野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
転生して俺は。
正直、犬になったことには悲壮感は無かった。
一日寝てられるし。
ご飯作らなくても母犬から母乳を貰える。
たまに飼い主のチィちゃんが、テレビの前に連れて行ってくれるので、退屈もしない。
……俺の前世はさ。
親がまだ存命中だったけど、会社を辞める羽目になったとき、申し訳なくてその後一度も会って無いんだよな。
アホなことを言って、破滅して。
心配かけて申し訳なくて。
正直、俺が死んだことについては
「これで息子のアホな言動の不始末は、発言者が自分の命で償ったわけだからチャラ」
この論法で、親や、兄弟にまで俺への批判の矛先が拡大するのを防げるかもしれない。
だからラッキーだとすら思ってたね。
親の老後の介護は、兄貴夫婦に押し付けることになるのは心苦しいけど。
俺が命を使って自分の不始末を償ったんだから、見逃して貰えんかなぁ?
……その辺、あまり考えると鬱になりそうだ。
なので、俺はこの異世界の仕組みをテレビ番組の内容から想像することで誤魔化した。
この世界、どうも階級社会のようだ。
ただ、基本的人権みたいな概念はあるみたい。
結構テレビで、多分政治の内容を批判するようなことやってたし。
少なくとも言論の自由はあるみたいだ。
国民は「上級」「中級」「下級」の3種類に振り分けられてるようで。
何を根拠にそうしてるのか良く分からなかったな。
身体能力? それとも家柄?
で、その上にリーダーとして「
ニュースでキャスターが『
それなりの尊敬は集めているようだ。
この世界にも俺の前世で言えば、あのやんごとない人たちみたいな存在が居るってことなのか?
……で、俺の飼い主のランクなんだけど。
それはこの間、薄っすらと分かった。
「ママ、私さ、上級国民になる試験を受けられそう!」
「まぁ! まぁ! おめでとう! 良かったわねチフユ!」
……チィちゃんがそんなことを母親に報告してる姿を目にしたんだよね。
だからまぁ俺の飼い主、結構優秀なんだな。
そんなことを、母親に喜ばれ、褒められてるチィちゃんを見て知るに至った。
あと、俺の飼い主の本名はチフユか。
一応、覚えとこ。
飼い主だしな。
そして俺が、餌をお湯でふやかした固形の餌から、固形のカリカリに移行して。
母犬と同じものが食えるようになったころ。
俺の飼い主が、こんなことを言ったんだ。
最後に残った2匹……
俺と、雌犬のきょうだい……その2匹を前にして
「片方、人間のクズの居住地に捨てようか」
一瞬、訳が分からなかった。
……え?
俺、捨てられるの?