ハロウィンに帰省した斎賀百。その実家には妹とその彼氏である陽務楽郎がおり、斎賀百は気まずい思いをしないよう鉢合わせまいと心に誓う。
自室に部屋着がなかったため、別室のウォークインクローゼットへ向かい襖を開けるとなぜかそこから妹が飛び出して来た。不思議に思いながらも入室すると、眼前には広げられたままの扇情的なミイラのコスプレが……。
大方色仕掛けようの物だろうと思った斎賀百だったが、そのコスプレ衣装のクセして匠の技が光る衣装と。もしやこれはオーダーメイドなのでは…?と知的好奇心からそのミイラ衣装を試着する。
そんな時にウォークインクローゼットの部屋前に陽務楽郎が訪れ、斎賀百は即座に襖の鍵を閉めようとしたが。その大きなバストが災いし胸部のミイラ衣装が爆裂()してしまう。そのようなトラブルもあり襖の鍵を閉めるのが間に合わずあわや陽務楽郎と斎賀百はバッタリと出くわしてしまう。
不幸は重なりさらなる来訪者の気配を感じた斎賀百は、これ以上事態を混迷化させてなるものかと陽務楽郎の手を引きウォークインクローゼットへと引き入れ、今度こそ襖の鍵をかけ。二人は奇しくも一緒になって身を潜めることになった(←今ココ)
――ふにゅん――
斎賀百の抱擁を受けた楽郎の顔面が飛び込んだ先は、彼女の豊満な双丘の谷間であった。しかもその感触はほぼ地肌のそれ、辛うじてかかっているような包帯らしき布の手触りは上質なシルクのようであり。寧ろその異なる感触はメリハリを強くさせより強烈な刺激となって脳を襲う。
その柔らかな感触に思わず意識が飛びかけるが、それを与えている人物との関係性が。幸福感よりも危機感を強く煽った。
「も、百さ――もがっ」
「…静かに」
弁明にしろ、謝罪にしろ。とにかく口を動かさなければと顔を上げた楽郎のことを斎賀百は口頭による制止と、彼も動転しているだろうという憶測から物理的に口を覆うことで阻止した。
ぬるり、と口を覆う際に僅かに斎賀百の指先が彼の唇の隙間に入る。即座に抜き取られたとはいえその感触は思わず背筋を震わせるものであり、彼は再度目を白黒させた。
――トトトッ――
言われるがままに静かになった楽郎の耳が捉えたのは、先ほどから聞こえてきていた足音が目の前の襖のすぐそこまで来ている音だった。
斎賀百はもちろん、気の動転から立ち直りつつあった楽郎の二人は自然と息を潜めた。しかし無常にも足音は襖を挟んだ前でぴたりと止まる。
そうして訪れる静寂。互いに口を閉ざしてしまえばもはや互いの息遣いと衣擦れしか聞こえない空間で、鼓動すら抑えなければ――と意識してしまったがために。かえって早くなる。
――トクン、トクン、トクン――
襖越しにいる相手の動向を、髪が擦れる音すら聞き逃すまいと集中した結果か。ふと楽郎の耳が斎賀百の拍動の音を捉えた。仮に自分の心臓の音が聞こえるなら、これに負けず劣らずのハイペースを刻んでいるんだろうなと頭のどこか冷静な部分でそう思った。
そして、一度冷静になり相手の動向以外にも注意を払う余裕が生まれると。彼は自身を包む斎賀百のあらゆる…あらゆる情報を意識し出してしまう。
「…っ」
斎賀玲とはタイプは違うが整った。間違いなく美人と分類される美しい顔立ち。短くも濃い色合いの亜麻色の髪が風によって舞い上がり、思わず彼の心臓を強く叩く。
肌や今も彼の心を穏やかなものにしない胸部は無論のこと。香水なのかボディソープなのかそれとも彼女の体臭なのか。いずれにせよ魅力的な香りに混ざる汗の匂い。
そして、彼女の服装…上は最早大破したミイラのコスプレ衣装に、下半身は堅い印象のスラックスと何故かチグハグなフッァションをしていたが。扇情さと硬派さの、歪な格好もまたどこか男心をくすぐる。
視覚に聴覚嗅覚触覚と。五感の内四つまでもを斎賀百に支配された陽務楽郎は、否が応でもその全身の血液が下半身に集約し。己が男であるということを否応なく再確認してしまった。
(まずい……!)
斎賀百の顔が至近距離にあり、その顔が自分とは違う危機感と緊張に包まれたシリアスな表情を浮かべていることを認識し。殊更己の状態に気付かれてはならないと楽郎は焦るが下半身の膨らみは既に自己主張を始めている。
それを悟られるより先に状況を変えようと斎賀百の手から脱するべく身をよじらせる。
とりあえず、己の心を一番かき乱す豊満な双丘を回避しようと顔を逸らす。それは男性らしく固い髪質の楽郎の髪が、彼女の
「んッ」
彼女の声は小さく。しかしその声の質は楽郎の意識を吸い寄せるには十分なものだった。
何かの勘違いで、聞き間違いだったのではないか。そういった淡い期待を裏切るように。彼女の呼吸は僅かに荒くなり。無意識か深く吐いた息が楽郎の頬を流れていく。
楽郎は思わず顔を上げた。すると目に入ったのは彼女が数瞬前まで浮かべていた緊張感のあるものではく、目を丸くさせ。楽郎に、そして自分自身にも驚いたような
「ぁ……」
彼からの視線か、それとも刺激の発生源を探したのか。顔を軽く下げた斎賀百と楽郎の視線がぶつかり合う。
「す、すみません」
「…いやいい。私も、可笑しな声をだしてすまない」
二人とも極僅かな声量で謝罪の言葉を口にして。二人ともいたたまれなくなり視線を逸らしてしまう。
そうしていること数秒。逆に発生したトラブルによって二人が一層静かにしていたことが功を奏したのか、襖の外にいた人物は踵を返し遠ざかっていく。
そしてそれを見送りほっと安心した二人。だが先程のやりとりから動きが少々ぎこちなくなっており。そして今互いの距離は鼻先がぶつかりそうなほどに近く。互いの息遣いが感じられ。少しでも動けば新たな触感にまた心を乱されてしまうことだろう。
「「……。」」
今二人がこの距離を縮めたのは他者を欺くために斎賀百がとっさにとった行動によるもの。なので襖の外にいた人物の脅威が去った今、別に二人がここまで密着する必要性は皆無である。本来ならすぐにでも離れればいい。しかし尚も2人はすぐに相手を引き離そうとはしなかった。それは危機から脱した脱力感から次の行動を起こせずにいるのか、それとも……
「……ん?」
ふと、斎賀百が違和感を感じる。その違和感は腰辺りから…正確にはその部分を押し上げている堅い感覚。数瞬の思考の空白と、その正体に気付いた瞬間、斎賀百の脳内は少しの混乱と。多大な納得によって占められた。
「百さんどうし――ハッ、あいやコレは…!?」
そこで見て見ぬ振りが出来れば良かったのだが、声をあげてしまったため。楽郎は彼女のその視線の先と、正体に気付いてしまう。
慌てて腰を引こうとするが既に遅く、完全にバレていた。そして彼のその慌てる様子に斎賀百は思わず笑い出してしまう。
「クッ、アハハ…なに、私も穢れを知らぬ生娘ということはない。理解はしているさ」
「…あ、ありがとうございます?」
「寧ろ正そうとしてくれるだけありがたい。世の中には、指摘しても
「いやそれただのスケベオヤジですし、そもそも付き合わせてもらってる身でその人のお姉さんにんなことするほど切羽詰まってませんよ」
話を聞く内に呆れから冷静になったのかそう言って斎賀百の腕の中から抜け出そうと楽郎は身を捩った。しかし今度は斎賀百の方が彼の肩を掴み行動を阻害する。
「え…っと、百さん?」
「……ふむ」
制止されるとは思っていなかったのか、僅かに眉を顰めて自分より少し背の高い斎賀百の顔を見上げる楽郎。
「…そう言う割には」
彼が覗き込んだ斎賀百の顔は神妙な様でいて何処か挑発的な。意地悪そうな
目を細めてやや下の方を見る彼女の視線を追えば、楽郎はそして彼女のその表情に釣られて目線を下げていけば見えたのは。未だ静まらぬ己の愚息の姿であった。
「お盛んなままのようだが?」
「…い、いやいや。それは、生理現象ですし」
これまで『社会人と廃人を両立するハイスペック人間』『リュカオーン以外眼中にない狩人』だと考えていた相手からの急な逆セクハラに面食らい。思わず言い訳の言葉を募る。
「発汗と同じですよ。運動やら緊張した場面が終わってもしばらくはそのまま――つァ」
尚言の葉を紡ごうとした楽郎だが、その口から出てきたのは単語とも吐息とも違う。震えた喉がそのまま空気を通したかのような間の抜けた声。
それが出た理由は至極簡単。斎賀百が肩を抑えていた手の片方を、彼の股間に這わせたからであった。布の上から彼女の指がそのなだらかな曲線に沿ってなぞる。それだけで彼は背筋に走るものを感じて言葉を繋げることが出来なかった。
そして今度こそ言葉を失い息を呑む彼に対して彼女はその顔を彼に向けニマリと笑いかける。それは何か企んだような小悪魔的でいて魅惑的な。蠱惑的な表情であった。
「ここまでモノを大きくした輩を、妹の前に立たせる事は出来ないな。君もそう思わないか?」
「そ…れはもしかしたら旧大陸の端から端を結んだ距離歩譲ってあるかもしれませんけど…!」
「玲と…仙姉さんの計画も破綻させてしまったからな。なら次女たる私が、ある程度の尻拭いをせねばいかんだろう」
「は、はぁ!?」
楽郎の立場からすればまるで分からないような言い訳をしながらも、斎賀百はこれまで二人そろってピンと背筋を伸ばして密着していた姿勢を解き。僅かに楽郎側に体重を預けるようにしな垂れかかる。体重をかけられ、自然とバランスを保つために楽郎は彼女を受け止める形となった。
「う、お……」
……そして寄りかかられたことでより強く彼女の体の感触を味わうこととなる。
上半身は包帯のような布切れ一枚を残してほぼ裸同然である斎賀百の胸は、彼に身を委ねたことでその丸いカタチを楽郎の胸板に這うように変わり。彼女の豊満な双丘の全ての感触がダイレクトに伝わってくる。
刺激は胸だけに留まらない。時たまぶつかるヒンヤリとした感触の二の腕や細く絞られつつも女性らしい肉付きを残す大腿部、そして彼女を受け止めた際自然と背後に回された柔らかくも冷ややかな細い指。
それは彼ら二人が鉢合わせ、人が来るからと彼女に強引に抱き寄せられた
「~~~っ」
普段の。特にVRゲームの中で常にふざけ倒して人を食ったような態度の、しかし空恐ろしいプレイヤースキルと洞察力で世界を進めていく
「案ずるな、無論他言するつもりはない。それに…これは君にとっていい予行演習になる」
「予行、演習…?」
斎賀百からの突然の言葉に、楽郎はオウム返しで聞き返す。
「そも疑問に思うだろう?なんで私がこのような格好をしているのか」
「そりゃ、そう思いましたけど」
己の格好を強調するように腰から首にかけてのボディラインに沿って手を動かす斎賀百。その艶めかしい動作に奪われそうになる目を必死に明後日の方向へねじ曲げようとしながらも、楽郎は同意する。
「なに、簡単なことさ……これは本来。玲が着ようとしていたのさ」
「玲さんがそれを…ッ?」
「まああの子は途中で我に返って結局着てはいないようだったがな。それよりも…そんな格好をして、ナニをしようとしていたと思う?」
「…そんなこと。分かりませんよ」
「本当にそうか?」
数秒黙り込み。その後呆けた様子でそう答えようとした楽郎だったが、答えた直後に斎賀百の鋭い口調がその言葉を否定した。
「こんなはだけた様相となってしまったのは私の責任だが、そうでなくともこの衣装はとても蠱惑的だ。そして長く私と触れ合っていた君ならとっくにこの生地の良さには気付いているだろう?まるで…誰かに
「ッ」
斎賀百による証言と推理、そして目の前にその衣装を着ている。
それは自然と楽郎の脳裏に一つの光景を夢想させる。目の前の斎賀百ではなく、彼女に負けず劣らずの魅力を持つ斎賀玲がそのミイラ衣装をまとい。同じように己に迫る姿を。
――ドクン――
それは実際の記憶ではないのに。本物じみた鮮烈さを持って。楽郎の心臓を強く叩いた。そこから生まれた熱い血の流れは男としての本能に則り彼の下半身に向かって殺到し。彼のズボンをさらに堅く押し上げていく。
「……フフ、やはり分かっていたじゃないか」
「いやこれ誘導尋問ってやつじゃ…」
「口ではないのだから。適用はされないだろう?」
強く密着した状態で堅くなれば、それはイヤでも相手に伝わる。
その口からではなく。しかしそれ以上に雄大に答えてみせた楽郎に対して、斎賀百は狙い通りだとその笑みを深めた。彼女は楽郎の耳元へ口を寄せて。彼の耳に直接囁きかける。それはまるで蛇が獲物の体でとぐろを巻き、ゆっくりと丸呑みにするかのように。
「想像しただけでその反応だ。もしそれが現実になった時、君は玲に手酷いことをしないと誓えるか?」
「………」
楽郎は何も言えなかった。
彼と斎賀玲の関係は良好だが。だからといってそれは不変のそれではなく、ふといつしか崩れてしまいかねないような細い糸(斎賀玲からのカーボンナノチューブ染みたそれは考慮しないものとする)である。斎賀百から聞かされた玲の目的……自分がそんな格好の玲を見て何も感じないのは既に彼女に看破された。
そして何よりその想像の時点でこれだけ昂ってしまうのだ。もし目の前に本人がいて。それで襲ってこいと言わんばかりの姿を見せられたなら。果たして自分は我慢出来る出来ない以前に、人として在ることができるだろうか?とそんな風に考えて、声を大にして否定することは出来なかった。
「うん、いいな…口先だけで『大丈夫です』と言われるよりも。ずっといい――」
だがしかし彼のその返事なき答えに、斎賀百は不満を述べることはなかった。寧ろ彼女の目は爛々と輝いており。口元を彩る微笑みには親愛が込められていた。
「だから
斎賀百は楽郎が必死に触らぬように固めていた手に、己の手を重ねる。ピクリと跳ねた彼の手を持ち上げ、徐々に自身の胸元へと導いていく。
「これでも1人の姉だ。妹の情事が愉しみよりも荒く痛み強く残るようなものにはしたくない」
胸の谷間から乳房の表面へ、そして指先が布の無い素肌の上を滑り降りていき。それとともに手に伝わる柔らかな感触も徐々に質量を増していく。やがて二人の手は彼女の胸の谷間の真下へ辿り着き。最後に彼女がその胸を左右から寄せ上げることで。彼女の豊満な乳房は楽郎の手の平に収まった。
「あ……」
その暴力的なまでの質量に呆けた声を出すだけの楽郎にクスリと微笑みつつも、斎賀百は言葉を続けた。
「先ほどの
冗談めかしてそう言う斎賀百だが、非現実的な光景や感触に対して楽郎はそれに対してリアクションをとることはできない。
「私はもうここまでさらけ出している。据え膳食わぬは男の恥という諺もあるだろう?」
自身の胸に置かれた楽郎の手を、更に強く押し込む。
どこまでも沈み込んで行きそうな。しかし、少しでもずらせば跳ね返りそうな。弾力と柔らかさを兼ね備えた斎賀百の胸は、手の感触だけでなく指の隙間からもその快楽を伝えてくる。長く、そして濃密な誘いに――遂に楽郎は観念なのか、諦念なのか。それとも蕩けきったのかは…グチャグチャになった彼の頭では判断が付かなかった。
「んッ…ふふ」
楽郎が彼女の胸を鷲掴みにした。その行動に対して彼女は小さく、嬌声とも笑い声にも聞こえるような声をあげる。
「百さ……んッ」
彼女の笑みが耳に入ったのか。混乱と興奮で頭がいっぱいになっていた楽郎は我に返り、反射的に手を離そうとする。だがそれは斎賀百の両腕によって防がれてしまった。斎賀百はその細腕からは考えられないほどの力で楽郎の腕を掴み、自分の胸へ押し当て続ける。まるでそうすることが当たり前と言わんばかりに。
「つぁ…ッ」
触ってはいけない。少ない理性は目の前の人物との間柄や倫理観からそう叫んでいるのに、目の前のモノの感触を味わう度にもう一回、もう一回と逸る手を押さえることが難しくなっていき。それを抑止する声もだんだんと静かになっていく。
「ふふ、こんな
葛藤してはいるものの、端から見れば無言で胸を触り続けいている様子の楽郎に自身の経験も交えて可笑しそうに言う斎賀百。おそらくそうした意図はないのだろうが、どこか小馬鹿にされたような気持ちとなった楽郎は。桃色に染まり始めた思考の中でふとイタズラ心が沸いた。
綺麗な流線を描くその頂点で、そこだけが主張するようにまるで触れられるのを待っているような突起部。それを望むままに楽郎は軽く摘んだ。
「ん……!?」
それまで一方的に余裕を持って振る舞っていた斎賀百は、楽郎の行動に僅かに全身を強張らせる。だがそれを気を遣うような理性はもはや楽郎にはない。思い通りの音が鳴ったことに喜ぶ演奏家のようにこれまで沈むことに任せていた指に力を込めて彼女のその肉芽とその周辺を愛撫し始めた。
「ちょっ、とお前……んんッ」
その手技が格別に上手い訳では無い。だが敏感になっている所への不意討ちのようなものであり、思わず制止の声を出そうとした斎賀百だったが…己の胸の奥から迫りくる淡くも鋭い感覚に意識が奪われて甘い声が漏れ出てしまう。
それによって溜飲が下がったのか、より大胆になっていく手つきと指先。ほんの少し前まで乗り気ではなかった楽郎だが……つい今し方自分によって与えられる快楽に翻弄される目の前の女性を、もう少し鳴かせてみたい。などと微かな嗜虐心を燃やし始めていた。文字通り不慣れな手つきながらもその指先が悪戯に硬くなった乳首を抓み上げれば、思わず斎賀百は声を漏らす。
「あっ、…くぅ」
その反応に楽郎は手応えを感じたのか。今度は親指と人差し指を使って優しく転がすように刺激を与える。
「だ…からあまり…ッふあ……」
その指使いの緩急差によって生じる快感に翻弄されながらも、彼女はなんとか言葉を紡ごうとする。だがそれは意味を持たない声へ変換するだけだった。
「――百さんだって、案外経験無いんじゃないですかね?」
弄っている内に多少は正気が息を吹き返したのか、僅かにその頬を朱く染めながらも視線を斎賀百の顔へと変えた楽郎は。イタズラっぽくニヤリと笑う。
「…ほう、言うじゃないか――」
さすがに妹の彼氏、それも先程まで顔を茹で蛸かと思うほどに真っ赤にさせていたヤツにそのように言われては。さしもの斎賀百の脳裏にヒヤリと冴えたものが入り目を細める。
「言っておくがな。アレは前戯にも満たない…そう、ただ不意にそこらの子どもに脇腹をくすぐられて笑ってしまったのと大差ないぞ?」
そう言いながら彼女は己の胸部で遊んでいた楽郎の腕を不意に掴むと、ぐるりと抵抗の余地なく楽郎は地面に寝転がっていた。斎賀の者なら当然の様に修めている護身術の一種によってパチクリと目を瞬かせていた楽郎だが、それも一瞬だけである。すぐに斎賀百は起き上がり仰向けに倒れている楽郎の腰の手前に跨がる。
さきほどまで不可抗力とはいえ悦に浸っていた楽郎だが、このように完全に優位を取られた姿勢に思わず危機感を感じ喉を鳴らす。
「そういう君こそ、ココは随分と硬くなってるじゃないか!」
「ちょ、んな急に…!」
大きく盛り上がっていたズボンの股間部分。それを斎賀百は躊躇うことなくその細くしなやかな指先でなぞり、そして揉みしだくように刺激を与える。突然のことに楽郎は思わず声を漏らすが、彼女はそんな反応を気にすることもなくファスナーに手をかけて、ゆっくりとジッパーを降ろしていく。
「ふむ。大きすぎるという訳でもなく、かといって小さい訳でもなしか……とりあえずEDの類いでなかったのは一安心だ」
「いやさっきから散々触ってたじゃ無いですか…うっ!?」
斎賀百の指先が楽郎の下着をずり下げ、その剛直が露になる。それは既に反り立っており。彼女の前にその存在を強く主張しており……それに恥ずかしさを覚えた楽郎が言葉を返そうとしたときにその愚息は斎賀百に強く握られ不意の事に声をあげた。
「案外実際に見なければ分からない物だろう?」
「…知りませんよ。んな事」
「拗ねるな拗ねるな、悪かったな。年を重ねるとどうにも、自分よりも年が下の者をからかいたくなるんだ」
楽郎は羞恥で顔から火が出る思いであった。しかしそんな彼の様子を見てケラケラと笑う。一頻り笑った後に、彼女は軽く咳払いをして視線を楽郎の剛直に向けた。
「それなら――んっ、君が好きなこれで奉仕してやろう。どうだ?」
すると斎賀百は楽郎の腰の辺りに跨がっていたのを、そこから随分と彼の足の方へと下がると上体を倒した。自然とその豊満な胸が楽郎の剛直の近くへと近づき、彼女はそれを下から押し上げるように持ち上げそれをアピールした。
ただでさえ強烈な存在感を持っていていたそれが本人の手によって押し上げられ、滑らかに形を変えていくそれを見ていると。
「……なんか、すみません」
――ピクン、とその剛直が血流の増加による無意識なものか。それとも興奮した意識が力を入れたことによって動かしたのか。いずれにせよ言葉にするよりも遙かに分かりやすい返答をした。
「いやいいさ。言葉で語るよりも雄大で簡潔だ…さすがにこのままでは気持ちよさよりも痛みの方が大きいか?」
早速“奉仕”を始めようとするが、そこで一つの問題に気付く。想定している“奉仕”を行うには、あまりにも
このまま強引に始めると過度な摩擦によって彼の陰茎に大きな負担をかけてしまうことは明らかだ。少し考えて、斎賀百は手で口元を押さえ数秒間待つと。微かに口を開けた。
するとその口から銀色に淡く光る液が流れ、自らの谷間に垂らしていく。濡れるミイラ衣装や露出した胸部にはその粘性をもつ液によって艶やかに光っていく。
「っん、べぇ…」
「え、ちょちょっと百さん。それ勝手に着てるヤツなんじゃ……」
「んッ…どうせもう破損しているんだ。補修にせよ弁償にせよ、最早使い倒してしまった方がいいさ」
口から発せられた透明の粘性液を存分に、胸部全体が軽く光を反射して光沢を纏うぐらいにつけると。それを染みこませるようにむにゅん、もみゅんというオノマトペがつきそうなほど大きく胸の形を変えさせる。
時折離れた両の果実の狭間に銀色の橋がかかるような光景も見られ、やがて十分に胸を濡らすと彼女はそれを楽郎の剛直に近づけた。
「さっ、これでどうだ……っと」
小難しい顔で己の胸をこねくり回していた斎賀百は、やがて満足いったのか自身の乳房を両手で端から押さえつけるように持ち上げると。その谷間が直立する楽郎の愚息に収まるように位置を調整し……それを勢いよく落とした。
「うお――ッ!」
大質量。そう言っていい程のものが落ちてきたのに楽郎に痛みは一切襲ってこなかった。楽郎の陰茎は何の抵抗もなく、肉に触れても唾液によって文字通り滑るように谷間へと滑り込んで入っていく。
粘液によって軽減させ、快感を覚える程度に軽減された摩擦による刺激。しかもそれは滑らかな素肌とシルクのような手触りの衣装によって交互に異なり、ただされるよりも大きな快感を楽郎に与えた。
「充分にローション代わりはつけたつもりだが、痛くはないか?」
斎賀百はそう言葉を投げかけながらも、自身の胸から僅かに顔を出した楽郎の怒張。その先端を子を慰める親猫のように舌でチロリと舐め上げた。
「っ、あ……だ、大丈夫です」
「そうか。よかった…続けるぞ?」
胸による刺激でも舌による刺激の両方で、楽郎は思わず声を漏らしながらも辛うじて返す。その言葉に微かに顔をほころばせながらもジッと楽郎の陰茎を見つめながらも斎賀百は奉仕を初めていく。
高く聳え立ったその塔を。その圧で押しつぶすのではないかと思うほどに強くおのれの肉を、中にあるモノをシゴキ上げる。その刺激に思わず声を漏らす楽郎の反応を、彼女は上目遣いで確認し。全体的に圧をかけるものから、徐々に一点一点に場所を変えながらどこの反応がより強く出るかを確かめるように胸を動かすスピードや圧を変化させていく。
「っ、ん……ぐっ…!」
「その手の手技に明るくはないが…まぁその顔を見るに心配はしなくて良さそうだな」
緩急に加えた角度や方向の変化によって発生する肉棒全体への刺激に翻弄されるように楽郎からは苦し気な声が漏れ。そうして観察眼を深めていくうちに、彼女はある一点にその目を留める。
「…ここか?」
それは彼女の胸の中で陰茎が一際強く反応していた箇所であり、確かめるようにそこを重点的に攻めてみれば楽郎の腰はより大きく跳ね。斎賀百の胸ごと弾ませた。
「う……っ」
「ほう、ふふ…
「余計な、お世話ですよ…うわッ」
楽郎は自分の下腹部にどうしようもなく迫りくるような感覚があり、歯を食いしばり顔を歪めていた。
「その顔は…もしかして、限界が近いのか」
「そんなことはないですけど…」
「どうだかな――まぁともかく、出してもらわないと奉仕の意味がないからな?激しく行くぞ」
そう言って斎賀百は上下させていた胸を一番下まで下げる。するとその大きな胸の中で埋もれ、見えたり見えなくなったりしていた楽郎の陰茎が谷間の先端から現れた…といっても斎賀百の規格外の胸に阻まれ辛うじてカリ首が顔を出した程度のものだったが、それで充分とばかりに口を歪ませた。
すると彼女は挟んでいた怒張のその頂点に、かなりはだけていたミイラ衣装の布の端切れを器用に摘まんでみせて。それを楽郎の陰茎の頂点にあてがった。
「口でやってもいいが…衣装の特徴を活用しないと予行演習の意味がないから、な?」
「いやたぶん玲さんはそんなこと思いつかないとおも――ウ゛ウッ!?」
悪い顔をし始めた斎賀百に対してそう苦言を呈そうとした楽郎だったが、直後その言葉は獣の声かの如きうめき声によって遮られた。
斎賀百が陽務楽郎に行ったのはようするにローションガーゼによる擦り付けである。痛みにも似たほどの強い快感と、先程まで身につけていたが故にある温い人肌の温度。そして未だに陰茎の大部分は斎賀百の強烈な乳房に包まれている。それらが合わさることによって相当な快感を与えてきていた。
元より限界に近く、そんな折にこれまで以上の強い快感を叩き付けられては耐えられないのは自明の理であり。程なくして一瞬大きく膨らんだ陰茎から――
白濁の精液が噴き出した。そのタイミングと量が予想以上だったらしく、斎賀百は少し驚くような顔をしてみせた。
「おっと。さすがにまずいな」
「あ゛ぐっ……!」
そう呟くと彼の精液をせき止めるかのように片方の手で蓋をし、次に射精中に陰茎が暴れあらぬ場所に向かないように反対の手で陰茎を握りしめた。図らずもそれは根元から絞り上げるような形になりより彼の吐精を促した。
ただでさえ腰ををのけ反らせながら意味を持たない獣のような声で悶る楽郎であった。その震えはより強くなり睾丸からポンプされるかのように幾度となく排出を繰り返していた。
そうして十数秒後。最後の一滴まで出し切ったのか。最後に絞り出すようにピュルリとさらさらとしたモノを出した楽郎はそれまで突き上げていた腰を落とし、荒い息をついた。
「はぁ、はぁ…いくらなんでも、意地悪が過ぎません?」
「そうか?いつまでも強情な君にこそ。多少の非があるんじゃないか?」
「多少って時点で認めてません…?」
余韻がようやく抜けきったのか。楽郎は皮肉的な事を口にして返した。対する斎賀百は思わず肩を竦めながらも、視線を先程まで彼の吐精を受け止めていた己の手のひらへと向けた。
彼自身の陰茎に、そして己の胸や身体にもそれなりの量が付着しているのに。それでも尚斎賀百の手には手のひらいっぱいの精液が波打っていた。
(…後々に後始末をするにしても、広範囲となればやり残しが出るかもと思い咄嗟に受け止めたが……どうしたものか)
手に広がった精液をまじまじと眺めているながらも、彼女はそんなことを考えていた。
「陽務くん。君ティッシュの類は?」
「…えー、確かバッグの中ですね……」
「…そうか」
(洗面台に行くことは、そもそも不可能。かと言ってこの部屋にゴミ箱の類はない。床に捨て置き後で掃除するにしてもこの量は……下手すれば跡が残りかねない)
(なら……)
「まぁ、私が吐き出させたモノだ。なら始末は…私の手で、だな」
「…すみませんね。わざわざ受け止めてもらって「陽務くん」…はい?」
楽郎からの声を、少々強く遮った斎賀百。疑問に思った楽郎が視線を上げると、軽く顔を伏せ…見間違いでなければわずかにその頬を紅く染めた斎賀百が。口元を僅かに揺らめかせながらも受け止めた精液を徐々に己の
「…最初に弁明だけしておくと。私は普段から――そのだな、こうした倒錯的な趣向は取らない」
「は、はあ…」
「これは…そう、緊急手段だ。致し方ないからこうした手段を取る。それだけは分かってくれ」
「いやだから――」
言っている意味がわからない。そう言葉を繋げようとしたが楽郎だったが、次の瞬間。斎賀百は片手で受け止めていた精液を両手に持ち替え、勢いよく己の口へと流し込んだ。
「え゛っ」
「ん……」
思わず、楽郎の喉から素っ頓狂な声が上がる。しかし斎賀百はそれに構わず、喉を鳴らしながら精液を飲み込んでいく。
ぷちゅり、ごくん。と時折一際粘性の高いものに対して咀嚼するように口を動かし、喉に引っかかったのを戻すように顔を微かに上下したりと。先程まで己を弄んでいた女が、自らから出たモノを飲み込もうとしている光景に楽郎は目を見開く。
たらんと口の端から微かに溢れた精液が彼女の口から顎、そしてそこから流れ落ちて胸へと一筋の線を描いていく光景は。淫靡そのものだった。
最後に一際大き“ごくり”と喉を鳴らし、その全てを飲み干した彼女は大きく口を開きはぁと息をつくと、目を細めた。
「喉に絡み付き、臭く微かに苦い…ひどい味だ」
そう呟いた斎賀百は続いて手に残ったそれを舐め取り始める。丹念に自身の手を舌で拭き取るその姿は、見方を変えれば高貴な猫のグルーミングのようであったが。楽郎からすればその全ては興奮材料でしかなかった。
斎賀百は手についたものを舐め取り終わると、そのまま楽郎に視線を向け。そしてまた視線を下に落とした。
「……さすがにまだまだ元気だな」
彼女の視線の先にあるのは未だにその硬さを保っている楽郎の剛直であった。一度射精して萎えるかと思いきや、むしろ先程よりも硬度を増しているように見えるそれは、彼の内心を代弁するかのように怒張し天を向いていた。
「いやまぁそりゃ……そんなモノを見せられてこうならなかったら逆に問題でしょうよ……」
「…そう思ってしたことではないのだが。しかしそうか……」
ぼそりとそう口にして、楽郎の視線は斎賀百の谷間や口元へとむけられる。そのたびにそこに付着した白く濁った粘着質な液が反射しているような錯覚を覚え彼女は僅かに動きがぎこちないように思えた。
そんな視線を受けた斎賀百は小さく笑いつつも徐ろに楽郎へと近づくと、その腕を握る。
グチュリ…
「っ」
「まぁなんだ。私も、そこそこ盛り上がってきてしまったところだ」
握った楽郎の腕を自身の方に引き寄せ、そのまま自身の下腹部へと触れさせる。
これまでの行為によってかいた汗や、楽郎が吐き出した精液よるものとは違う。スーツ越しに粘り気があるトロリとした液体が楽郎の手に触れた。
その衝撃と、かすかに生まれた好奇心に誘われるまま。楽郎はふと触れている指を立てぞり…と粘液出ているあたりをなぞった。
「ンく、ふぅ……」
スラリとしたしなやかな足をくの字に曲げながらも耐える斎賀百。前屈みになって堪えるその表情には確かに快楽の色が見てとれた。
「…こんな有様だ。これでは私もおちおち外に出れない」
そう言った斎賀百は、スーツに手を掛けるとカチャリをホックを外した。そこで一度顔を上げ、自身を見つめる陽務楽郎に対して、口の端を吊り上げ笑ってみせた。
「最後まで、付き合ってもらおうか…」
「………。」
陽務楽郎はその言葉に返事をせずとも、しかし否定もしなかった。
つづく
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