「アンタの提案は、買い手が付かないから、無効だぜ…♪」
「あんな高額をふっかけて、勝負を焦ったな…♪」
「ワタクシ…、アナタみたいな庶民の金銭感覚がわかりませんもの…」
「まさか、10万ぽっちが大金扱いなんてぇ…。」
「驚きましたわぁ♪」
山口のメンチに臆さず、下御領の令嬢は真正面から睨み合う。
睨み合うふたりとは別に、小沢凪がおずおずと手をあげた。
「あ…、あのぉ…。」
「私から提案…、いいですか…?」
彼女の存在を忘れていた山口と下御領は、不意に発言した彼女を見る。
私も彼女の提案を手で促した。
「すっごい、恥ずかしいんですけど…。」
「私の画像を付録につけます…っ。」
「私の…、」
「…ちょっと恥ずかしい画像ですけど…。」
「買いましょう…っ!!」
喰い気味に私は彼女の提案を受け入れた。
勘違いしないで欲しい。
これはやましい気持ちからではなく、この茶番を終わらせたいだけだ。
"恥ずかしい画像"と聞いて、邪な感情で提案に応じたのでは無い事を信じて欲しい。
「じゃ、じゃあ…、スマホに送ります…ね♪」
彼女はそう言うと、自分のスマホを取り出し、私のスマホへと向けた。
「ちょっ…ちょっと待ちなさい…っ!!」
「何、考えているのっ!!」
甲高い声をあげつつ、凪のスマホを下御領柚葉は取り押さえた。
「そんなはしたない事しちゃ、ダメじゃないっ!!」
「で、でも…、アタシ…。」
「皆さんみたいに提案できるアイテムが無いですし…。」
「自分の身体ぐらいしかないかなぁ…って…。」
しょんぼりとした表情で俯き、凪は柚葉に応えた。
「それに、大丈夫ですよアタシ。」
「本当の父親は死んじゃいましたけど、パパは二人居ますし。」
「…え?…パパ?」
「はいっ♪」
「パパ2人とお付き合いして、生活援助して貰ってるんで…♪」
悪びれも無く小沢凪は、屈託のない笑顔を浮かべた。
それとは対照的に下御領柚葉は、凪の言葉を理解出来ず、放心した表情で凪を観た。
「あ。後、実は彼氏も二人います。」
「本命と、デートすると奢ってくれるキープ君。」
「…何を言っているの、アナタ…?」
どうやら、下御領の令嬢には彼女の言葉は異次元過ぎて付いて行けないようだ。
援助交際しているパパが二人に、本命とキープの彼氏が二人。
4人の男を手玉にとっているとカミングアウトする凪。
それを聞かされた、チャラ男山口と下御領の令嬢は、素でドン引きしている。
当然、小沢凪に想いを寄せていた私も、
この衝撃を隠して平静を装うので一杯イッパイだ。
凍り付いた会議室の中、再び動きを見せたのは、以外にも山口だった。
スマホを取り出し、素早く操作すると何処かへ通話をし始める。