※この作品はR-18です。

野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第48話 冷徹な決定事項

 オリハルコン鉱山を制圧した後。

 

 元々の、レッサーヒューマン居住地に住んでいたレッサーヒューマンたちは、全員オリハルコン鉱山に移動して来た。

 当たり前だけどな。

 

 そのまんまなら、報復を受けるから。

 この襲撃がグレーターヒューマンの知るところになったら。

 

 だからその前に、避難しなきゃダメなんだ。

 

「フセ様、エイト様。ご苦労様でした」

 

 死んだヨースケの妹・イズミが俺たちに頭を下げる。

 事を起こす前は、俺の家で家政婦のような仕事を任されていた女……。

 

「イズミ、これから色々手伝ってもらうことになるけど、よろしくね」

 

 フセは深々と頭を下げるイズミに、労いの言葉を掛けた。

 イズミは以前、俺の五十音表を捨てたことがあり、そのせいでフセの激しい怒りを買った過去があるけど。

 

 今はまあ、声に嫌悪感や冷たさは無い。

 

 でも「ちゃん」付けはしていない。

 あの事件が起きる前はしてたんだけどな。

 

 

 

「フセ様」

 

 そして。

 イズミがやって来てしばらく後。

 

 意を決したように、訊ねて来たんだ。

 

「何かしら?」

 

 フセに視線を向けられたイズミは緊張している。

 自分がこれから口にすることが、主の不評を買うのでは無いかと、緊張しているのか。

 

 強張った顔で、それでも真っ直ぐにフセを見つめて。

 こう言ったんだ。

 

「……労働奉仕で連れていかれた男性たちはどうなるのでしょうか?」

 

 

 

 レッサーヒューマンが生きているのはレッサーヒューマン居住地だけではない。

 相当多数の男性が、天上界や農場、鉱山で働かされている。

 

 俺たちは行動を起こしたが、そういうすでに奴隷として使役されているレッサーヒューマンは別に救出していないんだ。

 というか、出来ない。

 

 数が多過ぎるのもあるけど、我々はまだ、集団としてそこまでの力は無いんだ。

 

 フセはその質問を受けて。

 一瞬、顔を顰(しか)め。

 

「ケノ!」

 

 ちょうど傍でレッサーヒューマン数人と打ち合わせていた娘を呼びつける。

 

「なんでしょうか母様」

 

 母に呼ばれたケノは、こちらに駆け寄って来る。

 傍に駆け付けた娘に、フセは

 

「イズミに教えてあげて頂戴。レッサーヒューマン居住地に居なかったレッサーヒューマンの取り扱いについて」

 

 そう、娘に依頼した。

 少し、辛そうな様子を見せながら、

 

 ケノは母の意図を察したようだ・

 

 イズミに向き直る。

 

「イズミさん」

 

「はい。ケノ様」

 

 空気が張り詰める。

 これから何を言われるのか。

 

 ……イズミはなんとなく察していると思うが

 

 そこに、ケノは言ったんだ。

 

「積極的には外のレッサーヒューマンは助けに行きません。これは決定事項です」

 

 イズミの顔が強張る。

 ケノはさらに続ける。

 

「……確かに、現在グレーターヒューマンに使役されているレッサーヒューマンも同胞です。ですが、数が多過ぎます」

 

 全てを救おうとすると、この反乱が失敗に終わる可能性がある。

 

「全部救うのが本道ですが、不可能なので泣く泣く諦めるんです。理解してください」

 

 ケノの言葉を聞きながら、イズミは一言も発しない。

 

 そこに

 

「……良いですね?」

 

 ケノは念を押した。

 その言葉にイズミは……

 

 黙って、頷いたんだ。

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