「──よし。これで予習と復習は完璧ですわね……!」
休日と言えども日々の日課は忘れません。体育祭前ということで少しだけ疎かになっていた復習と、休み明けの予習をしっかりとした私は、ノートを閉じて軽く伸びをしました。
時計の針が記す時刻は十時半。今までなら、椅子に座ったまま30分程読書をしてから眠りについていました。
……ここ数日、不思議と読書に身が入りません。いえ、不思議な事は何もありませんわ。とある光景が──ある男性の肉体が、私の脳内にこびりついて離れないのです。
予習復習の時は問題なく集中できても、ひとたびそこから離れると、途端にそれが主張を強めます。
「真堂さん……」
──真堂司。同じクラスに所属する男性で、推薦で入学した私よりずっとずっと優れているクラスメイトです。
先日行われた雄英体育祭での一幕。轟さんとの戦闘の余波で、彼のズボンが破れて……男性器が──それも恐らく勃起状態にある──が露になりました。
私には、モノを創り出す個性を持っているからついた習性というかなんというか、見た物の形状や長さ、特徴などを計算して割り出す癖があります。
「22.7cm……」
真堂さんの男性器の、目算での長さです。多少の誤差はあれど、それは数mm程度でしょう。太さは部位に寄るのでなんとも言えませんが、1番太い部分……亀頭の出っ張っている部分の直径は6.2cm。
陰茎の太さも場所によって変わりますが、5.2cm、と言った所でしょうか。男性器は完全な円柱形ではないので多少の補正は入りますが、それでも、脳裏にこびりついたソレのイメージを補強するには、十分な情報です。
「……」
色はなんというか、全体的に黒ずんでいました。陰茎には生命力に溢れた太い血管が走り、力強く天を突き上げていた様子を強く覚えています。
「やってしまいましたわ……♡」
気がついたら、私は
「でぃるど、と呼称するのが正しいのかしら……♡」
高校進学を機に買い与えられたスマートフォン。それで
「これ、本当に入るんですの……?」
子供を作る為の性行為。それは、女性の腟に男性の陰茎を入れる事で行われる行為です。でも、パッと見だとどう頑張っても入りそうにありませんわ……。
「ここまで……♡」
ナイトウェアを捲り、手に取ったディルドをお腹にそわせてみると、おへそが隠れてもまだあまりある程の大きさがありました。世の殿方たちは皆これを携わえていると考えると、なんだか不思議な気持ちです……♡
「んっ♡ い、いけませんわ♡」
気がついたら、でぃるどを陰核に擦り付けてしまっていましたわ……♡ 同級生のペニスを模したディルドを勝手に創って自慰行為に耽るなど、八百万家の令嬢として到底許される行為では──
「おっ♡」
──コリ、と陰核が刺激され、脳がスパークしたかのような刺激が走りました♡ 先程していた思考が吹っ飛んでしまいましたわね。まぁ、所詮その程度の思考だったということでしょう♡
「で、でも挿入までは流石に……」
処女を捧げるなら、将来を約束した殿方が良い。いつの頃からかは分かりませんが、私は漠然とそう考えていました。
いくら玩具とはいえ、初めてがディルドというのは、少し違う気がします……。
「ま、まぁ先っちょだけなら……♡」
先っちょだけなら、処女を失ったとは言えないのかもしれませんわね……♡ というか、人間が相手じゃない限り、それは処女と言えるのではないのでしょうか♡
「んっ♡」
ディルドを創造した時から既に濡れていたのに、先程までの愛撫もあって、私のおまんこは既にディルドを受け入れる準備が完璧に整っていました♡
両足を椅子の肘掛に置いて足を大きく開き、ぐしょ濡れになったショーツを少しズラして、ディルドの先端を腟の入口に宛てがい、ほぐすように動かしていきます♡
「こ、これ、本当に入るのかしら……♡」
もうちょっと小さくして真堂さんのペニスを創造するべきでしょうか、直に当てて分かったのですが、これを入れるのは少し厳しそうですわ……!
―――◆―――
「……♡」
雄英体育祭の翌日。お風呂から上がって個性の要である髪の手入れを終えた私は、ベッドに横になって天井を眺めながら、下腹部に手を添えました。
「まだ、痛いです」
思い出すのは先日の体育祭。私はそこで一人の友人と拳を交えました。結果は私の敗退。その決め手となったのは、彼の──真堂さんの『振動』を用いた拳が、私の
リカバリーガールの『治癒』を受けてもズキズキと痛む下腹部。へその少し下にクリティカルヒットした拳は、その内側にあった子宮にも大きな衝撃を与えました。
「酷いですね……♡」
酷い、本当に酷い人です♡ 女性の一番大事な所を殴るなんて、例え真剣勝負を謳っている試合でもやっていい事ではないでしょう……?♡
「んっ♡」
ズキズキと痛むそこを軽く押してみると、独特な刺激が脳に走って全身がピリピリと麻痺したかのような感覚になります……♡
初めての感覚で、
「っ♡」
ビリビリという、まるで優しい雷が脳を走るかのような気持ち良さに、私がハマってしまうのもまた当然の摂理とも言えましょう……♡
―――◇―――
「うわ、何この広告」
寝る前のリラックスタイム。だらだらとベッドに寝転がってスマホをスクロールしていると、間違えて広告をタップしてしまい、その広告のリンクに飛ばされてしまった。
「“露出の勧め”って。変なサイト飛ばされちゃったし──」
私がタブを消す前に、一本の動画が再生された。場面は夜遅くの公園で、パーカーを着た女性が、足を閉じてモジモジとしながらブランコの前に立っている。
「……」
顔を真っ赤にして俯いた女性が、パーカーの前をゆっくりと開けた。彼女は何も着ていなかった。恥ずかしいところが全部露わになって、彼女は顔がカメラに映らないように俯いたままパーカーの裾をキュッと握りしめる。
「いいなぁ──って、何考えてるんだ私」
思わず口から零れた言葉に自分でも驚いてしまう。
……『透明』の個性を持っているからかもしれない。いつからか、私は何も着ずに外に出てみたい、という欲望を持つようになっていた。
でも、それは許されない。そもそも普通に犯罪だってこともあるし。私の『透明』は見た目を透明にするだけだから、当然のことながら匂いもあれば痕跡も残る。
「はぁ……♡」
真堂くんに体の形がバレてしまったのが良い例だ。感覚が鋭い個性や、動物の異形型個性とか、“見えないモノを見る”個性を持つ人相手だと、私はただの露出狂になってしまう。
「どうしよ♡」
ミッドナイト先生の話によると、髪とかから採取した個性因子でその個性に対応したヒーローコスチュームを作ることが出来るらしい。
体育祭が近いことを理由にその申請を後回しにしていたけど、本当に理由がそれだけだと胸を張って言うことは、今の私には出来ない気がする。
「あれもこれも──」
──全部、真堂くんのせいだ。
あの時見た、おちんちん──それも勃起した──を露出しながらも一切気にせずに堂々と戦う姿が脳裏に焼き付いて離れない。
「まるで何もなかったかのように接してくるしさあ♡」
A組の待機席に戻ってきても、彼は一切の恥じらいを見せず、いつもと同じように挨拶をしてきた。
変にドキドキしてた私の方が恥ずかしくなっちゃったけど、個性のおかげでバレないですんだ。
「……いや、バレてたかも♡」
個性『振動』でどこまで
「──あ〜♡」
じっとりとした汗がじわじわと出てくる。不快なはずなのに、不思議とそれが心地よかった。
──もし、私が外で露出している時に、真堂くんと遭遇しちゃったらどうなるんだろう。
ふと、そんな疑問が浮かんできた。
「ッ♡」
ピリッ、と、全身を貫くような刺激が走った。
外で全裸で居る私を見て、真堂くんは失望するだろうか? おちんちんを出しても堂々としてるくらいから、案外「何してんだ」くらいですませてくれるかもしれない。
「もしかしたら──」
腕を引っ張られて、公園のトイレか、或いはただの物陰に連れ去られるかもしれない。そして、「こういう展開待ってたんだろ」って言われて、そのまま──
──ピコン
「……ッ!」
スマホの通知によって、意識が現実へと引き戻される。少しの安堵と、妄想の邪魔をされた苛立ちが混ざった不思議な気持ちだ。軽く呼吸を整えてから、枕元のスマホを手に取った。
「タイミングさぁ……♡」
メッセージの主は、真堂くんだった。先程まで妄想をしていた相手。心臓がバクバクと鼓動を早める。
アイコンのバイク──好きらしくて夏休みに免許を取るらしい──も、いつもより数段かっこよく見えた。
『明日カラオケで打ち上げやるらしい。切島から伝えといてくれって頼まれた。夜遅くにすまん』
「打ち上げ、か」
そういえば切島くんとはインスタを交換してなかった。もう繋がってる真堂くんやお茶子ちゃんとかから聞いて勝手に追加しないのは、切島くんらしい。
「真堂くんは行くの──は、ちょっとあれか」
君が行くなら行く、と言ってるようで、それはなんだか恥ずかしい。……どう返そう。悩む。
「……ええい! 悩むのは性にあわない!」
『行く〜! どこのカラオケで何時から?』
パパっと文字を打って、送信のボタンをタップする。ドキドキと反応を待つ時間もなく、すぐに既読が着いた。
ベッドで丸くなりながら返信を待つ。なんてことのない、ただの必要な会話だけど、それでも変に緊張してしまう。
「……でも、付き合ってるもんなぁ」
アイコンを眺めながら呟く。そう、真堂くんには彼女がいる。これはA組のみんなが知っている事実だ。なにせ、相手も同じA組の生徒だから。
「響香ちゃん……」
響香ちゃんは一見ツンツンしてそうに見えるけど、少し接するだけでその印象はあっという間に崩れる。ロックと音楽を愛し、曲がったことが好きじゃない普通の女の子だ。
カップル──それも両方友達──の仲を引き裂くことは私にはできない。まぁ、私じゃなくても、普通の感性を持つ人間だったら無理だろう。
だから、仕方ないのだ。
この気持ちはバレちゃ行けない。
「……ッ♡」
──でも、彼を思って
今までで一番気持ち良いオナニーができたことは、言うまでもないだろう。
―――◆―――
「……ッ♡」
足の間に挟んだクッション。それにおまんこを擦り付けて、体重をかけて押し潰す。まるで脳が弾けるような感覚が来る──ことはなく、私はベッドに崩れ落ちた。
「ぜ、全然イけん……ッ!」
雄英体育祭後の休日。色々と落ち着いたということで久々にオナニーをしようとして、もう1時間が経った。
1時間の奮闘でショーツとクッションはもう最悪な状態になってしまった。さっきのは一番絶頂に近かったけど、それでも最後まで達することはなかった。
「なんでなん……」
体育祭があるということで、しばらくオナニーをしていなかったから、体がイキ方を忘れてしまった──これはない。
受験の前とか、今回以上にオナ禁してたし。
「理由、理由──あ」
一つだけ、心当たりがあった。ソレを思い出して、一気に顔が真っ赤になってしまう。体育祭の少し前、私は一人の男の子と──真堂くんと、とある訓練をした。
訓練自体はキツかったけど、まぁ普通だった。問題はその途中。私が彼にされたこと──個性『振動』を用いたマッサージにある。
「思い出すだけで♡」
全身を振動した手で按摩される感覚は、マッサージ未経験で、そういうオモチャも未経験な私には刺激が強すぎた。
「フェラもしちゃったし……」
今でもたまに、あの味を──精液の味を思い出す。今まで食べたことがなかった種類の味だったけど、ご飯に合いそうと思ったのを──
「──そんなことはどうでもいいんよ♡」
思考が少し逸れた。問題は、オナニーでイけなくなってしまったこと。電マとか、バイブやディルドを使えば変わるんだろうか……。でも、そういうオモチャは私では手が出せんくらい高いし……。
「また頼む──はさすがにアカンし……」
あの時は場の雰囲気に呑まれてああいうことになってしまったが、態々またああいうことをしようと誘うのは、さすがにない。そもそも真堂くんは響香ちゃんと付き合っている。普通に浮気だし、許されていい行為ではない。
「でも、気持ち良かったなぁ……♡」
初めての経験ということもあって、死ぬほど気持ち良かった。……まぁ、いつかまたオナニーでイけるようになるやろうし、そこまで悩まんでいいか。
「よし、寝よ」
クッションを部屋に投げて、布団に包まる。
絶頂寸前まで追い込んだおまんこは寸止めをされているようで少し可哀想だけど、仕方ない。
「いざとなったらオモチャ買お……♡」
オモチャを買っても結局イけなくて、真堂くんにまた
主人公……夏休みの間にバイクの免許を取りたいらしい。
八百万百……この後ディルドで処女を無くす。概念的な処女になった。
塩崎茨……宗教一家の箱入り娘がオナニーとか知る訳もなく。自主的に体外ポルチオを開発していく。
葉隠透……露出オナニーをするようになるまで秒読み。
麗日お茶子……天性のスケベ。次の日なけなしのお金でマッサージモノのAVを買った。デクに真堂との関係がバレかけてることは知らない。