姉が急に股間に顔を近づけたことに疑問しかなかった小学4年生の私に、衝撃が走る。
シャワーの温水とは違う温かさを陰部が感じた。
石鹸のついた指とは違う、舌のざらついたぬめりが裏筋を撫でた。
混乱。
何が起きているのかわからない。
今にして思えば、姉は最初ここまでする気はなかったのではないだろうか。
石鹸液が尿道に入るという事故がなければ、陰部をいじるだけいじり、勃起しないことに不満を覚えたまま悪戯は終わったことだろう。
舌がべろりと亀頭を一周したところで、姉が口を離す。
「味は無いのに、お肉って感じがする……」
そう言ってから目を輝かせた。
その視線の先にはひとまわり大きくなった陰茎。
勃起しかけているのだ。
性の知識の無い私はそれを見て恐怖した。
「腫れてる……!」
「大丈夫、お姉ちゃんが治してあげる」
妙に自信ありげな姉の言葉に、私は若干の不安を残しつつも懇願した。
「お願い……」
姉が再び亀頭をくわえる。
先ほどと違い、姉の口が私の陰部をぱくりと飲み込んだのだとわかっていた。
そんなことはしないだろうと信じつつも、噛みちぎられるのではないかという恐怖がちらつく。
だが、そんな不安はすぐに消し飛んだ。
心地よい温かさ、ざらつく舌に撫でられていく亀頭。
しびれるような感覚が、徐々に陰茎の存在感を希薄にしていく。
まるで陰茎を失ったかのような不思議。
それでいて、背筋がぞくぞくとするしびれが、姉の口の中に確かにそれがあるのだと実感させてくる。
私はのぼせたように、ぼうっとした頭で未知の感覚に身を任せた。
切ない気持ち、名付けられない感触、感情。
小学4年生の私には、まだそこに、きもち良いという言葉を当てはめられなかった。
亀頭がねぶられる。
ざらつく舌の表面が裏筋を撫で、ぷにぷにとした裏面が亀頭を撫でる。
側面をざらつきが襲い、少し硬い舌先がカリ首の縁を舐めていく。
姉は形を確かめるように、いや、事実確かめるために、舌を使って丹念な探索を行なった。
そうして形の確認を終えると、今度は軽く吸ってみる。
吸引される感覚は、舐められる心地よさと違い快感ではなかったが、勃起を完全なものにする効果があったようだ。
もっとも、姉の口の中で何がどうなっているのか、わけのわからない私は、自分が初めて勃起させられたことなど知る由もない。
太く、硬くなった陰茎を目で確かめるために、姉は口からそれを解放する。
私は目を丸くした。
先ほどまでのぼうっとした夢見心地から覚める。
「もっと腫れてる!?」
「大丈夫、このあと膿がピュッと出てラクになるから」
私には、姉のその言葉を信じることしかできなかった。
不安と焦りの入り交じった私の視線を知ってか知らずか、姉は陰茎に手を伸ばす。
「硬い……のに柔らかい、不思議、あ、でも亀頭はぷにぷにしてる」
やわやわと陰茎のあちこちに触れる姉の細い指。
くすぐったさとは明確に異なる心地よさに不安が溶けていく。
姉は陰茎を握ったり、さすったり、強めにしごいてみたり、好き放題していた。
未知の心地よさに夢中になりかけながらも、私は確認の問いかけをせざるを得ない。
「そのマッサージで治るの?」
「マッサージ……そう、マッサージが必要だから、おとなしくしててね」
「うん」
頷くことしかできない私をいいことに、姉は両手で陰茎を挟んだり、そのまま火起こしのようにさすったり、カリ首のあたりをぺとぺとと押したり、およそ思いつく限りの方法で陰茎をもてあそんだ。
私はといえば、わけがわからないまま、少しずつ息が荒くなっていき、そのことがまた頭の中で病気という単語と結びつき不安を覚えていく。
しばらくそんな時間が続き、姉は納得したように手を離した。
刺激を失った陰茎が、かすかにぴくぴくと動く。
私の心を謎の喪失感が襲った。
もっと触っていてほしいという名残惜しさが思考にこびりつく。
加えて、姉の先ほどの言葉、膿が出ればラクになるという言葉が私を急かした。
「やめないで……もっとマッサージして腫れてるの治して!」
必死な表情をしていたと思う。
実際、切羽詰まっていた。
病気への恐怖心と、まだ名付けられていない未知なる情欲に駆られ、腰を浮かせて屹立した陰茎を突き出す。
姉は妖艶に笑った。
この時初めて、私は姉の笑顔に知らない感情を嗅ぎ取る。
圧倒的に優位な立場で弟を支配している優越感にひたっていたのだろうか。
それとも、生まれて初めて男の性器を触り、味わい、好き放題したことで性的に興奮していたのだろうか。
両方かもしれないが、当の本人にしかわからない。
不安を覚えながら、私はもう一度懇願した。
「姉ちゃん、ちんちんマッサージして! お願いだから!」
姉は嬉しそうに股間に顔を近づけ、裏筋をちろりと舐めた。
びくびくと震える陰茎。
姉の顔は下へと移動し、陰嚢をひと舐め。
これまでと違う心地よさに腰が揺れる。
舌が伸ばされ、べろりと陰嚢から陰茎にかけて舐め上げられていく。
私の背骨を伝って何かが走り抜けていった。
体を反らしてひくつく私に姉が声をかける。
「きもちいい?」
そうか、この感覚は、きもち良いという名前なんだ。
そう認識し、私はこくこくと頷いた。
「きもちいい! きもちいいからもっと!」
姉の含み笑いが浴室に響く。