「上を行く者には更なる受難を。雄英に在籍する以上何度でもきかされるよ。これぞ
ミッドナイトの言葉を受けて、予選を通過した生徒たちの視線が緑谷に集まる。相当なプレッシャーであろう。それでも、緑谷は堂々としていた。
「制限時間は15分。振り当てられたポイントの合計が騎馬の合計となり、騎手はそのポイント数が表示されたハチマキを装着! 終了までにハチマキを奪い合い保持ポイントを競うのよ。取ったハチマキは首から上に巻くこと、取りまくれば取りまくるほど管理が大変になるわよ! そして重要なのは、ハチマキを取られても、騎馬が崩れてもアウトにはならないってところ!」
「シンド☆」
「一旦ポイント取られて身軽になっちゃうのもアリだね」
なるほど。10組位の騎馬がずっとフィールドにいんのか。全滅させて俺らだけ勝ち、とかは出来ない感じだな。いや、やりようによっては出来るのか?
「個性発動ありの残虐ファイト! でも、あくまで騎馬戦! 悪質な崩し目的での攻撃等はレッドカード! 一発退場とします! それじゃあ、これより15分、チーム決めの交渉タイムスタートよ!」
「15分!?」
そうしてチーム決めが始まった。
チーム、どうしようか。俺が騎手になるのは無いな。騎馬やって地面ぶっ壊しまくるのが安牌──いや待て、それは悪質な崩し目的での攻撃とやらになるか?
なら、騎手をやった方がいいんだろうか。塩崎をチームに入れたら、茨を足場にして自由に動けるし。
「司、俺と組もうぜ!」
「勿論だ!」
塩崎を探しに行こうとした時、力動がやってきてそう言った。当然組む。前騎馬をやってもらおう。カタパルトみたいに投げて貰うのも面白いな。
俺、響香、力動、塩崎。完璧な騎馬の完成だぜ──
「司。ウチ、今回は爆豪と組むことにした」
「……爆豪? なんでだ?」
──そんなことを考えている時。
後ろから予想外な言葉が飛んできた。
振り返ると、そこにはキリッとした表情をした響香が立っていた。後ろには爆豪、切島、三奈が居る。どうやら、この4人でチームを組むらしい。
「……一緒に組んだら、なんか、ウチの力で突破した感なくない? アンタに頼りっぱなしなのは全然ロックじゃない」
「そうか。……相手が響香だからって手加減はしないが、それは理解してるな?」
「手加減したら殺す!」
「もちろん。真剣勝負っしょ」
俺と戦う覚悟を決めているらしい響香の言葉に、思わず口角が上がってしまう。……俺は心のどこかで、響香を庇護対象として見ていた節があった。
悪く言えば舐めていたのだ。そんな彼女が、俺の手から離れて本気で戦うと言っている。そんな熱いシチュエーションが、他にあるだろうか?
「熱くなってきたな」
「おう! 堂々とやろうぜ真堂!」
「ソッコー潰す!」
切島と爆豪の態度が真逆過ぎて面白い。……響香が居ないとなると、どうしようか。
「とりあえず塩崎を──」
「塩崎ってコイツか?」
聞き覚えのない声がした。
声の方を向くと、逆立った紫髪の男……選手宣誓の時に目が合った奴と、虚ろな目をした塩崎が居た。
「そうそう、お前ら組んでんのか──……」
「……」
「ん? 司、どうした?」
「ちょっと疲れてるんじゃないか? 障害物競走であんなに個性使ってたんだ。アンタは、真堂と組んでるのか?」
「あぁ。俺は砂藤力道──」
「……これが俺の個性だよ。どうだ、良いだろ?」
朧気な意識の中。
自嘲気味に言った男の声が、やけに耳に残った。
―――◆―――
『──早速上位4チーム見てみよか! 1位緑谷チーム!! 2位爆豪チーム!! 3位轟チーム! 4位鉄て……アレェ!? オイ!!! 心操チーム!!? まぁ、何はともあれ以上4組が最終種目へ進出だああ───!』
男に話しかけられたと思ったら、いつの間にか騎馬戦が終わっていた。何を言ってるのか分からねーと思うが、俺も何をされたのか分からなかった……。
「私は一体何を……」
「気がついたら全部終わってたぜ……」
力動と塩崎も同じく理解が追いついて居ない様子。
ニヒルな笑みを浮かべつつも、どこか気まずそうな表情をした紫髪の男──心操を見て、俺はある程度の状況を理解した。良い個性じゃねえか。
『1時間程昼休憩挟んでから午後の部だぜ! じゃあな! オイイレイザーヘッド飯行こうぜ……!』
「洗脳か催眠か、こりゃいっぱい食わされたぜ」
「……お前怒って「司大丈夫!? なんかずっと変な感じだったけど!」
心操の言葉を遮った響香が俺の手を掴んでそう言う。
「大丈夫だ。多分、心操の個性で……って、居ないし」
響香に状況を説明しようとした時、心操はもうこの場に居なかった。気まずかったのか、なんなのか。俺も色々聞きたかったんだがな。
「それより、騎馬戦で何があったか教えてくれ。記憶がない」
「……本当に大丈夫?」
「まじで大丈夫だ。てか突破出来てよかったわ。俺個性使ってたか?」
「大丈夫ならいいんだけど……。ううん、使ってなかったよ。騎馬戦は最初、爆豪の暴走から始まって──……」
―――◇―――
「──それじゃあ、組み合わせのくじ引きしちゃうわよ。組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります!」
A組の女子たちがチアガールのユニフォームを着ている。俺の目は彼女達のヘソに向いていた。
八百万は個性の性質上人より脂肪を蓄えるが、それでも無駄な肉は見当たらない。恐らく、おっぱいにストックしているのだろう。本場のチアリーダーと見比べても遜色ない……いや、むしろそれ以上の巨乳だ。恐らくバストは100を超えている。それほどにふざけたおっぱいだ。注視してしまうのも、自然の摂理と言えよう。
「レクに関して進出者16人は参加するもしないも個人の判断に任せるわ。息抜きしたい人も温存したい人もいるしね。んじゃ1位チームから順に行くわよ」
呼吸により動くヤオヨロッパイを眺めている間にも、トーナメント表はどんどんと埋まっていく。
「組はこうなりました!」
緑谷vs心操
真堂vs轟
飯田vs砂藤
塩崎vs発目
芦戸vs上鳴
常闇vs八百万
耳郎vs切島
爆豪vs麗日
トーナメントが完成した。
一戦目から轟か、これは燃えるぜ。二回目に当たるのは緑谷か心操か、どっちでも楽しみである。
「……本気で来い」
「当たり前だろ」
そんなこんなでレクリエーションが始まり、俺たちはそれぞれレクリエーションを楽しんだ。
―――◆―――
『──ルールは簡単! 相手を場外に落とすか行動不能にする、あとはまいったとか言わせても勝ちのガチンコだ! ケガ上等! リカバリーガールが待機してっから、道徳倫理は一旦捨ておけ! だがまぁもちろん、命に関わるよーなのはクソだぜ! アウト! ヒーローはヴィランを捕まえる為に拳を振るうのだ!』
「“まいった”……か。分かるか、緑谷出久。これは心の強さを問われる戦いだ。強く想う
僕と相対する男──心操人使。
プレゼントマイクの言う通り、目立った活躍は無かった。でも、騎馬戦での様子が嫌に引っかかる。騎馬戦で彼と組んだみんなは、ずっと虚ろな目をしていた。
塩崎さんの個性でずっと籠っていたから、狙うに狙えなかったけど、あれは
真堂くんは耳郎さんの呼び掛けを無視しないだろうし、そもそも
色んな違和感。真堂くんたちは口を閉ざしていたが、それらを総合して考えるに、彼の個性は──洗脳。
トリガーが何か分からない以上、戦闘を長引かせるのは悪手だ。最速だ。最速で……身体許容上限のフルカウル
『そんじゃ早速始めようか!』
「お前さ、本当に恵まれてるよな」
「……?」
「なんだよその個性。強すぎんだろ。だからこそお前を軽蔑してるよ俺は。……休み時間に障害物競走の映像みたぜ。なんだよあの舐めプ」
あ、あれは舐めプじゃなくて!
誤解をとく為に、僕は口を開いた。
『START!』
「あれには理由があって──……」
なんだ、これ……。
「……俺の、勝ちだ」
『オイオイどうした、大事な緒戦だ! 盛り上げてくれよ!? 緑谷出久、開始早々完全停止ィィ!?』
―――◇―――
「あー、緑谷心操に勝てるかなぁ……」
「え、そんな強いの? 心操って」
控え室。一回戦の二戦目ということで、俺はそこでの待機を命じられていた。暇だろうと話し相手になってくれているのは響香である。ありがたい。
「強いぞ。特に初見ではまず無理だろうな」
「ふーん。でも緑谷が負けるの想像できないけどなぁ……」
「まぁまぁ結果を楽しみにしとこうぜ」
直接な戦闘で緑谷が負けるとは俺も思っていない。でも、アイツの個性、恐らく『洗脳』を食らったら、普通に負けるだろう。解除する方法とかもありそうだが、一戦という短い時間で見つけるのは無理そうだし。
「てか、響香は試合観なくてよかったのか?」
「うん。……あんたの緊張解してあげようと思ったんだけど、全然緊張してないね」
響香はそう言って、ぐでーと俺の方に体を倒した。甘えてくる女子というのはどうしてこうも可愛いのだろうか。手を伸ばして頭を撫でる。
「それより響香の方は大丈夫なのか? 一回戦の切島に、二回戦目の爆豪か麗日。みんな強そうだけど」
「切島は……なんとか行けそう。麗日は触られないように頑張るとして、問題は爆豪が上がった時だよね。勝てるビジョンが見えないってのが正直なとこ」
「まぁ何とかなるだろ。アイツが汗かく前に速攻しかけたら」
「なんとかなるかなぁ……」
自信が無さそうである。励まそうとして、扉がノックされた。返事をする前にガチャっと開けられる。
「デバンだ。デろ」
「はいはい。んじゃ、またな響香」
「うん。頑張れ」
ロボに呼ばれて控え室を後にし、廊下を進んでいく。最初っから炎と氷を使ってくる轟に、俺は勝てるのだろうか。
氷は何とかなる。問題は炎だよな。
「良かった。まだ居たか」
「アンタは……エンデヴァー?」
その男はデカかった。2m近い体躯に分厚い筋肉、そして、見ているだけで熱を感じる真っ赤な炎。
現No.2ヒーローで、轟の親父であるエンデヴァーが、俺の道を塞ぐように立っていた。
「君が、真堂だな?」
「そうッスけど」
「……まずは、感謝を伝えたい。君のお陰で、焦凍はくだらない拘りを捨て俺の炎を使うようになった。これで、焦凍は完全なる俺の上位互換だ」
「……はぁ」
ギラギラとした目をしたエンデヴァーは俺の冷めた視線を気にせず、言葉を続ける。
「君も中々強力な個性を持っているようだが、焦凍には敵わないだろう。せいぜい、良い踏み台になってくれ」
「アンタそんなこと伝えにここまで来たのか?」
「アンタ、だと? ふん、大事なことだろう? 焦凍にはすぐ追い返されてしまったが……」
「息子に夢を託すのも良いが、それで
轟が親父の力どうのこうの言ってた理由が、エンデヴァーと話してようやく分かった。これはめんどくさい。
面食らっているエンデヴァーの横を通り過ぎる。背後から聞こえる怒号を無視して、俺はスタジアムの中へと入った。
『お待たせしました!! 続きましては──こいつらだ!』
ステージの上で轟と対面する。心なしか表情が鋭い。多分、轟もなんか言われたなこれ。
「めんどくせぇな。エンデヴァー」
『騎馬戦ではパッとしなかったが、障害物競走では強いインパクトを残した男! ヒーロー科真堂司!』
「……悪い。お前の方にも行ったか、アイツ」
『バーサス! 3位、3位と安定した成績を残す男! 同じくヒーロー科轟焦凍!!』
「くだらねぇこと言ってたよ。アイツの事ぁ忘れよう」
「……はっ、そんなこと言えんのお前くらいだよ」
轟は表情を崩して、軽く呼吸を整えた。そうだ、俺と轟の戦いに、部外者が介入していい訳が無い。思考の片隅にソレがいるのも、気に食わない。
『START!』
戦いの火蓋が切られる。
──と同時に、俺の全身は氷に包まれた。
騎馬戦…?
エンデヴァーが丸くなったのは望まない形とはいえNo.1になったからだと思ってるのでしばらくこのままです。初期デヴァー嫌な奴すぎるだろ
チアリーダー衣装のみんなとエッチしたい