野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
神域の神技持ちには銃や爆弾が通用しない。
俺たちはそのおかげで、ほぼたった8人の神技使いの存在だけでこの鉱山を堕としたんだ。
今度は俺たちがそれをやられる番……
まあ、緊張はあるわな。
それに……
悠長に待ち受けているわけにもいかない。
ソウスケの神技の予知で、敵は1人。
そして北の壁から攻めて来ることが分かっていた。
ちなみに女だそうだ。
20代くらいの若い女……
髪の毛の色は紫色で、一目で鍛えている女だと分かるそう。
そこまで分かっていれば、やることは1つだけ。
そうだね。
偵察だね。
「父様、よろしくお願いします。姉さま、父様をお願いします」
鉱山の北の防壁傍にて。
ダイカクの力でこれから俺とシノを外に送り出す。
その前にケノがそう言ってくれたんだ。
俺はこれから、ただの犬のフリをしてグレーターヒューマンの神域神技持ちの兵士との接触を試みる。
それで、何か神域攻略の役に立つ重大な情報を持って帰らないと。
シノが何か言った気がしたけど、シノは今小人化して俺の体毛の中に埋もれているので、何を言ったのか分からない。
「ご武運を」
言って、ケノは頭を下げる。
「じゃあ姉ちゃん、あとはボクに任せて」
ダイカクが神技を使用し、俺たちを抱えて宙に浮く。
そして飛行し壁を乗り越え。
俺たち2人を壁外に送り出した。
鉱山の外は岩が目立つ地形で。
植物も無いわけじゃなかったけど。
樹木が無かった。
幸い今日は天気が良く。
空は晴れているけど。
もし雨が降っていたら、多分地面がぬかるむんだろうな。
数週間前だけど、ここを攻めたときのことを思い出す。
さて、行くか。
ソウスケ曰く、この北の壁を攻略しに、たった1人で攻めて来るらしいんだけど……
ということは、この近辺に来るはずなんだ。
……とりあえず北を目指そうか。
俺は歩き出す。
で。
……俺にとって幸運だったのは。
俺の位置が風下で。
向かう先から、女の匂いが漂って来たんだよね。
これは……!
俺は走った。
すると。
緑色の大型テント。
軍用と分かる、ジープっぽい無骨な自動車。
それが見えて来た。
……ビンゴ!
そこで、1人の女が簡易椅子とテーブルを用意し、ティーカップで上品にお茶を飲んでいた。
それは……
軍服を着た髪の長い女で。
長い髪を後ろで1本の三つ編みにしていた。
顔つきは明るい感じで
「ヤマモトさん、ここまでの運転ありがとうね」
「サカザキ様、小官はそれが仕事ですので」
自動車の整備をしている男性と、良好な関係を築いているみたいで。
1人お茶をする女と、自動車整備をする男性は。
およそマウントとか、そう言うものが無い声音で会話していた。
双方、笑顔だった。
女の体型はアサのような感じで。
ムッチリしてるけど、別に太ってるわけじゃない。
鍛えている女……
そして、その髪の色は紫。
この女か。
この女が、神域の神技持ちの女なのか……!
初めて目にするグレーターヒューマン側の神域の神技持ち。
それに俺は恐れを感じると同時に。
何故か、懐かしさを感じていたんだ……