大きな雨粒が窓を叩く。何度も、何度も、絶え間なく。
外の様子を確認しようとするけれど、H2Oの集団のせいで禄に見れやしなかった。
テレビをつければ、クロノスがちょうど今の天気の話をしているのが映る。どうも、キヴォトスほぼ全域が突然のスコールに見舞われたらしい。予想では今夜いっぱい続くんだとか。長時間続くのはスコールではないのでは? と思うが、まあこの滝のような雨はスコールと表現したほうがわかりやすいか、と疑問を飲み込む。
というか、台風のときの現地リポーターみたいなことしなくていいから。風邪引く前に屋内に入って。変なマスメディア根性見せないで……。
「ふむ、だめだね」
身体を張っているクロノス生にハラハラしていると、後ろからため息混じりの声が聞こえてくる。振り返れば、今日の当番であるセイアがソファに身体を預け、持っていたスマホを放り出しているところだった。
「どうしたの?」
「迎えを頼んだんだが、トリニティとD.U.を繋ぐ道路が崩れて通れないらしい。一応ゲヘナを経由すれば可能ではあるんだが、そっちも渋滞しているし、私の立場的に無理だと言われてしまったよ」
「思ったより大事だ」
まあ、キヴォトスの日常と技術を考えば道路は明日中には直ると思うけど、それでも大事には違いない。
しかし、そうなると――
「今日は泊まることになりそうだね」
「そうだね」
今日は一晩、セイアと二人きりで過ごす、ということになる。
「ひょっとして、わかってた?」
「いいや。ただ、今日はいいことが起こりそうな予感はしていたね」
「そっか」
まあ、いくら勘が優れているとは言っても、そんなになんでも詳細にわかるわけもないか。
テレビを消して、セイアの隣に座る。自然と距離が詰められて、互いの太ももが密着する。
するり、となにかが脚を撫ぜる。視線を向けると、セイアの尻尾がまるで小動物のようにすり寄ってきていた。
「今更だけど、セイアの尻尾ってすごいさらさらで綺麗だよね」
掬い上げた尻尾が今度は腕に巻き付いてくるのを眺めながら、なんとなしに思っていたことを口にする。
キヴォトスには動物のような尻尾を持つ生徒が多くいるけど、個人差なのかやはりそれぞれ質感が違う。短毛でスタイリッシュな子もいれば、もふもふしていそうなボリュームを持つ子もいる。そんな中でセイアの尻尾はストレートの長毛。髪と同じ金色なのも相まって、光をキラキラと反射させて綺麗なんだよね。
「そうかい? まあ、これでも日々手入れをしたり、定期的に専門店で手入れをしているからね」
「へー、専門店……専門店!? 尻尾の!?」
「そうだよ? 翼用とか獣耳の専門店とかもあるが……知らなかったかい?」
し、知らなかった。そんなピンポイントな店があるのか。流石に自分と関係がなさすぎて全く知る機会がなかった。セイアが定期的に通っている辺り、需要はちゃんとあるんだろうな。女の子の美に対する意識が高すぎる。
このセイアの尻尾も彼女の努力の結晶なのだなぁ、と思いながら愛でていると、するりと逃げ出されてしまった。
「……尻尾ばかり贔屓すぎじゃないかい?」
「ごめんごめん」
逃げ出した先に視線を向けると、嫉妬した部位の当人が膨れ面をしていて、ちょっと笑ってしまった。
撫でる先を彼女の頭に変える。さらさらの長い髪は尻尾同様に光を反射して綺麗だけど、同じように見えてやはり手触りが違う。こっちの方が少し柔らかい感じ。これも彼女の日々の努力の賜物なんだろうな、と思いつつ、丁寧に撫でていく。
「ふふ、こっちも悪くないだろう?」
「そうだね。それに――」
言葉を切って、口づけをする。唇だけの軽いそれにセイアは一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐにこちらの首に腕を回して受け入れてくれた。唇の柔らかさと髪のさらさら感、どっちも心地良い。
「こうして撫でながらキスもできるしね」
「ほんと、ずるい人だね」
言葉とは裏腹にくしゃりと笑みを浮かべると、今度はセイアから唇を重ねてくる。ちゅ、ちゅ、と小さなリップ音がやけに大きく聞こえる、気がする。
逆に今も外は豪雨のはずなのに、叩きつけるような雨音はまるで遠くの出来事のように小さい。意識のリソースが目の前の恋人に集中しているのだ。
天気は最悪。だからこそ、今日はシャーレを訪れる生徒は万に一つもない。完全な密室に大切な恋人と二人きり。
これを据え膳と言わずになんと言うのか。
「部屋、行こうか」
「うん。いいよ」
目の前で丁寧に配膳されたご馳走を前に我慢するほど、私はできた大人ではないのだ。
そもそも、我慢する必要もないのだが。
「あっ、んんっ、ふぁっ……っ」
多少家具が増えて、前よりも生活感の出てきた自室。そこのベッドから甘い声が響く。
「ん、んんっ、ぁあっ……まったく、先生はそこばっかり弄ってくるね」
「だってセイアの反応がいいから」
服をすべて脱ぎ捨ててベッドに押し倒したセイアの乳首を舐め吸うと、面白いくらい簡単に喘ぎ声を漏らす。
いろいろ試したけど、やっぱり一番感度がいいのは乳首なんだよね。特に最近は舐められるのがお気に入り。私じゃなくてセイアがね。嘘、私も気に入ってる。利害の一致ってやつだね。
だって、乳首を舐めると独特の弾力が舌に心地いいのだ。癖になる硬さ。なんだかほんのり甘い気もするし、やろうと思えば一生こうして舐めていられる中毒性がある。
「それだって先生が開発するからだろう? あ、ちょっ、ひゃっ、あんっ」
口答えしてきたので、尖らせた舌先で乳首を押し潰す。ついでにもう片方の乳首は指先でカリカリと刺激してしまおう。あっという間にかわいい口からこぼれる声は嬌声だけになってしまった。
とはいえ、セイアもただやられるだけではない。小柄なセイアの胸に私が吸い付いているが故に手こそなにもできはしないが、彼女の尻尾は限界まで肥大した私の魔羅に巻き付き、器用に扱き上げてきている。
「ぁんっ、ど、どうだい? 上手くなったもの、だろ……ひんっ、んんっ」
この尻尾コキという行為、筆舌に尽くしがたい気持ちよさがある。手コキとも違うし、オナホとも違う、やったことはないけど髪コキという行為ともまた違うだろう。間違いなくオンリーワンの快楽を与えてくれるのだ。
なので、そんなえっちなことをしてくれるセイアにはお礼をしなくちゃいけない。
「ゃっ、せんせ、っ、いきなり、はげし……あっ、んぁっ、くりくりするの、ダメ……だ、あぁっ」
口ではじゅるじゅると音を立てながら吸い上げ、指では優しく摘んでダイヤルを回すように擦り付ける。快楽を逃がそうと胸の下でセイアの下半身がカクカクと痙攣している。
だいぶつらそうだ。一回イカせてあげよう。
「んひっ!? そ、そこっ、くり、とりす、も、いっしょに、ひゃ、んっ、はん――ッ」
手持ち無沙汰になっていた手を痙攣している下半身へ伸ばす。既に滴りそうなくらい溢れている蜜を掬い上げ、すぐ上で自己主張している肉豆に塗りつけると、ガクンと大きく彼女の腰が跳ねた。
「こ、こんなの、んンッ、すぐ、イク、イッちゃう……あぁぁァッ!」
二つの乳首と陰核、女性の性的な突起三つをまとめて刺激すると、耐えきれなくなったセイアは私の頭を抱えたまま全身を震わせた。むわりといやらしい女の匂いが部屋中に充満する。
「はあ、はあ……ん、ちゅ、ちゅる……いじわる」
「ごめんごめん……セイア?」
呼吸の荒い彼女に酸素を渡すようにキスをすると、蕩けきった顔で悪態をつかれてしまった。そんなことをしてもかわいいだけなのだが、と内心思いながら謝罪していると、するりと肉棒を覆っていた尻尾が離れる。
どうしたのかと視線を向けると、彼女は蕩けた表情のまま、手を下へと持っていく。自然と目線が追随する。
ささやかな胸元を通って、細い腰を経由して、可愛らしいおへそのある腹、そのさらに下へ。
「先生、お願いしてもいいかい?」
ピッタリと閉じられた縦筋に指先が添えられる。何をしようとしているかを察して、く、と喉が鳴った。
彼女の指に力が入り――
くぱあ、と。蕾が開かれる。
綺麗なサーモンピンクの花から目が離せない。
「先生のおちんちん、私のおまんこに入れてほしいだ。私の全部を、先生のものにしてほしい」
――綺麗だ。
不意にそんなことを思った。いやらしい光景のはずなのに、いやらしい言葉のはずなのに、まるで絵画のような美しさがそこにはあった。
「わかった」
セイアの腰を持ち上げて、互いの性器を近づける。ぴとりと先端を女陰にあてがうと、表面の肉ビラが亀頭を刺激してきた。
いや、それよりも……小さい。や、本当に小さすぎないか? 先端も先端、鈴口で感じる穴のサイズに思わず動きが止まる。正直、とてもではないが自分のモノを飲み込むことができるとは思えない。場所を間違えているのではとすら思えてくる。
「せんせい、はやくぅ……」
「っ……!」
「ぁ……入って、きた……く……っ」
それでも、催促の甘い声に腰を進めると、ず、ずぶ、とゆっくり肉棒が飲み込まれていく。少し苦しそうにセイアの眉間に皺を寄せているが、少なくとも妙な我慢はしていないようだ。
ごめん、嘘。セイアの様子なんて、かすかに聞こえる声でしか判断できていない。そもそもその判断力すらあるかも怪しい。
入口同様、中も狭い。挿入した途端に膣壁全体で侵入者をきゅうきゅうと締め上げてくる。ともすれば痛いほどの締め付けだが、返ってくるのは快楽の信号だけで、敏感な亀頭への刺激に視界がチカチカと明滅する。
ゆっくり入れていたら、すべて飲み込まれる前に私が耐えられなくなりそうだ。
「あぁっ! こ、れ、ふか――ぃっ!」
括約筋を締めるように腰に力を込め、一気に根本まで突き入れる。一瞬の引っかかりの後、ずぶりと肉棒が女陰の中に消えてしまう。私の下腹部とセイアの恥丘がぶつかり、ぱちゅんと濡れた音を立てた。
「ごめん、セイア。大丈夫?」
「あぁ、大丈夫だ。思ったより痛くない。けど……キスをしてくれると、うれしい」
今更な気遣いをかけると、なんとも可愛らしいおねだりが返ってきた。目尻に浮かんだ涙の雫を指で拭い、要望どおり唇を奪う。
「ん、ちゅ、ちゅぷ、れろ……」
ゆっくりと舌を絡め、唾液を混ぜ合わせる。だが、そんな穏やかな上半身に反して、セイアの膣内はざわざわと愚息を責め立ててきていた。
意識してのことではないだろう。ぴったりと密着した肉の壁が亀頭から根本に向けて、まるで扱くように波打ってくる。お互いの腰は動いていないのに、じわじわと射精感が溜まっていく。
「ちゅむ、ぷは……いいよ、先生。動いてくれ……」
「セイア……」
「私のことは気にしなくていいから、私で、気持ちよくなってほしい……」
「っ――!」
この子は本当に……。
そんなことを言われて、我慢なんてできるはずがないじゃないか。
初めてであろう彼女への気遣いなど、完全に消し飛んでしまった。腰を思いっきり、いっそ抜けそうなくらいまで引き抜いて――一気に奥まで突き入れる。
「ぉっ!?」
ぷちゅりと一番奥の肉壁を押し上げられ、セイアの口から空気が抜けたような声が出る。それを気にすることなく、私の先端でセイアの最奥に口づけをする行為を繰り返す。
「くっ、んっ、ぐ、かひゅ……あっ、ひんっ、はっ……っ」
最初こそ慣れない体内からの突き上げという行為に苦悶の色を混じらせていたセイアだったけど、何度も奥壁を突いているうちに慣れてきたようで、だんだんと甘い声が混じるようになってきた。同時に、接合部から聞こえる水音も大きくなるのがわかる。
感じてくれている。その事実が余計にストロークを加速させる。
「あっ、ああっ、ふっ、ひぁっ……は、はげし……激しいのに、気持ちいい……っ」
自由な上半身を悩ましげにくねらせながら快感の申告をしてくるのは、こちらを意図的に煽ろうとしているのだろうか。それとも無意識に声に出てしまったのだろうか。どちらにせよ、あまりにいやらしすぎフォックスだ。これまで膣中は禄に開発なんてしていなかったのに、もうこんなに感じるようになってしまうなんて。
……もっと気持ちよくしてあげなくちゃ。
「ぁんっ、はぁ、んっ、ふゃっ……へっ!? せんせ、あっ、乳首も、だなんて……あっ、あっあっ」
膣全体を肉棒で擦りながら、再び乳首を口に含む。開発され続けた肉の実を舌で転がすと、膣肉の締め付けが一層強くなった。まるでその形を象ろうとしているかのように一切の隙間なく密着してくる。
密着度が上がったおかげで、肉棒が分け入るときの快感が増す。それはセイアも同じなようで、耳をくすぐる喘ぎ声が大きくなった。
「あっ、んひっ、は、んっ、あっ、ああッ、ぁンッ」
何度も、何度も、彼女の最奥でキスをする。眼の前の恋人が発する喘ぎと水気を孕んだ肉と肉が弾ける音が部屋中に響き続ける。
セックスが種の存続のためなんて嘘っぱちだ。どう考えたって愛し合うことが主目的の行為じゃないか。ただただ肉欲を貪りあうための行為じゃないか。
有名な七つの大罪に色欲が含まれるが、当たり前だ。こんなものに溺れ尽くしてしまえば、人間として生活できなくなってしまう。しかも溺れたくなるほどにこの罪は魅力的すぎるのが、また質が悪い。
「ぁっ、あぁぁアッ、ひ、ハッ、せんせ、せんせぇッ」
ただ今、今だけは。
立場とか未来とかそんなことはすべて忘れて、目の前の愛を育む行為に没頭してしまおう。
「せんせ、わた、わたし、もう、もう――ッ」
「私、も……ッ」
快感は既に溜め込める許容量を超過していて、射精の準備をしている睾丸がぐつぐつと燃えるような熱を持っている錯覚すら感じている。それでもまだこの気持ちよさを感じたくて、腰を振るのをやめることができない。
しかし、いつだって終わりは存在するもので。
「あッ、アッアァァ~~~~ッ!!」
先にセイアが達してしまう。ベッドシーツを両手で力いっぱいに掴み、身体がガクガクと震える。
そして、絶頂の余波が私にも降りかかる。肉襞がこれまで以上にざわざわと蠢いてきたのだ。
まるで射精を促すようなその動きに、下腹部に溜まっていた欲望が一気に尿道を駆け上がる。
「で、でるッ!!」
――びゅじゅるっ、びゅるるっ、どくどくどくっ!
「あっ、あつ……中に、ぁっ、いっぱい、出てる……」
どくどくと勢いよく白濁を吐き出す男根を膣壁がざわざわと扱き上げてくる。その促しのまま、あっという間に尿道に残っていた精液まですべて出しきってしまった。
「んっ……」
欲を出し切った肉棒は急速に硬度を失い、ずるりと膣から抜け落ちる。彼女の股にぽっかりと開いた穴からは、泡立った愛液とスペルマのカクテルがたらりと垂れ落ち、ベッドシーツを汚す。
そんなことを気にすることもなく、荒い息のまま彼女の隣に倒れ込む。
「先生……気持ちよかったかい?」
「うん……」
「ふふ、私も、だ……ん」
全身に汗の玉を浮かべたセイアの顔が目と鼻の先にある。どちらからともなく唇を触れ合わせた。初めてのときのような軽いキス。これはこれで胸がぽかぽかしてくる。
ふと、耳に無数の雨音が入ってきて、窓の方を見てみる。まだ豪雨は止んでいないらしく、モザイク画のような曖昧な風景だけが見て取れた。
「ふぁ……」
耳元から可愛らしいあくびが聞こえてくる。見れば、セイアの双眸は快感によるものとは毛色の違う蕩け方をしていた。
「眠い?」
「そう、だね。寝心地は悪いけど、それ以上に眠い……」
確かに、ベッドシーツはところどころ染みができ、私達の身体も汗だのなんだので汚れてしまっている。寝るには最悪な状況だろう。
しかし、完全に動く選択肢を放棄したらしいセイアは私に抱きつき、口づけをするように胸板に頬を擦り寄せる。
「これなら、寝心地は良さそうだ」
「ほんとにー?」
随分安価な方法で寝心地が向上するものだと苦笑しつつ、照明を消してシーツを被る。寝起きは最悪になりそうだが、それは明日の自分に丸投げしよう。
「おやすみ、先生」
「おやすみ、セイア」
腕の中に恋人の体温を感じながら、そっと意識を落とした。
セイア編はひとまず完結となります。
まだ書きたいネタはあるんですが、まあひとまず一区切りということで。
こちらのお話に書き下ろし、加筆修正した同人誌を月末の冬コミで配布します。
表紙と挿絵はカメラ越し風えっちイラストがエ駄死級なリッリさんに描いてもらいました。(pixivに投稿している分では表紙を見ることができます。
1日目ヤ-05a【やせん】です。当日は対戦お願いします。
ちなみに、タイトルから察せられるかも知れませんが、こちらのシリーズはいろんな生徒たちとこっそり恋人生活を楽しむものになっております。たぶんなんとかバースってやつ。更新は不定期ですが、次のお話も楽しんでいただければ幸いです。次はおそらくノアの予定。
それでは今日はこの辺で。
ではでは。