魔力ゼロの呪詛錬成・出涸らしエルフは性悪女冒険者パーティに復讐する 作:ケロリビドー
「目が覚めたのね。まだ骨折が治りきってないと思うからポーションを飲んで」
「あ……あ、おはよう……すまない」
ライルフェンが眠りの淵から浮き上がってくると部屋の窓から眩しい光が射していて、もう時刻は昼を回っているようだった。昨日とは違う色の清潔なシャツに袖を通してポーションを差し出してきたエリエットは宿から湯をもらって身を清めたのか、花のような清潔な匂いがしていた。
まだ眠気の残るままポーションを受け取ると、ライルフェンはそれを静かに口にする。薬草の味がそのまま残った物でなく飲みやすく加工された上等なものだった。エルフであるライルフェンは雑味の強いポーションも嫌いではないが、果汁のような甘酸っぱさは疲れた体に染みた。
「これも、安くはないものではないのか、何から何まで……」
「いいのよ。腕が折れてちゃ何もうまくいかないでしょう」
「そうだな……。感謝する」
優しく微笑むエリエットの顔を見て、ライルフェンは昨日眠る前に彼女に手を握っていてほしいと頼んだのを思い出す。小さな子供のようなことを言ってしまったとすこし恥ずかしいのと同時に、それが魔力の回復をもたらしたかどうかが気になってきた。
「その……昨日手を握ってもらって、俺の魔力はどうなっただろうか。気になるんだ。すまないが、またあのルーペで俺の本質を見てもらえないだろうか」
「そうね、見てみるわ」
エリエットは片目を閉じて、ライルフェンの前にルーペをかざす。そして今の魔力の数値を教えてくれた。
「5まであがっているわ」
「やっぱりそうなのか。ひとに手を握ってもらうと少しずつ魔力が回復するんだな」
握りこぶしを胸にあてて、ライルフェンはほっと溜息をついた。今後また時間をかけて魔力を溜めること自体は不可能ではない。どれだけかかるかわからないが、エルフは長い時間を生きることに慣れている。
「それなのだけど……。手を握っていただけで3上がったのだから、もしかしたらもっと数値が上がる場所があるかもしれないと思うのだけど」
「ん? まあ、その可能性はなくはないが……」
「調べて見ましょう。ちょうどあなた身体が汚れているし……下からお湯をもらってくるわ。身体を洗ってあげる」
「うむ。ん!? いや、自分でできるが……」
突然のエリエットの申し出を一瞬理解できなかったライルフェンを置いてエリエットは部屋を出て行ってしまう。確かにエリエットは最初から全裸で捨てられていたライルフェンに関して何も気にすることなく接していたが、普通人間の若い娘は男の裸にもっと抵抗があるものではないのかと思う。
(いや、そういう物でもないのか。あの三人女たちも俺の身体をおもちゃのように扱って当たり前のようだったし、俺が思うより人間の女というのは解放的なのかもしれない)
だからこそエルフを迫害する勢いで繁殖しているのだろうな、とライルフェンがとりあえず納得していると、エリエットが桶に湯気を立てる湯を持って戻ってきた。中に布切れが沈んでおり、彼女がそれを絞る間彼は素直に上半身裸になった。
「熱くはないかしら」
「……ちょうどいい。すまない」
「いいのよ」
温かい感触が背中に触れると、じんわりとした安心感がもたらされる。埃で汚れたままだったライルフェンの肌が布を滑らすごとに白くなっていった。
「奴隷の紋章、火傷の跡みたいになっているわ」
「綺麗には消えなかったようだな。しかし機能していないのならそれでいい」
身体を拭いてくれたエリエットに礼を言って、ライルフェンは残りの湯で髪を洗う。目を閉じて濡れた髪を絞っていると、急に背中にあたたかくとても柔らかいなにかの感触がぷにっと押し付けられた。
「……なんだ? それは」
「ん……、手だけじゃなくて、もっと違う場所で触ったら魔力の回復が違うかと思って……」
「……もっと違う場所とは、どこだ?」
聞きながら、ライルフェンにも薄々察しがついていた。背中にエリエットの早い鼓動がどくんどくんと伝わってきたからだ。
(この女……俺の背中に乳房を押し付けている!?)
性機能を沈黙させられている状態のライルフェンでも、女体に対する興味やときめきまで失ったわけではない。足の間の己が陰茎は反応しないが、背中に感じる柔らかく、かつ芯のある女の乳房の感触は彼の心をそわそわさせた。
「手よりも効率がいいなら、いろんなところを触れ合わせてみたいとは思わない? ライルフェン……」
「う……む……」
エリエットの胸のどきどきはライルフェンの胸にも伝播する。若く美しい女と肌で触れ合うことに関する独特のうれしさがむくむくと湧き上がってくる……。
「いろんなところとは、例えば他に……どこだ?」
「例えば……粘膜。唇と唇とか……」
どんな顔でそんなことを言っているのだろう。エリエットの顔が見たくなってライルフェンが振り返ると、思ったよりも間近にエリエットの顔が迫っていた。エリエットは頬を真っ赤に紅潮させて、見ようによっては怒ってむくれているような表情をしていた。
「んむ……」
ライルフェンの背中にぴったりくっついたまま、エリエットは柔らかく食むような口づけをライルフェンの唇に落としてくる。
「ん……ちゅっ……んん……ふ♡」
ちゅくちゅくと音を立てて唇を合わせるだけで、エリエットはぴく、ぴくんと身体を震わせる。太腿をもどかしげに擦り合わせて、どうやら発情しているようだった。
振り向いたままの首が痛いのでライルフェンが唇を一旦放すと、エリエットはとろんと蕩けたような目ではあはあと呼吸をしている。
「どういうつもりだ……。もう俺には奪うような魔力がないのに、なんのつもりでこんなことをする?」
「はあ……ん、逆よ。わたしはあなたの魔力を増やしてあげたいの。そうすればあなたはもっとわたしに協力したくなるでしょう? わたしには仲間が必要なの、どうせ初めては何もかもゴブリンに奪われたわたしだもの。そのためならキスくらい平気でできるのよ……」
エリエットのその言葉には確かにそうかもと思わせるところがあったが、それにしては顔が蕩け過ぎだ、とライルフェンは思った。
(ゴブリンの孕み袋にされた身体には何かそういう、ちょっとしたことで興奮してしまう後遺症のようなものがあるのかもしれないな)
彼女の方に向き直って改めてエリエットを見ると、エリエットの開いた襟元から剥き出しの乳房がこぼれていた。わりと控えめなそのふくらみを見て、しかし先端についている乳首が驚くほど大きいのでライルフェンは思わず軽く目を見開く。
「……そういうことならわかったが……。その、君も随分気分を出してしまっているように思える……が、俺は男としての機能がほぼ死んでいるから、君を抱いたりはできないと思うのだが……」
「……っ! 抱いてほしいなんて言ってないでしょ!!」
「え、うむ……。そうだな、すまない。早とちりだった」
「まったくもう……」
ぶつぶつと怒って見せるエリエットだが、本音は言葉とは違っていた。
(抱いてほしい~っ!!! ほんとは抱いてほしい!! 人間よりもゴブリンよりもなっがいエルフチンポでわたしの孕みたがりのよわよわまんこ、どっちゅどちゅに耕してほしい~ッ!!!! でも無理っ!! ライルフェン、勃起しないんだもの! 本当に!? 本当に勃起しないの!? 嘘でしょ!? こんなにエロいのに!?)
申し訳なさそうに眉毛を下げて困っているライルフェンはエリエットにとってとても魅力的だった。彼の魔力と一緒に、男性機能も回復させなければと彼女は強く思った。