あの後めちゃくちゃセックスした。
「あ、葉隠じゃん。おはよ」
「うい、おはよう葉隠」
「耳郎ちゃんに真堂くん、おはよ〜!」
デキてるかどうかは分からない。響香のコンディションにもよるし、精子に俺の気持ちが伝わっていたのなら、孕ませてないはずだ。
そんな現実逃避をしながら靴を履き替えていると、葉隠がどこか興奮した様子で俺の方へ寄ってきた。
「てかニュース見たよ! めっちゃヒーローしてたじゃん!」
「サインいるか?」
「それはいらないや! 職場体験中にニュースちらっと見たら、真堂くんが
俺の活躍はちょろっとテレビに流れていたらしい。
そういえば、母さんや親父もそれっぽいことを言っていた気がする。俺の名が世界に知れ渡る日も遠くないぜ……。
「まぁ、それもこれも全部ミルコのおかげだけどな。俺はミルコが嗅ぎつけた騒ぎに突っ込んでただけだし」
「いや、普通は戦闘まかされないでしょ」
「そうそう! 私なんてメディア露出すらゼロだよゼロ!」
葉隠はたしか隠密系ヒーローの元で職場体験をしていたからな。そりゃまぁ、メディア露出はないだろう。
「なんか遠い人になっちゃった気分するなぁ」
「んな大袈裟な。……く、くく、ふふふは」
天井を見上げてしみじみと言う葉隠。この一週間かなり忙しく走り回ってたからか、やっと日常が戻ってきた感じがして変に笑ってしまった。
「……真堂くんってそんな感じで笑うんだ」
葉隠の呟きは周りの喧騒に飲まれて、俺の耳に届くことはなかった。
―――◆―――
「爆豪おま、なんだその髪」
「──黙れ振動野郎! そのくだり今さっき終わってんだよクソが!」
教室に入った俺たちを出迎えたのは綺麗な8、2分けになってしまった爆豪少年であった。その近くでは瀬呂と切島が爆豪を見ながら腹を抱えて笑っている。
「おはよ〜」
「おはよう」
クラスのみんなからの挨拶に応えながら席に向かっていると、「コオオォォ」と何やら凄い呼吸をしている麗日と目が合った。少し頬を赤くした麗日に、気にせず挨拶をする。
「おはよう、麗日」
「……おはよう。真堂くん」
ぷいっと目を逸らされた。俺が一体何をしたっていうんだよ……!
「──ま、一番変化というか大変だったのは、お前ら三人だな!」
上鳴が後ろを向きながらそう言った。そこに居たのは、轟と緑谷と飯田である。どうやら、元から何かを話していたらしい。それに耳を傾けながら、俺は自分の席に座った。
「そうそう、ヒーロー殺し!」
「心配しましたわ」
「命あって何よりだぜ、マジでさ」
「エンデヴァーが救けてくれたんだってな! さすがNo.2だぜ!」
「……そうだな。救けられた」
「うん」
轟は何やら含みがありそうな感じで頷いた。
……ヒーロー殺し。俺が捕まえた
しいて言えば初日に捕まえたヒプノスが有名らしいが、一部の界隈でだけである。現に俺は知らなかったし。
「ニュースとか見たけどさ、ヒーロー殺しは
「でもさぁ、確かに怖えけどさ、尾白動画みた? アレ見ると一本気っつーか執念っつーか、かっこよくね? とか思っちゃわね?」
「上鳴くん……!」
「え? あっ……飯田……ワリ!」
上鳴の失言を緑谷が軽く咎める。まぁ、かなりの失言だったな今のは。飯田は兄貴をヤられてるから、よく考えなくてもしっかりとした失言である。
「いや、いいさ。確かに、信念のある男ではあった。クールだと思う人がいるのも、わかる」
飯田の言葉にうんうんと頷いてると、左から肩がツンツンされた。俺の左隣は爆豪である。怪訝な顔をしながら顔を向けると、そこには制服が浮かんでいた。なるほど、葉隠か。
「ねぇ、今度さ、一緒に訓練しない?」
葉隠は飯田を邪魔しないように身を寄せて、小声でそう言った。
……葉隠は透明人間である。それでも、下着はちゃんとつけている。まぁ当たり前っちゃ当たり前だが。
何が言いたいかと言うと。葉隠のブラが見えている。
後ろの部分だけだが、それでもしっかりと見える。
今日はヒーロー基礎学があるからか、スポブラだ。そもそものおっぱいが大きいからブラもまたでかい。
「……あっ」
俺の様子を見てそれに気がついた葉隠は、パッと体を起こして、胸元を腕で守った。
透明人間である葉隠がどんな顔をしているのかを見ることはできない。クソ怒ってたらどうしよう。
「わ、悪い」
「……えっち」
──予想と異なり、葉隠はそこまで怒っていなかった。
安堵の息を吐く。ちゃんと謝ろうと思って口を開いたが、それは飯田の言葉により遮られた。
「さァそろそろ始業だ。席につきたまえ!!」
弁明することも出来ないまま、葉隠は席に戻ってしまったのであった。
―――◇―――
「ハイ私が来た。ってな感じでやっていくけだけどもね。ハイ、ヒーロー基礎学ね! てか久しぶりだな少年少女! 元気か!?」
「ヌルッと入ったな」
「久々なのにな」
「パターンが尽きたのかしら」
「尽きてないぞ。無尽蔵だっつーの」とボヤきながらもオールマイトは言葉を続ける。……何回みてもオールマイトはデカいな。惚れ惚れする筋肉である。
「職場体験後ってことで今回は遊びの要素を含めた救助訓練レースだ!」
「救助訓練ならUSJでやるべきではないのですか!?」
「あそこは災害時の訓練になるからな。私はなんて言ったかな? そう、レース! ここは運動場γ! 複雑に入り組んだ迷路のような細道が続く密集工業地帯! 5人4組に別れて1組みずつ訓練を行う! 私がどこかで救難信号を出したら街外から一斉スタート! 誰が一番に私を助けに来てくれるのか競争だ! もちろん、建物の被害は最小限にな!」
「指さすなよ」
爆豪がほぼ名指しで注意された。
そんなこんなで、組み合わせが発表される。
一組目は緑谷、飯田、芦戸、瀬呂、そして俺である。
「じゃあ初めの組は位置について!」
「クラスでも機動力良い奴が固まったな」
「うーん。強いて言うなら芦戸さんが若干不利かしら……?」
「緑谷も司も飯田も瀬呂も機動力あるからね〜」
レースを映す巨大なモニターの前に置かれた待機席。そこに座ったA組の面々は、思い思いの言葉を口にする。
「俺瀬呂が一位」
「いーや、緑谷だね」
「オイラは真堂! あいつ空跳べるようになってただろ? こんなんヨユーよ!」
「デクが最下位」
「ケロ、それはないと思うけど」
「……んー、デクくん、かなぁ」
おおよその予想が出揃った頃、レースがスタートした。先手を打ったのは瀬呂だ。頭上に通る大量のパイプに『テープ』をひっかけ、あっという間に上空に飛び出した。
「ほら見ろ! こんなごちゃついた所は上行くのが定石!」
「となると、対空性能の高い瀬呂と真堂が有利か──」
障子がそう言った次の瞬間。
二つの影が、瀬呂の横を凄まじい速度で通り過ぎた。
「──流石に速ええな! 緑谷!」
「真堂くんこそ! 正直、追いつかれるとは思ってなかった!」
パイプや建物の上を跳びながら、並走してくる真堂くんに向かってそう叫んだ。煽るためじゃなく、本心から出た言葉だ。体育祭の時は、スピードだけは真堂くんに勝っていた。
それに、ヒーロー殺しとの戦いを経て、僕はフルカウルを常時12%まで引き出せるようなった。
──以前の真堂くんなら、余裕でちぎれたはずだ。
「ハッ! 俺も成長してんだよ!」
そう言って、真堂くんが僕より一歩前に出た。一瞬のことなのに、真堂くんの横顔がやけにハッキリと見えた。
その整った顔に浮かぶ笑みを見て、無意識のうちに口角が上がる。
「──フルカウル、
笑顔はそのまま、高鳴る心臓は無視する。
どんどん先へ進んでいくその背中を、僕は追いかけた。
「フィニーッシュ!」
気がついたらレースに負けていた件について。
途中で瀬呂と緑谷を抜いてから最終盤までは俺が一位だったのに、途中で瞬きをしたら緑谷の背中が目の前にあった。
「くあ〜、お前ら早すぎだろ」
「私ドベなんだけど〜!」
瀬呂と三奈が悔しそうにそう言う。飯田は順位に納得している様子だ。緑谷の方に顔を向けると、緑谷も俺のことを見ていたようで目が合った。
「……やっぱ強いな、緑谷」
「ありがとう。……でも、妨害ありだったら真堂くんに勝てたかどうか……」
……まぁ正直、緑谷の成長曲線的に、いつか負ける日が来るだろうとは思っていた。それくらい緑谷の個性『超パワー』は強力だし、本人も使いこなしている。
「気合い入れねぇとな」
──ただ、それが俺の予想より早かっただけだ。
「一番は緑谷少年だったが、みんな入学時より個性の使い方に幅が出てきたぞ!! この調子で期末テストへ向けて準備を始めてくれ!!」
オールマイトが講評を終えて、俺たちは待機席の方へと向かう。その途中、隣を歩いていた飯田が声をかけてきた。
「真堂くん、君は一体どうやって空を跳んでいるんだ?」
「空気に振動面を作って、それに瞬歩を使ってるって感じだ」
「……なるほど。僕にできる芸当ではないか」
「飯田はそんなんしなくてもできるだろ。エンジンついてんだから、空中でバランスさえ取れればそれ推進力に飛べるっしょ」
「…………考えたこともなかったよ。いや、そうか、僕は既にそれを経験しているや……」
飯田は自分の世界に入り込み、ブツブツと口から思考を垂れ流している。そもそも、最初にマスコミが侵入してきた時だって、飯田は空を飛んで壁に張り付いていた。
あの技術を磨いたら、自由自在とまでは言わずとも、それなりに空を飛べるようになりそうである。知らんけど。
―――◇―――
「久々の授業、汗かいちゃった☆」
「俺機動力課題だわ〜」
そんなこんなでヒーロー基礎学が終わり、俺たちは更衣室で着替えていた。
「お〜、力動お前、仕上がってんな〜」
「へへ、分かるか?」
隣で着替えていた力動がヒーロースーツを脱ぎ、その肌を露わにした。
前までは絞りきっていないボディビルダーといった感じの肉体だったのが、今は「これからステージ立てまっせ」といわんばかりの仕上がりだ。
人懐っこい笑みを浮かべた力動は軽くポージングをする。
マジで様になってんな。レースでも力動はその組でぶっちぎりの一位だったし、将来有望である。
「おい緑谷!! やべェことが発覚した!! こっち来い!」
「ん?」
「見ろよこの穴! 恐らく諸先輩方が頑張ったんだろう!! 隣は、そうさ! わかるだろう!? 女子更衣室!!」
峰田の興奮しきった言葉を受けて、誰かが唾を飲む音が聞こえた。……経年劣化と信じたい。じゃないと、とんでもないやつが雄英にいたことになってしまう。
「やめたまえ峰田くん! 覗きは立派な犯罪行為だ!」
「オイラのリトルミネタはもう立派なバンザイ行為なんだよォォ!」
飯田の制止を振り切って、峰田は血走った目を覗き穴に近づけていく。
「八百万のヤオロッパイ!! 芦戸の腰つき!! 葉隠の浮かぶ下着!! 麗日のうららかボディに蛙水の以外おっぱアアア──あああ!!!!」
次の瞬間、峰田の目にプラグが突き刺さった。そして、響香の心音攻撃が炸裂する。哀れなやつだ。響香にも触れていたら、
「畜生ォ……! 畜生ォ……!」
峰田の心の底からの叫びが、更衣室にこだましていた。
―――◇―――
「ありがと響香ちゃん」
「何て卑劣……! すぐにふさいでしまいましょう!」
峰田くんへの文句を言うみんなに同調しながらも、私は正直、そこまで怒っていなかった。
まぁ、それも仕方ないことだと思う。私は生まれた時からの透明人間だから、裸を見られたことがない。そのせいで、他の人より羞恥心が薄いんだと思う。
なんなら訓練中もずっと裸だったし。
着ているブラとかショーツを見られるのはちょっと恥ずかしいけど、ちょっとだけだし。
「……」
……でも、今朝真堂くんに見られちゃったのはかなり恥ずかしかった。個性の影響で私の体を認識できるとかで、私は真堂くんをちょっと……いや、かなり意識しちゃってる。
今日の訓練中だって、真堂くんの近くを通る時は変にドキドキしちゃったし……。
真堂くんも表情までは分かるわけじゃないらしいから、気づかれてはないと思うけど。……というか、そうじゃないと恥ずかしすぎるよ。
もし、バレてたら?
そんな妄想をして、下腹部が疼いた。
「ケロ、なんか、変な匂い?」
──つゆちゃんの言葉に心臓が跳ねる。私である確証はないけど、あまりにもタイミングが良すぎるでしょ……!
「私はあまり感じませんわね……」
「男子の臭い入ってきてんじゃない?」
「そう考えるとなんかいややね……。はよふさぎたいなぁ」
「ケロ。勘違いかしら……」
どうやらつゆちゃんの勘違いということになってくれそうでホッとしてしまう。私はとろっ、と溢れた愛液を無視して、そのままショーツを履いた。
真堂:できた時はもうその時考えよう。現実逃避。
緑谷:原作より成長が早い。競い合うの楽しすぎるだろ……!
耳郎:実際そこまで妊娠するつもりはない。危ない時はピルを飲む予定。色んな女とヤッた話は聞きたいけど、完全に自分の傍から離れてヤリまくるのは嫌。だから離れられないように責任感じさせようね……。
葉隠:なんか人に見られるの気持ちいいかも。
ちょっと色々忘れてきたのでここにまとめます
【ヒーローコスチューム】
名称:『震導インナー』
概要:全身を覆う黒色のインナー。様々な耐性能を持つ。筋肉と関節を適度に圧迫・固定し、高出力の振動を使用した際に生じる肉体への負担を軽減する。最初は着物だったけどちょっと動きずらくてインナーにしてもらった。
名称:『白羽織』
概要:白い羽織。軽量かつ高耐久。ヒーローならマント欲しいよな……、でつけてもらった。
名称:『戦闘袴』
概要:一見すると普通の黒い袴だが、脚部の可動域を大きく取っている。瞬歩や震歩の邪魔にならないようになっている。
名称:『耐震足袋』
概要:ブーツと足袋を合わせたような靴。足裏から振動を流しやすく、高出力瞬歩の踏み込みにも耐える。
【技】
名称:『サーチ』
概要:周囲へ微弱な振動を放ち、反射で人や地形、障害物を把握する。
名称:『共振』
概要:触れた対象の固有振動に合わせた振動を流して内側から破壊する技。
名称:『相殺』
概要:外部からの衝撃や振動に対し、逆位相の振動をぶつけて威力を弱める技。 媒体となるものがあった方がやりやすい。
名称:『振拳』
概要:振動させた拳でぶん殴る技。接触の瞬間に相手の内部に振動を流して威力を倍増させている。
名称:『瞬歩』
概要:地面を振動させ、その反発力で加速し高速移動する技。
名称:『震膜』
概要:前方の空気を振動させて振動の膜(振動面)を作る技。
名称:『震歩』
概要:空気中に振動面を形成し、それを足場に瞬歩を行うことで空中を蹴って移動する技。
名称:『界震』
概要:具象化した振動エネルギーを圧縮し、空気の面に叩きつけることで爆発的な威力を生み出す技。グラグラパンチ。
【サポートアイテム】
名称:『振天』
概要:刃の無い軽い刀。振動させた時だけ斬れるようになる。通常の物体は超音波カッターの要領で切断する。大体斬れる。
名称:『振動球』
概要:発目が開発した、振動エネルギーを保持できる小さな球。改良が加えられ、今では親指ほどのサイズになった。遠距離でのサーチや攻撃に使う予定。
発目はそれ以外の用途での使い方を見つけたとか見つけてないとか……。