※この作品はR-18です。

俺の個性は『振動』。全身バイブ人間だ   作:dogman

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第4話 戦闘訓練

 

 

「葉隠、戦闘服(コスチューム)とか個性の情報交換をしたいんだが……」

 

 核の前にやってきた俺たち。俺の言葉に、葉隠はえへへと笑って口を開いた。

 

「見たまんま個性は『透明』で、戦闘服は静音性の高いブーツと、この手袋!」

「やっぱ、極薄ヒーロースーツを着てる……とかは?」

「透明人間が服着てたらバレバレじゃん」

 

 何を当たり前をと言った様子でそう言った葉隠。俺は今、ヒーロースーツの機能を全開にするため、常に弱い出力で個性を発動している。

 それがソナーの役割になって、目に見えなくても葉隠の裸体がよく分かる。形のいい乳房に、肉付きのいい下半身。

 くっきりとは分からないが、それでも分かる所は分かる。

 

「真堂くんの個性はたしか『振動』だったよね? ヒーロースーツはなんか、お侍さんみたい。刀もあるし」

 

 葉隠は小首を傾げながら、俺を観察するために前傾姿勢になる。なかなか大きなおっぱいを持っているな。

 クソ、俺の個性が『視力向上』とか『千里眼』とかだったら、全裸の葉隠を直視することができたというのに……!

 

「真堂くん?」

「あ、あぁ。悪い。俺の個性『振動』は、自分や触れたモノを振動させる個性だ。戦闘能力には自信がある」

「ほうほう。私はその辺あんましなんだよね」

「役割分担ってやつだな。俺がメインで戦って、葉隠は錯乱に徹してくれ」

「らじゃ! ……というか、ずっと気になってたんだけど、その刀って本物?」

 

 俺の腰に差された刀を指さしてそう言った。口で説明するより見せた方が早い。鞘に手をかけ、刀を抜いた。やや細身で、直刀よりの日本刀が現れる。

 

「あれ、刃の部分無いね」

「よく気づいたな。これは俺が個性を使った時に初めて切れるようになる刀だ。銘は“振天”という」

「え〜、そんなのできるんだ。……ちょっと持ってみていい?」

「いいぞ」

「ありがと。お? あんまし重くない?」

 

 柄を両手で持った葉隠は、「私でも振れる!」と言いながら振天を振りまわす。重さは1kgないくらい。

 軽くて振動を伝えやすく作ってくれ〜って要望を出したが、どうやらそれは叶えてくれたらしい。

 

「ちょっと試し斬りしていいか?」

「私で!?」

「なわけねえだろ……」

 

 葉隠から受け取った振天に“振動”を通して、視界の端にあった柱に一閃を放ち、流れのままに納刀。

 ──次の瞬間、柱が崩れ落ちた。

 

「す、すご! マジで達人じゃん!」

「でっか……」

 

 俺に詰め寄りブンブンと手を上下させる葉隠。その度におっぱいが揺れる。ええい、集中できん!

 戦闘服の羽織を脱いで、葉隠に渡す。

 

「きゅ、急にどうしたの?」

「これ着てくれ。こうも胸をゆらされたら、集中できるもんもできなくなるぜ」

「む、胸!?」

 

 葉隠は両手でバッと胸を抑えた。大きすぎて、乳の肉がはみ出てる。

 

「……個性の影響で、人間の輪郭っていうか、大体分かるんだよ」

「そそそそうなんだ。ご、ごめんね。なんか、痴女みたい、私」

「俺の方こそ悪かった。もっと早く伝えとけば良かった。なんか、一枚くらい着てるもんだと思ってたんだが……」

 

 微妙な空気が流れる。いそいそと羽織を羽織るを横目に、これじゃあ透明人間の意味が無いなとため息をつく。

 

「……ね、ねえ。今のどうやったの?」

 

 羽織り終えた葉隠は、空気を変えようとそう言った。

 

「超音波カッターって知ってるか? それと同じ原理だ」

「なんか、難そう?」

「そんなに難しくないさ。超高周波振動で──は?」

 

 冷気を感じた次の瞬間。俺たちは氷漬けになっていた。

 

 

 

―――◆―――

 

 

 

「四階、中央の部屋に二人。どうやら、核の前で待ち構えてるようだな」

「外出てろ。危ねぇから。向こうは防衛戦のつもりだろうが……俺には関係ない」

 

 コンビである異形型の男──障子目蔵からの言葉を気にせず、個性『半冷半燃』を持つ轟焦凍は、ビルに右手を当て、ビル全体を()()()()

 唖然とした様子の障子を置いて、轟はビルの中に侵入する。

 

 障子の言葉が正しければ、二人は固まっている。だが、万が一があるかもしれない。轟は警戒しながら、階段を上って行く。

 

「……お前、なんで凍ってないんだ」

「避けたって言ったら、どうする?」

 

 四階に到達した轟の前に居たのは、核兵器の前に立つ一人の男。黒髪黒目で、侍のような着流しと、腰に差した刀が特徴的な男だ。名前は覚えていないが、クラスメイトに居たのは覚えている。

 

「……」

 

 運良く避けられたとしても、また凍らせたらいい。轟は右足を起点に個性を発動させ──男の拳が轟の腹を貫く。

 

「ぐっ……」

「痛えだろ」

 

 殴られた衝撃で壁にぶつかる。ただの打撃が効くような鍛え方はしてないし、させられていない。だが、轟はすぐには立ち上がれない程のダメージを負っていた。

 

「……()()パンチってとこか?」

「んだそのネーミングセンス……」

 

 男の反応的に、どうやら間違いじゃないらしい。轟は「器用だな」と呟き、個性を発動。自身を防御する氷と、男を攻撃する氷を発生させる。

 

「そればっかりじゃねえか」

 

 いつの間にか抜刀していた男は、流れるような刀捌きで氷を撃ち落とした。轟は接触した氷を起点に刀を凍らせようとしたが、上手くいかなかった。氷の追撃も全て落とされ、轟は一度個性を止める。

 体に霜ができ、それを左で溶かそうとして──辞めた。

 

「お前、なんかやる気無いな」

「あ?」

「お前の個性、火と氷だろ。個性把握テストの時、氷消すのに使ってた。なんで今使わない?」

「使わなくても勝てるからだ……!」

「おいおい、押されてそれ言ってんの超ダサいぞ」

 

 轟の脳内に、エンデヴァーが現れる。「左を使え」と囁く男が、エンデヴァーに重なって見えた。

 霜の出た体で、自身への負担を気にせず右の個性を、母親の個性を発動する。

 

「俺は……左を使わずに証明するんだよ……!」

 

 核もろとも放たれた氷結は、轟から前方の空間を全て凍らせた。手こずったが、これで行動不能だ。轟は脱力し、呼吸を整える。冷たい空気が肺に入った。

 そして、何やら建物が()()()()()ことに気づく。

 

「まさか──」

 

 瞬間、氷が()()()

 

「──俺の個性は、俺に触れているモノを振動させる。当然、お前の氷も振動の対象だ」

「クソ、インチキが」

「お前のだってインチキだろ。火と氷をいっぺんにはさすがに厳しいぜ? なんでそんな使いたがらねえんだよ。お前だって、()()()()()()()()()()ここに来たんだろ?」

 

 瞬間、轟の脳内には過去の記憶がフラッシュバックした。

 在りし日の母の記憶、「いいのよ、お前は──」その言葉の続きを、いつしか忘れてしまっていた。

 

「……うるせぇな。お前。俺は、親父を──」

「親父親父って、どんな家庭環境かは知らねぇが、()()()()()()()()()()()()()。血に縛られすぎんなよ」

「──!」

 

 ──いいのよお前は。血に囚われることなんかない。なりたい自分に、なっていいんだよ。

 

 いつの間にか忘れていた記憶の続き。それを思い出した轟は、吹っ切れた表情で個性を発動させる。左半身から炎が上がり、体の霜が、どんどんと溶けていく。

 

「……ヒーロー向いてるよ。お前」

「ありがとう? それじゃあ、第2ラウンドと行こうぜ──」

『ストップだ轟少年──』

 

 轟は左手を前に向け、個性を──炎を全力で放出した。冷やされ続けた空気が瞬間的に熱され膨張し、爆発的な威力を伴った衝撃が男を襲う。

 

 瞬間、空気が悲鳴を上げた。

 

 煙が晴れた時。そこに立っていたのは、残心の姿勢を取る男と、無傷の核兵器。

 

「やりすぎだろ……」

 

 男を境に衝撃の痕跡は左右へと引き裂かれ、建物の全てが吹き飛んでいた。開放的になったその空間で、轟は満足気な笑みを浮かべた。

 

『制限時間終了! 敵チームWIN! モニタールームに戻ってきなさい!』

 

 オールマイトのアナウンスが流れ、体の節々に生傷が出来た男はその場に座り込んだ。そういえばと、轟が疑問を口にする。

 

「お前、名前なんて言うんだ?」

「……司だ。真堂司」

「そうか。俺は轟焦凍だ。これからよろしく頼む」

 

 

 

―――◇―――

 

 

 

「司! 怪我ない!?」

「お前らやべぇなマジで!」

「だが、さすがにやり過ぎだな。特に轟くん」

 

 途中で葉隠と障子と遭遇してた俺たちはだべりながらモニタールームに戻ってきた。

 上から、心配してくれる響香、興奮した様子の切島、轟を咎める飯田である。飯田に同感である。体の節々が痛え!

 

「……悪い。ちょっと興奮しちまって」

「HAHAHA! 本気を出すのはいいことだが、アレは下手したら死人が出る。それに、訓練の設定とも合致していない行動だ。反省しなさい!」

 

 メッ、と言った表情でそう言ったオールマイト。轟はバツが悪そうに視線を逸らした。

 

「全く……それじゃあ、本格的な講評を始めよう。今回のMVPは……葉隠少女だな」

「私!?」

「真堂じゃねえんだ」

「理由わかる人!」

 

 オールマイトが言うと、再び八百万が手を上げた──いや、上げない。おっぱいをチラチラと見ていたのだが、上げる様子がないぞ。おいおい。おっぱいを見る口実が無くなっちまったよ……。

 

「……おや、誰もいないのかい」

「やっぱ真堂じゃねーの? アレ斬ってたし」

「現代の侍……」

 

 上鳴と、顔が鳥のような男──常闇踏陰がそう言うと、オールマイトは「確かに、真堂少年は素晴らしかった。しかし……」と言葉を続ける。

 

「アレ、一か八かでやったろ?」

 

 オールマイトはズイっと体を前に出し、俺を見つめながらそう言った。

 図星である。轟の最後のヤツは、完全に想定外だった。それとなく炎を使わせようとしただけなのに、なんか奥の手みてぇなやつ使いやがって。

 

 感知した空気の揺れ、その逆位相の振動を振天に乗せて、衝撃波を左右に逸らす事でなんとかなったが、ちょっとでも位相がズレていたら今頃保健室だ。位相を見れるゴーグルとか欲しい。

 ずっと生身で行くといつか死ぬわ。多分。

 

「……まぁ、無事だったからセーフってことで……」

 

「NO! それじゃあ済ませないよ。流石に危険すぎる。教師としては、核を放棄して避けて欲しかった! 君ならソレが出来たからね! 葉隠少女がMVPな理由は、単純に一番働いていたからだ。真堂くんの個性で氷から出た後、音を立てないように2階に行き潜伏。作戦通り轟少年を無視し、後を追って来た障子少年のインカムを奪い、連携をさせないようにした。それから制限時間まで上手く時間を稼いだ。彼女が違う動きをしていたら、結果は大きく変わっただろう!」

「へへ、ちょっと照れるな」

 

 葉隠は本当によくやってくれた。明らかパワーファイターの障子相手によく時間を稼いだぜ。俺が思ってるより身体能力高いのかもしれん。  

 それに、今は羽織を羽織っていないから痴女モードである。俺に見られている……感知されていることを意識してか、葉隠は少し恥ずかしそうだ。

 

「何も、他の三人が悪かった訳じゃない。障子少年は優れた感知能力を見せたし、轟少年の即時範囲攻撃も非常に強力。だが、本当にアレはいただけない。制御できるようになるまで、二度としないと約束してくれ。真堂少年は……もう少し自分の命を大事に行動しなさい。これは、訓練なんだ。ここで命を賭けることはないだろう?」

「はい」

「ウス」

「……分かってくれたらいい! さ、次の訓練に行こう!」

 

 話を切り上げたオールマイトは、次の組み合わせを発表した。

 

「ま、その前にビル変えないとね!」

「屋根ぶっ飛んだからな」

「……悪い」

 

 

 

―――◆―――

 

 

 

「ね、羽織借りたままでいいの?」

「借りてくれないと俺が困る」

「真堂、本当に怪我ねぇのか?」

 

 隣のビルに移動してきた俺たちは、モニタールームで訓練の様子を見ていた。

 左には葉隠が座り、右には轟が座っている。響香は現在戦闘中。上鳴とコンビで、対戦相手は力動・尾白ペア。

 

「あぁ。こんくらいならリカバリーガールにちょろっと治して貰える」

「なら良かった。俺もまさかあんな感じになるとは思ってなくてな……」

「そんな気にすんなよ。実際無事なんだから」

「……ああ」

 

 お、響香と力動が接敵したぞ。俺と一緒に鍛えてきたが、さすがに力動相手は厳しいだろう……そんなこと無さそうだな。力動は防戦一方だ。個性で強化した拳でワンパンだと思っていたのだが……。

 

「なんか、力動の動きぎこちないな」

「そうかな? 耳郎ちゃんが普通に押してるように見えるけど」

「いや、ぎこちないな。個性で身体能力を強化しているが、それを攻撃に使う気がない。……というより、殴る気が無いな」

「紳士的だね☆」

 

 そんなことを話しているウチに、力動は虚ろな目をしてその場に立ち止まった。響香は訝しい目をしながら力動に確保証明の白いテープを巻く。

 

「……もったいね〜」

「多分。出力を抑えられねぇんじゃねぇか。小さい緑谷みたいなもんだろ」

「あ〜、殴ったら殺しちまうのか」

「そ、そんな怖いこと言わんといて……」

 

 おっぱいがデカイ茶髪ボブの麗日お茶子が顔を青くしながらそう言った。しかし、そうだろう。アイツの個性は多分、一定時間パワーを強化するとかそういうのだ。コンクリをぶっ壊したパンチを見るに、その強化率はかなり高い。人を殴ったら、そのまま命を奪ってしまうほどに。

 

「HAHAHA! 砂藤少年には、良い感じの手加減の仕方を教えてあげるとしよう! そのために私が居るのだからね!」

 

 たしかに。オールマイトはその超パワーで敵をぶん殴っても殺すようなことはない。オールマイトの手加減を覚えたら、力動は最強になるんじゃないか。

 

 

 

―――◇―――

 

 

 

「ねね! 真堂くんの個性ってどんなのなの?」

 

 放課後。濃い一日が終わり、俺たちは教室で戦闘訓練の反省会……もとい自己紹介やら雑談やらをしていた。

 ある程度それが終わり、緑谷待ちの空気になった時、芦戸三奈がそう言った。

 

「あー、俺も気になるわ。轟のアレ切ったヤツ、あれが個性か?」

「瞬歩みたいなんもあるよね? あれなに」

 

 上鳴と麗日が続く。クラスの視線が俺に集まった。別に隠すことじゃない。俺は個性の説明をして、逆位相がどうとか、地面を振動させた反動でどうのこうのの説明をした。

 

「なるほど。非常に強力な個性ですわね」

「意味わかんねえ」

「む、難しい」

「……なんも分からんかった」

 

 理解できたのは制服越しでもその巨乳が分かる八百万だけだったらしい。俺も、制御するためにガキの頃は苦労したもんだぜ。

 

「んで、使いすぎたら三半規管が狂ってゲロ吐く。ま、今は結構耐えれるようになったが」

「真堂くんもゲロ吐くん!?」

「なんだ、麗日もか?」

「恥ずかしながら……。三半規管って鍛えるのムズいよね」

「いい訓練知ってるぞ。今度教えようか?」

「ほんとに!? えー、お願いします!」

 

 そんなことを話していると、教室の扉が開かれた。視線が集まる。そこには、緑谷が居た。授業の後俺が治癒して貰った時はまだ寝ていたが、ある程度治ったようで良かった。

 

 みんなに話しかけられた緑谷は、爆豪が帰ったことを聞いて、急いで走っていった。……男の因縁って奴だな。知らんけど。

 

 

 




轟くんはこの後お母さんの所に行ったとか行かなかったとか
初期轟くんはピリついててちょっと苦手でした。なので早めにね


五倍の身体能力で生身の人間殴ったら死ぬよな……そういえば砂藤力道が人殴ってるとこAFO以外で見た事ないな……もしや……!? 的な発想で今作の砂藤力道は強いです
誇れ。オマエは強い
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