野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
そしていつぞやのように、4人の長老たちが待つ木造の建物を訪問し。
俺たち3人と1匹は、向かい合う位置に腰を下ろした。
長老たちは
「よくぞ来てくれた」
「この日をどれだけ待ったか」
……喜びの声。
長老たちの声は震えていた。
これからの会議で、グレーターヒューマンたちとどう戦っていくかを話し合うんだ。
妄想の中では無く、現実の問題として。
彼らの気持ちは、この6年共に生活することで多分理解できたと思う。
レッサーヒューマンに用事が出来たときに、一方的に突如訪れてくるグレーターヒューマンたち。
グレーターヒューマンたちがやりたがらず、人手が少ない辛い仕事……劣悪環境での荷物運びや、農作業だとか高所の単純作業。
そういう仕事をさせるため、まるで狩りのようにトラックでやって来て。
男に、荷台へ乗ることを強制してくる。
逆らえば死人が出るから、皆、諦めて自発的に乗り込む。
そしてそのまま、ほとんどの場合、帰って来ることは無い。
たまに脱走したり、殺されずに捨てられて運よく帰って来れた人も存在するけど(長老たちはその類だ)
そんなのホンの一握りだ。
男の子は射精できるようになったら、強制的に妊娠可能な女性とセックスさせられ、覚悟も何も無く父親になることを強制される。
恋も何もない。
そして女性がなかなか妊娠しない場合は、パートナーを変えることも強制。
そこに当事者同士の意志は関係無いし、誰も逆らわない。
女子の場合は妊娠出来るのにしないのは殺される原因になるし。
男子は男子で、早く子孫を残さないと血が絶える。
労働に適した状態になったら、いつ収穫されるか分からないからな。
だからしょうがないんだ。
まるっきし、人の扱いじゃない。
ひょっとしたら、奴隷より酷いんじゃ無いだろうか?
……そして。
今、言ったのはまだ真っ当な事例の話だ。
少なくとも労働力の育成と収穫の話だからな。
……たまに来るんだよ。
そうじゃないのが。
大体が、グレーターヒューマンの社会で下級国民の地位に居る人間の男。
彼らはグレーターヒューマンの社会で見下されているらしく、そのウサを晴らしに
女を強姦殺人し、男を惨殺しに来るんだ。
無論、沢山はしない。
大体1人だけだ。でないと勝手にグレーターヒューマンの共有財産を根絶やしにしてしまうことになるからね。
その場合、彼らの社会で処罰されてしまうんだろうよ。
……俺の前世の事例で言えば、夜中に小学校に忍び込んで、兎小屋の兎を惨たらしく殺してストレスを解消するクズのようなものか。
ろくなもんじゃないが。
それをこの世界では、グレーターヒューマンがレッサーヒューマン相手にするんだな。
……前に、こんなことを言ってるヤツが居たよ。
俺の前世でいえば、男子高校生くらいの少年だったんだけど。
「クッソー! アダチの奴! あんな
そう言いながらそいつは、レッサーヒューマンの男の子を捕まえた。
体格の劣った子だった。多分、成長して出荷されてもすぐ潰れてしまいそうなくらい。
そんな子の手足を。
高熱を発する手で握り、ゆっくり焼き潰していった。
「ハギャアアアアアア!!」
一思いに死なせて貰えず、凄まじい悲鳴をあげるその子は
加害者であるグレーターヒューマンの少年に見て貰えていなかった。
加害者が見ているのは、妄想の中の彼の恨みの相手だったんだ。
酷過ぎる。殺されようとしているのに、その存在を無視されるなんて。
八つ当たりの肉人形扱いをしてくるなんて。
……最低過ぎる。クズが。
俺はこういう、フセたちレッサーヒューマンたちが置かれてきた辛く苦しい現状を知るに至り。
今では心から思っている。
……この状況を、変えなきゃいけない。