「…………また、やってしまった」
ベッドの上で頭を抱えながら、僕は思わずそう呟いた。
そんな僕の頭を占めるのは、後悔と自責の念。平たく言えば『タバコやめるって言ったのに吸っちまった~』とか『ダイエット中なのに思わずお菓子食べちゃった~』といった、所謂『やっちまった感』に苛まれているのだ。
これがタバコやダイエット等の個人的な問題ならばマシだ。何故なら、その問題と向き合うのは自分一人だけだし、不利益を被るのだって自分一人だけなのだから。
「でも、
「すぅ…すぅ…」
そう言いながら、僕の視線は自然と隣へと向く。
するとそこには、可愛らしい寝息を立てながらすやすやと夢の世界へと旅立っている焦凍ちゃんの姿があった。
…………可愛い。焦凍ちゃんが何かする度に思っている様な気もするが、本当に何をしても魅力的に写ってしまうのだからしょうがないと思う。
本当、何をしても絵になるというか…『親御さんから良いモノ受け継いでるなぁ…』っ言うのを毎回思うよ。
もうね、寝顔ですら芸術品の領域だよね。あははっ、見ているだけで心が癒されるよ。
…………その寝顔が
(―――――本当に何て事をヤっしまったんだ僕はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?)
僕は思わず心の中で叫んだ。
叫びながら思い出されるのは、昨晩の秘め事。
幼馴染とのエッチを目撃され、それをきっかけにして彼女のトラウマと向き合うと称して自分の欲望のままに肉棒を穴という穴に突き立てる自分の姿。
(……あっ、欲望と肉棒って語呂が似てるねっ!あははははっ!)
…いや、『あはは』じゃないよっ!!現実逃避なんてしてる場合じゃないっ!と言うか僕にそんな資格なんてないっ!!
この状況を未だ受け入れられぬ頭を殴りつける様に僕は自分の頭を“ボカァ!”と強めに叩いた。
結構痛いッ!…で、でも痛みのお陰で少しだけ脳がスッキリした感じもする。
そうだ…いくら後悔しても時を戻せるわけがないのだ。ならば、今やるべきことなのは、今後何をすべきなのかを考えるべきである。
正直、まだ気持ちの切り替えは出来そうにはないがここは無理にでも思考を働かせねば…!
『今後の事についてならば朝勃チンポを治める為に焦凍の寝顔をオカズにシコるに一票じゃな。昨日愛し合っていた女の顔を見ながら顔射するのは環境破壊より気持ちいいZOY!』
そんな事を考えていると、最近ではすっかりお馴染みになっているあの声が頭の中へと響いた。
……そう、僕をこんな状況に陥れた張本人。マーラ様の声である。
『はいは~い、久しぶりに本編に登場した朕じゃよぉ! まったく、久しぶりの登場過ぎて淫夢なKINGのネタも旬がすぎてしまったから使いにくくなってしもうたわっ!!』
相も変わらずと言ったようになう内で騒がしくし始めるマーラ様。
いつもの事なんだけど、今はそんな意味不明な事に付き合ってる気分じゃないんだよ……なんだよ久しぶりって、昨日も喧しい位に話しかけてきたじゃないか。
『こっちの話じゃわい。そんな事よりも出久、よくぞ焦凍をモノにしたっ!これで出久のハーレムローd……もといヒーローの道へとまた一歩近づいたなっ!!』
おい今ハーレムロードって言いかけたろっ!?流石に誤魔化されないぞっ!
というか僕の事をヒーローって言っとけばとりあえず誤魔化せるみたいな存在って認識してないっ!?
『そんな事はないぞ。前にも言ったが、英雄という者はいつでも雌を引き付ける存在なのだ。だからハーレムロードも存外に間違いではなかろう。QED終了ッ!』
僕の指摘について呆気なく認めるも、主張自体は正しいと豪語するマーラ様。
あぁ…もう駄目だ。こいつと僕とでは根本的にヒーローの定義について逸脱し合っているらしい。そもそも人間の僕とチンコのこいつとでは価値観も考え方も違うか…話し合うだけバカバカしいや。
『おっ、話し合いは済んだなっ! じゃあ焦凍に顔射する話に戻すが……』
戻らないからっ!? 本当に何考えてるんだこのチンコっ!!
『チンコの考える事だぞ? エロい事を第一に考えるのが当然であろう』
突然マーラ様から発せられたとんでも発現に、僕は絶句する。
……あぁ、これは話し合いが成立するわけないわ。というかチンコと話し合いしようとしてる、僕が異常者だったと思い知らされたよ…
『うぅむ…ならば出久好みの今後について真面目な話をしようじゃないか』
その様に呆れていると、急に真面目なトーンで話しかけて来るマーラ様。
……声自体は真面目だけど、どうせお母さんを交えて3Pしようぜとか言い出すんだろ?お前が性欲の事しか頭にないの分かってるからそういう真面目な話は期待してないよ…
さて、全く期待できないチンコの事なんて無視して今後どうすべきか考えないと―――――
『とりあえず引子が起きて来る前にシャワー浴びた方が良いんでね? 今の出久と焦凍、精液臭すぎてヤってた事100%バレるぞ』
―――――その言葉を聞いて僕は咄嗟に時計を確認し、もうすぐお母さんが起きて来る時間だと気づき“サーッ”と血の気が引く音を確かに聞いた。
マーラ様に時間について指摘された後、僕の行動は早かった。
マーラ様の言う通りまず何よりもシャワーを浴びなくてはならないと考え、ぐっすり眠っている焦凍ちゃんを何とか起こした。
『うみゅ…出久?』と寝ぼけ眼を擦りながら目を覚ます焦凍ちゃんに愛おしさと起こしてしまった事への罪悪感を覚えつつ彼女に状況を説明し、なんとかお母さんが起きて来る前にシャワーを浴びて貰ったのだった。
シャワーを浴びてる最中に『あらっ?朝からシャワー浴びてるの?』とお風呂場の扉越しにお母さんが話しかけて来るという緊急事態も発生したが、寝汗が酷かったと何とか誤魔化せて良かった。
いやぁ…あの時は本当に生きた心地がしなかったよね……あの言い訳でお母さんが引き下がってくれなければどうなっていた事か…何事もなくて良かったよ…
『ほぅ、当たり前の様に焦凍と一緒にシャワーを浴び、チンポ洗って貰って一発射精しているのにも関わらず何事もなかったとは……朕が思っている以上に性豪に成長した様でなによりであるわっ!』
うわああぁぁぁぁ!わざわざ言うのやめろよっ!今思い出しても罪悪感とか自己嫌悪とか色々な感情が渋滞起こしそうなんだからっ!!
……でもまぁ、焦凍ちゃんも昨日の一件については負の感情を抱いていない様子だったので、それは良かったよ。
シャワーを浴びた後、僕は昨日の事について焦凍ちゃんと話そうとした。流石に昨日の行為はお互いに望んでいたとはいえ、他の人に話せる行為ではない。何より昨日の行為を元に焦凍ちゃんが『パパ、あの夜セックスしてたの?』なんてご両親に聞いた日にはもう轟家も僕も色々な意味で終わりである。だからこそ焦凍ちゃんには口止め等は必要だと考えていたのだ。
しかし、シャワー後すぐにお母さんが『朝ごはん出来たよー!』とタイミング悪く呼びに来てしまい、朝食後に話し合いをしようと考えていたのだが……
“ピンポー―ンッ!”
「轟ですッ!焦凍を迎えに来ましたッ!!」
これまたタイミング悪く来てしまったのである。轟家が。
「もぅ、遊びに行くのはいいけど、行先はママに伝えなさい。焦凍が居なくなって、ママもパパも心配したんだからッ!」
「うぅ…ごめんなさい……」
「まぁまぁ、焦凍ちゃんも反省していますし、あまり叱らないであげてください」
「あぁ、すみません緑谷さん…うちの子が急に押しかけてしまって」
「いえいえ、ウチの子も友達とのお泊り会を楽しんでおりましたし、大歓迎ですよ。焦凍ちゃん、またいつでもおいで。ただ、今度はちゃんとウチの人に言ってから、ね?」
「は、はいっ!」
「まったくもう…」
僕の家の前で、僕らのお母さん同士がその様なやり取りをしている。
無断外出の件で流石に怒られる焦凍ちゃんであったが、本人が反省している様子なのと僕のお母さんのフォローもあって、焦凍ちゃんのお母さんも仕方がないとそれ以上の追及をやめた様だ。あの様子なら、家に帰って改めて怒られる事もないだろう。良かった良かった。
「はっはっはッ!ちゃんと自分の過ちを反省できるとは……偉いぞ焦凍ぉぉぉ!」
そんなやり取りを見て感激したかのように
その声の正体について、この場に焦凍ちゃんのお母さんがいる事からある程度は察せると思う。そう、焦凍ちゃんのお父さん―――――フレイムヒーローのエンデヴァーである。
「ふっ、俺は仕事柄家にいない事も多いが…こうして知らん内に我が子が成長している姿を見るのは嬉しい様な、悲しい様な感覚を覚えるな。……だが、それだけ成長しても可愛らしい事には変わらんなぁ!」
感情の隆起が激しいのか、寂しそうになったと思えば急に自分の娘の可愛さについて熱く語り出すエンデヴァー。
うわぁぁ…ネットとかで『家族が絡むとエンデヴァーはヒーロー活動している時よりも熱い。と言うかうるさい』って評判よく見るけど、確かにこれはそう言われるだけあるよ…だってもう、なんかこの辺一帯の気温上がってる様な気がする位には熱いもん……。
焦凍ちゃんの話とか、彼女を目にした瞬間に『焦凍おぉぉぉぉぉぉぉ!!!!パパが迎えに来たぞぉぉぉぉぉ!!!』と泣き叫びながら我が子を抱きしめたエンデヴァーの姿から親バk……子煩悩の気があるのではないかと感じていたが、僕の予想は当たったようだ。
「それにしても…焦凍が俺ではなく冷に似てくれて良かった。あの子はきっと、成長すれば冷と…母親と同じように美しく、そして可憐な女の子に成長するだろうな」
自分の言っている事を深く噛み締め“うんうんっ”と確信するエンデヴァー。頷きが力強すぎて若干風が発生している様な感じがする。…そんなわけないんだろうけど、
「はっはっはっ! 将来焦凍と結婚する婿は世界一幸せだろうなぁ―――――」
「―――――君もそう思うだろ、出久君?」
「は、ははっ…そ、そうですねっ」
僕の顔を覗き込みながらそう言うエンデヴァーに対し、僕はたどたどしくそう答える事しか出来なかった。
……うん、とりあえずさっきから気になって仕方がなかった事を、ここで言わせて欲しい。
―――――エンデヴァー、距離近くない???
あのっ……こういう時のお父さんって、自分の娘さんか奥さんの隣に居ません? 僕も詳しくないけど、少なくとも娘の友達の隣にいるのは違うと思うんですけど…?
「やはり君もそう思うかっ! 流石は焦凍の友達、見る目があるなっ!」
僕の返答が気に入ったらしく、僕の肩を“パンパンッ!”と叩きながら満足そうに頷くエンデヴァー。
……そう、見て解かると思うが、物理的な距離だけではなく心の距離も近い気がする。はっきり言うと、エンデヴァーからの好感度がめっちゃ高いのだ。
娘を溺愛する父親であるエンデヴァーにとって、僕は同年代とは言え娘に擦り寄って来たよく分からない
……本当に何で? 百歩譲って敵意とかは一切なしなのはいいとして、ここまで距離詰めて来られるのは流石に予想外なんだけど…
思えば、最初から僕に対するエンデヴァーの反応はおかしかった。
エンデヴァーが焦凍ちゃんを抱きしめた後、僕は彼女に友人として紹介されたのだが…最初は品定めをするかのような視線を向けられていたのにもかかわらず、段々とその視線から棘がなくなって来て、最終的には『君は…いい目をしている。気に入ったッ!!』となんかよく分からない内にとても気に入られてしまったのだ。
まぁ、ハエ扱いされるよりかはマシなんだろうけど…なんかこう、気に入られた理由が分からないままに好意的な反応をされるのはそれはそれで不気味だというのが正直な感想だ。不気味すぎて目の前にNo.2ヒーローが居る興奮よりも困惑の方が勝ってて、いつもみたいに興奮出来ないよ…
「ふっ、本当に出久君は話が分かる男だ。それに、話しているとまるで遠い昔に離れてしまった兄弟かの様な安心を覚える……もしや、それ系の個性なのか?」
「は、ははっ…どうでしょう……」
ついに生き別れの兄弟説まで口にしてしまうエンデヴァー。さ、流石にそれはないでしょ……えっ、僕が知らないだけで、エンデヴァーって結構プライベートではフレンドリーだったりするの? そうでもないとこの距離の詰め用は納得できないんだけど…?
『あ~…ウエハースの時からなんか違和感あったが、今思い出したわ。こやつ、分体が止まり木にしてた奴だわ。はぇ~どうりで……』
そんな事を考えていると、マーラ様が何か呟いたが聞こえた。
えっ、何? エンデヴァーの事で色々考えてて内容全然入って来なかったんだけど、なんて言ったの?
『別に何でもないわい。そんな事より出久よ、そんなに深く考えんでも良いだろう。人の心なんて複雑怪奇なモノ、いくら考えた所で全部分かる事なんて不可能だわ。少なくともこの男に悪意がない事は朕も保証してやる』
『朕は性欲を司る神。生殖機能のある生物の目利きには自信があるぞい』と続けるマーラ様。
正直この邪神の事はあんまり過信したくはないんだけど……確かに一理ある。
そもそも相手は…エンデヴァーは僕の何倍も生き、一家の大黒柱となり、No.2ヒーローにもなっている人だ。そんな人間がどんな価値観を持って、何を考えるなんてたった数年生きただけの僕に分かるわけがないのだ。それを僕が勝手に考えて、それに当てはめるなんて失礼な事だろう。
それに、焦凍ちゃんというあんないい子を育てた父親だ。いくら行動理由が分からないとはいえ、それだけでも信用に余りあるだろう。
なんだ、そう考えたら結構簡単ではないか。僕は心が“スッ”と軽くなったのを感じた。……それはそうと距離は近いと思うけどねっ!
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『さて、ここで読者の皆の衆だけに特別ッ! 掟破りのマーラ様の解説コーナーを挟んでやろうッ!!』
『ここまで読んでくれている読者の皆はこの男、轟炎司が以前朕の分体に取りつかれている事は知っているよな』
『実はアレには副産物があっての…なんと、一度朕の分体に取りつかれた生物は本体の宿主、つまり緑谷家に対して謎の親近感やシンパシーを感じ、最初から好感度がめっちゃ高めになっているのだッ!』
『わかりやすく言えば、今の炎司は虎杖悠仁に女のタイプを聞いた東堂葵のような状態ッ!現にさっき生き別れの
『朕の解説コーナー終了ッ! 本編へ戻すぞいッ!』
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……ん? 今なんか言った?
『いんや、(出久には)何も?』
おかしいな……確かに今マーラ様がまたロクでもない事を言った気がしたのだが…疲れてるのかな?
「それじゃあ、他の子たちを留守番させている事もありますし、そろそろお暇させていただきます。……あなたー!そろそろ…」
「おぉ、そうだなッ!緑谷さん、ウチの焦凍が本当にお世話になりました」
「いえいえ~、いいんですよ~!」
そんな事を考えている内に親同士での話し合いが終わったらしく、轟一家が帰る雰囲気が流れ始めた。
そっか…焦凍ちゃん、もう帰っちゃうのか……
彼女と出会ったのはつい昨日のはずなのに、こんなにも別れが惜しいなんて…それ程までに彼女の存在は僕にとって大きかったらしい。
『まぁ、一発ヤってるからのッ!』
……無視無視っと。
だが、同じ県内に住んでいるみたいだし、会おうと思えばきっとまた会えるよね。ならば別れはしんみりとしたものではなく、明るくまた来て欲しい旨を伝えよう。……あっ、後昨日の事は口止めしておかないと。僕達の為にも…轟家の為にも。
「出久―!」
そう考えた時、焦凍ちゃんが僕へと向かって小走りで近づいてくる光景が見えた。
おぉ、これはグッドタイミングというものだ。近づいてくれるなら、内緒話もしやすくなるしね。
「焦凍ちゃん、昨日は楽しかったよ。また、遊ぼうね」
「うんっ! 絶対、また来るね」
その様に当たり障りのない会話を交わす僕達。意外に思われるかもしれないが、これが重要な事なのだ。最初にこういった普通の会話をしておけば大人たちも『ただ別れの挨拶をしている子ども達』と認識してわざわざこちらを注意深く見て来ないだろうからね。
……さて、ここからが本番だ。早く口裏合わせを――――
「ねぇ出久、昨日の夜、私が言った事覚えてる?」
僕が話を切り出そうとした直前、先に焦凍ちゃんが話を振って来た。
昨日の夜に言った事……はて、どれだろう?
どれの事についてかピンと来ていない僕の様子を見てか、焦凍ちゃんが少し不服そうにその答えを出した。
「もぅ……大好きだって事だよ」
焦凍ちゃんの言葉を聞いた瞬間「あっ」と僕は頬が熱を帯びたのを感じた。
そ、そう言えば、そんな事言われてたっけな…////
「あれは雰囲気に流されたから言った事じゃないよ、私の本当の気持ち。……それとね、前にママからパパと出会った時の事を聞いたの」
焦凍ちゃんの言葉に照れていると、急に彼女は話題を変えてきた。
……うん? このタイミングで自分のご両親の出会いの話をするの? まぁ、別にいいけど……
「ママね、パパと出会った時、身体に電流が流れた位の衝撃を受けたんだって。それでね『自分はこの人と結婚する為に生まれて来たんだ』って直感して、そのまま結婚したの」
「へ、へぇ~」
焦凍ちゃんから話される轟夫妻の馴れ初めに、僕はそう返すしかなかった。
えっと…彼女の話から、轟夫妻って一目惚れで結婚したって事であってるのかな? それであんなにアツアツの夫婦になったのか…なんか、仲の良さから勝手に幼馴染とか同級生とかの経緯を想像してたからちょっと意外だ。
……それで、なんで今その話をしたんだろう?
「だからね、私達はママからこう教わってるんだ―――――」
―――――『恋はいつでもハリケーン。運命を感じたら、恥ずかしがらずに関係を持ちなさい』って♡
その言葉が聞こえた後「あっ」と言ったのは誰だったであろうか?
お母さんだろうか? いや、あるいは轟夫妻であったかもしれない。
僕が言った可能性? それは絶対にない。だって僕の口は塞がれていたのだから――――
“ちゅ♡”
―――――焦凍ちゃんの唇によって
……えっ、ちょ、僕、今焦凍ちゃんにキスされてるの…!?
ちょっと待って!? なんか色々展開すっ飛ばしてない!? 今、お泊り会が終わって友達同士で分かれの挨拶を済ませる流れだったよね!? それなのに何で僕は焦凍ちゃんとキスをしているの!?
しかも互いの親がいる前でッ!!視界いっぱいに焦凍ちゃんの顔が広がってる状態だけど、隙間からお母さんと目が合ったんですけど!?驚愕の顔、っていうか絶句されてるよこれぇ!!
話し声も聞こえなくなってるし、絶対轟夫妻もこの光景みて絶句してるよねぇ!?
そりゃそうだよねっ!自分の娘がいきなり男の子にキスしだしたんだもんねぇ!!
頭の中がぐちゃぐちゃになり、今にも何かを叫び出したい気持ちになる。しかし、それは出来ない。だって、口は彼女に塞がれているのだから。
やがて、焦凍ちゃんは満足した様子で顔を離し―――――
「私は出久に運命を感じました。結婚を前提にお付き合いをお願いします♡」
すまし顔で、一言だけそう言った。
……いや、『そう言った』じゃないよぉ!?何言ってんのこの子ぉ!?!?
えっ、えっ、えっ……本当にちょっと待って!?僕、昨日の夜の事は内緒にしようねって話をしたかっただけだよねぇ!? 普通に数十秒で終わるような会話をしようとしてただけだよねぇ!?
そ、そのはずなのに……ぼ、ぼぼぼぼぼぼぼ僕に逆プロポーズぅ!? しかも互いの親がいる前でって……本当に何を考えてるのこの子くぁwせdrftgyふじこlp;!
あまりの事に僕は何も言葉を発せない。まるで過呼吸の患者の様に浅く息を漏らすので精いっぱいであった。
「まぁ、焦凍……あなたも運命を感じたのね…!」
「い、出久ッ、あなた一体…!?」
何も言えない僕の代わりに話を始めたのはお互いの母親たちであった。
しかし、話す内容も様子も違う。焦凍ちゃんのお母さんは驚きながらもどこか嬉しそうにし、僕のお母さんは何かを言いかけるが、言葉が見つからずにどこかもどかし気である。
焦凍ちゃんのお母さんについては分からないけど、僕のお母さんについてはそりゃそんな反応にもなるよねっ!僕だって自分の子どもが急にキスして、そしてプロポーズなんてされたら思考停止するものッ!!かける言葉なんてそんなすぐ見つからないよねっ!!
僕やお母さんが混乱する中、遅れてエンデヴァーが動き出した。
「焦凍…それは本心か?」
「うん、パパ、私は出久と結婚したい」
「そうか…」
エンデヴァーはそう焦凍ちゃんと短く言葉を交わすと軽く目を伏せる。
それから数秒、エンデヴァーは顔を上げ――――
「緑谷さん、許嫁の制度にご興味はありませんか?」
―――――僕のお母さんに対してとんでもない事を言い出した。
……本当に何言ってんだこのおっさんはあぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?
「と、轟さんッ!?きゅ、急に何を……!?」
「急なお話で申し訳ありません。しかし、俺は…私は焦凍がそうしたいのであれば、父として出来る限り協力したいと思っているのです。それに、お宅の出久君は私の目から見ても将来的に良い男になると確信しています。そんな出久君にだからこそ、焦凍を託したいと思っておるのです。……もちろん、出久君の意思は尊重します」
「そうですね。私も焦凍が運命を感じたというならばそれを信じたいです」
戸惑うお母さんを認識しつつ、更なるとんでも主張で畳みかけるエンデヴァーとそれを援護するかのように同意する焦凍ちゃんのお母さん。
えっ、何? なんでそんな当然の事みたいに許嫁の件進めようとしてんの!?
あんまりにも自信満々に進めてるから思わず僕らがおかしいのかって思っちゃったよ!?
「え、えっと、その……た、大変光栄なお話ではありますが、そのような話は私だけでは…主人と相談しないと……」
「それはそうですね、失礼しました。私も旦那様にご挨拶したいので都合の様時間帯などを教えていただければと…」
「しゅ、主人は海外出張中でして…」
あーー!!そんな畳みかけないでッ!お母さん困ってるじゃんッ!
いくら親バカだからって、こんなに周り見えなくなるものなのぉ!?
『あ~、余程分体の影響が大きかったと見える。色恋沙汰やら愛について狂信的になっとるのぉ~(他人事)……まぁ、朕的にはこの展開は美味しいから別に良いかっ!』
なんかマーラ様がとんでもない事を言った気がしたが、今はこの邪神の世迷い事なんて気にしている場合ではない。
そんな事よりも目の前で起こっているこのおかしな状況の方が大事だ。この状況をそのままにしておくことなんて出来ない。何か…何かこの状況下で僕がやるべき行動はないのか!?
なんとか今やるべき最善の行動を考える為に脳をフル回転させようとするが上手くいかない。当たり前だ、自分でさえ今の状況を十全に理解していないのだから。
「あっ、昨日の夜の事はパパとママには言わないから安心して。だって、2人だけの秘密にしてた方がドキドキするもんね♡……だから、またこっそりシようね♡」
そして、そんな僕に追い打ちをかけるかの如く、焦凍ちゃんが耳元で囁いて来た。
“ムクムク…ピンッ♡”
……こんな軽くパニックを起こしている状況でもチンコは反応するのかよ…
僕は何故だか、途轍もなく自分を情けなく感じたのであった。
拙者その時のノリと勢いで物書きをするアンツィオソウル持ち見切り発車侍、結局まとめ方が思いつかなかったのでご都合主義で話を片付けたで候。恨むぞ過去の私…
結構無理矢理な終わらせ方だけど、とりあえず焦凍ちゃん編は完結じゃ。
許嫁の関係エッチだから好き(大胆な告白)……にしても令和の現代で許嫁の制度って息してるんすかね? 私も大昔に1回遭遇したっきりだし…もう絶滅してしまったのだろうか?
だとしたら悲しいなぁ…
そろそろ女体化じゃない原作の女の子だしたいけど、このまま女の子だけ増やして行ったら出久君がかっちゃんに物理的に56されそうなのでその辺解決させていきたいと思ってる。
さっさと女の子いっぱい出してハーレムエッチ書きたいから2,3話で解決させたいなぁ…無理だろうけど……
次回は気分次第。年明け前には頑張ってみるわ…
ここまでご拝読ありがとうございました