的な量の「ドクターの種」が解き放たれた。
熱い。重い。汚らわしい。
まるでドクター自身に犯されているかのような錯覚。
彼の遺伝子情報そのものが、白い濁流となって私の内側を侵食していく。
(あ、あぁ……入ってくる、いっぱい入ってくるぅ……っ! お腹、パンパンになっちゃうっ!)
ボコッ、ボコッとお腹が波打ち、大量の注ぎ込みによって下腹部がボールのように膨らんでいく。
口からも飲み込みきれない分が溢れ出し、胸や首筋を白く汚していく。
『素晴らしい。これで君の内側も、私の色に染まったわけだ』
「んぐぅっ、んおぉ……っ♡ (あぁっ、熱いっ、お腹いっぱいっ、種がいっぱいぃっ♡)」
完全に理性が決壊した。
私は白目を剥き、ボロボロのスーツを張り付かせたまま、ガクガクと激しく痙攣して絶頂を迎えた。
体中が精液とローションと愛液でグチャグチャに混ざり合い、もはや自分が誰なのかさえ分からなくなるほどの快楽地獄。
『洗浄完了(クリーニング・コンプリート)。……排出する』
ブシュゥ……ガシャンッ!
唐突に全てのアームが外れ、底が抜けた。
「あ……っ」
ドサッ!
私は冷たい床に、ゴミ袋のように叩きつけられた。
「はぁ、はぁ、あぅ……っ」
立ち上がることなんてできない。
破れたスーツから覗く肌はピンク色に上気し、全身ヌルヌルとした液体でコーティングされている。
大きく開いたまま閉じない股間の穴からは、ドクターの合成精液がドロドロと大量に逆流し、太ももを伝って床に白い水溜まりを広げていく。
「うぅ……んぐっ、熱い……」
口の端から精液を垂らし、膨らんだお腹を抱えて、私は虚ろな目で天井を見上げた。
ドクターはもういない。
けれど、私の体の中も外も、完全に彼の手によって「汚されて」しまった。
ヒーローだったはずの私は、ただの白濁液にまみれた無様な肉塊として、誰もいない部屋に取り残されていた。