※この作品はR-18です。

ボールペンを1万円で売る方法   作:悪魔ベリアル

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■04■

実は、履歴書で初めて彼女を見た時、ビビッとした衝撃が私の身体を走った。

これが"一目惚れ"なのか、

採用担当者としての勘なのか。

他の3人には感じない"何か"、

それの正体を確かめたくて、私は彼女を最終面接まで残した。

 

いゃ…。

 

一目見て、好意を持ったとか、

こうして、面接試験中も気になってドキドキしたりとか、

彼女の声を聞き、その仕草を観る度に愛おしさが募っているとか、

そんな邪な気持ちだけで、採用の合否を決める気はない。

 

だが…。

もし…。

もしも、彼女を不採用にしたなら…。

 

その時は、個人的に連絡するとしよう。

これは、公私の区別で、

決して、職権濫用とか公私混同ではない。

 

…たぶん。

…おそらく。

…。

…違う、よな…?

 

意識を堂々巡りさせていた私は、ふと手にしていたボールペンが目に留まった。

クルリッと手の上でそれを一回転させ、何気なく質問を呟いた。

 

「ここに、ボールペンがありますが…。」

「これを一万円で売るとしたら、どうしますか…?」

 

よく聞く面接の質問だ、面接指南書にも書かれている様な陳腐な質問。

だが、この4人なら、斜め上な回答をしてくれるかも知れない。

4人はジッと私が手にしたボールペンを見詰めた。

そして、それぞれが考え込み、会議室はシンッとした静寂が支配する。

 

「はい。」

 

真面目が特徴の志賀修が小さく手を挙げた。

私は目配せで、彼の発言を許可する。

 

「何か"付加価値"をつけるのは、どうでしょう?」

「あとは、ボールペン自体を限定品として、特別な外装やデザインに変更するとか…?」

 

…浅い。

…浅すぎる。

彼の回答は模範的だが、意外性が皆無で面白みが欠けている。

正に面接指南書そのままの回答だ、

私が求める人材に、そんな普通は必要無いのだ。

 

「おぃおい~っ、」

「そんなんじゃぁ、駄目だろがぁーっ♪」

 

志賀の隣で聞いていた山口は、身体を動かして軽く志賀へとタックルをかます。

そして、更に彼の肩を軽く自分の肘で小突いた。

 

「もっと、しっかり考えなきゃダメだろぉ~っ??」

「それにぃ、1万円って決めるより」

「儲けられるだけ、儲けた方が良くないスッか…?」

 

いやいやいや。

何、お前が仕切ってるんだ…!?

 

…いや。

…これ…。

これが、新しい…のか…?

 

普通と違う面接、

もっと、具体的なアイディアを求める事があっても良い気がする。

形に嵌まっていたら、優秀な素質を見逃す可能性もあるって事か…??

 

「いいですねっ…!!」

「ぜひ、そうしましょう。」

「このボールペンを一番高く売ってください…っ!!」

 

私は山口の提案に乗っかった。

認められた山口は、得意げに脚を組む。

そして、更に椅子の背もたれへ大きく体を預けた。

 

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