「やあ、ノア」
「はあ、はあ……あら、先生。もういらしてたんですね」
ミレニアムの校内をぶらついていると、運動場の近くでノアを見つけた。体育の授業だったようで、いつもはストレートに流している髪をポニーテールにまとめ、体操服に身を包んでいる。
私に気づいてすぐにいつもの表情を取り繕ってみせたが、その呼吸は荒いものだ。元々ノアはミレニアム生の中でも体力が少ない。授業でへばってしまうのも仕方のないことだろう。
ここで気遣うのは簡単だ。けれど、取り繕って見せた彼女にそれをやるのは少しデリカシーに欠ける気がした。
「うん。さっきエンジニア部の発明品も見せてもらったところ」
「私も昨日確認しましたけど、その様子なら問題はなかったみたいですね」
「ばっちりだったよ。流石エンジニア部。合体変形ロボまで作っちゃうなんてね!」
「え、なんですかそれ!?」
「え?」
だからそこは指摘せずに会話を続けたわけだけど、なぜか想定とは違う流れになってしまった。エンジニア部の工房のド真ん中にドン! と鎮座していたし、ウタハたちも喜々として紹介してくれたから間違いなく呼ばれた理由はあれだと思うんだけど……。
「……私が昨日見せてもらったのは洗濯・乾燥・折畳機能のついた洗濯機でしたよ? ロボットなんて存在すらしていませんでした」
「それはそれで興味あるけど……」
乾燥までは既存のものがあるけど、洗濯物を畳むまでできるとか普通に有用では? 私みたいに忙しい人とか、極度の面倒くさがりにめちゃくちゃ需要ありそう――って今はそこは置いておこう。ロボなんて存在すらしていなかった? 合体すれば十メートル。合体前でも明らかにロボであることは明白なあれが一切ノアの記憶にない? そんなことがあり得るだろうか。上手いこと隠していたならあるいは……とも思うが、そもそも彼女たちがそれをノアから隠す理由がない。
ということは、まさか……。
「一日であれを造ったってこと?」
そういえば、みんな妙にテンションが高かった気がする。いつものことかとも思っていたけれど、あれって徹夜テンションだったのでは? いや、徹夜したとして、あんなものを一日で造れるの? 私の生徒たちが才能の塊すぎる。
衝撃の事実に唖然としていると、ノアが息切れとは別の深い溜息を漏らした。流石に隠しきれない程度に双眸をどんよりと濁らせている。
「問題が起きなかったからいいですけど、私が事前確認した意味がないじゃないですか……」
「あはは……」
まあ、事故や失敗も多いとは言え滅多なことは起きないし、仮になにかしら起きたとしても私は問題にするつもりなんて皆無だけど、セミナーとしては堪ったものではないだろう。
というか、こんな顔をしているノアは珍しい。不測の事態に陥る時は大体あの威圧感のある笑みで誤魔化しちゃうもんなぁ。
とはいえ、彼女たちも別も悪気があってのことではない。私的には大満足なイベントだったし。
なので、多少はフォローを入れておくとしよう。
「あんまり怒らないであげてね――?」
いつものようにぽふぽふと頭を撫でようとして――す、と躱された。いつもと違う行動に思わず首を傾げる。
そんな私から半歩距離を取ったノアは、ほんのりと頬を赤らめつつ視線を逃がしていた。
「その……今は体育の後で汗もかいてますから……」
…………ふむ。
「……なんですかそのポーズは」
「飛び込んで来いのポーズ?」
むしろ私としてはご褒美なんだけど?
両腕を広げてみせてアピールをしてみると、一瞬固まった彼女は周囲をぐるぐると確認する。幸いこの場所は死角になっているし、授業の後に眺めに休憩していたらしく周辺に他の生徒の姿はない。
それを確認すると、持っていたタオルで肌に浮いていた汗を丹念に拭き取り、二度、三度と大きく深呼吸をして、すすす、と飛び込むというよりは擦り寄るように身を寄せてきた。
腕を背中に回すと、当然ながら汗でうっすら湿っている。けれど、それは全然不快に感じるものではない。
それどころか、ほのかに立ち上ってくる香りはいつもより濃い感じがして、もっと嗅ぎたいという欲求がムクリと鎌首をもたげる。
「あ、こらっ。匂い、嗅いじゃダメですよ」
その欲望に抗いきれず、思わず頭部に顔を埋めて肺いっぱいに彼女の匂いを吸い込むと、流石に少し強めの制止がかかった。
「ごめん。すごく好きな匂いだったからつい」
「……変態」
弁明したらなじられました。ご褒美かな? そうかも……。
衝動に負けてつい匂いを嗅いでしまったけれど、ハグくらいならまだしも――いや、ハグも結構不味いかも――こんなところを誰かに見られでもしたら、流石に私達の関係を誤魔化せそうもない。
それに、この匂いは私にとって劇物だ。肺にまだ匂いの粒子が残っているような気がするし、謝ったくせしてもう一度吸いたいという気持ちがふつふつと湧き上がってきている。
偉い人は言った。バレなきゃ犯罪じゃないんですよ、と。
もう一回くらい吸ってもいいんじゃないか? と考えてしまう。ここはそもそも人気が少ない。もうちょっとだけなら許されるのではないだろうか。ノアもなんだかんだ怒らないのではないだろうか。
適当な逃げ道を誘惑にスパイスにしながら、また目の前の頭に顔を近づけて――
「「!!」」
かすかに聞こえた足音に思わずばっと距離を取った。
「? あ、先生。こんにちは。ノアも一緒だったのね」
「やあ、ユウカ」
「ええ、授業が終わった後に偶然会ったんです」
ひょこっと建物の影から出てきたのはユウカ。授業は別だったのかいつもの制服姿だ。
「どうかしたんですか? 二人とも顔が赤いみたいですけど」
「え、そう? 今日暑いせいかな?」
「そうですね。私も体育の直後ですから、それかも」
流石の目ざとさ。リオがセミナー役員に抜擢するだけのことはある。今はその優秀さを発揮しないでほしいんだけどね!
「今日は日差しも強いですからね。日焼け止めはつけてますか?」
「う……この後つけます」
「忘れないでくださいね。ノアも無理しないでね。今は余裕あるんだし、しっかり休んでから仕事に来て」
「はい。ありがとう、ユウカちゃん」
うーん、なんというおかん力。一年生のいたずらトリオが甘えるのもやむなしというものかもしれない。そのせいで彼女がトラブルに巻き込まれることも多いわけで、素直にそのおかん力を褒めるのは憚られるのだが。そもそも生徒に対しておかんみたいは全然褒めてない? それはそう。
まあしかし、今回はそのおかん力に助けられた。少なくとも顔のほてりのことは誤魔化せそうだ。
こっそりと安堵の息を漏らしてノアに視線を向けて――
「――っ」
く、と息が詰まった。盛大に喉を鳴らしてしまうところだった。
普段彼女の背面を覆っているふくらはぎまである長い髪。それがポニーテールでまとめられていることで、露わになっているのだ。いつもは見ることの出来ない彼女のうなじが。
ただの首の一部分。そのはずなのに、やけに艶めかしく感じるのはなぜだろうか。
視線が吸い寄せられる。釘付けになる。
「先生? どうかしましたか?」
「え!? や、なんでもないよ」
ユウカがいなかったら、果たしていつまで視線を独占させられていたことだろうか。
「本当に大丈夫ですか? 無理はしないでくださいね」
「う、うん……ありがとう」
純粋に心配されて、流石に申し訳ない気持ちが首をもたげる。見惚れていただけなどとは口が裂けても言えないな。
頭を掻くふりをして、腕でノアを視界から外す。そうしないと、すぐにまた目が行ってしまいそうだ。
「本当に気をつけてくださいね? ――あ、もう時間が。それじゃあ私はこれで。ノアも後でね」
「うん。頑張ってね」
「ええ、また後で」
眉尻を下げ、心配そうにこちらを見ていたユウカだったが、腕時計を確認するとバタバタと走り去って行った。余裕……あるんだよね? 随分と忙しそうだけれど。いや、流石に本当に忙しかったらノアもすぐにセミナー業務に同行しようとするだろう。余裕があるのは事実だと思う。それでも私より仕事を抱えてそうな雰囲気があるけれど。あれで普通にゲームを遊ぶ余裕もあるんだよね。バイタリティの塊すぎる。
「?」
若いってすごいなぁ、などとユウカの消えた先を眺めていると、すっとノアが身を寄せてきた。
背を向けている彼女の表情は窺い知ることはできない。が、なんとなく纏っている空気が硬いように思えた。
これは……怒っている? いやちょっと違うな。拗ねていると言ったほうが適切そうだ。
どうしたのかと声をかけようとして、ユウカが来る前にやっていた行為を思い出す。
「ぁっ」
後ろから抱きしめてみると、喜色の混じった小さな声が漏れた。こころなしか、纏っている空気も柔らかくなった気がする。
もう一度頭頂部に顔を埋め、匂いを思い出すように深呼吸する。拒否するような動きは感じられず、身体に回した腕にしっとりと汗ばんだ手がそっと添えられた。
肺胞の先までノアに満たされて、なんだか安心する気がする。ずっとこうしていたいくらいだ。
しかし、資格になっているとはいえここはミレニアムの敷地内。ユウカという前例もあるのだから、いつまでもこうしていることはできないだろう。
「ノア?」
名残惜しさを感じつつ離れようとして――それが出来なかった。腕に添えられた彼女の手に力がこもり、離すことが出来なかったからだ。
頭のすぐ横にあるポニーテールが震える。見えなかった表情が露わになる。
ほんのりと赤みを帯びた、非難するような、それでいてなにかを堪えるような顔に思わず息が詰まって。
「……先生、少しお時間いただきますね」
それを拒否する言葉を私は持ち合わせていなかった。
***
「ん、ちゅ、ちゅぷ……」
舌同士が絡まる水音が響く。かすかに漏れる声が口腔を通して余すことなく脳を震わせてくる。
何度やってもいい意味で慣れることのない口腔のまぐわい。気を抜くと、脳が溶けてしまいそうだ。
「ちゅむ、れ、れろぉ……んぁ……っ」
それに、場所を変えたとはいえやはりホームであるシャーレに比べるとスリリングに感じるのも、興奮のスパイスとなっていた。
流石に外でこんな大胆なことなど出来はしない。今は運動場脇に建てられた体育倉庫の中だ。様々な技術革新を起こしているミレニアムでも体育関連はあまり私の認識と変わりないようで、見覚えのある道具が整然と並べられている。
そのせいだろうか。まるでやったことのない学生時代の秘め事を体験しているようで、ゾクゾクと心が泡立つ。泡立った気持ちが下腹部へと集まっていく。
密着している状態で下半身の変化に気づかれないはずもなく、膨らみ始めた股をノアの手がそろりと撫ぜた。
「ふふっ、さっきは先生にいいようにされてしまいましたからね。今度は私が攻めちゃいます」
そんな意図はまったくなかったのだが、どうやら匂いを嗅いだのは攻めの判定だったらしい。私としてはスキンシップの一環程度だったのだが、ノアが言うのならそうなのだろう。
そも、恋人になってから数多くの攻めを受けたこの身体は、舌が絡まってきた時点で既に屈服しているのだ。私の意思に関わらず、快感を全面に受けようと、甘勃起程度だった起立はすぐに痛いくらいに下半身の布地を押し上げてしまう。
準備万端な様子にまた小さく喉を震わせたノアは慣れた手つきでベルトのバックルを外し、パンツごとズボンをずり下ろす。
「うぁ……」
「おちんちん、すっかり元気になってますね」
押さえつけられていた肉棒が勢いよく飛び出し、ブルマの生地にこすれて甘い刺激を走らせた。
情けない声を漏らした私をあやすようにノアの手が肉棒を撫でる。いや、自身の纏う布地に先端を擦り付けるために竿に手を添えているというのが正しいか。実際、本当にあやす目的であればそんなサディスティックな表情はしないはずだ。
「そんなに気持ちいいんですか? ただの布ですよ?」
ただの布。確かにその通りではあるのだが、ノアが身に付けているというだけでその価値は何倍にも跳ね上がっているのだ。仮に同じ素材の布切れに亀頭を押し付けたとしても、この快楽は味わうことはできないだろう。
それに、男根が押し込まれるたびにブルマの奥にある下腹部の柔らかさを感じることもできる。仄かな弾力のある感触に優しくめり込むたびに、次はもっとはっきりと味わおうと肉棒は硬さを増していった。
すぐに鈴口から先走りが溢れ出し、ブルマに浅ましい染みを作る。それを不快に思うでもなく、ノアはズリズリと染みを広げながら男根を下へと動かしていく。
「んっ……」
一体何を、と思っていると、亀頭が受けていた圧迫感が消え、するりと腰が前に進む。距離が縮まったことで、ノアの胸がむにゅりと押し付けられた。
下腹部の様子は目視できない。しかし、今自分の愚息がどうなっているのかは感触で理解できた。
「どう、ですか? 私の太もも、気持ちいい、ですか……?」
股と太ももの間。絶対空域とも称されるわずかにできる逆三角の空白地帯。そこに挟まれているのだ。きめ細かいブルマの布地と柔らかい太ももが興奮した肉竿を包み込んでくる。
太ももコキ……いや、これは素股と言ったほうが正しいだろう。体育の後でかすかにしっとりとした肌が吸い付いてきて、意識せずともカクカクと腰が動いてしまいそうだ。
「う、く……」
いや、実際に動いてしまっているんだけれど。しょうがないだろう。こんないかにも腰振ってくださいという状況で止まっていられるほど、私の対ノア理性は強固ではないのだ。
それに――
「ぁっ、んんっ……ふふっ、必死に腰、振っちゃっ、て……ひっ、あぁっ」
誇示が前後するたびにブルマに覆われたぷにっとした恥丘も擦れることになり、ノアの口からも喘ぎ声が漏れているのだ。必死に誤魔化そうといつもの攻めっ気のある言葉を紡ごうとしているが、流石に敏感な部分ともあって我慢は難しいらしい。
普段は射精管理と称して攻められてばかりだから、いつもとは鳴りを潜めている嗜虐心をくすぐられる。
「あんっ、もう、そこばっかり……ふ、ぁっ……っ」
上の壁に擦り付けるように意識して腰を動かす。エラの部分が柔肉を押し開くように出入りするたび、ノアの喉から淫靡な音が奏でられる。誤魔化すことは無理と悟ったのだろう。肩に回していた右手で口元を覆い、せめて声を抑えようとしていた。
それが余計に嗜虐心をくすぐるということを理解しているのだろうか。
「ん、んんっ、はっ……せんせ、っ」
「くっ、ノア……ノア……っ」
まあ、同時に興奮しすぎてこちらも我慢出来ない状態なのだが。
ずりずりと肉棒を扱き上げる音と互いの荒い息遣いが倉庫内に満ちる。濡れたような艶を帯びた紫の双眸がとろけるようにこちらを見つめてきて、それから目を話すことができない。瞳孔を鏡にして自分の表情が見えてしまうかも知れないのに、貴重な宝石を記憶に収めることを優先してしまう。
「――――……」
「「!?」」
外から聞こえてきた声にびくりと身体が跳ねる。そんなことをしても意味がないのに、倉庫の真ん中でノアを抱きしめながら身を縮めた。
かすかに聞き取れる会話を聞いている感じ、次の体育を受ける生徒たちの声のようだ。こちらに近づいてくる様子はないが、少なくとも授業の間は声の聞こえる範囲で活動するだろう。気づかれないとはとても断言できない。
バレるかもしれない事実にスリリングさを感じないわけではないが、仮にバレてしまえばミレニアムでのノアの立場に響く。
「……流石にこれ以上は無理そうだね――ん、んぶっ!?」
下腹部に溜まった熱を発散できないのは辛いが仕方ない、と離れようとして、唇を塞がれて目を白黒させてしまった。
「れる、んっ、ちゅむ、ぺちゅ……」
思わず身を固くしている隙に入ってきた軟体が舌を掬い上げる。不完全燃焼な中追加された快感に脳髄がチリチリと焼けるようだった。
成すがままに舌を蹂躙される。それだけではなく、太ももを互い違いにくねらせ、挟んだ肉竿をやわやわと刺激してきた。それだけで、人の気配に軟化しようとしていた愚息は行為の続行を促すようにそそり立ってしまう。
「ん……っ、ふ、ぅ……せんせい……んんっ、ちゅっ……」
がっちりと抱きしめられて、離れることができない。否、彼女が生徒の中では非力であることを考えればその拘束から脱することはできるだろうが、抱きしめられた時点で離れるという選択肢を失っていた。
いつの間にか、成すがままに絡め取られていた舌を自分からも動かしていた。
「――ぷはっ。先生……」
ようやくノアの唇が離れ、同時に拘束も解かれる。そこに名残惜しさを感じてしまったが、流石にノアもこのまま行為を続けるのは危険と判断したのだろう。卑俗な考えを内心に閉じ込める。
「ノア……っ」
――が、そんな私の努力は次の瞬間にはあっさりと砕かれてしまった。
くるりと身を翻したノアは奥にあった跳び箱により掛かり、こちらへその尻を突き出してきたのだ。その瞳には未だ怪しい色が残っていて、その仕草の意味を如実に表していた。
「だい、じょうぶです。今日は短距離の授業なので、ここに人が来ることはありません、から……」
無意識だろうか。跳び箱にしなだれかかり、ブルマに覆われたお尻をふるふると震わせて煽ってくる。もし意識的にやっているのであれば、とんでもない策士だ。
「……あーもう!」
そもそも、こちらは既に我慢ギリギリな状態なのだ。そんな誘惑を受けてしまえば、理性で押さえつけることなど不可能。
悪態をつきながら覆いかぶさるように身を寄せる。その細い腰を掴んで再び魅惑の空間に怒張を挿入しようとして、ふと視線が一点に集まった。
濡れている。突き出されたことで露わになった股の間。ブルマの奥にある縦筋の存在を示すかのように、明らかに先走りや汗とは違うみだらな染みができていた。それだけノアが感じているという事実に、思わず喉が鳴る。
ならば、もっと気持ちよくなってほしい。そんな思考で肉棒の位置を調整するのは当然のことであった。
「ひぁっ!? せんせ、そんなに押し付けたら……っ」
亀頭の先端で陰部をなぞるようにストロークを繰り出す。ぢゅ、ぷちゅ、といやらしい水音が響き、亀頭を極上のローションが濡らした。
「声、抑えてね」
自分が出させているというのに無茶な注文をすると、両手で口元を覆ってくぐもった喘ぎ声に止めようとする。
「ん、んん――――っ!」
それをいいことに、容赦なく腰を打ち付ける。一擦りごとに男根は淫密に濡れ、どんどん滑りが良くなっていく。己を狂わせる恍惚が指数関数的に膨れ上がっていく。
それに下腹部に当たる臀部の感触も心地良い。もしもこの布地がなければ、ぱちんぱちんと小気味のいい音を出していたことだろう。それに興味を持ちつつ、今は快楽を得ることを優先することにした。
「……っ、ふ、むぐ……ぅ、んんッ」
必死に声を押し殺そうとする健気な姿に腰の動きはどんどん早くなっていく。ぐちゅ、ずりゅと響く粘りのある破廉恥な音は、果たして外に聞こえていたりしないのだろうか。などという無粋な思考は一切浮かびもしなかった。今はこの甘い痺れを与え、与えられることがなによりも優先された。
尻タブが形を変えるくらいに腰を押し付けて、小刻みな前後運動に切り替える。ちょうどカリのエラが硬い実を捉える位置だった。
「んんッ、んぁっ、クリトリス、おちんちんが当たって……ッ」
執拗に陰核責めを受けたノアの腰がガクガクと跳ねる。疼きを堪らえようとしているのだろうか。内ももをきゅっと閉じてくる。
それはつまり、肉棒への締付けが増えるということ。私の愚息専用と言わんばかりにフィットした淫密な股穴から聞こえる音に空気が孕む。肉同士にすり潰された愛液が淫靡にも泡立っているのだろう。
「ぁっ、んんっ、ひ――ッ! せんせ、せんせぇッ! わた、し、もう……!」
その品のないぐぷぐぷという音が、どうしようもなく鼓膜を犯してくる。疲れなどものともせず、一心不乱に腰を振り、触覚で、聴覚で、すべての快感を享受する。
「ノアッ! 私も、もう、射精るッッ!」
「――――~~~~ッ!」
――どぶっ、どぴゅるるっ、ぴゅっ、とぷッ!
最後にお尻に叩きつけるように腰を打ち付け、溜まっていた白濁を吐き出した。同時に達したのだろう。ノアが肉棒を挟んだまま何度も身体を弾ませる。前後左右に揺さぶられた先端から白濁が飛び散る。
他人に見られれば悲惨なことになる倉庫内の惨状。しかし、今はそんなことを気にする余裕もなく、倒れ込みかけた身体をなんとかノアの首筋に顔を埋める程度に抑えるので精一杯だった。
気を抜けば意識が飛んでしまいそうな疲労感の中、じっとりと汗ばんだうなじから立ち上るノアの匂いも、未だに整わない互いの息遣いも、なぜかやけにはっきりと感じ取ることができた。ほんの少し前まではそれに肉欲を感じていたはずなのに、今はなぜか安心を覚える自分がいる。
しばらくこうしていよう。さらなる多幸感を求めるようにノアの身体を抱きしめ、そんなことを考えた。
回した腕に、またそっと彼女の手が添えられる。愛おしそうに撫でてくる。慈しみを感じる雰囲気に、同じ思いを抱いていると感じた。
外で授業に励む生徒たちの声が、どこか遠い世界の出来事であるように感じながら、二人だけの世界に沈んでいく。