※この作品はR-18です。

野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第4章 グレーターヒューマンの世界
第29話 天上界へ


「父上、この身体の持ち主の名前は私がタロウ・ゴミヤマ。そしてゲンパチ分はジロウ・クズオカです」

 

 シノが宿主の記憶頼みで、宿主の家への道を帰りながら、話す。

 この身体の持ち主の身分、境遇について。

 

 曰く、彼らは下級国民で低所得者。

 

 低賃金でブラックな職場で朝から晩まで働いているらしい。

 一応、土日は休みらしいのだけど。

 

 彼らは下級国民の、生活補助受給者で。

 稼いでいるお金だけではまともに生活できないので、月5万円程度の補助を国から受けているらしい。

 ……通貨は「円」なのかよ。

 それは気になるが……

 

 こういう状況、グレーターヒューマンの社会では本当に見下される状況らしく。

 その憂さを酒を飲むことで晴らすか、今日みたいに、レッサーヒューマンに残虐行為を働くことで晴らしているそうな。

 

 ……思った以上にクズだった。

 

 まぁ、こいつらはグレーターヒューマンの社会でもクズ人間。

 高確率でそうだろうなと思ってはいたけどな。

 

 続いてシノは俺たちにとっての朗報を口にした。

 

「父上。父上の読み通り、こいつらには友人が1人もおりません。互いを除いて……」

 

 よし!

 思った通りだ!

 レッサーヒューマンを嬲り殺しにすることを楽しんでいるような奴、皆に嫌われてるに決まってると思っていたんだ!

 

 成り代わるには都合がいい人間だ。

 友人が居ないんだから、成り代わっても雰囲気の変化を怪しむ人間が居ない、

 難易度がグッと下がるじゃないか。

 

 

 

 こいつらは自転車でここまで来たらしい。

 自転車に乗り、走りにくいところは押して歩いて。

 

 3時間くらい掛けて、天上界……グレーターヒューマンの居住区域に戻って来た。

 

 天上界は……

 町並みは、俺の前世と比較したら少し古臭く感じた。

 

 俺も詳しくは無いんだけど、昭和の街並み。

 そんなノスタルジックさを感じる。

 

 赤い郵便ポストに、個人商店。

 前世では、映画の中で見た覚えがある風景だ。

 

 彼らの家は、そんな町の中心部から外れたところにあって。

 木造2階建てのハイツだった。

 

 それについてシノは

 

「この2人、相部屋です。生活補助受給者は1人部屋で生活する権利を持たない代わりに、家賃は取られず、生活インフラに掛かるお金だけ払えばよい……そういうシステムらしいです」

 

 宿主の自宅に戻って来たとき、そんなことを教えて貰えた。

 なるほどね……

 

 社会的弱者に対する国の対応として、結構理想的なのかもしれないな。

 2人部屋はうっとおしいだけで、酷く屈辱的な扱いでは無いし。

 同居人がいれば、自立のための意識も高くなりそうだし。

 そう、ふと思った。

 

 で

 

「父上……ここ、生き物を飼うのは禁止です」

 

 ドアを開けて入るとき。

 シノにそう教えられた。

 

 分かった。

 気を付けるよ……!

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