※この作品はR-18です。

野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~   作:XX(旧山川海のすけ)

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第61話 再び天上界へ

「ヤマモトさん! 危ないです! 下がって!」

 

 チフユは焦りを見せている。

 チフユにとっては物の数では無い神域(シンイキ)だけど、神域でない相手には恐ろし過ぎる存在だ。

 

 自分の知り合いがそんな戦場に出てきたらそりゃ焦るだろ。

 

 俺はヤマモトと呼ばれた男の身体に入っているシノに駆け寄り、懐いているようにワンと鳴く。

 シノinヤマモトは俺の頭に少し手を触れた。

 

 俺がコイツをシノの成り代わりであると判断したのは。

 コイツが掛け声のようにゲンパチの名前を叫んだから。

 

 そしてシノが狙っていることも予想がついた。

 

「サカザキ様! もう1回言います! 一度引きましょう!」

 

「私は人類王(ヒューマンロード)陛下の直属の家臣よ!? その私が人間のクズどもに……!」

 

 チフユは拒否する。

 まぁ、背中に王の名前を背負ってるなら、その辺の決断にも慎重になるだろうさ。

 

 だけど

 

「伏兵がいるかもしれません! 現に小官は襲われました!」

 

 追い詰められた表情で大声で。

 

「複数の神域の意味を我々は軽く考えていたかもしれません! 人類将(アークヒューマン)1人を差し向ければ問題ない! それは危ない!」

 

 ……通るのか? これ?

 

 俺は軍隊なんて知識でしか知らんからな。

 通るかどうかの確信が持てなかった。

 

 でも、グレーターヒューマンの社会は、300年の究極の平和(ミラクルピース)の状態にあったわけだよな。

 

 だったらそこまで厳しくない可能性はあるかもしれん。

 

 焦った表情でチフユは一瞬考え。

 そして

 

 大きく跳躍し、シノinヤマモトの傍まで引き下がり

 

「分かったわ! この情報を持ち帰る!」

 

 おお……!

 

 そして俺たちは引き下がったんだ。

 

 

 

 チフユはシノと俺を連れて、軍用車が停車されていたポイントまで戻り。

 車に乗り込み、発進させた。

 

 車を走らせながら

 

「……戦った相手の中では、強力な打撃を飛ばして来る神技の持ち主……アイツだけが脅威。それ以外は敵では無いわ」

 

 ジープっぽい軍用車……その助手席に座っている女。

 人類将(アークヒューマン)チフユは手帳を開き、しきりにペンで書きこんでいた。

 さっきの戦闘で得た情報を書き込んでいるのか。

 

「……ヤマモトさんはどういう神技に襲われたの?」

 

 そこで。

 チフユがシノinヤマモトに視線を向けた。

 

 ……まあ、当然訊かれるよな。

 貴重な情報だし。

 

 シノは

 

「……後ろから襲われました。いきなりです。でも、コイツに吠えられたら逃げて行ったんですよ」

 

 目で、後部座席に乗っている俺を示しつつ。

 ……俺も連れて行くことを強硬に主張したことに正当性を持たせるための嘘か。

 

 だけど、その嘘を聞いたチフユは

 

「そう……何でだろう……? 何か犬に弱点を抱える神技なのかな……? スプリスさんの意見を訊いてみるしか……」

 

 顎を触りながら何かブツブツ言っている。

 スプリス……また知らない名前が出て来たな。

 

 まぁ、チフユが思慮深くて助かった。

 根拠もなく理解できない不思議なことが起きたからと、言われたことを否定して疑念を持つようなことがなくて。

 

 つくづく、性格って長所も短所も無いと思うわ。

 こういう、多様性って観点で言えばね。

 

 こうして俺はまんまと。

 人類将の部下に成り代わった娘と一緒に、その部下のピンチを救った功労犬として再び天上界に潜入したのだった……。

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