野良犬転生~犬に転生して人間の女の子をお嫁さんにし、被差別種族を救ってしまう男の話~ 作:XX(旧山川海のすけ)
2時間くらい待ったかな。
番兵詰め所に、シノinヤマモトが戻って来る。
「コイツを預かってくださってありがとうございました」
シノinヤマモトが俺を指してコイツ、と言うとき。
ちょっとだけ迷いがあった。
……その気持ちは嬉しいが、そこは割り切ってくれ。
まぁ、不審には思われないだろうけど。
「いえいえ、あり得ないくらい良い子でしたよ。全く吠えないし暴れないし」
「そうですか。良かったです」
にこやかに会話する。
そして俺に
「行こうか。今日からよろしくな」
拾った犬を連れ帰る男として振舞い、そう接してくれた。
「父上、この身体の持ち主はあの女と親密な関係を築きつつあるみたいです」
自家用車に乗り、自分の住居に戻りながら。
シノinヤマモトは俺にボディの説明をしてくれる。
自動車を運転するシノinヤマモト。
俺は娘の話を、後部座席で聞いていた。
……この自家用車、多分いいやつだ。
シートの感じが高級な感じがする。
まあ、シノinヤマモトと番兵たちとの会話を盗み聞いた限りでは、
多分、立ち位置としては俺の前世で言うところの、大臣の補佐をする立場の事務次官くらいの立ち位置なのかもしれないな。
じゃあきっと、高給取りだ。
……この若さでか。
俺はバックミラーに映るシノinヤマモトのボディの顔を見る。
改めてじっくり見ると、知的で穏やかで、善良な顔つきの青年。
髪の色は茶色で、色が奇抜でないせいか、俺の感覚では真面目そう。
……多分、モテるんだろうなぁ……
そんなことを思いつつ
淡々と、シノinヤマモトが話して来る話を聞いた。
それは主に、あの女の話で。
「日々の会話も多いですし、あの女に男がいないことを確かめたので、本人の中では交際を申し込むかどうかという決断をしてたようです」
……なるほどなるほど。
結構美人な女だったけど、今はたまたまフリーなんだな。
「だから私は父上、あの女と男と女の関係になり、周辺情報を根こそぎ取っていきたいと考えています」
……ハニトラを仕掛けるわけか。
まぁ、良い手だと思うよ。
偏見かもしれないけど、女のお前が男を操作して女を落とす。
荒唐無稽な話では無いと思うわ。
「まあ、細部は帰宅してから……父上、今度の家は結構広いみたいですよ?」
……前の家は底辺層の家だったからな。
狭かったよね。
楽し気に言うシノinヤマモトの言葉に、俺は肯定的な意味を込めて軽く吠える。
そして続けて娘はこう言った。
「……今度の家は集合住宅ですがペット可です。この男、ペットとしてネズミを飼っていたようで。近隣住人に犬を飼ってる人も……」
おお……
次の家は、大手を振って散歩に行けるんだな。
嬉しい……!