※この作品はR-18です。

野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第60話 ゲンパーチ!

 チフユは立ち上がり、身構える。

 

 コイツが注目しているのはおそらくソウスケ。

 この女は、自分の敵になりうるのはソウスケだけであると認識してる。

 

 おそらく、この場で姿を確認できているこの女にとっての敵全ての攻撃を浴びて、自分に通用する相手はソウスケだけだと判断した。

 その判断はおそらく間違ってない。

 

 ……姿が確認できている相手は。

 

 ゲンパチ。

 

 俺たち夫婦の3男。

 約2年間の天上界潜入調査で、シノと一緒に働いてくれた自慢の息子だ。

 

 ゲンパチはあの女が目を離した隙に、神技(シンギ)を使用してスライム状に変化し、姿を隠したんだ。

 

 ゲンパチの神技「ヒルコ」

 その効果はスライム化と、他人に侵入することによる操り人形化。そして水中適応。

 

 ゲンパチは潜んでいた。

 土の中に。

 

 そこでじっと待っていた。

 

 ……この状況を!

 

 ソウスケにチフユの注意の大半が向いたときに、俺の息子は行動を起こしたんだ。

 

 チフユのすぐ後ろの地面から噴き出してきて。

 そのスライム化したボディでまとわりつく。

 そしてその口からチフユへの体内侵入を果たそうとするけど。

 

 チフユに直前に察知され、手で口と鼻を押さえられた。

 

 そこで、ゲンパチは固まってしまった。

 馬鹿正直で、応用力があまりないんだ。

 この子は。

 

 口と鼻がダメなら、耳はどうかとか。

 肛門や膣から入れないかとか。

 

 そういう発想に切り替えるのに時間がかかるんだよ。

 この子の……欠点であり、ある意味長所もある部分。

 

 勝手な思い付きで確実な手を勝手にアレンジしたりしない。

 その代わり、応用力が無い。

 

 だが、この状況でその欠点は致命的……

 おそらくこの女、雷神の神技を持ってるから放電能力も持ってるはずだ……!

 

 放電。

 

 そこで。

 何故か、俺はまだ生まればかりのとき。

 

 捨てられるとき。

 誰かに電撃を浴びせられた記憶が蘇った。

 

 それにハッ、としたけど。

 今はそれどころじゃない。

 

 その無意味な思考を打ち切って

 

 俺は、頭を切り替えろ、という意味を込めて大きく吠えた。

 

 言葉じゃ無いから伝わらないが、想いくらいは伝わらないかと願って。

 

 そのときだ。

 

「ゲンパーチ!」

 

 男の大きな叫び声と一緒に。

 

 ボール大の何かが、チフユに向かって投げつけられる。

 

 その、次の瞬間だ。

 

 大爆発。

 俺は、男の叫びが聞こえた瞬間に、男の方に駆け寄っていたので、その爆風には巻き込まれなかった。

 

 手榴弾。

 

 その男は……軍服のその男はチフユに向かってそれを投げた。

 投げた姿勢で停止している。

 

 厳しい表情で。

 

 ……神域の神技を持つ者には、銃撃と爆弾による攻撃が通用しない。

 近代兵器が効かないんだ。

 

 だから、手榴弾を投げつけても、致命打にはなりはしない。

 だけど……

 

 爆音で驚かせることは出来る。

 

 ゲンパチはその間近で爆発した手榴弾の爆音を浴びて、チフユの身体から離れてしまった。

 そう……「しまった」ようにみえたんだ。

 

 その隙を狙うように

 

「サカザキ様! 一度撤退致しましょう! 隠し玉がある恐れがあります!」

 

 その若い男は、チフユに呼び掛ける。

 厳しい表情で。

 

 その男は、チフユと一緒にここに来た、男性兵士。

 自動車の整備をしていた兵士で……

 

 おそらく、シノが今現在入り込んで成り代わっているボディだった……。

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