銀髪ロリ体型ホムンクルスにTS転生したボクがエッチな目に逢いまくる話 もしくは 繁殖用女性型ホムンクルス実験報告書 作:雅媛
重たい瞼を押し上げると、視界一面に無機質な白が広がった。
知らない天井だ。
思考には靄(もや)がかかり、「なぜここにいるのか」という問いだけが空回りする。
首を巡らせる。壁も、天井も、床も、すべてが徹底的に白い。
窓はなく、光源すら見当たらないのに、空間全体が乳白色の光に満たされていた。
唯一の色味といえば、足元にある飾り気のない金属製の扉だけ。
上体を起こそうとして――視界に映り込んだ自分の体に、呼吸が止まった。
「……ッ?」
陶磁器のように白く、透き通るような肌。
視線を落とした先には、なだらかに隆起する胸の膨らみがあった。その頂点には、熟す前の果実のような、淡い桜色の突起がちょこんと主張している。
その下には薄く引き締まったお腹と、縦長の可愛らしいおへそ。
さらに視線を下へ滑らせると、そこには衝撃的な光景があった。
あるはずのものが、ない。
男性器が存在すべき場所は、一本の体毛すら生えていない、つるりとした恥丘に置き換わっていた。
その中心には、無防備な桃色の秘裂(ひれつ)が、ただ静かに刻まれているだけ。
(嘘だろ……?)
自分のものとは思えない、ガラス細工のように細い手足を動かしてみる。
視覚情報と神経がうまく繋がらない。
恐る恐る、プラスチックのような硬質の寝台から降りた。
ひやりとした床の冷たさが、敏感すぎる足裏から脳髄へと駆け上がる。
壁に備え付けられた大きな鏡の前へ、ふらつく足取りで立つ。
そこには、この世のものとは思えない美少女が映っていた。
月明かりを溶かしたような、腰まで届く銀の長髪。
顔の半分を占めるほど大きな蒼い瞳は、濡れたような光を湛えている。
全体的に華奢で、折れそうなほど細い。けれど、腰のくびれや尻の肉付きには、未成熟ながらも確かに「メス」としての艶めかしい曲線が宿っていた。
三十代の男として生きた記憶がある。それなのに、鏡の中の少女はあまりに幼く、そして煽情的だ。
鏡の中の自分が、とっさに動いた。
右手でツルツルの股間を隠し、左腕で薄い胸を抱くように覆う。
頬がカッと熱くなり、耳まで赤く染まるのがわかった。
(なんだこれ、体が勝手に……!)
見られているわけでもないのに、自身の裸体が放つ無防備さに耐えられない。
「恥ずかしい」という感情が、思考よりも先に、この作り物の体にプログラムされているようだった。
太腿が小さく震え、膝が合わさる。
このままでは気が狂いそうだ。
とにかく、ここから出なければ。
唯一の出口である扉へ、すり足で近づく。
ドアノブの位置が、酷く高い。ボクの首元あたりだ。
冷たい金属のノブにつま先立ちで手を伸ばすと、自身の体の小ささ、無力さを物理的に思い知らされる。
カチャリ、と軽い音がして扉は開いた。
廊下に出ると、そこもまた静寂と白の世界だった。
無臭で、清潔すぎて、まるで実験室の中のようだ。
右の突き当たりは行き止まり。
だが、左の廊下の奥――開け放たれた部屋の中に、誰かの背中が見えた。
パソコンのような機器に向かう、白衣らしき姿。
大柄な男性だ。
どうしていいかわからない。けれど、独りぼっちの不安と、誰かの指示を求めるような弱い本能が足を動かす。
ペタ、ペタと、裸足が床に吸い付く微かな音だけが響く。
一歩近づくたびに、遠近感が狂うほどの体格差が浮き彫りになる。
相手が大きいのではない。ボクが、圧倒的に小さく脆いのだ。
男性の広い背中を見上げると、捕食者の前に出た小動物のような頼りなさが全身を駆け巡った。
それでもボクは、抗えない引力に引かれるように、その男性の背後に立った。
何も纏わぬ、生まれたままの姿で。