野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
イズミはそれから、本当に誠心誠意フセに仕えるようになったし、俺に対しても礼を示すようになった。
俺は複雑なものがあったよ。
俺はイズミの兄のヨースケは好きだったし。
最初は家族になるつもりだった。
イズミはそんなヨースケのことを思って、気持ちを暴走させてしまった。
そのことについては……
なんか、嬉しかったんだよな。
俺が好きだった男が、きっちり妹に想われてて。
命を賭けて、俺を攻撃したんだ。
だからまぁ俺はイズミが嫌いじゃ無い。
むしろ大切な世話係だと思っている。
……フセはあの日以来、イズミにちゃん付けするのを止めてしまったがね。
フセはフセで、伴侶に対する愛が深い女だから、自分の伴侶や家族を攻撃した存在を決して許さないんだろう。
俺たちの第一子・シノは黒髪の女子で。
顔はフセに似た高貴さを感じる美貌。
ただ、犬耳と犬尻尾がついている。
3週間で授乳期間が終わり、1カ月でハイハイを止めて立ち上がった。
そして発語。
最初の言葉は「かか」だった。
……まあ、母親を意味する言葉の母音が「あ」なのは、赤ん坊が最初に口にする言葉だから、って説を前世で見た覚えがあるんだけど。
多分、正しいんだろうね。
で、さらに1か月経つと「かか」が「お母さん」になり、俺に対しては「お父様」と言うようになった。
ただ、フセは「ママ」とは言わせなかった。
理由はどうも……グレーターヒューマンの家庭でよく言わせているらしいんだ。そのせいらしい。
奴らと同じ呼称は使いたくない……そういう思いなのかね。
……俺の中では、前の飼い主の家で飼われた記憶があり。
あのときは、グレーターヒューマンがレッサーヒューマンたちを虐げる、残虐な支配種族だとは想像もしていなかったよ。
前の飼い主……ええと、なんて名前だったかな……?
今が重要なのか、昔のそういう記憶はどんどん曖昧になっていく……
最終的に俺を捨てた人間だけど。
俺を殺処分にしなかったし。去勢もしなかった。
だからまあ、こういう言い方は良くないかもしれないけど……
俺は別に、グレーターヒューマン全体を憎んではいないんだ。
フセが困るから、伝えてはいないんだけどね。
そして6カ月が経ったとき。
そのときが来たんだ。
「お母さん! お父様!」
レッサーヒューマンの女の子衣装の、ワンピースを着せられた我が娘・シノ。
犬耳犬尻尾を持つ、7才くらいの可愛い上品な娘になっていたのだけど。
その俺たちの娘が天幕の中に駆け込んできて、言ったんだ。
「私、
握りこぶしを作って、興奮気味に。
……とうとう来たか!