チョロイン美少女だらけな異能力者学園を陰で牛耳る精神支配洗脳催眠のやべーやつ。 作:Lucas≒Claus
きまって朝になるとぼくをやさしく起こしに来る親切な美少女たちがいてなかでも彼女は、
三号ともなるととうとう力と技を兼ね備える。
もはや無敵だ。
特殊能力を使ってくる。
おもいどおりに植物を操る彼女は、茨のつるで千鶴センセのアパートの部屋に侵入するとぼくの眠るベッドへとやってくる。
そして密着添い寝を開始した。
すやすやと。
「……すぅ…………」
いや起こさんのかい。
「んぇっ。ぁ」
ぼーっと寝ぼけたようすのねむちゃん先輩は、なんとか役目をおもいだす。
眠たげにまぶたを擦る。
それから抱き枕片手のうつらうつらでこういった。
「おきて。あさ」
がんばっておきれてえらいですね。
「うん。えらい」
二度寝しちゃだめですよ。
「ぅぅ。当番の日はそれがつらい」
なんてことを今年で
ねむちゃん先輩は二十歳のJKである。
お酒も飲めるJKである。
留年なのだ。
睡魔によって出席日数が不足して。
小柄でちびで色々ちっちゃいので年上にはみえない。
「寝ぐせととのえるの手伝って……」
わかりました。
ぼくは櫛を手に取った。
朝支度を開始する。
ねむちゃん先輩のお世話をしつつ、歯を磨きひげを剃り洗顔をし朝飯をつくる。
こちらのお宅にはよく泊まっているので物の心配は必要ない。
定時になるとアラームが鳴って、千鶴センセが起きてくる。
「おはよう」
はいコーヒー。
「ありがと」
さっそくエッチなかっこうですね。
「ありがと」
なんとも低血圧な返答だ。
千鶴センセは下着に白ブラウスを羽織っただけだ。
白い生脚がまぶしい。
朝からなかなか刺激のつよい光景。
まるで昨日の痴態などまったくなかったように振る舞うクールさは見習いたい大人のソレだ。
食卓についた千鶴センセが手だけ伸ばす。
そしていう。
「ン」
醤油をわたす。
「ン」
ご飯のお代わりをよそう。
「ン」
新聞をわたす。
「なんだか熟練夫婦みたいね」
ぼくは気の利く男子ですからね。
「進路調査で"若いツバメ"って書いていた」
養ってくれる女性募集中です。
「ところでなんかいるんだけれど」
ベッドの上のちんまい生き物を指さすティーチャー。
ぐーすかすやすや眠っている。
ぼくは苦笑した。
ねむちゃん先輩は神出鬼没なので。
学園にはぼくが、おぶっていきます。
「そ。じゃ、わたしはもう出るけど。あなたたちも遅刻しないように」
りょーかいです。
†
いつもとちがう登校路をとおってマキちゃんと合流する。
静ちゃんもいっしょだ。
どうやらふたりはウマがあうらしい。
「おっはよ」
おはよ。
「……」
静ちゃんもおはよ。
抱き着いてくる怪力娘。
ぼくの背中の彼女にジェラっているらしい。
へそピ弄りで機嫌を取る。
「さくばんはよくも叩き起こしてくれたね。せんぱい」
寝不足か。
「おかげさまで。そだ。約束、忘れてないよね」
なんでもいうことひとつ聞くぜ。
「ヨシ。昼までには考えとこう」
ぜひそーしてくれ。
「忘れたはナシだかんね」
うなずく。
ついでに話題を振る。
昨日はお手柄だったそうじゃない。
そうなの、とマキちゃんはウキウキ顔になる。
「大活躍でした。ぶい」
大活躍か。
なにしたん。
「ひと探し。犬の嗅覚で消えた透明人間をみつけたの。なんと美女」
美女か。
「全裸の美女でした」
全裸の美女さがし。
「人助けはきもちいーね」
たいへんよい心根をおもちだな。
マキちゃんは。
「武家の女だからね」
武家の女万能説。
てきとうなつっこみにコロコロ笑う彼女。
「まさかわたしの異能がひとの役に立つ日がくるとは。シビレたね」
マキちゃん犬もなかなかやるね。
「これでしょぼい異能とさげすまれることもない」
さげすんでないって。
「うそだ」
蹴らないでよ。
「武家の女は名誉を重んじるの。肝に銘じておくこと」
やはり武家ギャル。
「ところでそのお背中の美少女は」
ねむちゃん先輩です。
「わたしたち3年生なのに、せんぱい」
いろいろあるのサ。
「じゃ仕方ない」
ようやく登校路を歩きだす。
メンバーはすでに4人だ。
マキちゃんはひとを集めるタイプなのかもしれない。
どんなときでもグループの中心にいる陽。
貴重だ。
場が華やぐ。
「ところで。うわさに聞いちゃったんだよね」
なにが。
「この学園にはランク制があります」
あるね。
「下はE-から上はS+まで。なんかアツくない」
まんがみたいだよね。
「でしょ。さすが、せんぱい。わかるじゃん」
マキちゃんのランクは。
「そこはせんぱいからでしょ」
Dランクです。
読心とテレパシーなんて下っ端のカス能力じゃね。
「負けた。E+です」
がっくりするマキちゃん。
まあ、犬に変身するだけだし。
「なんだよう。こばかにしやがって。
せめてオオカミだよね。
トラとか。
サーベルタイガーとか。
「ひ、ひどい。せんぱい、ちょびっとランク上だからっていじわるだ」
マキちゃんがちらっと静ちゃんに視線を移す。
たしかBでしょ。
「ま、負けた。そんな。おっぱいのサイズだけでなく異能のランクまで」
がっくりするマキちゃん。
ぼくはフォローした。
おっぱいも異能も、ランクがすべてじゃない。
個性はそれぞれ。
「ちなみにそのお背中のひとは」
ねむちゃん先輩はS+だね。
「え。やば」
逆らったら消し炭にされるぜ。
「こわ~」
なんて会話は下駄箱までだ。
教室につくと、千鶴センセがほくほくと出席を数える。
「出席4。前代未聞ね」
そしてホームルームがはじまる。
†
休み時間なのでトイレに向かう。
小用を済ませる。
廊下の角で冰織をみつける。
なにしてんの。
「……いつもの」
ストーキングか。
冰織はうなずく。
可愛いぼくの
「ひと、増えてて、教室」
人見知りか。
あいかわらずだね。
「だからこうして、こっそり」
きちんと出席せい。
千鶴センセが困っちゃうだろ。
伝えると冰織は、しゅんとした態度だ。
「きまずい。いまさら」
そうおもって先伸ばしてるとどんどん入りずらくなるぜ。
そのうち、他のメンツも顔出すようにしてくつもりだからさ。
「うん……」
素直なところが冰織の魅力だ。
なんかできることある。
「じゃ。手。握って」
わかった。
そして教室に戻る。
マキちゃんはじめ一同こちらをじっとみた。
「せんぱい、せんぱい。雪の妖精さんがとなりに」
クラスメート。
なかよくしてやってね。
端的に親睦を深める必要がある。
そこでぼくは提案した。
千鶴センセは気楽に了承。
「プール開きを行います」
マキちゃんが手を挙げた。
「せんせー。水着がありませーん」
ではボディペイントだ。
「はったおすよ」
じつはあらかじめ用意があって、すでに人数分の水着が配達されている。
学園に。
ぼくは事前準備のできる男だった。
「なぜスリーサイズをしっている」
入学のとき健康診断したでしょ。
「ああ。測ったね。たしかに」
沈黙。
「いや流されそうになったけどおかしいでしょ。なんでうちらの健康診断の結果しってるの」
まあまあ。
「いやいや」
まあまあ。
そんなこんなで男子更衣室。
さくっと着替える。
プールサイドにたどりつく。
しばらく待つ。
長い。
なぜ女子はお着替えが長いのか。
女子更衣室の方角からわいわいきゃいきゃい楽しそうな声が聞こえる。
ぼくもあっち行きたい。
さびしい。
「お。せんぱい、おまた」
おまたになんかついてるか。
「お待たせの略です。けっとばすよ」
プールサイドでは乱暴禁止です。
「でどうよ。水着」
エントリーナンバー、1。
マキちゃん。
ギャルのスクール水着はすばらしいね。
マキちゃんのは新型スクール水着といって、1980年代以降に主流になった型だな。
分割線のないワンピース形状がキれてるぜ。
ちなみにこの縫い目はプリンセスラインというらしい。
なんかえっちな線としか認識してなかったけど服飾業界用語らしいよ。
プリンセスってついてるとかえってお洋服にエッチ感出るね。
「こいつスク水の話するとき早口だな」
おとこはスク水だいすきだから。
「でも男女混合ってどうなわけ」
ぼくにひとりで遊べというのか。
「しゃーない。遊んだろ」
ぞろぞろと他のメンツもやってくる。
エントリーナンバー、2。
千鶴センセ。
競泳水着。
よく鍛えられた女豹のごときナイスバディ。
スポーティで長い脚が美しい。
「あまりじろじろみない」
すみません。
たいへんおきれいです。
「おせじとおもってうけとっておく」
なんていうが頬っぺたはちょっと赤い。
続くエントリーナンバー、3。
静ちゃん。
旧型のスク水だ。
お腹の下に水抜きがある。
濃紺色のジャージ生地がわがままボディに引き延ばされてとんでもないことになっている。
胸元におなまえがひらがなで書いてある。
『しずか』。
「……」
いいね。
「……♪」
ちなみに浮き輪を装備している。
カナヅチだからだ。
息継ぎが下手なのだ。
本人曰く、泳ぐより水面を走ったほうが早いらしい。
なんじゃそりゃ。
「……」
しっかり準備運動してね。
うなずく静ちゃん。
てきぱき準備運動をこなしていくダイナマイトボディの無口目隠れ美少女。
はずむおっぱい、クーパー靭帯の活躍が目覚ましい。
眼福だ。
「どう。改造、してみた」
なんじゃそりゃ。
「えへん」
胸を張る冰織。
そのバストは豊満であった。
エントリーナンバー、4。
氷の女王・冰織。
かってにスク水の生地を切り取ってカスタマイズしている。
ワンピースをベースに背中と腰回りの余分な布地をきりとったスタイルは目新しいカッティング。
さすが手芸部。
しかもスタイルに絶対の自信があるのだ。
匠の技で学園指定にあるまじき露出度になっている。
背中とかもろ出しだ。
脇腹のくびれがキュッとしていてすごい。
「シャワー、浴びてくる、ね」
そして学園プール特有の地獄冷水シャワーに突入した冰織。
プールサイドに氷の女王の可愛らしい悲鳴が木霊した。
あれ、なんか声でるよね。
「……ねむぃ」
あーだめだめえっちすぎます。
「ふふ……悩殺」
ねむちゃん先輩もご参加ですか。
「うん。あついし」
エントリーナンバー、5。
ねむちゃん先輩。
なんと白スク水だ。
これあれだろ、えっちなコスプレで使うやつだろ。
水吸った端から生地透けてるぞ。
肌色になってるぞおい。
準備したのだれだ。
ぼくだ。
なんてこった。
成人済み合法ロリの白スク水はなにかいかがわしい
「浮き輪でぷかぷかしてるねぇー……」
いちおうクラスメート同士の親睦も兼ねてるんですけど。
「むにゃむにゃ……」
すでにすやすやだった。
いってらっしゃい。
女の子たちがプールで水遊びしている。
ぼくはぼけーっとそれを眺める。
平和だ。
じつに。
すばらしい。
この景色のために、いままで苦労してきた甲斐があったもんだ、とおもった。
「あなたは泳がないの」
千鶴センセがとなりに来る。
滴る水滴までうつくしい。
ぼくはライフセーバーですので。
「そうやって自分から輪に入ろうとしないの、よくない癖よ」
外野が丁度よいんです。
「そう」
それ以上は千鶴センセも追求しなかった。
なんとなく居心地のよい空間だった。
常夏の陽射し、輝く水滴、切りとればそれは過ぎ去りゆく青春のフォトグラフ。
青臭い理想郷だった。
聖域といってもよい。
"異能"に振り回されてきたぼくの人生で、こんなに穏やかな時間はもしかしたら初かもしれない。
いつまで続くのだろう。
どうでもいい。
いつまでだって続けてやる、ほかでもないぼく自身が。
なにをしてでも。
「せんぱーい!」
マキちゃんが手をふる。
ビート板を投げつけられる。
額を抑える。
「こっちこーい!」
頭を掻く。
なんだか気をつかわれたみたいで恥ずかしい。
「行ってきなさい」
千鶴センセまでそういうので、ぼくはライフセーバーをあきらめた。
プールに飛びこむ。
水しぶきをあげて。
笑顔がはじけた。
†
十年前────ある日の追憶──────少年と少女
───────国立先端異生物研究所にて.
「みんなしんじゃえばいいのに」
彼女は呪うようにそういった。
ぼくらは白い部屋の囚人だ。
ふたりきりの。
飼育されている。
白衣の大人たちの手によって。
「あなたは従順ね」
ぼくは淡々とこたえた。
痛いのはイヤだから。
ふん、と彼女は鼻をならす。
ぼくの返事が気に入らなかったらしい。
「苦痛がなに / 肉体は精神に隷属するのよ / そんなものは安っぽいただの現象でしょ / 苦痛なくして生はなし」
ぼくはうんざりしている。
この問答もすっかり飽きた。
痛みを避けるのは生物としての本能だ/
肉と心は対等だし/
ぼくら個体だってただの現象/
怠惰は高貴な悪徳だ。
「うざったいな。あなたと話していると」
彼女は長い髪をかき乱した。
ぼくはいった。
じゃあもう話しかけるのはよしてくれ。
「わたしはあなたとちがう。いつか必ずここを出る」
そう啖呵を切って彼女は、ベッドに横になる。
眠る必要はないというのに。
ぼくとおんなじで。
模倣行為、ある種の擬態。
人間のふりといってもよい。
「すこししたら起こして。たぶん人がくるから」
すこしってどのくらい。
「すこしよ。あとは自分で考えて」
わかった。
ぼくはうなずく。
彼女が寝息をたてる、しずかに、息をひそめるように。
やがて監房の扉がノックされる。
彼女の肩がびくりと跳ねる。
外には、白衣の大人たちが立っている。
どちらか一方が部屋を出ろ、と命じられる。
彼女はぎゅっとまぶたを閉じている。
かたかたと震えながら。
ぼくはいった。
彼女、ちょうどさっき眠ってしまったんです。
だからぼくが行きます。
かまいませんね。
大人たちはうなずいた。
ぼくは白い部屋の外に出る。
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