野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
第101話 熊
攫われていた女たち数人のうち、1人が殺されていた。
抵抗したんだろうか?
……グレーターヒューマン相手なら起きて無かったとは思う。
相手が野蛮人だったから、大人しく従うことに抵抗があったのか。
首を掻き切られていたんだ。
と……最初はそう思っていたんだけど
助け出した女たちがこう訴えたんだ。
涙ながらに怒りの形相で
「あいつら、アカメちゃんをいきなり私たちの前で殺したんです!」
脅しのつもりで先走って殺したのが真相だった。
その事実を知ったケノは厳しい表情で
「……連中の集落の、同じ年齢の女を1人殺しましょう。連中が見ている前で!」
酷いかもしれないが、こういう集団には目には目を、歯に歯をを貫かないのは悪手だと俺も思う。
首を掻き切られたので、同じように連中の前で女の首を刎ねた。
連中は恐れ戦いていた。
すると
「ケノ様!」
「もっと苦しめて、数倍殺してやるべきでは?」
「ゴミ同然の野蛮人の癖に、アカメを殺したんですよ!?」
……この処分に納得できなかったのか。
レッサーヒューマンの男たちが、ケノに詰め寄ったけど
ケノは
「……我々が、天上島でグレーターヒューマンたちに受けた仕打ちを忘れましたか?」
そう、冷静に返したんだ。
この一言で黙った。
そして少しだけ、嬉しかった。
俺の仲間は、立場が強くなったからと、自分たちを虐げた存在と同じ振る舞いをする人間では無かったんだ、と。
結局……
この件は、連中の襲撃の最初の被害に関する報復は、連中の居住地への容赦ない攻撃で。
拉致された挙句、脅しの名目で命を奪われた女に関する報復は、連中の女を1人、同様の方法で命を奪うことで完遂したということにした。
……言葉が通じないから、起きた出来事で自発的に理解してもらうしか無いが。
そして。
数年経過した。
それまでの間、何度か先住民からの家畜や作物の持ち去りがあったけど。
そのたびに報復を行った。
……言葉が通じないから。
俺の前世の世界なら、酷いと言われるだろうが。
言葉が通じないから痛みで教えるしかない。
何度も言うが……
え?
相手の言葉を学ぶか、こっちの言葉を教えればいい?
……どうやって?
あと、何でこっちが犠牲を払って歩み寄らなければならない?
こっちはこっちの仲間の幸せを守らなきゃならないんだ。
相手に遠慮して、こちらの仲間が苦しんだり、死に追いやられるようなことを見逃すわけにはいかない。
……その思いがあるからな。
……だんだん。
俺たち、布の服を着ているレッサーヒューマンたちと比較して。
彼ら先住民は獣の毛皮の服を着ているから
いつしか彼らは「熊」と呼ばれるようになった。
言葉が通じないし、何をやって来るか分からない連中、という意味が込められている。
そして
「母上! ルーシーも神技に目覚めました!」
7才になったアサの娘ルーシーが
革命的な神技に目覚めたんだ。
「ルーシーの神技は『博打うち』です!」