ほかほかの湯気が立ちのぼり、香ばしい匂いが鼻をひくつかせる。
炊きたての白米、豆腐のみそ汁、山菜のおひたし。そして納豆。
質素だが、主の健康をおもんばかる料理人のまごころが伝わってくる献立だ。
誰も奪りはしないというのに、玲奈が口いっぱいに頬張りながら、ご飯をかきこむ。
大慌てで食べたせいだろう。右のほっぺたに、ご飯つぶのかたまりがくっついていた。
「......玲奈様」
箸を休めた羽夜がかぶりをふる。玲奈は舌鼓を打つように目を細め、ご満悦だ。
俊介は笑みをこぼす。
幼いころに両親をうしない、ひとりっ子として育った。もしも妹がいれば、玲奈のようにわんぱくだったかもしれない。
「玲奈、ほっぺたにご飯がついてるよ」
世話を焼きたがる、おせっかいな兄のように、俊介がそっと手を伸ばす。
指の先端が、玲奈の頬に届くかどうかといったところで、鉛のような重みが身体にのしかかってきた。
触手たちが腕や足に絡みつき、彼の動きを封じたのだ。
羽夜やこがねたちは、露ほども反応を示さない。珍しい話ではないのだ。
夜の遅いときには、甘えるように触手でしがみつき、俊介の膝の上で眠ることもある。
「わーかー、ひとのこと言えないよ」
玲奈が身を乗り出す。小鳥のヒナのように、首をぐいっと伸ばすと、小さく口をあけた。
「ほら、目を閉じてーー」
次の瞬間、ぬめりとした生温かな感触が頬をおそった。少女の細長い舌先が、舐めあげたのだ。俊介が身体をびくつかせる。
「れ、れいな?」
玲奈は白い米粒を口のなかで撹拌すると、喉をごくりと鳴らし、呑み込んだ。
「わかはうっかり屋さんだね」
瞳を輝かせながら、声を立てず無邪気に笑う。
俊介を抑えつけていた触手たちが、一本ずつ離れてゆく。
それほど力を込めた素ぶりは見せていなかったが、モンスター娘という種族の成せるわざなのだろう。触手が吸着していた皮膚の表面は、ほんのりと紅く染まり、吸盤の跡が生々しく残っていた。
「おふたりとも仲がよろしくて何よりです。しかし、食事の席だということをお忘れなく」
羽夜がじろりと睨みつける。
「ごめんってばっーー」
俊介がむせた。太ももを撫でまわす、ぬめり気を帯びた異様な感触に驚いたのだ。
羽夜は怪訝そうに眉をひそめたが、気管に唾が入りでもしたと思ったのか、何も言わず、食事を続けた。
ぴちゃぴちゃっと音を立て、触手の吸盤が足の肌に張りつき、離れては、ふたたびまとわりつく。
俊介の身体に隠れて、何が起こっているのか、ほかのふたりは気づきもしないだろう。
「……れいな」
片手で触手を掴み、いたずらを止めようとする。しかし、脈打つ触手の表面は、脱皮したばかりの蛇の鱗のように滑らかで、力をいなしてしまう。
やがて触手はするすると浴衣のすそから潜りこむと、下腹部をめがけて、奥へ奥へと忍び込んでいった。
「や、やめっーー」
俊介が唇を噛みしめる。声が届いたのかどうかわからない。玲奈の瞳に妖しげな光がよぎった。
「ふふふ、わーか」
玲奈が腰を浮かし、甘えるように寄り添ってくる。白いうなじから、南国の果実の匂いがした。
「……かわいい」
耳粘膜を犯すような、淫らな声の音色に、俊介の上半身がびくりとはねあがる。
下腹部では、ススキの穂をかきわけるように触手が蠢き、陰毛を撫でつけていた。
べとべとの粘液を垂らすと、縮れ毛に染みこませようというのか、根本を抑えつけてグリグリと捏ね回す。
まだ触れられてすらいないというのに、若茎は鎌首をもたげ、欲情の色をあらわにしていた。
尿道口がパクパクっと開閉を繰り返す。その先端部から透明な雫が次々にこぼれてゆく。
肉竿をつたって流れると、やがて触手の粘液と混じり合い、ぐちゅくちゅと撹拌された。
震えながら、玲奈の腕にしがみつき、俊介はしきりに首を振る。
玲奈がうなづいた。
触手のマッサージが止まった。