※この作品はR-18です。

俺の個性は『振動』。全身バイブ人間だ   作:dogman

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今まで震界と界震で表記揺れしていたことに気が付きました。すまん。諸事情があり、これからは、界震で統一させて頂きます。すまん


第22話 決勝戦

 

 

 

「……逃げましたか」

 

 荊棘の巨人(ローズ・ゴリアテ)の拳が彼──真堂さんを直撃する直前。拘束していた茨が精妙な振動により解かれました。あの時私を助けてくれた技でしょうか。助けられた技を自分に使われるというのは、不思議な感覚です。

 

『おおっと!? 絶体絶命だった真堂、いつの間にか消えている! どこに行きやがった!?』

『……』

 

 まぁ、拘束から抜けても逃げ場はありません。私がゴリアテの頭部に居る以上、攻撃するには何らかのアクションが必要で、急な奇襲が来ることはありえません。次の攻撃に備えて茨の準備を──

 

「……えっ?」

「殴るぞ」

 

 ──しようとして、いつの間にか目の前に現れた真堂さんと目が合いました。呆気に取られている私を放置して、ブブブという擬音が聞こえる程に振動している拳が──

 

「おッ……」

 

 ──下腹部に、突き刺さりました。

 

 

 

―――◆―――

 

 

 

『も、モロに入ったァ! 漢真堂、淑女相手にも容赦なしッ!!』

『性別どうこうで容赦する奴は準決にゃ残れねぇよ』

 

「カハッ、コホ……ッ」

 

 鳩尾の()()()に入った拳。塩崎は顔を歪めながら、崩壊する巨人と共に自由落下を開始する。……急所を外したから多少は耐えると思ったんだが、予想が外れたな。

 

 このままだと受け身も取れないだろう。取れても、10mの高さから落ちたら骨折じゃすまん。受け止めるか。もう反撃する意思も体力もないだろうしな。

 

 崩壊する巨人の腕を足場にして瞬歩を発動。その衝撃で更に崩れた腕を無視して、俺は塩崎を抱き抱え、USJの時の要領で地面に着地した。

 

「よ、っと」

 

 あの時より高度も無ければ緊張感もない。楽勝だな。

 

「……あ、あなたは──」

 

『真堂、落下する塩崎をお姫様抱っこで抱えて着地! お前彼女いるだろ! ツラっとしやがってよぉ!』

『人を抱えてる分あの時より調整は大変なはずだが……成長が早いな』

 

 塩崎の言葉はプレゼントマイクの実況によりかき消された。偶然お姫様抱っこの形になってしまったが、まぁ、不可抗力というやつだろう。

 

 これで責められるのは流石にお門違いである。

 

 塩崎もそう思うよなという意味を込めて腕の中の彼女に視線を落とすと、一瞬だけ綺麗な緑色の瞳と目が合って、すぐにプイと逸らされた。どうやらお門違いではないらしい。

 

「……悪いな。まだやるか?」

 

 少しの気まずさを覚えて塩崎を地面に下ろす。

 お腹を抑えながら地面に立った塩崎は、俺から目を逸らしたまま口を開いた。

 

「……いいえ。私の負けです。……参りました」

 

「塩崎さん降参! 真堂くんの勝利!」

『塩崎惜しくも敗北! 決勝進出は真堂だ!』

 

 ミッドナイトとプレゼントマイクの実況。それにより爆発した観客たちの歓声を浴びながら、俺は肩を貸そうと塩崎に手を差し伸べて──パシンと弾かれた。

 弾かれた手が行き場を失い、場に沈黙が訪れた。

 

「……悪い」

「あ、いや、これは違くて──」

 

 背を向けてステージを後にする。自分を負かした相手からの助力などただ屈辱的なだけだ。塩崎には悪いことをしてしまったな。反省である。

 

 さて、決勝の相手は常闇か爆豪か。まぁ、恐らく爆豪が上がってくるだろう。アイツらは相性が悪すぎるからな。

 

「ナイス勝利。おつかれさま」

 

 入場口で試合を見守ってくれていた響香とグータッチして、俺たちは一緒に控え室へと向かった。

 

 

 

―――◇―――

 

 

 

「爆豪の攻略法は──」

 

──バァン!

 

 控え室で俺と響香が話していると、扉が勢いよく開かれた。反射的にそこを見ると、「あ?」と言いながら扉を蹴飛ばした足の裏をこちらに向けた爆豪が立っていた。

 

「なんでテメェらがここに……。控え室、あ、ここ2の方かよクソが! お前ら何イチャついてんだクソが!」

「緊張してんのか?」

「爆豪でも緊張とかするんだ」

 

 俺たちの言葉に爆豪は眦を吊り上げて手のひらを爆破させた。緊張が解れたようで何よりである。

 

「この俺が緊張する訳ねぇだろ……!」

「の割には部屋間違えてんじゃん。早く行かねぇとボチボチ決勝始まんぜ?」

 

 こめかみに青筋を立てた爆豪は、苛立ちを全身で表現しながら控え室を後にした。騒がしいやつだ。全く。

 

「……頑張ってね。司」

「当たり前よ。響香の仇も取ってやるぜ」

「ふふ、ありがと」

 

 たわいのない雑談を重ねていると、今度は優しく扉が開かれた。呼び出しのロボだ。俺の膝の上に座っていた響香を下ろして、軽く伸びをして控え室から出る。

 

「じゃあ、行ってくる」

「うん。また後で」

 

 最後にそう言って、俺はステージへと向かった。

 

 

 

―――◆―――

 

 

 

『さァいよいよラスト! 雄英1年の頂点が決まる決勝戦!! 真堂対爆豪!!』

 

「人目も気にせずイチャつきやがってよォ……!」

「お前そういうの気にするタイプじゃないだろ」

 

 今になってさっきのことが気になりだしたのか、爆豪は目を吊り上げたままグチグチ文句を言っている。器の小さい男だ。ちんこも小さいのだろうか。

 

『今!! START!!』

 

「死ぃねッ」

「うお」

 

 速攻の突撃。早いが、緑谷のフルカウルや塩崎の茨程早くはない。つまり、カウンターが決まる──寸前に、爆豪は爆破で軌道を変えて俺の拳を避けた。

 

「まず──」

「はっはァ! 雑魚が!」

 

 俺の背後に回り込んだ爆豪の高笑い。それを聞いた次の瞬間、俺は吹っ飛ばされていた。肉と服が焼ける臭いに、全身に走る激痛。それら全てが不快で仕方ない。

 

『いきなりかましたァ! 近接戦闘は爆豪に利があるか!?』

 

 振動で勢いを殺して地面に着地する。まだ様子見をしているのか、爆豪は追撃をしてこなかった。

 しかし、近接戦闘は爆豪に利があるって? そう思われたまま試合が終わるのは不快だ。爆豪より俺の方が強い。

 

「ケッ、何笑ってやがんだ振動野郎」

「お前だって(ヴィラン)顔負けの笑顔だぜ。あとそれなら普通に真堂で良いだろ」

 

 「はっ!」と鼻を鳴らした爆豪は、両手を後ろに向けて爆破してこちらに突っ込んでくる。

 曲がりなりにもセンスマン。同じフェイントをかけてくるとは思えない。しゃらくせぇな。俺も突っ込もう。

 

「あ──ッ!?」

「スピードは俺の方が上、か」

 

 “瞬歩”で爆豪の前に高速移動し、その勢いのままに振動させた拳を爆豪の腹に打ち込む。爆豪自身の突進速度も含めての一撃を受けて、爆豪は弾かれたように吹き飛ぶ。

 

『おおっとこれは強烈なカウンターが決まったァ! しかし爆豪爆破で場外を回避──』

 

 個性行使による反動を地面に流して軽減し、ついでにその反動も利用しながら追撃の度に瞬歩を使う。

 

「──ッ」

 

 視界が引き絞られる。次の瞬間には、目を丸くしている爆豪が目の前に居た。まぁ、観客として見るのと実際に喰らうのは感覚がだいぶ違うだろうからな。当然の反応だ。追撃の拳が爆豪の顔に突き刺さる──

 

「──らァッ!」

「っぶね!」

 

 ──ことはなく、爆豪の爆破が俺の顔に炸裂した。コイツ、反応速度おかしいだろ……!?

 衝撃を殺しながら受身をとり、弱い出力の瞬歩で追撃の爆破を避けて背後に回り込む。

 

「ハッ! キメェがそれも慣れちまえばこっちのもんじゃオラァ!」

「──マジかよ」

 

 背後に回り込んだはずなのに、爆豪と目が合った。

 そして、両の手のひらが俺に向けられていた。

 

「死ね!」

「まず──」

 

 爆豪の個性『爆破』は手のひらから分泌した汗を爆発させる。その性質上汗をかく程に爆破の威力は向上する。

 

 今日一番の爆破が、目の前で炸裂した。

 

 

 

―――◇―――

 

 

 

『爆豪による大爆発!! これは至近距離で受けた真堂、無事か!?』

『……』

 

「……スカしやがって」

「直撃したら、ヤバかったかもな」

 

 界震に至る前の振動エネルギー。それを空気に付与する技だから……界震膜とかでいいか。なんとかキマって良かったぜ。そのお陰で、爆破のエネルギーを受け流せた。

 

「……アレ使えや」

「界震か? 随分と物好きだな」

「俺が取るのは完膚なきまでの一位だ。アレを使わねぇお前に勝ったところで取れるもんじゃねェんだよ!」

 

 爆豪もそれなりの覚悟を持ってこの戦いに望んでいるらしい。だが、界震を使わないのは何も舐めプって訳じゃない。

 純粋に使うタイミングがなかったんだ。爆豪の前で悠長にタメていたら、普通にシバかれるだろうし。

 

「まぁ、そこまで言われたらやるしかねぇよな」

「ハッ──!」

 

 振動のエネルギーを拳に顕現させる。ブブブブ……と大きな音を立てながら空間を揺らす球状のエネルギー。

 これを、“空気の面”を捉えて、そこに炸裂させるのが界震だ。空気の面を捉えるのに時間がかかるからポンポン打てないんだよな。

 ただ発散させるだけだと、空間が割れることもなければ大地が揺れることもない。ただの衝撃波になってしまう。

 

『おおっと! 真堂のグラグラパンチがまた決まるのか!?』

『本人の技名で呼んでやれ』

 

 俺がエネルギーをまとったのを確認した爆豪は、凶悪な笑みを浮かべて両手を爆破させ、宙に飛び上がった。羨ましいなと思いつつ、エネルギーの圧力を上げていく。

 爆豪は回転しながら俺に向かって落下……というより、突撃してくる。

 

「──榴弾砲着弾(ハウザーインパクト)!!」

「──界震」

 

 ()()()()()()()()究極の爆破と、世界そのものを破壊する振動の衝撃が、正面から衝突した。

 

 

 

―――◆―――

 

 

 

『再び空間が割れたァ! そして本日幾度目かの地震ッ!! 時代が時代なら不謹慎な存在だぜ真堂! そして爆豪! 麗日戦で見せた特大火力に勢いと回転を加えまさに人間手榴弾!!』

『それと、爆破を一点に集中させていたな。貫通力で界震を破ろうとしたのはいい判断だったが……──』

 

 個性『爆破』はその性質上、爆発力には優れるが継続はしない。対して俺の“界震”は、発生した世界のヒビ割れは、しばらくその場に残り前方の空間を破壊し衝撃波を送り続ける。

 

 爆破を一点特化した? ()()()()()()。俺の界震は、そんなもんで破られる程ちゃちゃじゃない。

 

「ッ──」

「吹っ飛べ」

 

 大技の押し合い。その終わり際、爆豪は口角を上げた。

 一瞬生存本能が警戒のシグナルを送ってきたが、次の瞬間には爆豪は吹っ飛んで、実況席のすぐ下の壁に衝突した。

 

「……ミッドナイト、アレは場外だよな?」

「え、えぇ、そうね。爆豪くん場外! よって──……真堂くんの勝ち!!」

 

 俺の声掛けによって気を取り戻したミッドナイトは、片手をバッと上げて俺の勝ちを宣告した。

 

『以上で全ての競技が終了! 今年度雄英体育祭一年優勝は────……A組、真堂司!!!』

「「「「「ワアアアアア!!」」」」」

 

 溢れんばかりの大歓声に優勝したという実感が湧き、感極まって拳を天に突き上げる。それを見て歓声が更に大きくなって、思わず笑みが零れた。

 

 

 




真堂……女の腹を殴るタイプの男
塩崎……みぞおちの下ら辺に振動パンチを食らった。体育祭が終わった夜、初めて変な気持ちになりネットの海に飛び込んだ
爆豪……負けたけど最後にAPショットのコツを掴んだ感覚があり少し満足している。完膚なきまでの敗北を味わい、ここから成り上がる為に必要なことを理解した

体育祭これにて完!表彰してエッチするぞ!!!

誤字脱字報告本当にありがとうございます。誤字脱字が多くて本当に嫌になるばかりです。感謝です
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