野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
チフユ……
何か、聞き覚えのある名前だった。
どこで聞いたんだろうか?
ずっと昔に、聞いたような……?
「父上」
そんな風に考え事をしている俺に。
シノが呼びかけて来た。
そちらを見ると、元の大きさに戻ったワンピース姿の犬耳美女……我が娘シノが。
スパナ片手に俺を見下ろしている。
シノの足元には、気絶した男性兵士が倒れていて。
「ここは任せて行ってください。父上の存在が皆の支えになりますから」
その兵士を目で示しながら、俺に帰還を促した。
俺が無事に戻ること。
それが子供たちと妻の闘志の支えになる。
……確かにそうだな。
俺が偵察先で死んだかもしれないと思うのは、俺の家族には絶対に良くない。
きっと全力で戦えなくなる。
だからそこははっきりさせないと。
俺は1度大きく吠えると。
シノを置いて、今の俺たちの本拠地・オリハルコン鉱山へ戻って行った。
「人間のクズ共! レッサーヒューマン共!」
オリハルコン鉱山に駆け戻ると。
オリハルコン鉱山の北の壁の前で、腰に手を当て仁王立ちし。
チフユが大声を張り上げていた。
彼女は堂々としていた。
堂々と
「今なら降伏を認めてあげるわ! 首謀者には絞首刑か斬首刑を受けて貰うけどね!」
その表情には嘲りとか、傲慢さだとか、愉悦だとか。
そう言うのは一切なく。
見ただけなら、それは
聞き分けの無い子供相手に、決まりを教えに来た大人の女性。
そんな風にしか見えなかった。
するとそのとき。
銃弾が飛んで来て。
バチッという音がした。
銃撃無効。
彼女が
彼女の身体を撃ち抜くこと叶わず、彼女の足元に転がる鉛玉。
それをつまらなさそうに見つめ、彼女は
「私は神域の神技を持つ者! 銃器、爆弾の類は一切無効!」
さらに声を張り上げる。
そして歩き始めた。
北の壁に向かって。
ゆっくりと
すると
一定距離に到達したとき。
ビュオ、と
今度は矢の雨が降って来たんだ。
矢は通じるんだよ……
刀や槍などの刃物、打撃武器、弓矢は通じる。
これらはただ神域であるからという理由では無効化できない。
だから、通じるはずだったんだ。
普通なら。
だけど
矢の雨を浴びた彼女の足元に、彼女が浴びたはずの矢が散らばっていく。
……通じていない!?
「私に弓矢は通じないわよ……残念だったわね?」
不敵な笑みを浮かべつつ。
最後に自分の目に向かって飛んできた矢を空中で掴み取り。
そのまま片手でへし折って、投げ捨てて
「さあ! お前たちが抱えている神域持ちを出しなさい! どこの誰だか知らないけれど、全員打ち倒し、
そう、強い声で言い放ったんだ。