※この作品はR-18です。

ボールペンを1万円で売る方法   作:悪魔ベリアル

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■06■

「じゃ、じゃあ、中嶋健斗さ、ん…?」

 

自分の頭の中を探る様な雰囲気で、視線を宙に泳がせて記憶を引き出すと、

凪は好きな男性芸能人の名前を呟いた。

 

なるほど…、

彼女は、ああゆうハンサム系が好みなのか…。

 

確かに彼女の様な、か弱く日陰に咲く花の様な風情は、

アイドルの彼を後ろから支える姿が美しい。

"女性は男より三歩下がって歩くべし"を体現する恋人になるに違いない。

 

いやいや、何考えてるんだ、私は…っ!!

 

「じゃあ、お買いになります…?」

下御領の言葉に、私の思考と凪の申し出が遮られた。

 

「…え?」

「10万円ですよ、小沢さん」

「…支払います?」

 

「…い、いゃ…ぁ、む、無理ですょぉ…」

「アタシに10万円…。」

「そんな大金…。」

 

柚葉の問いかけに、我に返った凪は、両手と頭を振って全力で否定した。

モジモジしつつ、引き上がるタイトスカートの裾を恥ずかし気に掴んで引き戻す。

必死で拒否する彼女の姿は、美しさが薄まり、

その代わりに可愛らしさと愛らしさが香り立つ様に感じる。

そんな彼女を愛でていると、下御領柚葉は私の方を向いた。

 

「面接官はいかがですか?」

「お買いになります…?」

 

矛先が私に向けられ、私は椅子に座ったままで軽く両手をあげ、申し出を拒否した。

会議室に彼女の提案を買い取る人物はいない事になる。

それは、自動的に彼女の提案に意味が無く、無効な提案となった事を表す。

 

「まあ、何て事かしら…。」

「せっかく、お好きな芸能人とお近づきになれるのに…。」

 

「いや、こんなの無駄ですよ…っ!!」

 

志賀は立ち上がり、乱れたスーツの上着を両手で着直す。

そして、私に一礼すると会議室の出口へと歩を進めた。

 

「こんな面接、やってられないですよ…っ!」

「もう、不合格で良いですっ!!」

「失礼します…っ!!」

 

そう早口でまくし立てると、志賀修は会議室のドアを激しく閉めて退室した。

 

「…へっ!」

「根性無しが…っ!!」

 

何とか気力を持ち直した山口陽翔が、退室した志賀に向けて悪態を吐いた。

 

「競争相手が一人減ったぜ…っ♪」

 

いや…。

志賀の対応は、まともな反応だ。

普通なら、お前が変な事言い出した時点で帰ってる。

 

山口は立ち上がり、肩を怒らせつつ下御領にメンチを切る。

どうして、ヤンキー系の威嚇行動は、肩をいからせ揺すりつつ歩くのか…?

正に絵に描いた様な動きをしつつ、威嚇する山口は彼女へ近づいた。

だが、山口の精一杯な虚勢も、下々の世俗に疎い彼女には、

奇妙な歩き方をしている程度にしか、認識出来ない様子で、

彼女は不思議そうな表情で山口を眺めている。

 

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