野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
第62話 人類王宮殿
天上界に入り。
車はまっすぐに進んでいく。
天上界は外周になるほど所得の低い人間が多く住む地域になり。
中心に進めば進むほど富裕層……主に上級国民が住むエリアになる。
かつての俺たちは、外周に住んでいた。
あのときのシノとゲンパチのボディたちは、底辺層だったから。
あのときはそうだったので、2年間の天上界潜伏時に中央へは行ったことが無かった。
別に禁止はされてなかったけど、天上界に潜伏していたのは旅行目的じゃ無いんだ。
どうせほぼ詳しい調査が無理なのに、行くだけ無駄だ。
そんなことをするくらいなら、図書館で勉強をする、技能を身に着ける努力をする。
そっちの方が先だろうと。
シノinヤマモトがジープの運転できてるの、あの2年間の潜伏期間で自動車運転技能を取得したからだろうな。
シノもゲンパチも、色々免許を取りまくってたし。
2人が生活困窮者であることの権利を最大限活用して、職業安定所で技能訓練の申請を出しまくり、勉強しまくったんだ。
ジープの運転はそのときに取得した基本技能と、このボディから吸い上げた知識を合わせて実現してんだろう。
やっぱ人間、技能拡大は重要だ。
出来ることを増やすことは素晴らしい!
親として誇らしくなる。
そして感慨にふけっていると。
見えて来たんだ。
巨大な、木造の建築物を……
実物を見るのは初めてだ。
これが……人類王宮殿……!
それは見たところ……巨大な仏教のお寺だった。
3階建てだろうか?
俺たちのジープは、その建築物のある敷地に入る直前で駐車スペースに駐車し。
そこから降りて敷地の門を護っているライフル銃を背負い、腰に剣を吊るした番兵たちに
「
「同じくその副官ナツキ・ヤマモト。帰還です」
任務からの帰還を宣言。
すると
「ご活躍様です」
番兵2人がこちらに敬礼をする。
……ご活躍様?
変な労い方をするな。
まあ、そんな重要な事では無いので気にはしなかったが。
そして俺たちはそのまま敷地に入ろうとした。
だけど
「ヤマモト様、その犬は……?」
番兵に、俺が止められる。
結局、俺は番兵に預けられることになった。
シノinヤマモトが「こいつには窮地を救われたんだ。その恩を返したいから」
ようは家に連れ帰って飼うから、手放したく無いんだ、そう言ったんだよ。
すると番兵が
「ならば我々がそれまでお預かりします」
そう言い出して。
シノinヤマモトもあまりに連れ歩きに固執して変に思われるのも困るので、それを受け入れたんだ。
で、俺は。
番兵の詰め所で、お座りさせられていた。
ザ・犬の扱い……
怪しまれるわけにはいかないから、全力でただの犬を演じた。
すると番兵たちは俺をまったく気にしないで。
こんな話をしていた。
「……サカザキさんって、ヤマモト氏と付き合ってんのかね?」
「いや、さすがにそれは無くない? 確か
「分からんぞー? ぶっちゃけヤマモト氏、結構ハンサムだし」
他人の色恋の話だ。
正直そういうのは興味無いんだけどさ……
この話は別だわな。
……ひょっとしたらあのヤマモトボディとチフユって女の間に恋愛感情があるのかもしれないのか……
使える情報だ。
シノと相談しないと。