だが、確かに優れた人材ならば、こうした困難にも打ち勝つ機転と行動力がないと駄目だろう。
私は自分にそう言い聞かせ、無言で面接を続行させた。
柚葉はピシャリッと扇子を閉じると、私と凪を見詰めた。
「アタクシの自社株を付録につけるのは、いかがでしょう…?」
「大盤振る舞いで、100株おつけしますわ♪」
ぬぅ…、原価数十円のボールペンに、一流企業の株券とは…。
これは、魅力的な申し出ではないのか…。
それに対して、凪は腕を組み、目を伏せて長考していた。
「うふふ…♪」
「いかがです?悪くない提案でしょう…?」
はたと思いついた表情を浮かべ、凪は呟いた。
「面接官は…、要りますか?株券…?」
凪は私の方を見て、問いかける。
少し考える素振りを私はしたが、株券100株貰っても、嬉しくないし、
正直、必要性が感じられない…。
ボールペン1本の付録とはいえ、有難みは非常に薄い。
…それに…。
凪の恥ずかしい画像vs一流会社の株券。
どちらか一方を貰えるとしたら…。
すまん…、私も男の子なんだ…。
やはり、気になる女の子の恥ずかしい画像の方が欲しい。
「…いや、確かに欲しいとは思わないかなぁ~…。」
「な、な、何ですって…っ!?」
「じゃあ…、じゃあ、凪さんっ!!」
「貴女は、どんな提案が出来ると言いますの…っ!?」
ナチュラルに私と凪に提案を拒否され、慌てた柚葉は凪に食ってかかった。
凪は、うーん…と、指を頬に当てながら、天井を見詰めて提案を考える。
「じゃあ、こんなのは…?」
そう告げると、凪は私の方へ近づき、ボールペンを手に取る。
それを机の上に突き立てると、グッと身を乗り出して私に近づいた。
そして、自分の上着をはだけさせ、わざとタイトスカートを大きく捲ってみせてくる。
「このボールペンを買ってくれたら…。」
「私の下着姿を…、」
「お見せするのは、どうですか…?」
凪が私に、ギリギリまで近づいたせいなのか、
息が吹きかかる程の距離で、囁かれたせいなのか、
周囲温度が、10度くらい急上昇した気がした。
彼女の紅い唇が私の耳たぶギリギリにあって、
触れそうで触れなさそうな空気感が、ピリピリと私の精神と身を震わせる。
凪は、私の変化を見逃さず、リクルートスーツの上着を乱して両肩を出し、
机の上に片足をかけて、スカートの奥が見えそうなギリギリなポーズを取った。
「どうします…?」
「私が自ら脱ぎます?」
「それとも、面接官が脱がしてくれます…?」
最初に感じた、彼女の内気で地味な印象は霧散して、
妖艶で魅力的な女の雰囲気が、お堅いリクルートスーツの乱れから溢れ出る。
そんな彼女から発した圧力に押され、私は恐る恐る彼女の肩へ手を伸ばした。