※この作品はR-18です。

野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第56話 チフユVSフセ

 人類将チフユの宣言に、こちらとしては……

 

 ドウセツとダイカクとで、2人ずつ他の神域を連れて鉱山から出て来た。

 そのメンバーは……

 ソウスケとゲンパチ、ケノとフセ。

 

 ……計6人!

 

 その6人で囲んだ。

 

 チフユは余裕の笑みを崩さない。

 じろりと見まわし、そして少し驚いていた。

 ……狼面と、犬耳美女が混じっていたからか。

 そこに引っ掛かったような表情を一瞬浮かべたけど……

 

 最終的に、無視したらしい。

 

 腕を組んだまま、吠える。

 

「……先手を譲ってあげる。それが開幕の狼煙よ」

 

 

 

 最初に向かったのはフセだった。

 

 地を蹴り、一気に間合いを詰めて

 彼女の武装である大金槌を振り下ろす。

 

 チフユはそれを僅かな動きで回避する。

 

「動きが粗削り。ほぼ我流ね……なるほど」

 

 一撃を避けられても2、3と繋げていく攻撃を的確に避けながら

 彼女はフセを観察する。

 

「……右手の刺青があるということは、あなたは人間のクズなのね」

 

 フーン、といった具合。

 余裕があった。

 

 ……正しい訓練を積んだ女。

 

 そして同じ神域。

 こうなってくると、ここまで積んで来たものの差がそのまま強さの差になる……!

 

「何が人間のクズよッ! レッサーヒューマンという呼称も気に入らないわッ!」

 

 チフユに連続攻撃を繰り出しつつ、フセは怒りの声をあげる。

 

 レッサーヒューマン……直訳すると「下位人類」

 

「私の母はお前たちの玩具にされ、両腕を斬り落とされたのよッ! けれど死なずに私を産んでくれたのッ!」

 

 フセは怒りをぶつけていた。

 フセの怒りは深い。

 

 夜に寝床で何度も聞かされた。

 

 グレーターヒューマンに全てを奪われた母の話を。

 自分は母の無念を晴らすためにこれまで生きて来たし、そしてグレーターヒューマンは自分の敵であるって。

 

 それを聞かされたチフユは

 

「そりゃあ、災難だったわね。でもそんなこと、私に言われても困るわ……一部のクズ男がやったことでしょ? あの人たち、気に入らないことがあったらストレス発散でここで暴れるのよね」

 

 少しだけ不快そうにしていたが、返ってきた言葉はそれで。

 

「そんな奴ら、天上界でも下の下よ。女の子にはモテないし、収入だって低い……ホントに見苦しいと思われてる。……それでいいじゃん」

 

 何でそこまで怒ってるのか分からない。

 そういう風に、さらに返したんだ。

 

 フセは激昂した。

 

「ふざけないでッ! いいわけないでしょ! ……下位の人間はお前たちよッ!」

 

 大ぶりの大金槌の一撃。

 だけど

 

 チフユは冷静に踏み込み、振り下ろしてきた大金槌の一撃を、右手で空手の受けの動作で捌いて。

 その捌きで体勢の崩れたフセの脇腹に、左手のフックを叩き込んで来たんだ。

 

 どむっ、という音がした気がした。

 

 そのまま吹き飛び、地面を交通事故に遭ったダミー人形のようにブチ転がる。

 

 フセは身体を地面に投げ出され、口を拭って立ち上がる。

 武器の大金槌は手放してしまっていて、離れた位置に落ちていた。

 

 怒りの表情でチフユを睨み据えるフセ。

 

 チフユは……

 彼女も平静ではなくなっていた。

 

 不愉快。

 不機嫌になっていたんだ。

 

 怒りを持っている。

 そして彼女は怒りを発した。

 

 こんな言葉で

 

「私たちこそ下位ですって?」

 

 信じられない、っていうふうに。

 

「……調子に乗ってんじゃないわよ? この人間のクズの混血種が!」

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