野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
第50話 防衛戦
最初のグレーターヒューマン側の接触は3日後で。
こっちとしては軍を送って来るかなと警戒してたんだが。
なんと、来たのは能天気なことにオリハルコンの移送トラックで。
ようは天上界はこのオリハルコン鉱山が占拠されたことに気づいてなかったんだわ。
これについては、ヒールが
「……1週間に1回の週報しか、鉱山から天上界への連絡はあれへんかってな。で、襲撃時に電話連絡入れる前に……」
とのこと。
まあ俺も、襲撃掛ける前段階でシノとゲンパチを中に送り込むときに
電話を積極的に破壊しろ。
奴らに応援を呼ばせるな。
そう指示しておいたけどさ。
それ、上手く行ってたんだ。
結果的に思う通りに行ったことを実感して。
なんだかすごい達成感があったよ。
「開門を願いまーす! タタラオリハルコン加工でーす! オリハルコンのインゴットを引き取りに来ましたー!」
多分オリハルコン製品を作る会社の輸送トラックの運ちゃんが、声を外で張り上げていたよ。
当然無視したけどね。
そのまま2時間くらい、運ちゃんは頑張ったけど。
無意味と判断したのか、最終的にトラックをUターンさせて去って行った。
そして最初の軍隊が来たのは、それから5日くらい後だった。
週報も来ないし、業者は敷地内に入れないし。
電話も繋がらない。
さすがにおかしいと天上界も判断したらしい。
「皆、今日襲撃があるぞ。ハッキリそれが見えた」
兄弟たちを周りに並べて、立ち上がり大きく腕を広げて
ソウスケは自分の
アマツミカボシの不運察知は便利過ぎる。
「予想よりだいぶ遅かったな」
とうとう来たか、という雰囲気を出しながら。
5男・シンベエ。
その声にはそれ以上の感情は籠ってない。
返り討ちにしてやるとか、思い知らせてやると言う感情が無い。
この子はあまり憎悪を持たないんだよな。
もちろん、それは平和が一番であるからこの反乱に反対である、って意味では無いんだけども。
必要だから求められていることをやる。
そこに感情は込めない。
そういうスタンスなんだ。
「シンベエ、狙撃の腕はどうなんだ?」
ソウスケは腰を上げて準備に掛かろうとする兄弟に訊ねるんだが
「まだまだダメだと思うけど、こういうのは経験を積まないとどうしようもないところあるからね」
そう言って、手を振った。
「俺に任せてくれ。ソウスケ兄さん」
そして。
アサの指示した狙撃ポイントに移動して。
今、シンベエはスコープを覗いている。
スナイパーライフルを構えつつ。
姿勢は所謂、伏せ撃ち。
そこから数歩離れた位置に、アサは身を屈めて佇んでいた。
「シンベエ殿、落ち着くんだ。撃ち漏らしても他の仲間がなんとかしてくれる。決して気負うな」
そして助言。
……かつての仲間を、俺の息子のシンベエが狙撃しようとしているのに、アサは迷いなく的確なアドバイスを送ってる。
……シンベエはアサが特に重点的に狙撃を教えている生徒だ。
理由は、シンベエの神技「イワナガヒメ」との相性が抜群に良いからだ。
前にも言ったけど、イワナガヒメは消耗品の消耗をゼロにする。
無限供給できるようにするんだ。
だから、そんな神技を持つシンベエがスナイパーライフルを握ると……
弾数無限で狙撃が出来てしまうんだな。
しかも、イワナガヒメは
……やらない理由、無いよね。
そのとき。
パンッ、って音が鳴る。
シンベエが引き金を引いたんだ。
その様子を双眼鏡で観察していたアサは
「素晴らしいぞ! 敵兵の足にヒットした! これが初狙撃とは思えないぞ!」
……興奮気味に、称賛していた。