※この作品はR-18です。

野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第34話 深夜の徘徊者

 深夜の住宅地を歩く。

 ここは低所得者が住んでいる地域だからな。

 

 静かなもんだ。

 

 これが高所得者層の居住地なら、深夜でも活動してそうだけどね。

 まぁこれは、六本木のイメージだけどな。

 知らんけど。

 

 で、息子のゲンパチと一緒に誰も居ない道を歩いた。

 周りは田んぼとハイツ。何かの店舗類は見当たらない。

 

 そんなところをふたりで歩く。

 俺は首輪とリードは付けられていない。

 

 まぁ、息子も嫌だろうしな。

 父親にリードをつけるなんて。

 

 俺なら嫌だし。

 

 ただ、他人に咎められた際のことを考えて、携帯はしてるみたいだけどさ。

 

 

 

 で、公園にやって来た。

 遊具は……滑り台に、シーソー、鉄棒に、砂場。

 

 まあ、普通の公園だわ。

 何も変じゃない。

 

 俺はまあ、部屋に日中引きこもっていたストレスを走り回って解消する。

 

 ゲンパチはベンチに座ってそれを見ていた。

 

 ……会話が出来ないのが辛いなぁ。

 

 ほんとこの子は色々考えてはいるんだけど。

 自分に自信を持てないのが欠点だ。

 

 上3人がしっかりしてるから、そうなるのかね。

 自分の神技(シンギ)の有用性について主張しなかったのも、自信が無いせいか……

 どうも自己申告じゃ無くて、シノが気づいたみたいなんだ。

 

 痛みや不快感を感じないなんて、凄い強みなのにさ。

 

 まぁ、自信を持たないってのは慢心しないってことでもあるから。

 悪いことだけでは無いんだけど。

 

 そんなことを考えつつ、深夜の運動に勤しんでいたら

 

「こんな時間にお散歩ですか?」

 

 ……突如、ゲンパチが話し掛けられた。

 

 中年男性に。

 

 

 ……服装は、黒いシャツに灰色のスラックス。

 真面目そうな雰囲気だ。

 体型は少し太め。

 髪も少し薄い。

 

 男性は笑顔で。

 穏やかそう。

 

「隣、良いですか?」

 

 そう言ってくる。

 

 ゲンパチは

 

「ええ、どうぞ」

 

 ちょっとぎこちない感じでそう返す。

 男性は隣に座った。

 

 そして……

 

「夜勤とか、不規則休日とか、そんな感じですか?」

 

 結構踏み込んだことを訊いてきたんだ。

 

 

 

 男性は、職業安定所の職員らしく。

 たまにこうして深夜に散歩に行くことを日課にしてるらしい。

 

 ……深夜に人生に迷った人が、今日みたいに彷徨ってることがあるので、そういう人と話をして助言をしてあげたいんだそうだ。

 

 うーん。

 多分良い人なんだろうな。

 この男性。

 

 彼に対する最初の印象がそれ。

 だけど

 

「失礼ですが下級国民ですか?」

 

 ……会話の中で、そんな不躾(ぶしつけ)な言葉が飛び出したんだ。

 

「ええ、まぁ」

 

 ゲンパチは認める。

 別に屈辱でもなんでもない。

 ボディの身分の話だしな。

 

 そんなことよりも、グレーターヒューマンとしての異常性に気づかれて、問題視される事態だけは全力で避けないと。

 俺は心でエールを送る。

 頑張れ! ゲンパチ!

 

 すると男性は

 

「下級国民は国民の10%程度です。8割が中級国民。そして残り1割が上級国民です……この意味が分かりますか?」

 

 そんなことを。

 ゲンパチが答えられないでいると、男性は勝手に話し出した。

 

「……つまり、下級国民は十分脱することが可能な立場だってことなんです! 不動のものでは無いんです! つまり努力! 這い上がる意思が全てを変えるんです!」

 

 熱弁。

 

 ……前言撤回。

 この人、多分説教が好きなんだろうな。

 

 あんまり良い人では無いわ。

 努力しろと言われて、はいそうですかと簡単にできるわけもなく。

 出来たら誰も苦労せん。

 

 下級国民として打ちひしがれている人にそんなこと言っても、何の解決にもならん。

 

 ……だけど。

 

 今の話で、下級国民が見下されているのは、怠け者であると思われているからなんだな。

 決して、生まれ持った神技(シンギ)の実力や、生まれた家の大きさじゃないんだ。

 

 そこを知るに至り、俺は……

 

 攻める場合、身分制で揺さぶるのは無理なんじゃ無いかと思ったんだわ。

 これも情報として持って帰らないと。

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