野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
深夜の住宅地を歩く。
ここは低所得者が住んでいる地域だからな。
静かなもんだ。
これが高所得者層の居住地なら、深夜でも活動してそうだけどね。
まぁこれは、六本木のイメージだけどな。
知らんけど。
で、息子のゲンパチと一緒に誰も居ない道を歩いた。
周りは田んぼとハイツ。何かの店舗類は見当たらない。
そんなところをふたりで歩く。
俺は首輪とリードは付けられていない。
まぁ、息子も嫌だろうしな。
父親にリードをつけるなんて。
俺なら嫌だし。
ただ、他人に咎められた際のことを考えて、携帯はしてるみたいだけどさ。
で、公園にやって来た。
遊具は……滑り台に、シーソー、鉄棒に、砂場。
まあ、普通の公園だわ。
何も変じゃない。
俺はまあ、部屋に日中引きこもっていたストレスを走り回って解消する。
ゲンパチはベンチに座ってそれを見ていた。
……会話が出来ないのが辛いなぁ。
ほんとこの子は色々考えてはいるんだけど。
自分に自信を持てないのが欠点だ。
上3人がしっかりしてるから、そうなるのかね。
自分の
どうも自己申告じゃ無くて、シノが気づいたみたいなんだ。
痛みや不快感を感じないなんて、凄い強みなのにさ。
まぁ、自信を持たないってのは慢心しないってことでもあるから。
悪いことだけでは無いんだけど。
そんなことを考えつつ、深夜の運動に勤しんでいたら
「こんな時間にお散歩ですか?」
……突如、ゲンパチが話し掛けられた。
中年男性に。
……服装は、黒いシャツに灰色のスラックス。
真面目そうな雰囲気だ。
体型は少し太め。
髪も少し薄い。
男性は笑顔で。
穏やかそう。
「隣、良いですか?」
そう言ってくる。
ゲンパチは
「ええ、どうぞ」
ちょっとぎこちない感じでそう返す。
男性は隣に座った。
そして……
「夜勤とか、不規則休日とか、そんな感じですか?」
結構踏み込んだことを訊いてきたんだ。
男性は、職業安定所の職員らしく。
たまにこうして深夜に散歩に行くことを日課にしてるらしい。
……深夜に人生に迷った人が、今日みたいに彷徨ってることがあるので、そういう人と話をして助言をしてあげたいんだそうだ。
うーん。
多分良い人なんだろうな。
この男性。
彼に対する最初の印象がそれ。
だけど
「失礼ですが下級国民ですか?」
……会話の中で、そんな
「ええ、まぁ」
ゲンパチは認める。
別に屈辱でもなんでもない。
ボディの身分の話だしな。
そんなことよりも、グレーターヒューマンとしての異常性に気づかれて、問題視される事態だけは全力で避けないと。
俺は心でエールを送る。
頑張れ! ゲンパチ!
すると男性は
「下級国民は国民の10%程度です。8割が中級国民。そして残り1割が上級国民です……この意味が分かりますか?」
そんなことを。
ゲンパチが答えられないでいると、男性は勝手に話し出した。
「……つまり、下級国民は十分脱することが可能な立場だってことなんです! 不動のものでは無いんです! つまり努力! 這い上がる意思が全てを変えるんです!」
熱弁。
……前言撤回。
この人、多分説教が好きなんだろうな。
あんまり良い人では無いわ。
努力しろと言われて、はいそうですかと簡単にできるわけもなく。
出来たら誰も苦労せん。
下級国民として打ちひしがれている人にそんなこと言っても、何の解決にもならん。
……だけど。
今の話で、下級国民が見下されているのは、怠け者であると思われているからなんだな。
決して、生まれ持った
そこを知るに至り、俺は……
攻める場合、身分制で揺さぶるのは無理なんじゃ無いかと思ったんだわ。
これも情報として持って帰らないと。