※この作品はR-18です。

背徳の教室、堕ちた聖女の放課後   作:@レーガン

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第8話:届かない声(過保護な壁)

 ――昨夜の記憶。それは水神小夜にとって、極上の悪夢であり、甘美な蜜の味だった。

 瓦礫の山と化した夜の繁華街。

 マジアアズール・オルタの振るう黒い魔剣によって、マジアマゼンタとマジアサルファは地に伏していた。

「くっ……つよ、い……」

「アズールの偽物が……こんな力なんて……!」

 二人が悔しげに呻く。

 アズールは冷徹な瞳でそれを見下ろし、止めを刺そうと剣を振り上げた――その時だった。

「待ちなさい、駄犬」

 背後から、鎖を強く引かれた。

 首輪が食い込む衝撃に、アズールは「あぅっ!」と声を上げて仰け反った。

 振り返れば、鎖の端を握ったマジアベーゼが、嗜虐的な笑みを浮かべて立っていた。

「ベ、ベーゼ様……?」

「勝手に終わらせないでちょうだい。……せっかく観客がいるんだから、もっと面白いショーを見せてあげないと」

 ベーゼは倒れているマゼンタたちを一瞥し、そしてアズールの豊満な胸元に視線を戻した。

「跪きなさい、アズール」

 絶対命令。

 アズールは反射的にその場に四つん這いになった。

 かつての仲間の目の前で。

「いい子ね」

 ベーゼはアズールの背中に、泥のついたブーツを乱暴に乗せた。

 グリグリとヒールを食い込ませる。

「あぐっ……! は、はい……嬉しいです、ベーゼ様……ッ!」

 アズールは痛みに顔を歪めながらも、頬を紅潮させて喘いだ。

 その光景に、マゼンタとサルファが悲鳴を上げる。

「やめろ! 抵抗できない相手に何をするんだ!」

「その人を放して! 偽物でも、女の子をそんな風に踏みつけるなんて!」

 二人の必死の叫び。

 だが、ベーゼはそれを鼻で笑い、更に残酷な命令を下した。

「私の靴が汚れちゃったわ。……綺麗にしなさい、舌で」

 アズールはゾクリと身を震わせた。

 親友たちが見ている前で、悪の幹部の靴を舐める。

 それは決定的な尊厳の破壊であり、同時に最高の「ご褒美」だった。

「……はい、ご主人様(マイスター)……♡」

 アズールは這いつくばり、ベーゼのブーツに舌を伸ばした。

 レロ、ジュル……。

 卑猥な水音が響く。

 泥と埃に塗れた革を、アズールは愛おしそうに、夢中で舐め回した。

「なっ……!?」

「うそ……やめて……見たくない……!」

 マゼンタたちが絶句し、顔を背ける。

 気高いアズール(の姿をした少女)が、自ら進んで悪に屈服し、喜んで靴を舐めている。

 その冒涜的な光景は、彼女たちの正義感を粉々に粉砕した。

「ふふ、上手よアズール。……じゃあ次はこっち」

 ベーゼはアズールの顎を蹴り上げ、今度は胸元のボンテージを指で弾いた。

 パチンッ!

 鋭い痛みが走り、アズールの豊かな胸が揺れる。

「皆に見せつけてあげなさい。貴女のそのだらしない乳房が、誰のものなのか」

「はいっ……! 見てください、マゼンタ、サルファ……!」

 アズールは自らの手で胸を鷲掴みにし、谷間を見せつけるように突き出した。

「私はベーゼ様の雌犬です……っ! 靴を舐めて、踏まれて、弄ばれるのが……一番の幸せなんです……っ!」

 恍惚の表情で叫ぶアズール。

 ベーゼはその胸を揉みしだき、乳首をつねり上げ、アズールを悲鳴と嬌声で鳴かせた。

「あはは! 最高よ! 見て、この無様な姿! これが貴女たちの敵よ!」

 高笑いと共に、ベーゼはアズールを引きずるようにして闇へと消えていった。

 残されたのは、絶望と混乱に叩き落とされた二人の魔法少女だけだった。

 ◇

 ――そして、翌日。

 学校の屋上。

 小夜は、お弁当の卵焼きを咀嚼しながら、昨夜の興奮を反芻していた。

 あの時、マゼンタたちの前で辱められた快感。

 恐怖と嫌悪で見開かれた二人の瞳。

 思い出してだけで、制服の下のローターが熱く感じる。

「それにしても、許せないな……昨日のあの偽物」

 ふと、薫子が箸を止め、憎々しげに呟いた。

 小夜は我に返り、きょとんとした顔を作った。

「え……? 偽物?」

 今の小夜の「設定」は、「変身能力を失って逃げ帰ってきた被害者」。

 つまり、自分の後に現れた「堕ちたアズール」のことは知らないという体(てい)だ。

「そうなんだよ! 小夜ちゃんが逃げた後にね、エノルミータが現れて……」

 はるかが身を乗り出して、憤慨しながら説明を始めた。

「小夜ちゃんそっくりの、変な魔法少女が出てきたの! 多分、エノルミータが小夜ちゃんのデータを悪用して作ったコピーだと思うんだけど……」

「とんでもなく悪趣味な偽物だったぞ」

 薫子が言葉を引き継ぐ。その表情には嫌悪感が滲んでいる。

「顔こそ小夜に似せていたが……格好も、振る舞いも酷かった。あんな……あんな露出狂みたいなボンテージ姿で、あろうことか敵の靴を舐めて喜んでいたんだぞ……!」

 薫子の声が震える。思い出すのもおぞましいという風に。

「私たちが見ている前で、胸を晒して……『雌犬です』なんて叫んで……。あんな下品な奴、小夜ちゃんへの最大の冒涜だよ!」

「……えぇっ? そ、そんな……」

 小夜は口元を手で覆い、ショックを受けた演技をした。

 だが、その指の隙間から漏れ出る吐息は、熱を帯びていた。

(ふふ……あはは! 言ってる、言ってる……♡)

 目の前にいるのに。

 昨夜、貴女たちの目の前で靴を舐め、踏まれてイッていた本人が、ここにいるのに。

 親友たちが必死に「偽物の卑猥さ」を説明すればするほど、小夜の股間は疼き、制服の下のローターが愛おしく感じられる。

「しかも、武器も氷の杖じゃなくて、禍々しい黒い剣を使ってきて……」

「乱暴で、野蛮で……あんなの、私たちの知ってる気高いアズールじゃないもん!」

 二人は口々に、昨夜のアズール・オルタ――つまり目の前の小夜本人――を罵倒し、同時に擁護した。

「小夜ちゃんはもっと清楚で、優しくて……あんな雌犬みたいな顔しないもんね!」

(雌犬……♡)

 その単語が、小夜の理性を甘く溶かす。

 そうです、私は雌犬です。ご主人様の性処理係です。

 貴女たちが崇めている「聖女」なんて、もうどこにもいないのよ。

「……怖かったよね、小夜ちゃん。そんなのが街を暴れまわってるなんて」

「う、うん……。知らなかった……そんなことになってたなんて……」

 小夜は震える演技をしながら、チラリと屋上の入り口を見た。

 そこには誰もいない。

 本当なら今頃、うてなと一緒に誰もいない教室でお弁当を食べて、デザート代わりに指を舐めたり、足で踏まれたりしているはずだった。

(うてなちゃん……会いたい。ご主人様のエキスが足りない……)

 親友たちの「正義」と「友情」が、今の小夜にはただのノイズでしかない。

 彼女が求めているのは、温かい励ましではなく、冷たい命令と熱い支配なのだから。

「私たちが絶対にあいつを倒すから! 小夜ちゃんの名誉のためにも!」

 燃えるような瞳で誓う二人を見て、小夜は暗い瞳で冷ややかに微笑んだ。

「ありがとう……。頼りにしてるね、二人とも」

(精々頑張って。……貴女たちが必死になればなるほど、私はご主人様に褒めてもらえるんだから)

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