風呂場の椅子に座らされた私は、ぼんやりと姉の裸体を見ていた。
性の目覚めに至っていない小学4年生の私は、大人に変わりつつある姉の体を、不思議なものを見る目で眺める。
姉はといえば、今だからわかるが、性的に興奮していない私に不満な表情を浮かべていた。
なぜか不機嫌な姉に私は萎縮。
「じゃあ、ちんちんから洗うね」
また恥ずかしさが頭をもたげる。
「そこは自分でやるからいいよ」
「だめ、それじゃあ一緒に入った意味がないでしょ」
不機嫌な姉を恐れて、私は観念する。
シャワーの温水が股間に当てられた。
そして姉の手が伸びる。
陰部を触られたことに驚き、私は羞恥心から泣きそうだった。
しかし、姉はお構いなし。
陰嚢を撫でるように感触を確かめる。
「わ、柔らかい、不思議〜」
撫でる手は大胆になり、掴んで転がすような動きへと変わる。
私は陰嚢をぶつけた時の痛みを思い出して恐怖に駆られた。
「わぁ、ころころしてる、本当にタマタマが入ってるんだ、おもしろーい」
「やめて……痛くなっちゃうから」
痛くなるという言葉を聞くと、姉は手を止めた。
「そっか、デリケートなんだね」
理解を示してくれたことに私はほっとした。
思えば、恐怖からの安堵が心を緩ませたのだろう。
このくだりがなければ、その後に姉がとった行動に強い拒否をしたかもしれない。
「こっちも柔らかいね、ここは痛くないでしょ?」
小さな陰茎を指先でつまみ、ぎゅっぎゅっと感触を確かめながら、姉は私にたずねた。
「うん、大丈夫」
「じゃあ、皮も剥いてみるね」
私の頭に疑問符が浮かんだ。
皮とは何か。
姉は何がしたいのか。
私の返答など、はなから聞く気の無い姉は、亀頭を露出させようと包皮を後退させる。
ピリリと痛みが走り、私はビクリと体を震わせた。
だが、自分の陰茎の知られざる構造への驚きが勝り、姉の手を振り払うことはしなかった。
真っ赤な亀頭があらわになり、恥垢がこびりついた様子が目に飛び込む。
「ほら、こんなに汚れてる。病気になっちゃうらしいよ」
小学4年生の私は納得する。
大人である姉が、無知な私の健康を慮ってくれたのだと。
「ありがとう、知らなかった……嫌がってごめん」
ひりひりする亀頭に不快感はあったが、感謝の気持ちと罪悪感が勝る。
「いいって、いいって」
笑う姉。
当時は優しい微笑みに見えたが、今ならわかる。
姉は素直になった私の陰部をおもちゃにできることを喜んで、笑みを浮かべたのだ。
「じゃあ、まずシャワーで汚れを流すね」
「うん」
水圧で流されていく恥垢。
初めて外気に触れたばかりの敏感な亀頭に、暴力的なお湯の雨が降り注ぐ。
くすぐったさを超えた未知の感覚を、私は痛みだと誤認した。
「ちょっと痛いかも」
「そうなの? でも、すぐきもち良くなるはずだよ」
もちろん性的に無知な当時の私に、きもち良くなるの真意はわからなかった。
お風呂できれいになれば、さっぱりときもち良くなる。
そういう意味だろうと気にも止めなかった。
しばしシャワーを当てられていたが、むずむずとした感覚に身をよじらせるだけ。
勃起しない私に姉は首をかしげる。
「おかしいな……」
その呟きは私を不安にさせた。
まさか、汚れを取り除くのが遅すぎ、手遅れになったのかと。
「病気になっちゃってるの?」
「や、たぶん違うと思う……そうだ!」
姉はシャワーを亀頭に当てるのをやめてボディソープに手を伸ばす。
未知の刺激から解放された私はほっとした。
「石鹸でしっかり洗えばいいと思う」
姉の言葉は、小学4年生の私には至極真っ当なものに思えた。
自分でやるという発想も湧かずに、うんうんと頷いて大切な陰茎を姉にゆだねる。
ぬるり。
姉の指がボディソープと共に亀頭をすべった。
シャワーではよくわからなかった、明確に初めての刺激に、思わず腰を引く。
「え、痛かった!?」
「わかんない、痛いのとは違うけど、くすぐったい……とも違うへんな感じ」
慌てた様子だった姉がにやりと笑う。
もっとも、当時の私には、安心させようと微笑んでくれたように思えたのだが。
「じゃあ、くすぐったいかもしれないけど、我慢してね」
不安を顔に浮かべたまま、私は頷く。
再び、姉の指が私の亀頭を捕らえる。
絡みつき、撫で、ぬめる。
形を確かめるように、カリ首をなぞり、裏筋をくすぐった。
きもちいい。
性的な意味での快感ではなく、撫でられることへの心地よさと誤認したまま、私はされるがまま。
だが、その激痛は不意に訪れた。
石鹸液が尿道に入ったのだ。
「痛い! 痛い痛い!」
火がついたように焦る私に、姉も狼狽する。
姉は石鹸液が尿道に入ると激痛が襲うなど知らなかったが、結果的に正解の手を選んだ。
慌ててシャワーで泡を洗い流したのだ。
「大丈夫?」
この時の心配の表情は本気のものだった。
「おしっこの穴のとこがじんじんする」
半べそをかきながら事実を伝える私。
理由がわからないながらも、尿道口へとシャワーを向ける姉。
次第に痛みが弱まっていく。
だが、尿道口へのシャワーの刺激は、それはそれでゆるい痛みを伴った。
「姉ちゃん、もう大丈夫そう、それよりシャワーが痛い」
「え、あ、ごめん、大丈夫?」
さっとシャワーが離される。
じんじんと軽い痛みが残る中、私はふたつの思考の間で揺れていた。
痛いことをされたから逃げよう。
病気のせいで痛かったのだろうか。
逃げていれば、姉は止めなかっただろう。
あの時の心配そうな顔は家族を思いやる本物だった。
しかし、だからこそ私は優しい姉にすがった。
「ちんちん病気なのかな、姉ちゃん、僕のちんちん変なのかな」
「確かめてみるね」
再び陰茎に手を伸ばす姉。
それはおそるおそる貴重品を触るように丁寧で、思いやりが感じられた。
少しの間、姉は亀頭を検分すると、私にたずねた。
「まだ痛い?」
「さっきっぽがじんじんする、でもさっきみたいな凄い痛い感じはもうないかな」
私は石鹸液の衝撃から立ち直りつつあった。
「今度はちゃんときもち良くしてあげるね」
そう言って、姉は意を決した様子で陰茎に顔を近づけた。
私は疑問符を浮かべたままただそれを見ている。
そして、姉の頭に隠されて見えないまま、亀頭は口の中へ。