※この作品はR-18です。

野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第35話 決断のとき

 そして約2年のときが経過した。

 

 半年毎にレッサーヒューマンの居住地に戻り、ノートを渡し。

 その際に向こうからの要望もメモを取り。

 

 そういう情報交換を続け、情報を集め続けた。

 

 グレーターヒューマンはレッサーヒューマンに読み書きと四則演算以外の知識は与えず、創世神話についても教えていない。

 奴隷を飼育するという面では、非常に正しいやり方だと思う。

 奴隷に学は必要ないからね。

 

 で、法律なんだけど……

 

 レッサーヒューマンに意図的に不要な教育をすることが犯罪になっていた。

 天上界に労働力として連れて来たレッサーヒューマンに業務上必要なことを教える場合、届け出をすることで一部解禁されるのだけど。

 基本禁止。

 そこに違いは無い。

 

 もし、グレーターヒューマンの社会に害意を持ち、レッサーヒューマンに最新クラスの教育を施したことが明らかな場合。

 その量刑は死刑か無期。

 

 ……締めなきゃならんところを良く分かってると思ったよ。

 

 そういうことなので、一部手に入れることを諦めたものもある。

 学校教科書がそれだ。

 

 まるで俺の前世での戦略物資扱い。

 教科書は全部貸与で、卒業したら国に返すのが決まり。

 紛失すると反省文を書かされ、何回か続くと退学になる。

 そんな徹底ぶりだ。

 

 ……で。

 

 そのくせ、政府の人間でない人間が、レッサーヒューマンの居住区に足を踏み入れるのは犯罪じゃ無いんだな。

 そこまでするなら、一般人立ち入り禁止にしろよと。

 俺はそう思ったんだが。

 

 ……今ではなんとなく分かって来た。

 

 ガス抜きだわ。

 

 一応、グレーターヒューマンの社会は階級社会だけど。

 その階級はある程度本人の才覚や努力で克服できるレベルのモノであり、決して不可逆のカースト社会じゃないんだけど。

 

 どんな社会システムでも、不満を持つ人間は一定数出てくる。

 

 そういう人間が暴発し、拡大自殺を企てて社会に復讐をする可能性を0に近づけるために用意されたスケープゴート。

 

 それが……グレーターヒューマンの社会でのレッサーヒューマンの立ち位置なんだ。

 

 俺の前世の社会では解決しようとしなかった問題だな。

 まぁ、しようがないんだけど。避けようがないことなんだから。

 

 話を戻して。

 ガス抜きなんだよな。

 

 だからレッサーヒューマン居住区に立ち入るのは自由で……

 レッサーヒューマンを殺害することは、1度に1人までなら罪にならないんだよ。

(2人目からは動物虐待が付く)

 

 そういうことを、2年の時間(トキ)の間にレッサーヒューマンの社会に伝え。

 内容を共有した。

 

 事を起こす前に欲しい情報は全部取らないとな。

 

 そして今日、報告のとき。

 レッサーヒューマンたちの意思をまとめている我が娘ケノは

 

 こう言った。

 

「父上、立ち上がりましょう」

 

 決意を込めた瞳で。

 

「今がそのときです」

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