※この作品はR-18です。

フォルティッシモ・パラフィリア -ピアニストの狂咲き-   作:宇多川志木

40 / 44
◆デジタル写真集 No.5(最終作)『奈落の伽藍 -De Profundis-』

価格: ¥0(The Final Gift)

撮影: K

モデル: 有村瑠衣

 

【作品概要】

 『聖獣の檻』解散後、ネットの海に放流されたラスト・メッセージ。 舞台は、凝灰岩の採掘によって形成された、広さ2万平方メートルにも及ぶ巨大な地下空間。古代遺跡や地下神殿を思わせる圧倒的なスケールと、年間を通して気温数度という冷気が支配する中、瑠衣がたった一人の「女神」として君臨する。 数億年をかけて形成された「永遠の石」と、食べたそばから腐敗し排出される「刹那の汚物」。その究極の対比を描くことで、Kの掲げる「アブジェクション(おぞましいもの)の受容」を宗教的なレベルまで昇華させた完結作。

 

【収録内容のハイライト】

1. 地底のナルシス(Narcissus in the Underworld)

 地下空間に広がる地底湖でのショット。 鏡のように静まり返った暗い水面に、全裸の瑠衣がしゃがみ込んでいる姿が映り込んでいる。彼女は水面に映る自分の顔を見つめながら、その静寂を破るように排尿を行う。 波紋が広がり、水面に映る「聖女の顔」が歪んでいく様は、自己愛と自己破壊が同居する彼女の精神性を象徴している。Kは、尿が水に混ざり合う瞬間の「濁り」を、幻想的な光のアートとして捉えている。

 

2. 獣の翼(Wings of the Beast)

 巨大な凝灰岩の壁を背に、両腕を天に向かって高く掲げた「磔刑(たっけい)」のようなポーズのクローズアップ。冷気に晒され、鳥肌が立ち白く硬直した彼女の柔らかな腋下には、処理されることなく伸び放題になった黒々とした体毛が、生々しく繁茂している。これを単なる「ムダ毛」としてではなく、石壁に自生する苔や、堕ちた天使の背に生えかけた「黒い翼」に見立てて撮影している。洞窟内の高い湿度が体毛の一本一本に結露し、照明を受けて水晶のように輝く様は、人間が本来隠そうとする「動物としての痕跡」が、冷徹な無機質の世界で呼吸している証左となっている。

 

3. 刹那の白龍(Ephemeral White Dragon)

 採石場の冷気を利用した、環境芸術的な一枚。 石切り場の冷たい岩肌に背中を預けた瑠衣が、足元に温かい排泄物をひり出した瞬間を接写している。 外気と体内物質の温度差により、排泄物から猛烈な「湯気」が立ち上り、それがバックライトに照らされて揺らめいている。 ただの生理現象が、環境との相互作用によって一瞬だけ可視化される「白龍」へと変貌する奇跡的な瞬間。

 

4. 伽藍の冒涜(Blasphemy in the Cathedral)

 巨大な石柱が並ぶ、まるで神殿のような空間での引きの構図。 荘厳な空間の中、豆粒のように小さな瑠衣が、中央でドレスを捲り上げ、排便行為に及んでいる。 圧倒的な「静(石の空間)」と、一点の「動(排泄する生身の人間)」。 歴史の重みを持つ石舞台を、個人の卑しい排泄行為で汚すという最大級の冒涜。しかしその構図は、神に生贄を捧げる儀式のように神々しく、見る者をひれ伏させるオーラを放っている。

 

【Kによるキャプション(抜粋)】

 我々は、地の底から叫ぶ。 永遠に変わらぬ石の冷たさよりも、今ここで朽ちていく、彼女の熱いリビドーを愛する。この神殿に残されたシミは、やがて消えるだろう。だが、君たちの記憶に焼き付いた「聖獣」の姿は、石に刻んだ文字よりも深く、永遠にその脳髄を犯し続けるはずだ。

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